早稲アカ小6正月特訓に行かない選択。熱量から離れ孤独に基礎固め

正月特訓に行かせないと決めた瞬間に、親の胸にわいてくるのは安心ではなく「周りが走っているのに、うちだけ止まっていいのか」という恐怖です。早稲アカの小6は、年末年始も塾の予定で埋まっていくのが普通の空気です。その中で「行かない」を選ぶには、休むのではなく、別の場所で何をするかを先に決めておく必要があります。

先に結論を書きます。特訓の熱量に飲まれて消化不良になるくらいなら、自宅で計算と一行問題集だけを、自分のペースで確実に仕上げるほうが、得点に直結する家庭は少なくありません。ひとりで黙々とやる時間は地味で孤独ですが、入試当日に答案用紙の前で戦うのも、結局はひとりです。この記事では、その「孤独な戦い」を具体的な手順に落とします。

小6の年末年始は「全員参加」の空気でできている

小6の受験生には、大みそかも元日も特別な日ではありません。ある教育メディアの記事では、小6は冬期講習の合間を埋めるように「正月特訓」などの特別講座が組まれ、費用も講習代に上乗せされて高めになる、と紹介されています。塾から早い段階で「クリスマスもお正月も楽しむな」と言われた、という家庭の話も載っていました。

こうした空気の中にいると、特訓に行かない選択そのものが「逃げ」に見えてきます。ですが、ここで押さえておきたいのは、塾の側の事情と、子どもの側の事情は別だということです。塾は集団で合格実績を積み上げる仕組みです。一方、あなたの子の持ち時間は、冬休みの数十時間だけです。その時間をどこに使うのが一番得点を増やすのか。それを決める権利は、塾ではなく家庭にあります。

なお、早稲アカの冬期講習・正月特訓は、学年・コース・校舎によって内容が異なる場合があると公式ページにも書かれています。参加の条件や日程の細部は、通っている校舎に確認してください。この記事では、制度の細かい話ではなく「行かない場合に何をするか」に絞ります。

行かない選択が合う子、合わない子

正月特訓の是非に、全員に当てはまる答えはありません。先ほどの記事の筆者も、特訓の良し悪しは子どものタイプによると書いています。長男は受講して良かった、長女は自分のペースで勉強できたので受講しなかった、そしてどちらも年末年始を有意義に過ごせた、という内容です。

わたしも同じ考えです。次の表で、いまの子の状態に近いほうを見てください。

見るところ 行かない選択が合いやすい 行く選択が合いやすい
冬期講習前半の消化 復習が山のように残っている 復習が追いついている
授業中の様子 速さについていけず、理解が置き去りになりがち 熱気があるほど集中が上がる
計算・基本問題 落とす問題がまだ多い ほぼ落とさない
疲れ方 長時間の授業のあと、夜に何も手につかない 疲れても翌日に戻せる
志望校の合否ライン 基本問題の取りこぼしで差がつく位置 応用問題で差がつく位置

左の列が多い子は、特訓で新しい問題を浴びても、受け取る器がまだ空いていません。たとえば6年生の男の子で、夏から秋にかけて「授業は聞いたけれど、家で解き直すと解けない」状態が続いている、というケースはよくあります。こういう子に必要なのは、新しい問題ではなく、すでに習った問題を確実に取れる状態にすることです。

ここで大切なのは、行かないことを「頑張らないこと」と取り違えないことです。特訓に行く子が授業で使う時間を、自宅で自分に合う内容に使う。つまり、行かないほうが、家庭の側の設計はむしろ難しくなります。

孤独な基礎固めの主役は「計算」と「一行問題集」

では、自宅で何をやるのか。主役は2つだけです。毎日の計算と、一行問題集(文章が短く、基本的な考え方を1問ずつ確認できる問題集)です。

計算は、入試のすべての算数の土台です。受験生の学習法を扱った本には、小6から毎朝の計算と漢字の時間を5分増やして15分にする、といった短時間の習慣づくりの例が紹介されています。長時間やる必要はありません。毎日同じ時間に、同じ形で続けることが大切です。

一行問題集は、入試直前に「基本の抜け」を見つけるのに向いています。応用問題は、解けなかったとき「どこが分からないのか」が見えにくいものです。一行問題なら、間違えた問題がそのまま弱点の地図になります。

計算は「量」でなく「型の維持」で考える

冬休みの計算は、新しい種類を増やす時期ではありません。分数・小数の四則、逆算、単位の換算、割合の変換など、今まで習った型を、毎日少しずつ回して錆びさせないことが目的です。

おすすめの回し方は次のとおりです。

  1. 朝、10〜15分。時間を計って解く
  2. 間違えた問題には、解き直しの印をつけるだけにする(その場で長い解説は読まない)
  3. 夜、印のついた問題だけをもう一度解く
  4. 2回目も間違えた問題は、別のノートに「最終リスト」として書き写す

