四谷大塚の面談で志望校を下げられた。第三者のデータ分析と判断

面談で「この学校は厳しいので、志望校を見直しませんか」と言われた直後に、その場で決める必要はありません。塾の提案は、あなたのお子さんの可能性だけでなく、塾が抱える事情も混ざった意見だからです。大事なのは、塾の判断が正しいか間違っているかを争うことではなく、同じ数字を自分たちの目でも読み直して、「本当に無理なのか」を確かめることです。

この記事では、四谷大塚の面談で志望校を下げるよう言われた小6のご家庭に向けて、塾の判断に安全志向が混ざる構造と、合不合判定テストや過去問の結果を使って、第三者の目で見直す手順をお伝えします。

面談で志望校を下げるよう言われたら、最初の24時間でやること

結論から言うと、最初にやることは「返事を保留する」ことです。面談の席で「はい、検討します」とだけ答えて持ち帰ってかまいません。

志望校を下げる提案を受けると、多くの親御さんは「プロが言うのだから」と動揺します。子どもの前で落胆した顔を見せてしまい、子ども自身が「自分はダメなんだ」と受け取ってしまうケースも少なくありません。親が悪いのではなく、面談という場が、塾側の持つ情報量と親の持つ情報量に大きな差がある形で行われているのです。

その場で確認しておきたいのは、次の3点です。

  • 下げたほうがよいと判断した根拠は、どの模試の、どの数字か
  • 「下げる」は第一志望の変更なのか、併願校の組み方の見直しなのか
  • 結論を出す期限は、塾の側でいつに設定しているか

特に3つ目は大切です。塾の最終面談は11月ごろに設定されることが多く、そこから逆算して「いつまでに家庭として結論を出せば間に合うか」を知っておくと、焦りが和らぎます。

塾の「安全志向」はなぜ生まれるのか

ここで先にお伝えしておきたいのは、担当の先生が悪意で下げさせようとしているわけではない、ということです。問題は先生個人ではなく、集団塾の仕組みにあります。

合格実績という「数」が塾の評価になる

集団塾は、毎年の合格実績が次の年の入塾希望者に見られます。そのため塾の側には、「受験した生徒のうち、合格した生徒の割合を落としたくない」という力が構造的に働きます。挑戦校を受けて不合格になる生徒が増えるより、確実に受かる学校を勧めるほうが、塾にとってはリスクが小さいのです。

この力は、先生の善意と矛盾しません。「お子さんに不合格の経験をさせたくない」という気持ちと、「塾全体の実績を守りたい」という事情が、同じ方向を向いてしまうだけです。ただ、その結果として、まだ合格圏に届く可能性が残っている子まで、安全側に寄せられることがあります。

先生は「過去の似た子」で判断している

もう一つの要因は、先生の判断が、それまで見てきた生徒の経験則に基づいていることです。たとえば「この時期にこの成績の子は、本番で苦戦しやすい」という感覚です。経験則は多くの場面で当たりますが、お子さん一人ひとりの伸び方まで言い当てるものではありません。

秋以降に過去問演習が進み、急に点が取れるようになる子もいれば、その逆の子もいます。経験則の平均から外れる可能性を、面談の15分や20分で読み取るのは、先生にとっても簡単ではありません。

志望校の「判定」は動く

もう一つ知っておきたいのは、模試の判定そのものが固定された数字ではないことです。同じ点数でも、模試を受ける時期によって判定が変わることがあります。受験生が志望校を入れ替えるため、志望者の顔ぶれが変わるからです。さらに、塾の最終面談が行われる11月の前後で、志願者数が大きく変動することもあります。

つまり、「今の判定が厳しい」という事実と、「本番でも厳しい」という予測の間には、幅があります。その幅を、塾の見立てだけでなく、自分たちのデータでも確かめておく価値があります。

