ホワイトラビット(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ

伊坂幸太郎の「ホワイトラビット」は、誘拐をビジネスにする犯罪組織に所属する兎田孝則が主人公です。

彼の妻・綿子が誘拐されたことから、物語は急展開します。妻を取り戻すために、組織の裏切り者である折尾豊を捕まえるよう命じられた兎田。しかし、彼の前に次々と難題が立ちはだかります。仙台市を舞台に、緊張感あふれる人質立て籠り作戦が展開される中、兎田は妻を救うことができるのか。

本記事では、そんな「ホワイトラビット」の詳細なあらすじとネタバレを紹介します。物語の核心に迫る驚きの展開をご覧ください。

この記事のポイント
  • 兎田孝則が所属する犯罪組織の概要と彼の役割
  • 兎田の妻・綿子の誘拐事件の詳細と背景
  • 折尾豊の捜索とその結果
  • ノースタウンでの人質立て籠り作戦の進行と策略
  • 事件解決後のキャラクターたちの行動と結末

ホワイトラビット(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ

第1章: 誘拐と捜索の始まり

兎田孝則(とだたかのり)は、誘拐をビジネスにした犯罪組織に所属し、末端の構成員として2年間働いていました。ある日、彼の妻である綿子(わたこ)が何者かに誘拐されてしまいました。ボスの稲葉(いなば)は、綿子を無事に取り返す条件として、組織の金を奪って逃走中の折尾豊(おりおゆたか)を生け捕りにすることを孝則に命じました。

孝則は、折尾が中学時代を過ごした宮城県仙台市に向かいました。彼は仙台駅で折尾と鉢合わせしましたが、折尾に反撃され、逃がしてしまいました。しかし、孝則は折尾のバッグにGPS発信機を忍び込ませることを忘れませんでした。この発信機のおかげで、孝則は折尾の居場所を追跡することができました。

第2章: ノースタウンの出来事

GPSの位置情報をたどると、仙台市内を見下ろす高台にある高級住宅街、ノースタウンにたどり着きました。孝則は、玄関のカギが開いていたため、簡単に中に入ることができました。しかし、2階のベッドの下で見つけた折尾は、既に息をしていませんでした。

家の中には、折尾と路上で口論になり、その末に彼を誤って死なせてしまった青年、勇介(ゆうすけ)と、偶然空き巣に入った黒澤(くろさわ)がいました。稲葉からは「折尾を生きた状態で連れてこい」と言われていたため、このままでは孝則の妻が危険な目に遭うかもしれません。時間が迫る中、黒澤は後に「白兎作戦」として知られる妙案を思いつきました。

第3章: 人質立て籠り作戦

黒澤は、マスコミ関係者を呼び寄せ、人質立て籠り事件が起きていると報道させることを提案しました。これにより、稲葉たちにも孝則が身動きが取れない状況が伝わります。テレビのニュースで実況中継されている間に、監禁場所を突き止めて綿子を奪還する計画です。

勇介は、自分の家を立て籠りの現場として提供し、自らも人質役を引き受けました。宮城県警の通報受付担当者に「ノースタウンで立て籠りが発生した」という電話がかかってきたのは、午後9時近くのことでした。特殊事件の捜査に当たるSIT(特殊事件捜査隊)に出動要請が入り、現場には部隊の指揮を執る夏之目(なつのめ)が駆けつけました。

第4章: 作戦の進行と混乱

夏之目は、ノースタウン一帯に避難命令を発動し、隊員たちが立て籠り現場となった一軒家を取り囲みました。犯人役の孝則は、電話越しに夏之目と交渉しつつ、テレビ局にも連絡し、マスコミ関係者に現場を中継させました。仙台港の使われていない倉庫の中で、人質の綿子を見張りながらノートパソコンで事件のテレビ中継を見ているのは稲葉です。

