『いちごの唄』は、七夕の再会をきっかけにしたコウタとあーちゃんの物語です。
彼らの親友・伸二の死によって、それぞれが抱える苦悩や心の傷が描かれています。コウタのひたむきな想いや、あーちゃんの秘めたる過去が次第に明らかになり、物語はストロベリーフィールドに象徴される愛と再生へと向かいます。
このあらすじを読むことで、二人の切ない青春と、永遠の愛に込められた希望の物語を知ることができます。
- コウタとあーちゃんの七夕の再会
- 伸二とコウタの友情と事故の詳細
- あーちゃんの秘密と心の葛藤
- ストロベリーフィールドの意味と伸二の想い
- 二人が新たな一歩を踏み出す物語
「いちごの唄(映画)」の超あらすじ(ネタバレあり)
第1章:七夕の再会
冷凍食品会社に勤務するコウタは、日々仕事に追われていましたが、七夕の時期だけは何とも言えない憂鬱な気持ちに包まれていました。それは中学時代の親友である伸二の命日が七夕にあたるからです。その日、コウタはふとした偶然で、同級生だった天野千日(あーちゃん)と再会します。あーちゃんは変わらず美人で、彼女に密かに恋心を抱いていたコウタは、喜び勇んであーちゃんをラーメン屋に誘いました。
ラーメン屋での会話は、コウタの一人語りがほとんどでした。中学時代の思い出や、伸二のこと、そして自分のことばかりを話すコウタ。しかし、それでもあーちゃんは終始ニコニコと聞いてくれ、楽しいひとときを過ごしました。別れ際、コウタは翌年の七夕にもあのラーメン屋で会おうと、少し恥ずかしそうに提案します。あーちゃんは笑顔でそれに応じ、二人は再会の約束を交わしました。
コウタは、その日以来、あーちゃんとの約束を心待ちにしていました。あーちゃんとの再会が彼の生活に新たな楽しみをもたらし、来年の七夕を心から待ち望むようになります。そして、その待ち遠しさに浸りながら、彼はラーメン屋の店主に「潰れないでね」とお願いして回るのでした。
第2章:コウタと伸二の坂
コウタの頭には、いつも中学時代の思い出がよぎっていました。その中で特に心に残るのは、親友・伸二との日々です。伸二は、孤児院「いちご園」で育ちながらも、明るく元気な性格で、みんなから愛される人気者でした。彼はコウタとは正反対で、坂道を自転車で駆け下りたり、レタス畑に飛び込んだりと、とにかく活発で自由な性格でした。コウタにとっては、そんな伸二が憧れの存在であり、彼のように生きたいと願っていました。
いちご園で育った伸二は、園の資金源であるレタス畑よりも、いつかストロベリーフィールド(いちご畑)を植えたいと夢見ていました。しかし、ある日突然の悲劇が訪れます。坂道で自転車を乗り回していた伸二が、トラックにひかれそうになったあーちゃんをかばって事故に遭ってしまうのです。伸二の命はそこで途絶え、コウタとあーちゃんの心には深い傷が刻まれました。
伸二の死は、コウタにとって大きなショックであり、以後彼はその記憶から逃れられませんでした。事故現場には今でも花が供えられており、コウタはその場所に足を運ぶたびに、伸二への思いとともに過去の出来事が鮮やかに蘇ってきます。しかし、いちご園の園長がその場所で花を供えているのを見たとき、コウタはその場から立ち去るしかありませんでした。
第3章:あーちゃんの秘密
再び七夕の日が近づく中、コウタはあーちゃんと会うことになります。しかし、あーちゃんの様子がどこかおかしく、コウタは何か悪いことをしたのかと戸惑います。すると、あーちゃんは長い間隠していた真実をコウタに告白します。実は、あーちゃんも幼少期は孤児で、伸二と同じ「いちご園」で育った捨て子だったのです。彼女が天野家に養子として迎えられたのは8歳の時でした。
あーちゃんは、養子であることや、捨て子だったという事実にずっとコンプレックスを抱いていました。さらに、伸二が自分をかばって亡くなったことで、彼女の心はずっと苦しみ続けていたのです。その思いは、伸二の親友であるコウタとの関係にも影響を与えていました。そして、そんな悩みや葛藤を抱えるあーちゃんは、コウタに別れを告げることを決意します。
その後しばらくして、コウタは街中であーちゃんが別の男性と一緒にいるところを目撃します。彼女を想うあまり、その男性に殴りかかるコウタ。しかし、逆にその男性から反撃されてしまい、彼の心はさらに深く傷つくのでした。
