『手袋を買いに』の超あらすじと読書感想

『手袋を買いに』は、寒い冬の朝に初めて雪を見た子ぎつねと、その母さんぎつねの心温まる物語です。

一面の銀世界に驚いた子ぎつねが、雪の正体を母さんぎつねから教わり、雪遊びに夢中になりますが、冷え切った手に痛みを感じます。母さんぎつねは子ぎつねのために温かいてぶくろを買おうと決心し、町へ行くことを決意します。しかし、町には過去の恐怖がありました。それでも子ぎつねのために勇気を振り絞り、母さんぎつねは子ぎつねを人間に変身させて帽子屋へ送り出します。

この物語を通じて、親子の愛情、人間の優しさ、そして共存の可能性が描かれています。

この記事のポイント
  • 雪とその特徴
  • 親子の愛情と絆
  • 子ぎつねの初めての体験
  • 冬の寒さとその対策
  • 人間との共存の可能性

『手袋を買いに』の超あらすじ

第一章 雪と母さんの愛

物語の舞台は、一面の銀世界が広がる寒い冬の朝です。
子ぎつねの住むほら穴の外には、真っ白な雪が一面に降り積もっていました。
子ぎつねにとって、雪を見るのはこれが初めてです。

「うわぁ! まぶしい!」

ほら穴から顔を出した子ぎつねは、太陽の光に反射した雪の眩しさに目をパチクリさせます。
まるで目に針が刺さったような感覚に、驚きと恐怖でいっぱいの子ぎつねは、慌てて母さんぎつねの元に駆け寄ります。

「母さん! 目に何かが刺さったみたいだ! 痛いよ~!」

子ぎつねの叫び声を聞いて、母さんぎつねは驚き、我が子の目を心配そうに覗き込みます。
しかし、目には何も刺さっていません。
そこで母さんぎつねは、外の様子に気づきます。

「そうか、雪のせいね」

母さんぎつねは、雪を見たことのない子ぎつねのために、優しく雪の正体を教えます。

「これは雪っていうのよ。冬になると空から降ってくる、ふわふわとした白いものなの」

子ぎつねは、母さんぎつねの説明に目を輝かせます。
初めて見る雪に興味津々の子ぎつねは、すぐに雪遊びに夢中になります。
真っ白な雪の上を元気に走り回り、雪の感触を楽しんでいます。

しかし、雪遊びに熱中するあまり、子ぎつねは自分の手がかじかんでいることに気づきません。
しばらくすると、冷え切った手は真っ赤になり、感覚もなくなってきます。
子ぎつねは、泣きそうな顔で母さんぎつねの元へ戻ります。

「母さん…手が冷たくて痛いよ…」

母さんぎつねは、子ぎつねの真っ赤な手を見て、すぐに息を吹きかけて温めてあげます。
そして、子ぎつねの手を自分の温かい手で包み込みながら、優しく言います。

「もうすぐ温まるからね」

しかし、母さんぎつねの心には、可愛い我が子への心配が募ります。
「このままでは、しもやけになってしまうかもしれない…」
そこで母さんぎつねは、夜になってから町へ行き、子ぎつねのために温かいてぶくろを買ってあげようと決心するのでした。

第二章 町の灯と葛藤

夜になり、辺りが深い闇に包まれると、子ぎつねと母さんぎつねは、ほら穴から静かに外へ出ました。
目的地の町までは、森の中を抜け、長い道のりを歩かなければなりません。

子ぎつねは、初めて見る夜の森の風景に、ドキドキしながらもワクワクした気持ちでいっぱいです。
目を輝かせながら、あちこちキョロキョロと見回しています。

しばらく歩くと、遠くの方にオレンジ色の光が点々と見えてきました。

「母さん、見て! あそこに星がいっぱい落ちてるよ!」

子ぎつねは、興奮気味に母さんぎつねに話しかけます。

「あれは星じゃなくて、町の灯りだよ」

母さんぎつねは、子ぎつねの言葉を優しく訂正しますが、その表情はどこか曇っています。
なぜなら、母さんぎつねにとって、町は決して楽しい思い出がある場所ではなかったからです。

遠い昔、母さんぎつねはまだ幼い子ぎつねだった頃、人間にいたずらを仕掛けてしまったことがあります。
その結果、怒った人間たちに追いかけられ、命からがら逃げ延びた苦い経験がありました。
それ以来、母さんぎつねにとって、町は恐怖と不安の象徴となっていたのです。

子ぎつねは、早く町に行きたいとせかしますが、過去のトラウマから、母さんぎつねはなかなか前に進むことができません。
町の灯りが見える度に、過去の恐怖が蘇り、足が震えてしまうのです。

「どうしよう… どうしよう…」

母さんぎつねは、心の中で葛藤します。
可愛い我が子のために、てぶくろを買ってあげたいという気持ちと、人間に対する恐怖心の狭間で、母さんぎつねは苦しんでいました。

第三章 勇気と優しさの贈り物

意を決した母さんぎつねは、子ぎつねに人間の姿に変身させることを決意します。

「ぼうや、おててをお出し」

母さんぎつねは、子ぎつねに言いました。
子ぎつねが言われた通り手を出すと、母さんぎつねは子ぎつねの手をしばらくの間、ぎゅっと握りしめました。
すると、みるみるうちに子ぎつねの手は、人間の子どもの手へと変わっていったのです。

「いいかい、ぼうや。それは人間の手だよ。決して、こっちの手を出してはいけないよ」
母さんぎつねは、念を押すように言いました。

「町に着いたらね、『帽子屋』という看板を探すんだよ。その家の戸をノックして、『こんばんは』って言うのよ。そうしたら中から戸を開けてくれるから、この人間の手を出して『この手に合うてぶくろをください』って言うのよ」