最終リストが、入試前日に見返す唯一の教材になります。たくさんの教材を見返す必要はありません。自分だけの弱点集が1冊あれば十分です。

一行問題集は「正答率」より「同じ問題を3回」

一行問題集は、新しい問題集を買い足す必要はありません。すでに手元にあるものを使います。ポイントは、1周目で正解した問題には手をつけず、間違えた問題と、迷って解いた問題だけを繰り返すことです。

同じ問題を3回解いて3回とも自力で正解したら、その問題は卒業です。卒業した問題は、二度と見ない。この割り切りが、冬休みの限られた時間では効いてきます。全部をもう一度やろうとすると、年明けまでに終わりません。

年末年始の1日を、こう区切る

自宅学習で一番崩れやすいのは「時間の区切りがない」ことです。塾の特訓には、時間割という強い枠があります。自宅には枠がありません。そこで、親が枠だけを作ります。中身を決めるのは子どもです。

時間帯 内容 目安
朝 計算(時間を計る) 15分
午前 一行問題集(間違えた問題だけ) 40〜60分
午後 理科・社会の暗記項目を声に出す 30分
夕方 過去問の見直し、または国語の漢字・語句 30〜45分
夜 計算の間違いだけを解き直す 15分

合計しても3時間前後です。特訓に比べると少なく感じるかもしれません。ですが、集中できる量には上限があります。大切なのは、その3時間を毎日欠かさないことです。

冬期講習がない日、たとえば元日などは、塾の自習室も図書館も使えないことが多いと言われます。自宅のどこで勉強するかを、12月のうちに決めておいてください。ダイニングテーブルの端でも、クローゼット前の小さな机でも構いません。「いつもの場所」があるだけで、始めるまでの抵抗が減ります。

孤独な時間に、子どもを折れさせないために

ひとりで勉強する時間は、思った以上にこたえます。教室には同じ年の子がいて、講師の声があって、熱気があります。家にはそれがありません。静かな部屋で、同じ計算を繰り返す。これは、自分に向き合う作業そのものです。

だからこそ、親の声かけは「やった?」ではなく「今日はどこまで進んだ?」に変えてください。確認ではなく、観察に回ります。子どもが間違いを見せてきたら、責めずに「ここで見つかってよかったね」と返します。基礎の穴は、見つかった時点で埋められる穴になるからです。

また、行かないことを子どもに「特別な決断」として背負わせないことも大切です。「あの子たちは頑張ってるのに」という気持ちが子どもの中に生まれたら、こう伝えてあげてください。「みんなと同じことをするより、あなたに足りないところを先に埋める。それが今のあなたの戦い方」。これは慰めではなく、実際にそうだからです。

特訓に参加している子の様子は、SNSや保護者同士の会話で耳に入ってきます。見ないようにするのは難しいので、見たあとに戻る場所をあらかじめ決めておくのがおすすめです。「見たら、朝の計算を1ページだけやる」のように、小さな行動に結びつけておくと、気持ちが揺れても元の軌道に戻れます。

直前期は「増やす」より「減らす」

1月に入ると、埼玉入試は10日に解禁されます。直前の数週間は、新しいことを足すより、すでにあるものを減らして磨く時期です。受験を終えた家庭の体験談には、冬期講習後から冬休みが終わるまでの空いた日に、最新の過去問を本番と同じ時間配分で解いた、という例もあります。

自宅の基礎固めで作った最終リストは、ここで役に立ちます。過去問で間違えた問題を、リストの「型」と照らし合わせます。「計算ミス」「条件の読み落とし」「単位の取り違え」。ミスの種類が分かれば、残り日数でやることがはっきりします。

過去問を解くときは、本番と同じ開始時刻、同じ時間配分でやってみてください。点数そのものより、どこで時間を使い、どこで焦ったかを見ます。点数が悪くても、それは入試当日の点数ではありません。当日までに直せる弱点が見つかった、という収穫です。

まず家庭でここまで。それでも続かないときの選択肢

ここまでの内容は、特別な教材も外部の力も使わずに、今日から親子だけで始められます。まず1週間、朝の計算15分と、夜の解き直し15分だけを続けてみてください。続けられたら、そこに一行問題集を足します。順番はこれで十分です。

それでも、仕事や家事の合間に子どもの学習の進み具合を確認し、間違えた問題を仕分け、最終リストを作り続けるのは、親にとって決して軽い作業ではありません。年末年始は、普段より親の時間も削られます。ここがきつい家庭は、実際に多くあります。

そうなったときは、全部を自分たちで抱え込まず、管理の一部だけを外に出す方法もあります。たとえば、子どもの弱点の仕分けや、日々の宿題の取捨選択だけを、塾のカリキュラムを理解している第三者に頼むという形です。丸ごと任せる必要はありません。「ここだけは手放す」と決めておくと、親の気持ちにも余裕が生まれ、子どもを見守る時間が確保しやすくなります。

最終的に、特訓に行くか行かないかは、どちらが正解というものではありません。その子の消化の状態と、持ち時間をどう使えば得点が増えるか。そこから逆算して決めれば、どちらを選んでも、年末年始はあなたの家庭の戦い方になります。

※テキスト管理をプロに任せる場合の選び方はこちらの記事で解説しています