「ソラニン(映画)」の超あらすじ(ネタバレあり)

『ソラニン』は、浅野いにおによる青春と音楽をテーマにした感動的な物語です。物語は、大学を卒業してからの日常や夢を追いかける登場人物たちの葛藤を描いています。特に主人公の芽衣子と種田の関係を中心に、彼らが音楽に向き合う姿と、愛する人を失った悲しみを乗り越える過程が感動的に描かれています。

物語の前半では、仕事や夢に悩む二人の生活が描かれ、芽衣子が衝動的に仕事を辞め、種田は音楽に専念する決意をします。しかし、その後のバイク事故で種田が亡くなるという悲劇が訪れ、芽衣子は深い悲しみの中で新たな一歩を踏み出す決意をします。

最後には、芽衣子が仲間たちと共に「ソラニン」を歌い、未来へ向かって歩み出す姿が描かれています。音楽とともに生きる人々の切なくも温かい物語を楽しみたい方におすすめです。

この記事のポイント
  • 芽衣子と種田の関係とその変化
  • 芽衣子が仕事を辞めた経緯
  • 種田のバンド活動への情熱と苦悩
  • 種田の突然の事故死
  • 芽衣子が仲間たちと音楽に向き合う姿

「ソラニン(映画)」の超あらすじ(ネタバレあり)

大学卒業後の生活と決断

種田と芽衣子は、同じ大学の軽音サークルで出会い、音楽を通じて親しくなりました。大学卒業後も関係は続き、芽衣子は正社員として働き始め、種田はデザイン事務所でアルバイトをしながら、芽衣子のアパートに同棲しています。種田は徹夜での仕事に追われ、朝食当番をサボることもあり、生活は不規則です。一方、芽衣子は会社で後輩に手を焼き、上司には叱られ続け、仕事がうまくいかないことに悩みます。

ある日、芽衣子は仕事を辞めたいと冗談半分で種田に相談します。種田は半ば寝ぼけた状態で「辞めてもいいんじゃない?どうにかなるよ」と軽く答えます。その言葉に勇気づけられた芽衣子は、本当に会社を辞めてしまい、長い間我慢していた買い物をしたり、自由な生活を始めます。種田は芽衣子の決断に驚きながらも、どうにか二人で生きていこうと心に決めました。

芽衣子の会社を辞めるという予想外の行動は、二人の生活に不安をもたらします。芽衣子は家事を放棄し、昼間からお酒を飲むことも増えましたが、種田の不安に気付き、少しずつ日常を取り戻そうと努力し始めます。しかし、種田はまだバンド活動とアルバイトの両立に悩んでおり、二人の未来に対しては不安が募ります。

種田と芽衣子の将来への不安

芽衣子が仕事を辞めてからしばらく経ち、種田は焦りを感じ始めます。彼は音楽に情熱を持ち続けていますが、プロになれる自信はありません。それでも、バンド「ロッチ」のメンバーと一緒に練習を続けていましたが、その内容はおふざけの曲ばかりで、本格的な進展が見えません。芽衣子も種田が本気で音楽に向き合っていないことに苛立ちを感じ始めます。

そんな中、芽衣子の母親が突然やってきて、芽衣子が仕事を辞めたことを知り、実家に戻るように勧めます。芽衣子はこれに強く反発しますが、将来への不安は募るばかりです。芽衣子はビリーに人生相談を持ちかけ、彼は「その悩みは種田に相談するべきだ」とアドバイスします。種田に相談してみますが、種田自身も悩んでおり、うまく話が進みません。

加藤は、そろそろ本格的にバンドを再開する時期だと考えています。彼は、種田についていく決意を固めていますが、種田は未だに迷いを抱えています。芽衣子はそんな種田に対して、もっと真剣にバンド活動をしてほしいと訴えますが、種田は冗談のような返事をするばかりです。芽衣子は、種田が音楽を通じて批判されることを恐れているのではないかと指摘します。

種田の決断と悲劇

芽衣子の叱咤を受けて、種田は新曲「ソラニン」を作り上げます。種田はバンド「ロッチ」のメンバーと共に夢を追いかける決意を新たにし、アルバイトを辞めて音楽に専念することを選びました。芽衣子は完成した「ソラニン」のデモCDを多くのレコード会社に送り、その中の一社から連絡が来ます。種田とビリー、芽衣子はその会社を訪れますが、提案されたのは、これからデビューするアイドルのバックバンドの仕事でした。

