「囮物語」の超あらすじ(ネタバレあり)

「囮物語」は、西尾維新の〈物語〉シリーズの一編で、千石撫子を中心に展開される物語です。

白蛇の怪異「クチナワ」との再会をきっかけに、撫子の過去の行いが再び彼女を追い詰めます。撫子はクチナワのご神体を探すことになりますが、次第に自らが怪異に変貌していく恐怖と対峙することに。最後は阿良々木暦や忍野忍、さらには戦場ヶ原ひたぎらとの関係が複雑に絡み合い、予想外の展開へと導かれていきます。

ネタバレを含む詳細なあらすじを知りたい方に向けた内容です。

この記事のポイント
  • 「囮物語」の基本的なあらすじ
  • 千石撫子と白蛇の怪異「クチナワ」との関係
  • 撫子が怪異に変わっていく過程
  • 阿良々木暦や忍野忍との絡み
  • 物語の結末に至る展開

「囮物語」の超あらすじ(ネタバレあり)

10月31日、千石撫子は、普段と変わらず公立七百一中学に向かっていました。道を歩いていると、見知らぬ少女・忍野扇に話しかけられます。忍野扇は、撫子のことをまるで昔から知っているかのように詳しく語り始めますが、撫子は彼女との面識がないため、不信感を抱きます。しかし、扇が「忍野メメの姪」だと自己紹介すると、撫子は少しだけ安心し、その場を後にします。

急いで学校に向かう途中、撫子は奇妙な出来事に遭遇します。まず、げた箱から靴を取り出そうとすると、中に白い蛇が潜んでいて、驚かされます。しかし、蛇はすぐに消えてしまい、撫子は見間違いかと思います。ですが、それだけでは終わりません。鞄の中や体操袋の中、さらには教室の用具入れなど、あらゆる場所に白蛇が現れ、撫子に絡みついてきます。その蛇は、撫子にしか見えないようで、クラスメイトや先生たちには全く気づかれていませんでした。

撫子は、過去に貝木泥舟が流したおまじないの影響で、クラスの雰囲気が崩壊してしまっているため、今の自分に誰も気をかけないことを寂しく感じます。そこで、撫子はこの異常な状況を阿良々木暦に相談しようと決意し、公衆電話から暦に電話をかけます。暦は「忍が目覚めてからの方がいい」と助言し、夜に会う約束をします。

夜まで時間があるため、撫子は家に帰ろうとしますが、公衆電話の受話器から突然大量の白蛇が現れます。そして、「北白蛇神社に来い」という不気味な声が聞こえてきます。撫子は不安を感じつつも、その声に従って北白蛇神社へ向かいます。

神社に到着すると、そこにはかつて撫子が手をかけた蛇の亡骸が大量に散乱していました。驚きと恐怖に打ちひしがれる撫子の前に、再び白い蛇が現れます。白蛇は「クチナワ」と名乗り、撫子に対して、かつて彼女が行った行為について問いかけます。撫子は自責の念に駆られ、「どうすれば償えるのか」とクチナワに尋ねます。

クチナワは「逃げるか償うか、自分で決めろ。償う意思があるなら、俺に協力しろ。そうすれば許してやる」と言います。どうやらクチナワは、自身のご神体を探しており、その手助けを撫子に求めていたのです。

撫子は、これは自分自身で解決すべき問題だと感じ、夜に暦にかけた電話で「やっぱり何でもなかった」と嘘をつき、本当のことを隠しました。翌日、学校で担任の笹藪から「クラスの雰囲気をどうにかしろ」と言われますが、撫子は無理やり学級委員長にされ、責任を押し付けられたため、ただ謝るしかありませんでした。

学校が終わった後、撫子は本格的にクチナワのご神体探しを始めます。夜にこっそりと家を抜け出し、ダウジングの要領でご神体を探していましたが、なかなか見つかりません。そんな中、撫子は阿良々木暦に見つかってしまいます。撫子がいなくなったことに気づいた両親が阿良々木家に連絡し、それを聞いた暦が心配して探し回っていたのです。

