早稲アカ小6の秋にバックアップテキストが終わらないのは、子どもの要領や親の管理のせいではありません。同じ週に「まとめ教材」と「過去問」と「塾の宿題」が重なる設計そのものに、無理があるのです。この時期は、全部を並行して仕上げようとするほど、どれも中途半端に終わります。
結論から言うと、バックアップテキストは頭から順に解き切るものではありません。過去問を解いて見えた志望校の出題傾向に合う単元だけを、テキストから拾って解く。この順番に変えると、板挟みはかなり軽くなります。
なお、「バックアップテキスト」という呼び名や中身は、校舎やクラス、年度によって違うことがあります。ここでは、秋以降に配られる復習・まとめ系の教材をまとめてそう呼んで話を進めます。お手元の教材名と照らして読んでください。
小6秋に「終わらない」が起きる構造
まず、早稲田アカデミーが公式の小6シラバス(2026年度・前期版)で何を言っているかを確認します。そこには、入試過去問題演習を9月から始めること、9月初めから1月の最終週までがおおよそ20週あることが書かれています。9月第1週の授業でオリエンテーションがあり、家庭学習で解いた過去問は、進行表とともに翌週の授業で講師に提出する流れです。
つまり秋の家庭学習には、塾の側から「過去問を、期限つきで、毎週のように」という枠が最初から入っています。そこへ、授業の復習、宿題、土曜や日曜のテスト、そして配られたまとめ教材が重なります。
物理的に、1日の勉強時間は増えません。小6の子どもが夜に使える時間は、多くの家庭で2〜3時間ほどでしょう。その枠に、過去問1回分(1科目でもそれなりの時間がかかります)と、丸付けと解き直しと、テキストが入る。足し算をすれば、終わらないのは当たり前です。
たとえば、こんなケースがよくあります。月曜に塾から帰って過去問の国語を解き、火曜は授業の復習、水曜は算数の過去問、木曜にようやくバックアップテキストを開いたら、前の週の分が丸ごと残っている。この状態が3週続くと、テキストの未消化ページは積み上がり、子どもは「また終わってない」と自信を失っていきます。
ここで大事なのは、積み残しを「遅れ」と呼ばないことです。構造上、全部は入らない量なのですから、問われているのは速さではなく、何を残して何を捨てるかです。
公式が過去問に求めていること
同じシラバスで、早稲田アカデミーは過去問に取り組む意味を3つ挙げています。
| 過去問の目的 | 中身 |
|---|---|
| 入試問題の傾向をつかむ | どんな分野が重視され、どんな解答形式が求められるかを知る。入試までの学習バランスやポイントを絞り込むのに役立つ |
| 時間配分の感覚をつかむ | 全部を解こうとして空欄を作るより、解く問題と後回しにする問題を見極める |
| 解法の技術を磨く | 学校ごとの特徴は続くので、その学校に合った解き方を身につける |
注目したいのは1つ目です。過去問は「入試までの期間の学習バランスやポイントを絞り込む」ための道具だと、塾自身が説明しています。絞り込んでよい、と公式が言っているわけです。
さらに同じ資料には、合格最低点は総じて6割〜7割といったところが多いこと、全部を解こうとして空欄を作ってしまうこともあるので、見極めが大切だという趣旨の説明があります。満点を取る勉強ではなく、6〜7割を確実に取る勉強へ、秋から軸足を移すということです。
この考え方は、バックアップテキストにもそのまま使えます。テキストを100%終わらせる必要はありません。志望校が6〜7割取るために必要な部分だけ、確実にしておけばよいのです。
全部やる前に、過去問から「必要な単元」を抜き出す
では、具体的にどう絞るか。順番は3段階です。
手順1:過去問を1校分、単元ごとに振り分ける
志望校の過去問を、直近3年分ほど手元に並べます。大問ごとに「何の単元か」を書き出していきます。算数なら「速さ」「場合の数」「平面図形」といった具合です。理科や社会も、大問の見出しや問われている分野で構いません。
これは親が全部やる必要はありません。解き直しのついでに、子どもと一緒に付箋を貼る程度で十分です。大問のテーマが3年のうち2回以上出ている単元には、印をつけます。
手順2:間違えた問題を「出題頻度」と「取れたか」で4つに分ける
次の表のように、印をつけた単元を4つの箱に分けます。
| 過去問で取れている | 過去問で落としている | |
|---|---|---|
| 志望校でよく出る | 維持(テキストは軽く見直す程度) | 最優先(バックアップテキストで集中して解く) |
| 志望校であまり出ない | 触らない | 後回し(時間が余ったら) |
右上の「よく出るのに落としている」単元が、バックアップテキストを使う場所です。ここだけをテキストから抜き出して解きます。左下や右下は、秋の段階では思い切って外します。
手順3:テキストの該当ページに印をつけ、それ以外は「やらない」と決める
手順2で決めた単元について、バックアップテキストの該当ページに印をつけます。印のついていないページは、今週はやりません。「やらない」と明確に決めることが、いちばん効きます。決めないままだと、親も子も「あれも残っている」という重さを抱え続けるからです。
科目別の拾い方
算数