その提案に、芽衣子は即座に断ってしまいます。担当者はかつてバンド活動をしていた人物で、種田に「大切にするものは変わっていくものだ」と語りかけます。この言葉に動揺した種田は、芽衣子に突然「別れよう」と言い出します。芽衣子はそれに反対しますが、最終的に種田の強い意志に折れ、実家に戻ることを提案されます。結局、二人は一緒にいることを選びますが、数日後、種田はバイク事故で急死してしまいます。

その事故には不審な点があり、バイクにはブレーキの痕が残っていませんでした。芽衣子にとって、突然の別れと種田の死は大きな衝撃となります。彼女は悲しみの中で、何とか前に進もうと試みることになります。

芽衣子の再生と「ソラニン」

種田の死後、芽衣子は一時的に自暴自棄になり、自分を責め続けます。しかし、周囲の友人たち、とりわけビリーは彼女を心配し、常に支えようとします。しばらくして、種田の父が遺品を取りに現れ、彼のギターを持ち帰ろうとしますが、芽衣子はそのギターを自分の元に置いておくことに決めます。それは、彼女が種田の存在を心の中で守り続けるための大切なものとなりました。

その後、芽衣子はビリーと加藤に協力を求め、バンドを再開しようと提案します。そして3人で「ソラニン」を歌うために猛練習を重ねます。ライブハウスでの公演前日、練習に寝坊した芽衣子をビリーが迎えに来て、スタジオに向かう道中で、種田のことを話題にします。芽衣子は、まだ悲しみを乗り越えられないことを正直に伝えますが、ビリーは彼女を励まし、共に泣く場面もあります。

いよいよライブ当日、芽衣子は緊張しますが、ビリーの「人生は生きていくことだけでいい」という言葉で少し安心します。演奏を見に来たレコード会社の担当者も、芽衣子の歌に驚きながらも、そのパフォーマンスに感銘を受けます。ライブから3か月が経ち、芽衣子は新たな生活を始めるため、種田との思い出が詰まった家を引っ越す決断を下します。

「ソラニン(映画)」の感想・レビュー

『ソラニン』は、青春の葛藤と成長をリアルに描いた感動作です。浅野いにおの独特のタッチで表現されたキャラクターたちは、読者の心に深く残ります。特に、芽衣子と種田の関係は、大学を卒業してからの若者が抱える悩みや迷いを象徴しています。種田が音楽に対する情熱を持ちながらも、社会の現実に向き合いきれずに苦しむ姿は、多くの人が共感できる部分です。

種田が芽衣子に「仕事を辞めちゃえば?」と言った瞬間から、二人の関係が大きく変わり始めます。芽衣子が仕事を辞めることで自由を手に入れますが、その代わりに現実の厳しさに直面します。種田もまた、バンド活動に専念する決断をしますが、その後の音楽業界との衝突や夢破れる現実が、彼の心を揺さぶります。特に、レコード会社の担当者との対話は、夢と現実の狭間で揺れる若者の姿を象徴しています。

物語が一転するのは、種田の事故死です。突然の別れに芽衣子は深い悲しみと罪悪感に苛まれますが、その過程を通じて彼女は再び立ち上がる力を見つけます。種田のギターを受け継ぎ、ビリーや加藤と共に「ソラニン」を歌う決意をする芽衣子の姿には、音楽が持つ再生の力が強く感じられます。

ライブシーンでの緊張感や、種田を失った後の芽衣子の心の葛藤が描かれる場面は特に感動的です。ビリーが芽衣子を支えながらも、自分自身も種田の死を乗り越えようとする姿がリアルに描かれています。そして、最後には芽衣子が自分を見つめ直し、新たな一歩を踏み出す姿に読者は励まされるでしょう。

『ソラニン』は、音楽と共に生きる若者たちの成長と再生の物語であり、種田と芽衣子の関係を通じて、夢を追いかけることの難しさとそれでも進むことの大切さを教えてくれます。

まとめ:「ソラニン(映画)」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 芽衣子と種田は大学の軽音サークル出身
  • 芽衣子は仕事を辞め、自由な生活を始める
  • 種田は音楽活動に専念することを決意する
  • 種田はバイク事故で亡くなる
  • 芽衣子は自暴自棄になるが再生を目指す
  • ビリーと加藤が芽衣子を支える
  • 芽衣子は「ソラニン」を歌うためバンド活動を再開
  • 種田のギターを芽衣子が引き継ぐ
  • レコード会社の担当者が芽衣子の演奏に感銘を受ける
  • 芽衣子は種田との思い出の家を引っ越す