面談で聞き返すための質問リスト

感情的にならずに情報を引き出すには、質問を用意しておくのが一番です。次の表は、持ち帰る前に聞いておくとよい項目です。

聞くこと 聞く理由
判断の根拠にした模試名と回 どのデータを見ているか、こちらも同じ数字を確認するため
合不合判定テストの判定は、80%と50%のどちらの基準で見ているか 基準が違えば、同じ偏差値でも「厳しさ」の評価が変わるため
算数・国語・理科・社会のどこが原因と見ているか 科目ごとに対策の余地があるかを知るため
志望校の過去問の得点は参考にしたか 模試と過去問で食い違いがないかを見るため
下げるなら、どの学校を勧めるか、その理由は何か 提案先が本当に合うのか、実績のための安全策かを見極めるため
志望校を変えないとき、残り期間で何を優先すべきか 「下げる」以外の選択肢を引き出すため

聞き方は詰問ではなく、「家で改めて見直したいので教えてください」という形で十分です。先生が丁寧に答えてくれるかどうかも、判断材料の一つになります。

手元の模試データでできる、第三者の目の読み方

ここからが本題です。塾の判断をいったん脇に置いて、お子さんの結果を自分たちで読み直します。特別な道具は要りません。これまでの成績表と、A4の紙とペンがあれば始められます。

合不合判定テストの結果を時系列で並べる

四谷大塚の合不合判定テストは、秋にかけて複数回実施されます。まず、これまでの回の偏差値と判定を、表に書き出してください。

回 4科偏差値 算数 国語 理科 社会 志望校の判定
第1回
第2回
第3回

見るポイントは、1回ごとの上下ではなく、全体の流れです。1回だけ悪かった回に引っ張られて「下がっている」と感じていないか、実際は横ばいなのか、緩やかに上がっているのかを確かめます。

そして、もう一つ。志望校の判定は、80%の基準と50%の基準で、見え方が違います。四谷大塚は志望校ごとに合格可能性の目安となる偏差値を公表していて、80%偏差値は併願校選びの目安、50%偏差値は第一志望校の目安として語られることがあります。ただし、この使い分けは年度や資料によって説明が異なる場合があるので、お手元の成績表の説明で、どの基準の数字なのかを必ず確認してください。第一志望を、80%の数字だけで測って「厳しい」と言われていないかを見る視点は大切です。

科目別に「取りこぼし」を分類する

次に、偏差値が伸びない原因が、学力そのものなのか、取りこぼしなのかを分けます。直近2回分の答案を出して、間違えた問題に次の印をつけてください。

  • 計算ミス・書き間違いなどの、本来解けていた問題
  • 時間が足りずに手をつけられなかった問題
  • 知識が曖昧で落とした問題(理科・社会の用語など)
  • 初見で歯が立たなかった難問

最初の2つが多い子は、実力と成績の間に差があります。この場合、偏差値の数字は、本来の学力より低めに出ている可能性があります。時間配分や見直しの手順を整えるだけで、点数が動く余地が残っています。逆に、最後の「難問」が中心で、基礎問題の正答率も高くない場合は、残り時間でやる範囲を絞る必要があります。

たとえば、小6の男の子で、算数の大問1・2でのミスが目立ち、後半の大問は最初から手をつけていない、というパターンはよく見られます。この型の子は、判定は低くても、取るべき点を取れば合格ラインに届く可能性が残っています。

偏差値は動くものだと割り切る

模試の偏差値は、1回ごとの出来や、その回の受験者の層によって変動します。先ほどの分類で「取りこぼし」が多かった子ほど、変動は大きくなります。1回の判定だけで志望校の可否を決めるのは、データの読み方として粗すぎます。

複数回の結果を並べて、「平均するとどのあたりか」「最高と最低でどれだけ幅があるか」を見ると、ずっと現実的な姿が見えてきます。

過去問の得点で確かめる

模試より、志望校そのものの入試問題のほうが、合格に直結する情報です。ここで、過去問の結果をどう読むかが分かれ道になります。

見るのは「合格者平均点」ではなく「合格最低点」との差

多くの学校は、合格者の平均点や最低点を公表しています。お子さんの過去問の得点を、合格最低点と比べてみてください。ただ、1年分だけで判断するのは危険です。同じ学校でも、年度によって難易度が大きく変わるからです。