算数は単元の偏りが出やすい科目です。学校によって「図形が大問の半分近くを占める」「速さと比の融合が毎年出る」といった特徴があります。過去問の大問を見れば、おおよその偏りがつかめます。
たとえば図形が中心の学校なら、バックアップテキストの図形単元を優先し、数の性質や文章題の細かい型は、過去問で落とした分だけ拾います。得意な単元を、さらに磨く必要はありません。
国語
国語は、テキストの量で勝負が決まる科目ではありません。大事なのは、過去問の文章ジャンル(物語文か説明文か)と、記述の字数や形式に慣れることです。
バックアップテキストの読解問題は、志望校と同じジャンル、同じような設問形式のものだけを選びます。漢字や語句は、過去問で落とした分野(四字熟語、慣用句など)に絞って回します。
理科・社会
理科・社会は、過去問の出題分野に偏りが出やすく、取捨選択がもっとも効果を出しやすい科目です。たとえば、電気やてこなどの計算分野が毎年出る学校もあれば、時事問題が目立つ学校もあります。
早稲田アカデミーの公式資料でも、SSクラス統一テストでは理科・社会で来春の入試で出題が予想される時事問題などに取り組む、と案内されています。時事は秋以降に効いてくる分野なので、過去問で時事の配点が高い学校なら、テキストの該当ページを優先して拾うとよいでしょう。
1週間のスケジュール例
ここまでの絞り込みを、実際の1週間に落とし込むとどうなるか。あくまで一例ですが、全部を詰め込むのではなく「過去問1回分+テキスト2単元」程度に抑えた形です。
| 曜日 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 月 | 授業の復習(塾の宿題のうち必須のもの) | 60分 |
| 火 | 過去問(算数)を時間を計って解く | 50分+丸付け |
| 水 | 過去問の解き直し/テキストの該当単元(1つ) | 60分 |
| 木 | 授業の復習 | 60分 |
| 金 | 過去問(国語または理社)/テキストの該当単元(1つ) | 60分 |
| 土 | 塾のテストや授業。終わったら休む | - |
| 日 | 過去問の残りの解き直し、1週間の振り返り | 90分 |
大切なのは、バックアップテキストの枠を「2単元」と決めてしまうことです。2単元終わったら、その週はテキストを閉じます。余った時間は、過去問の解き直しに回してください。解き直しの質が、秋の伸びを決めます。
過去問の提出が毎週ある家庭は、提出日から逆算して曜日を入れ替えても構いません。塾の進行表に合わせることが優先です。
塾の宿題との折り合いのつけ方
もう1つ、見落としやすい板挟みがあります。塾の宿題と、過去問・テキストの兼ね合いです。
宿題は、授業の復習として出されているので、全部切るのは危険です。ただし、小6の秋は「宿題を全部やる」ことと「志望校の過去問に向き合う」ことが、時間の面で両立しにくい時期でもあります。
おすすめは、宿題を「必須」と「余力があれば」に分け、塾の先生に確認することです。たとえば面談や授業後の短い時間に、こう聞いてみてください。
「過去問の演習が増えてきて、宿題を全部こなす時間が取れません。志望校の合格に向けて、宿題のうち優先してやるべきものはどれでしょうか」
志望校を名指しして聞けば、講師も具体的に答えやすくなります。早稲田アカデミーは、過去問の実施スケジュール(どの学校の、どの年度の、どの科目をいつやるか)について、各校舎に相談するよう案内しています。この相談は、塾が想定している使い方です。遠慮せず使ってください。
親がやることは、絞り込みの「判断」だけ
ここまで読むと、親の負担が増えそうに感じるかもしれません。実際は逆です。親がやるのは、解くことでも教えることでもなく、次の3つだけです。
- 過去問を解いたあと、子どもと一緒に「落とした単元」を書き出す
- その単元のテキストのページに、印をつける
- 週の終わりに、印のついたページが終わったかだけを確認する
内容を教える必要はありません。点数が悪くても、叱る必要もありません。過去問の点数が低いのは、「これから伸びる場所が見つかった」というだけのことです。
気持ちの面では、子どもに「テキストは全部やらなくていい」とはっきり伝えることが効きます。終わらなかった分を、子どもは「自分のせい」だと思っていることが多いからです。「このページは今は飛ばしていい」と親が言い切ると、子どもの肩の力が抜けます。
まず自分たちでここまでやってみる
今夜できる最小の手順を示します。
- 志望校の過去問のうち、直近3年分の算数を机に並べる
- 大問ごとに、単元名を付箋に1枚ずつ書く
- 2回以上出ている単元を選び、バックアップテキストの該当ページに印をつける
- 来週は、印のついたページだけを解く。それ以外は閉じる
これだけで、「終わらない」の正体はずいぶん小さくなります。算数が回り始めたら、同じ方法を国語や理社に広げてください。
それでも、毎週の過去問の丸付けと単元の振り分け、テキストへの印づけまで家庭で回し続けるのは、共働きの家庭や、下に小さい子がいる家庭では現実的に重い作業です。どの単元を残すかの判断を、過去問と教材をよく知る第三者に一部預ける、という選び方もあります。まず親子で1か月試してみて、続かなければ外の手を考える。その順番で十分間に合います。
※テキスト管理をプロに任せる場合の選び方はこちらの記事で解説しています
