日能研メモチェが終わらない小6秋。機械的なノルマを捨てる優先順位

「1日3ページ」と決めて始めたメモチェが、10月末になっても半分も終わっていない。この焦りの正体は、ノルマの立て方が入試本番から逆算されていないことにあります。お子さんの頑張りが足りないのではありません。

日能研の理科・社会のメモリーチェック(以下、メモチェ)は、入試に必要な内容を項目ごとに整理した受験生向けの教材です。社会は80項目、各項目は見開き2ページで、要点のまとめと空欄補充・一行題のチェック問題で構成されています。出版元の紹介には「1日に1項目ずつ取り組めば3か月弱で基礎を一通り学習できる」「入試までに2度、3度と繰り返すと効果的」とあります。

ところが小6の秋は、育成テストも公開模試も過去問演習も重なります。メモチェを頭から順番に1日1項目というペースは、時間が余っている時期の設計です。いまの時期に必要なのは、全項目を均等に進めることではなく、点になる項目から順に仕上げることです。

日能研のメモチェが小6秋に終わらなくなる理由

全項目を同じ重さで扱う設計になっている

メモチェは、中学入試に出る内容を網羅する作りです。網羅されているぶん、あなたの志望校にはほとんど出ない項目も、同じ見開き2ページを使って並んでいます。

たとえば、第一志望の社会が地理と歴史の記述中心の学校なのに、公民の細かい項目に同じ時間をかけているケースはよくあります。1日3ページというノルマは、この「重さの違い」を一切見ません。だから進んでいるのに、点につながる実感が持てないのです。

秋は「新しく覚える」時期と「入試形式で使う」時期が重なる

小6の秋は、まだ覚えていない単元を仕上げながら、同時に過去問や模試で知識を使う練習も始まります。覚える作業だけを毎日きっちりこなす余裕は、構造的にありません。

多くの塾の宿題とテストの量は、塾の側の進度に合わせて決まっています。一人ひとりの家庭の残り時間に合わせて作られてはいません。ここで「終わらないのは自分たちのせい」と考える必要はありません。

まず現状を数える。残り項目と残り日数

優先順位を決める前に、数字を3つだけ出します。感覚で「全然終わっていない」と思っていると、必要以上に焦ります。

数えるもの 書き方の例
入試までの学習可能日数 入試日から逆算し、塾の授業・テスト・予備日を引いた日数
理科・社会に使える1日の時間 平日と休日を分けて、実際に取れる分数
メモチェの未着手・未定着の項目数 「できる・あやしい・できない」で3つに分けた数

ここで大事なのは、「やったかどうか」ではなく「いま解けるかどうか」で分けることです。ページを開いて、空欄補充を隠して解かせてみます。5分で足ります。

解けるものは「完了」として、当面は触りません。この仕分けだけで、残りの量が目に見えて減るご家庭が少なくありません。

志望校の頻出単元から逆順で潰す手順

ステップ1:志望校の過去問から、理科・社会の出題を単元に振り分ける

第一志望校の過去問が手元にあるなら、直近の数年分を使います。理科なら「生物・地学・物理・化学」のどの単元か、社会なら「地理・歴史・公民」のどの時代・どの分野かを、大問ごとに書き出します。

学校によって、出題の癖は大きく違います。ある学校は時事問題が毎年入り、別の学校は歴史の記述が重い、というように、傾向がはっきり分かれます。ここは数値の目安ではなく、お子さんの志望校の過去問が教えてくれる事実です。

ステップ2:出題が多い単元に対応するメモチェの項目に印をつける

書き出した単元を、メモチェの目次と照らし合わせます。出題の多い単元に対応する項目に、赤で印をつけます。

印のついた項目が「第1群」です。頻出でも、すでに解ける項目は第1群から外します。残るのは、頻出なのに解けない項目だけです。ここが一番点数に直結します。

ステップ3:3つの群に分けて、順番を固定する

群 中身 扱い方
第1群 志望校で頻出、かつ今は解けない 今週から毎日。解けるまで繰り返す
第2群 出題は中程度、または頻出だが7割は解ける 第1群が終わった週から、1日1項目
第3群 志望校でほぼ出ない、または極端に細かい知識 基本の一行だけ確認し、深追いしない

直前期の苦手単元は、基本知識の確認にとどめて、それ以上は思い切って捨てる。この考え方は、受験指導の現場で広く語られています。全部を完璧にするより、取れる点を確実に取るほうが合計点は上がります。

第3群を「やらない」と決めるのは勇気がいります。ただ、やらないと決めた項目は、「後回し」ではなく「戦略として手放した項目」です。この区別がつくと、終わっていない項目を見るたびに感じていた焦りが、かなり軽くなります。

1日3ページをやめて、1日の枠を作り直す

ページ数ではなく「項目の完了」で区切る

「今日は3ページ」だと、ページを開いて埋めたら終わりになります。覚えたかどうかは別です。そこで、区切りを「この項目が、隠して解けるようになったか」に変えます。

1日の枠は、たとえば次のように作ります。

時間帯 やること 目安
朝(登校前) 前日に覚えた項目の一問一答チェック 5〜10分
夕方〜夜 第1群の新しい項目を1つ。要点を読み、隠して書く 20〜25分
寝る前 今日の項目をもう一度。解けなかった語だけ印をつける 5分

