「ぼぎわんが、来る」の超あらすじ(ネタバレあり)

この記事では、小説『ぼぎわんが、来る』のあらすじを詳しく解説します。

物語は、田原秀樹が幼少期に体験した不気味な出来事から始まり、大人になった彼の家族に再び「ぼぎわん」の脅威が迫ります。奇怪な現象や家族の過去に隠された秘密を描いたホラー作品で、物語の結末や重要なポイントを含むネタバレが含まれています。

「ぼぎわんが、来る」の全体像を把握したい方、結末が気になる方はぜひご覧ください。

この記事のポイント
  • ぼぎわんという妖怪の正体とその由来
  • 田原家に降りかかる恐怖の出来事
  • 田原家の家族が抱える過去の秘密
  • ぼぎわんとの対決の経緯と結末
  • 物語が残す不穏な余韻とその意味

「ぼぎわんが、来る」のあらすじと超ネタバレ

第1章: 「ぼぎわん」の出現

田原秀樹(たはらひでき)は幼い頃、祖父母の家で恐ろしい体験をしました。ある日、祖父と二人でいる時、突然ドアホンが鳴りました。玄関のドア越しに「誰ですか?」と返事をすると、ドアの向こうから誰かが、祖父の名前、祖母の名前、叔父の名前を次々と呼んでくるのです。秀樹は恐ろしくて動けずにいると、祖父がすぐにその不気味な存在を追い返しました。そして、祖父は秀樹に「これは『ぼぎわん』だ。もしまた来ても、絶対に戸を開けてはいけない」と厳しく言い聞かせました。

「ぼぎわん」とは、祖父の生まれ育った地域で古くから伝えられている妖怪の一種で、返事をしたり、家の中に入れたりすると、その家の人を山に連れて行くとされていました。この恐ろしい体験から時が経ち、秀樹は大人になり、結婚して妻の香奈(かな)と幸せな生活を送っていました。香奈が妊娠した頃、秀樹の周りで再び奇怪な出来事が起こり始めます。

まず、秀樹の職場で部下が突然、何かに噛まれたような怪我を負い、そのまま病院に運ばれます。その怪我は深刻で、最終的にその部下は亡くなってしまいます。さらに、部下が怪我をする前に電話で対応した客から秀樹と娘の知紗(ちさ)の名前が聞かれていたことがわかりました。娘の知紗が生まれた後、今度は家に何者かから電話がかかってきて、秀樹の祖父母の名前だけでなく、秀樹自身、妻の香奈、そして生まれたばかりの娘の知紗の名前までもが呼ばれるのです。次々と起こる奇怪な出来事に不安を覚えた秀樹は、「ぼぎわん」の正体を探るために動き始めます。

知り合いのつてを頼りに、オカルトライターの野崎(のざき)と出会い、さらに野崎から女性霊能者の比嘉真琴(ひが まこと)を紹介されます。野崎は秀樹の依頼を受け、「ぼぎわん」について調査を開始しますが、その調査は難航します。彼が唯一突き止めたのは、「ブギーマン」という言葉がヨーロッパから日本に伝わり、長い年月をかけて「ぼぎわん」と呼ばれるようになったということだけでした。

第2章: 家族に迫る危機

野崎と真琴は、頻繁に田原家を訪れるようになります。野崎は秀樹に調査結果を報告し、真琴は秀樹の娘の知紗と仲良くなり、しばしば一緒に遊ぶようになります。ある日、真琴が田原家を訪れている時、再び「ぼぎわん」が現れます。真琴は何とかその存在を追い返しますが、「ぼぎわん」が非常に強力で、真琴の力では太刀打ちできないことが明らかになります。

真琴の姉である比嘉琴子(ひが ことこ)は、より強力な霊能力を持っているため、琴子の紹介で、実力ある霊能者である逢坂(おうさか)に助けを求めることにしました。しかし、その逢坂も「ぼぎわん」に返り討ちに遭い、命を落としてしまいます。事態はますます悪化し、とうとう秀樹自身も「ぼぎわん」に襲われ、命を落とす結果となります。

夫の秀樹を失った妻の香奈は、これから一人で娘の知紗を育てるという不安を感じていましたが、実は夫を失ったこと自体には悲しみを感じていませんでした。秀樹は表向きには良い父親を演じていましたが、実際には育児にはほとんど関与せず、香奈に全てを任せ、自分の理想を押し付けるだけの存在だったからです。香奈は夫から解放されたことで、心に余裕を持つことができるようになりました。

第3章: 「ぼぎわん」の真実

香奈は知紗と二人の生活を始めますが、今度は知紗が「ぼぎわん」に狙われるようになります。野崎や真琴も協力し、香奈は必死に「ぼぎわん」から知紗を守ろうとしますが、ついに知紗は「ぼぎわん」に連れ去られてしまいます。「ぼぎわん」の正体について調査が進まない中、野崎の前に真琴の姉である琴子が現れ、強力な助っ人として協力を申し出ます。

琴子と野崎は、秀樹の母である田原澄江(たはら すみえ)に会いに行き、ついに「ぼぎわん」の真実が明らかになります。澄江が子供の頃、彼女の祖父である銀二(ぎんじ)は家族に対して過酷な態度をとっていました。澄江には兄と姉がいましたが、姉は幼い頃に銀二の厳しい態度によって命を落としてしまいます。このことは家族の間で隠されていましたが、耐えきれなかった兄は家を飛び出し、その後不幸な事故に遭い命を落とします。