できれば3年分以上を、本番と同じ時間で解き、次のように表に整理します。

年度 算数 国語 理科 社会 合計 合格最低点との差
直近年
1年前
2年前

見るのは、差がプラスかマイナスかだけでなく、「あと何点か」です。あと10点、20点という差なら、どの科目のどの大問で取れるかを考える材料になります。反対に、どの年度も大きく届かず、科目間のばらつきでは説明できないなら、そこは正直に受け止める必要があります。

模試と過去問が食い違うときは、過去問を重く見る

模試の判定が厳しいのに、過去問では合格最低点に近い得点が出ることがあります。これは、その学校の出題傾向が、お子さんの得意なタイプに合っているときに起こります。逆に、模試はよいのに過去問で伸びない場合は、その学校との相性を再点検する合図です。

志望校の入試問題に特有の形式(記述が多い、理科で長い実験考察が出る、など)があると、模試の4科偏差値では測れない部分があります。「模試の偏差値」と「その学校の問題との相性」は別物だと考えてください。

下げるか、残すか。決めるための基準

ここまでのデータを揃えたら、次は決める段階です。迷いが残るときのために、判断の目安を表にします。

状況 方向
複数回の模試が横ばいか上向きで、過去問が合格最低点に迫っている 志望校は残し、取りこぼしの対策に時間を使う
模試は低いが、過去問は届いており、ミスの分類で取りこぼしが多い 残す。ただし併願校の組み方は手厚くする
模試も過去問も、複数回にわたって大きく届かず、科目別の伸びしろも限られる 第一志望の位置づけや受験校の組み合わせを見直す
子ども自身がその学校に強く行きたいと言っている 「下げる」ではなく「併願を増やす」という選択肢を検討する

ここで大事なのは、「第一志望を下げる」か「残す」かの二択にしないことです。第一志望は残したまま、併願校の組み合わせを厚くして、受験全体のリスクを下げる方法があります。第一志望と第三志望の偏差値の幅を15ポイント程度に取り、第二志望はその間に置く、という考え方の例が示されることもあります。幅の取り方は家庭の方針と学校ごとの日程で変わるので、あくまで目安として、組み合わせの設計に使ってください。

もう一つ、お子さんの気持ちも判断材料に入れてください。数字が同じでも、「どうしてもここに行きたい」と言う子と、「どこでもいい」と言う子では、残り数か月の伸び方が変わります。それを無視して数字だけで決めると、後悔が残りやすくなります。

まず自分たちでここまでやってみる

今日からできる最小の手順を、順に並べます。

  1. 面談で聞いた内容を、その日のうちにメモに起こす(根拠の模試名、勧められた学校、期限)
  2. 合不合判定テストの結果を時系列の表に書き出す
  3. 直近2回分の答案で、間違いを4つに分類する
  4. 志望校の過去問を、本番と同じ時間で3年分解き、合格最低点との差を表にする
  5. 表を見ながら、「残す」「併願を厚くする」「見直す」のどれかを、子どもと一緒に話す
  6. 次の面談までに、塾への質問を3つ書き出しておく

このうち、1から3までは、1週間あれば終わります。4は過去問を解く時間が必要なので、他の学習と並行して進めることになります。

ただ、ここまでやってみて、「答案の分類や過去問の採点に、仕事と家事の合間では手が回らない」「自分で見ると、どうしても親の感情が入って、冷静に判断できない」と感じる家庭も少なくありません。小6の秋は、日々の宿題や塾のテストの管理だけでも、親の時間は限られています。

そうした場合は、模試や過去問の読み取りの一部を、塾とは別の第三者に頼むという手もあります。中学受験の指導経験がある家庭教師や、個別指導の講師は、塾の外から同じ数字を見てくれる立場にあります。塾の見立てと照らし合わせるための、セカンドオピニオンとして使うイメージです。どこまで頼むかは、各家庭の状況に合わせて決めれば足ります。まずは上の6つの手順で、お子さんの状態を自分たちの手で確かめるところから始めてください。

※テキスト管理をプロに任せる場合の選び方はこちらの記事で解説しています