稲葉は、早く立て籠り現場から脱出し、折尾を見つけるように孝則に圧力をかけますが、自分の居場所が逆探知されていることには気づきませんでした。稲葉の居場所を掴んだ孝則は、黒澤の指示通りに折尾の遺体を2階のベランダから投げ落としました。

第5章: 結末とその後

追い詰められた立て籠り犯が飛び降りたと勘違いした夏之目は、部下たちと共に家の中に突入しました。孝則と黒澤は、予め用意しておいた機動隊員の服に着替えていたため、無数の隊員に紛れ込んでその場を脱出しました。二人は通りかかったタクシーを呼び止め、仙台港へと向かいます。

夏之目は、勝手にタクシーに乗り込んで現場を離れる二人の不審な隊員を追跡しました。仙台港へと近づく車内で、夏之目は交通事故で亡くなった妻と娘のことを思い出しました。彼は二人の命を奪ったいんちき占い師を裁き、この事件が解決した暁には過去と向き合う覚悟を決めています。

倉庫内で稲葉たち一味を制圧し、兎田夫婦を保護した夏之目ですが、逃げ足の早い黒澤の姿は見当たりませんでした。折尾の死に関与した勇介は、綿子の救出に一役買ったこともあり、大きな罪にはならないでしょう。

「白兎事件」が世間を騒がせてから3ヶ月後、黒澤は仙台市の泉中央駅で地下鉄から降りました。駅構内のキオスクに並べられた新聞の一面には、夏之目が過去に犯した事件についての記事が載っていました。新聞を購入するために目の前の店員にお金を渡そうとした黒澤は、「綿子さん、そろそろ交替ね」と呼び掛ける別の店員の声を聞くのでした。

ホワイトラビット(伊坂幸太郎)の感想・レビュー

伊坂幸太郎の「ホワイトラビット」は、スリリングな展開と緻密なプロットが魅力的な小説です。主人公の兎田孝則は、犯罪組織に所属しているという設定からして、物語の緊張感が伝わってきます。妻の綿子が誘拐されたことをきっかけに、物語は一気に動き出します。

ボスの稲葉から命じられた任務は、裏切り者の折尾豊を捕まえることです。この任務が、兎田の葛藤や苦悩を鮮明に描き出しています。仙台市での追跡劇は、読者を引き込む描写が巧妙で、まるでその場にいるかのような緊張感を味わえます。

折尾の遺体を見つけたノースタウンでの出来事も、予想外の展開が続きます。特に、黒澤が提案する「白兎作戦」は、驚きの連続です。人質立て籠り作戦という大胆な計画が、物語に一層の緊張感を与えています。

夏之目というキャラクターも重要な役割を果たします。彼が過去の出来事と向き合いながら、兎田たちの作戦に巻き込まれていく様子は、感情の揺れ動きがリアルに描かれています。彼の妻と娘を失った過去が、物語に深みを加えています。

物語のクライマックスである稲葉たちの制圧シーンは、まさに手に汗握る展開です。兎田が妻を救出する場面では、彼の必死さが伝わり、読者も応援したくなります。また、黒澤の最後の行動も興味深く、彼がどのように生き延びたのかを考えさせられます。

全体を通して、伊坂幸太郎の巧みなストーリーテリングとキャラクター描写が光ります。「ホワイトラビット」は、緊張感と感動が交錯する、読みごたえのある作品です。読者は、最後まで目が離せない展開を楽しむことができるでしょう。

まとめ:ホワイトラビット(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ

上記をまとめます。

  1. 兎田孝則は犯罪組織に所属していた
  2. 妻の綿子が誘拐される
  3. ボスの稲葉から任務を与えられる
  4. 折尾豊を生け捕りにするよう命じられる
  5. 仙台市で折尾を追跡する
  6. GPS発信機を使用して折尾の居場所を突き止める
  7. ノースタウンで折尾の遺体を発見する
  8. 黒澤が「白兎作戦」を提案する
  9. 人質立て籠り作戦を実行する
  10. 最後に稲葉を制圧し、妻を救出する