母さんぎつねは、子ぎつねに人間のふりをさせることを少しだけ後ろめたく思いながらも、
子ぎつねが一人で町へ行けるように、てぶくろの買い方を丁寧に教えます。
そして、持っていた二つの金貨を、子ぎつねに渡しました。

子ぎつねは、母さんぎつねの言葉を胸に、町の灯りを目指して、小さな足で力強く歩みを進めます。

やがて、子ぎつねは『帽子屋』と書かれた看板を見つけました。
母さんぎつねに言われた通り、トントンと戸をノックし、「こんばんは」と元気よく挨拶します。

すると、ギィーッと音を立てて、ゆっくりと戸が開きました。
中から優しい顔をした帽子屋のおじいさんが現れます。

子ぎつねは、ドキドキしながらも、母さんぎつねに言われた通り、人間の子供の手を差し出し、「この手に合うてぶくろをください」と言いました。

帽子屋のおじいさんは、子ぎつねの手を見て一瞬だけ驚いた表情を見せましたが、すぐに優しい笑顔を見せました。
「ああ、木の葉をたくさん集めてきたんだね。えらいえらい」

帽子屋のおじいさんは、てっきり子ぎつねが人間の子供で、森で集めた木の葉をお金代わりに持ってきたのだと思いました。

「まずは、お金をちょうだい」

帽子屋のおじいさんに言われ、子ぎつねは、母さんぎつねから渡された二つの金貨を差し出しました。

帽子屋のおじいさんは、金貨が本物かどうか確かめるため、金貨同士をカチカチと打ち鳴らしました。
「チンチン」と澄んだ音が響きます。

「よしよし、これは良い音だ」

帽子屋のおじいさんは、子ぎつねの手にぴったりな、温かそうな赤い毛糸のてぶくろを選んでくれました。

子ぎつねは、帽子屋のおじいさんにお礼を言い、来た道を急いで引き返しました。

「人間はちっとも怖くなかった。だって、僕の手を見ても、怒ったりしなかったもの」

子ぎつねは、帰り道、人間の家の窓から聞こえてくる優しい子守歌を聞きながら、早く母さんぎつねに会いたいという気持ちでいっぱいになりました。

心配そうに待っていた母さんぎつねは、子ぎつねが無事に戻ってくると、安堵のあまり、泣きそうになりながらぎゅっと抱きしめました。

「母さん、人間はちっとも怖くなかったよ。
だって、僕が間違えて、きつねの手を出したのに、怒らずにてぶくろをくれたんだ」

子ぎつねは、誇らしげにてぶくろをはめた手を、母さんぎつねに見せました。

「まあ!」

母さんぎつねは、子ぎつねの話を聞いて驚きながらも、安堵の表情を浮かべました。

「人間って、本当に優しい生き物なのかもしれない…」

母さんぎつねは、子ぎつねの体験を通して、人間に対する長年の偏見が少しだけ和らいだ気がしました。
そして、静かに夜空を見上げながら、心の中で呟いたのでした。

「これからは、私たちも、人間ともっと仲良くできたらいいのに…」

『手袋を買いに』の読書感想文

『手袋を買いに』は、子ぎつねと母さんぎつねの心温まる物語です。寒い冬の朝から始まり、雪に驚く子ぎつねと、それを優しく見守る母さんぎつねの関係が描かれています。

物語の冒頭では、子ぎつねが初めて雪を見て、まぶしさに驚き、母さんぎつねに助けを求めるシーンがあります。この場面では、母さんぎつねが雪の正体を優しく説明するところが印象的です。雪を「ふわふわとした白いもの」と表現し、子ぎつねの興味を引き立てる描写が素敵です。

第二章では、夜になって町へ行くシーンが描かれています。子ぎつねは夜の森に興奮しながらも、母さんぎつねは過去のトラウマに悩まされます。母さんぎつねが人間に対する恐怖を乗り越え、子ぎつねのために町へ行く決意をするところが感動的です。

第三章では、母さんぎつねが子ぎつねを人間の姿に変身させて、町へ送り出す場面があります。帽子屋のおじいさんとのやり取りで、子ぎつねが温かいてぶくろを手に入れる様子が詳細に描かれています。帽子屋のおじいさんが優しく対応するところや、子ぎつねが人間の優しさに触れるシーンが心に残ります。

全体を通して、母さんぎつねの子ぎつねへの愛情がよく伝わってきます。また、母さんぎつねが過去の恐怖を乗り越えて子ぎつねのために行動する姿勢には、大きな勇気と優しさが感じられます。物語の最後に、母さんぎつねが人間に対する偏見を和らげ、もっと仲良くなりたいと願うところが、この物語のメッセージを象徴しています。

この物語は、親子の絆や愛情、人間との共存について考えさせられる内容です。寒い冬の景色と心温まるエピソードが美しく描かれており、読んでいて心が温まる作品です。

まとめ:『手袋を買いに』の超あらすじと読書感想

上記をまとめます。

  • 子ぎつねが初めて雪を見て驚く
  • 母さんぎつねが雪の正体を教える
  • 子ぎつねが雪遊びに夢中になる
  • 子ぎつねの手が冷えて痛がる
  • 母さんぎつねが子ぎつねの手を温める
  • 母さんぎつねが夜に町へ行く決意をする
  • 子ぎつねが母さんぎつねと一緒に町へ向かう
  • 母さんぎつねが子ぎつねを人間に変身させる
  • 子ぎつねが帽子屋でてぶくろを買う
  • 母さんぎつねが人間に対する偏見を和らげる