その後、祖母である志津(しづ)も母の澄江もこの出来事をひた隠しにし、何事もなかったかのように日々を過ごしていました。しかし、内心では、夫である銀二に対して強い恨みを抱いていた志津は、関西地方に伝わるまじないを用いて銀二に呪いをかけました。この呪いが結果として、「ぼぎわん」を田原家にもたらし、家族を次々と襲う原因となっていたのです。

第4章: 「ぼぎわん」との対決

「ぼぎわん」の正体は、田原家の過去に関わる非常に特殊な事情が原因でした。「ぼぎわん」の言い伝えが伝わるその地域では、不作の年には口減らしとして、働けない老人や子供たちを山に棲む妖怪に差し出すという残酷な風習があったのです。こうして山に連れ去られた子供たちが、長い年月をかけて「ぼぎわん」へと変貌していったのです。「ぼぎわん」は、もとは人間だったものが凶悪な妖怪へと変わり、他者を襲い、子供を増やしていくという呪いの塊でした。

琴子と野崎は、強大な力を持つ「ぼぎわん」に立ち向かうことを決意します。「ぼぎわん」と対峙した二人は、奪われた知紗を取り戻そうと全力で戦いますが、「ぼぎわん」と共に、ぼぎわんの影響を受けつつある知紗も襲いかかってきます。二人は何度も危機に陥りながらも、何とか「ぼぎわん」を倒し、知紗を取り戻すことに成功します。

第5章: 物語の結末と余韻

「ぼぎわん」との壮絶な戦いの末、琴子と野崎は知紗を無事に救い出し、田原家に平和が戻ります。知紗は母の香奈の元へ帰り、二人は再び平穏な日常を取り戻します。知紗は「ぼぎわん」に攫われていた時の記憶を失っていますが、普通の子供として生活を送れるようになります。

しかし、琴子は今回の出来事が完全に終わったわけ

ではないと感じています。知紗が遊んでいる最中に、ふと不思議な言葉を口にしたのです。それは「ぼぎわん」が使っていた意味不明な言葉でした。物語は一応の終結を迎えますが、不穏な余韻を残しつつ、物語は幕を閉じます。

「ぼぎわんが、来る」の感想・レビュー

『ぼぎわんが、来る』は、日常の中に潜む恐怖が徐々に明らかになる過程が非常に巧妙に描かれた作品です。物語は、田原秀樹が幼少期に祖父から聞かされた「ぼぎわん」という不気味な存在から始まります。最初はただの怖い話のように感じますが、秀樹が大人になり、家族が増えるにつれて「ぼぎわん」の影が再び彼の前に現れる展開は、読者を一気に引き込みます。

特に印象的だったのは、野崎と比嘉真琴というオカルトライターと霊能者が登場し、現実にはあり得ないような怪奇現象を真剣に調査し、対抗しようとする姿勢です。彼らが協力して田原家を守ろうと奮闘する様子は、物語に緊張感を与え、読者も一緒に不安を感じながらページをめくることになります。

田原家に隠された過去の秘密が明らかになる場面も非常に強烈です。特に、祖母の志津が、過去の出来事に対する強い恨みから「ぼぎわん」を引き寄せてしまったことが判明するシーンは、物語の鍵となります。この家族の歴史が「ぼぎわん」の正体に結びつき、単なる怪奇現象ではなく、人間の感情や行動が大きな影響を与えていることが強調されています。

また、「ぼぎわん」との対決シーンは、手に汗握る展開が続きます。比嘉琴子と野崎が全力で立ち向かう中で、知紗が無事に救出される場面は、読者に安堵感を与えますが、同時に、物語の最後に残る不穏な余韻が、完全に安心させてくれないところが印象的です。知紗が「ぼぎわん」の言葉を無意識に口にするシーンは、恐怖がまだ終わっていないことを示唆し、読者に深い印象を残します。

全体を通して、『ぼぎわんが、来る』は、ホラーの要素だけでなく、家族の絆や過去の因縁、そして人間の感情が絡み合った非常に深い物語です。秀樹、香奈、知紗という家族の成り行きに感情移入しやすく、また、物語の結末に至るまでの緊張感と恐怖感が絶妙に描かれています。読み終えた後も心に残る、不思議な余韻を感じさせる作品でした。

まとめ:「ぼぎわんが、来る」のあらすじと超ネタバレ

上記をまとめます。

  • 田原秀樹が幼少期に「ぼぎわん」と遭遇する
  • 祖父から「ぼぎわん」の言い伝えを聞かされる
  • 秀樹の家族が「ぼぎわん」に狙われ始める
  • 野崎と比嘉真琴が調査と霊的防御に協力する
  • 比嘉琴子が「ぼぎわん」の正体を解明する
  • 「ぼぎわん」は過去の呪いによって生まれた妖怪である
  • 「ぼぎわん」との激しい戦いが繰り広げられる
  • 知紗が「ぼぎわん」に連れ去られるが無事に救出される
  • 田原家は再び平穏な生活を取り戻す
  • 物語の最後に不穏な余韻が残る