第4章:ストロベリーフィールド
その後、あーちゃんは地元に戻り、いちご園の園長と久しぶりに再会します。園長は彼女のことを覚えており、あーちゃんの苦しみを知って優しく言葉をかけます。そこで園長は、あーちゃんが「千日」と名付けられた背景を教えます。通常、孤児院の子供たちには園長が名前をつけますが、あーちゃんの場合は母親らしき女性から「千日といいます」と連絡があったというのです。その名には「ずっとずっと」という意味が込められていました。
その話を聞いたあーちゃんは、自分の生い立ちや過去を少しずつ受け入れるようになりました。自分を励ましてくれた伸二や、彼との思い出を大切にするため、事故のあった坂道に向かいます。コウタもまた、自転車に乗ることを決意し、坂道に向かいました。彼の父親が、自転車が伸二とコウタを繋いでくれたと励ましたからです。
偶然坂道で再会したコウタとあーちゃんは、かつての思い出のように自転車で坂を駆け下りました。すると、目の前には広がるストロベリーフィールド(千日紅)。それは伸二が夢見ていた「千日」の花であり、彼の愛が永遠であることを二人に伝えていました。コウタとあーちゃんは、その愛を感じ、新たな一歩を踏み出す決意を固めるのでした。
「いちごの唄(映画)」の感想・レビュー
『いちごの唄』は、コウタとあーちゃん、そして親友である伸二の3人の関係を通して描かれる青春映画です。物語は七夕の再会から始まり、コウタが中学時代の親友・伸二の命日を忘れられないでいる様子からスタートします。コウタの純粋な気持ちと、密かに想いを寄せていたあーちゃんとの再会が、彼の心に新たな希望をもたらします。しかし、そこには中学時代の思い出と、伸二との関係が大きく影を落としていました。
伸二は、孤児院「いちご園」で育った明るく社交的な少年で、コウタの憧れでもありました。彼の存在はコウタだけでなく、あーちゃんにも強い影響を与えます。伸二が坂道で自転車に乗っていたとき、トラックにひかれそうになったあーちゃんを助け、自ら命を落とすという悲劇は、二人の心に深い傷を残します。あーちゃんにとっては、彼女のために命を落とした伸二の存在が心の重荷であり、自己肯定感の低下を引き起こす要因でもありました。
あーちゃんは、幼少期を「いちご園」で過ごした孤児で、後に天野家に養子として迎えられました。彼女はその過去をコウタに明かし、自分が抱えてきた葛藤や悩みを伝えます。コウタは彼女の告白を受け止めますが、あーちゃんはその思いを背負いきれず、コウタに別れを告げます。その後、あーちゃんが別の男性といるところを目撃したコウタは衝動的に相手に殴りかかり、感情のもつれがより深まります。
しかし、物語は次第に希望へと向かいます。あーちゃんが「いちご園」の園長から、自分の名前「千日」に込められた意味を教えられるシーンは、彼女にとって大きな転機となります。「千日」という名前には「ずっとずっと」という意味があり、彼女に愛が込められていたことがわかるのです。コウタもまた、自転車に乗って伸二との思い出を辿り、坂道で偶然あーちゃんと再会します。
二人は坂道を駆け下り、レタス畑の代わりに広がるストロベリーフィールド(千日紅)に心打たれます。それは、伸二が夢見た「千日」の花であり、彼の愛が永遠に続くことを象徴していました。コウタとあーちゃんは、過去の悲しみを乗り越え、前向きな一歩を踏み出すことを決意します。物語は、二人の成長と愛を描きながら、読者に希望と勇気を届けてくれる感動的な作品です。
まとめ:「いちごの唄(映画)」の超あらすじ(ネタバレあり)
上記をまとめます。
- コウタは冷凍食品会社で働いている
- コウタは七夕を伸二の命日として避けている
- 伸二は「いちご園」の孤児である
- レタス畑で伸二とコウタは遊んでいた
- 伸二は事故であーちゃんを助けて亡くなった
- あーちゃんも「いちご園」で育った孤児である
- あーちゃんは天野家に養子に迎えられた
- コウタとあーちゃんは七夕に再会する約束をする
- ストロベリーフィールドの意味は「永遠の愛」
- コウタとあーちゃんは坂道で再会し、前向きになる