時間はご家庭の生活に合わせて動かしてください。大切なのは、同じ項目を「その日のうちに2回」「翌朝に1回」触ることです。一度で覚えようとせず、短い接触を重ねるほうが定着しやすいのは、多くの教育現場で共有されている感覚です。

週に1回、解ける項目だけを集めて総点検する

日曜日などに、1週間で触れた項目を一気に空欄補充で解きます。ここで間違えた語だけを、翌週の朝のチェックに回します。

間違えた語を付箋やカードに書いて、ひとまとめにしておくと、直前期にそのまま使えます。ノートを綺麗に作る必要はありません。

理科と社会で、潰し方を変える

社会は「分野ごと」より「入試で聞かれる形」から

社会は、用語を覚えただけでは答えられない問題が増えます。メモチェの空欄補充が解けたら、次は志望校の過去問の設問を見て、「この用語は、どんな聞かれ方をするか」を確認します。

たとえば歴史で、人物名は言えるのに、時代の並べ替えで迷うお子さんがいます。この場合、メモチェの項目に戻るより、年表を1枚、自分の手で書くほうが早く効くことがあります。

理科は「計算が絡む項目」と「暗記で終わる項目」を分ける

理科は、暗記で完結する項目(生物の名称や地学の用語など)と、計算や作図が絡む項目(てこ、電流、溶解度など)があります。後者は、メモチェを読むだけでは点になりません。

志望校で計算が重く出る学校なら、計算項目は塾のテキストの類題で手を動かす時間を確保します。暗記項目はメモチェで短時間に回す、というように道具を使い分けます。

志望校がまだ決まりきっていない場合

小6の秋でも、第一志望と併願校の絞り込みが固まっていない家庭は珍しくありません。その場合は、受験する可能性が高い2〜3校の過去問を並べて、共通して出る単元を先に潰します。

併願校を増やしすぎると、過去問の分析だけで時間が取られ、学習時間が分散します。第一志望を軸に置き、併願校は対策が重ならない範囲で選ぶという考え方は、小6秋の優先順位づけでよく言われることです。ここでメモチェの優先順位も同じ軸で決められます。

また、共通して出る基礎の項目(三権分立や日本の地形、電流の基本など)は、どの学校でも点になりやすい項目です。迷ったときは、ここから始めても損はしません。

育成テストや模試の前週は、計画を一度止める

優先順位どおりに進めていても、テストの前週は塾の範囲を覚え直す必要が出てきます。このとき、メモチェの計画を無理に並行させると、どちらも中途半端になります。

テスト前の1週間は、メモチェの第1群は「朝の一問一答だけ」に減らし、夕方以降はテスト範囲に充てます。計画が1週間止まっても、遅れとは考えません。あらかじめ週ごとに予備日を1日入れておくと、止まった分をそこで取り戻せます。

解けなかった語は、書き方まで確認する

空欄補充で間違える語のうち、漢字や表記のミスは意外に多いものです。「意味は分かっているのに、書けない」状態は、本番でそのまま失点になります。

間違えた語は、読むだけでなく3回書いてから翌朝にもう一度書かせます。社会の用語や理科の器具名など、書き取りが必要な語ほど、この手間が効きます。完璧を目指さず、毎日2〜3語でも積み重ねれば、1か月でかなりの数になります。

最初の1週間でやること、そして親の負担のこと

ここまで読んで、「結局、仕分けと計画づくりが大変そうだ」と感じられたかもしれません。その感覚は正しいです。この方法は、最初の1週間に手間が集中します。

まず自分たちでやるなら、最初の1週間は次の4つだけに絞ってください。

  1. 解ける・あやしい・解けないの3色で、メモチェの全項目に印をつける(1日1教科ずつで十分です)
  2. 第一志望の過去問から、理科・社会の出題単元を書き出す
  3. 第1群を10項目程度選び、その順番を紙に書いて冷蔵庫などに貼る
  4. 翌週から、1日1項目、朝と夜の2回触る

これだけで、「1日3ページ」を機械的に追っていた状態から抜け出せます。第2群、第3群の分類は、第1群が回り始めてからで間に合います。

それでも、仕分けや志望校分析、週ごとの組み直しまで親御さんが毎週担い続けるのは、仕事や下のお子さんの世話と並行すると、かなり重いことがあります。時間が取れない家庭では、この「どの項目をいつ潰すか」の管理の部分だけを、家庭教師のような第三者に分担してもらう方法もあります。丸ごと任せる必要はなく、優先順位の組み直しだけを手伝ってもらう形もあります。

まず1週間、自分たちでやってみて、無理なく回るかどうかを見てください。回るなら、そのまま続ければ十分です。回らないと分かった時点で外に出す選択肢を考えれば、遅くはありません。

※テキスト管理をプロに任せる場合の選び方はこちらの記事で解説しています