暦に連れられて阿良々木家に戻った撫子は、暦から質問攻めにされますが、何とか誤魔化すことに成功します。しかし、次の困難がやってきます。暦が撫子と同じベッドで寝ようとするのです。撫子は少し嬉しく感じますが、さすがにまずいと判断し、忍が登場して事態を収めます。

翌朝、撫子が目を覚ますと、今度は月火が隣で寝ていました。兄妹そろって呆れる撫子でしたが、ふと暦の彼女について月火に尋ねます。月火から話を聞き、自分の恋が叶わないことを再確認した撫子は、心の中で諦めようとします。しかし、月火は「そんなに好きなら奪っちゃえばいい」と言い、撫子の前髪を切ってしまいます。撫子はこの行為に珍しく怒り、月火と喧嘩別れをしてしまいます。

翌日、撫子は学校へ向かいますが、再び担任の笹藪から「クラスの件」で叱責を受けます。しかし、撫子は今朝の出来事で吹っ切れており、逆に笹藪に対して「それはあなたの責任でしょう」と反論します。あっけに取られる笹藪を尻目に、撫子は教室に入り、クラスメイトにも言いたいことを全てぶつけ、早退します。

家に帰った撫子は、自分がどうしてあんなに感情的になったのか悩みますが、その時クチナワから「ご神体は阿良々木家にある」と告げられます。撫子はすぐに阿良々木家に向かい、暦の部屋に忍び込みます。

部屋の中を探していると、撫子は偶然エロ本に目を留めます。そこにはご神体が隠されていたのです。クチナワは願いを叶えてやると言いますが、撫子は「大好きな暦お兄ちゃんと両思いになりたい」と願います。しかし、突然現れた暦はその願いが叶わないと告げ、撫子にご神体を返すよう求めます。

絶望した撫子は、クチナワにそそのかされ、ご神体を呑み込み怪異化してしまいます。暦と忍が必死に応戦しますが、力を失った忍では撫子を止めることができません。しかし、まさにトドメを刺そうとした瞬間、ひたぎから電話がかかってきます。

ひたぎは全ての事情を知っており、撫子と交渉します。最終的に、ひたぎは卒業式が終わるまで待つように撫子を説得し、その場を収めます。そして、ひたぎは暦たちを救うため、とある人物との接触を試みるのでした。

「囮物語」の感想・レビュー

「囮物語」は、千石撫子というキャラクターの内面が深く描かれており、非常に興味深い作品だと思います。撫子はこれまで〈物語〉シリーズの中で、控えめでおとなしいキャラクターとして描かれてきましたが、この物語では彼女の心の闇や葛藤が前面に出てきます。白蛇の怪異「クチナワ」との再会を通じて、撫子が過去に犯した過ちが浮き彫りになり、その過去が彼女を追い詰めていく様子がとても緊張感を持って描かれています。

阿良々木暦との関係もまた、この物語の重要な要素です。撫子は暦に対して強い感情を抱いていますが、それが叶わない恋であることが次第に明らかになります。暦との会話や行動を通して、撫子が自分の心の中で葛藤し、その結果として怪異へと変貌していく過程がとてもリアルに感じられました。

また、忍野忍や戦場ヶ原ひたぎといった他のキャラクターたちも重要な役割を果たしています。特に、ひたぎが撫子と交渉し、最終的に物語の結末を導くシーンは非常に印象的でした。彼女の冷静でありながらも思いやりのある一面が、物語の中で際立っています。

全体的に、「囮物語」はキャラクターの心情描写が豊かで、物語の展開もスリリングであり、最後まで目が離せませんでした。撫子というキャラクターの成長や変化がしっかりと描かれており、〈物語〉シリーズの中でも特に印象に残る一編だと感じました。

まとめ:「囮物語」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 千石撫子が主人公である
  • 物語の中心に白蛇の怪異「クチナワ」がいる
  • 撫子の過去の行いが問題になる
  • 撫子がクチナワのご神体を探す役割を担う
  • 撫子が徐々に怪異に変貌する
  • 阿良々木暦との関係が物語に影響を与える
  • 忍野忍も物語に重要な役割を果たす
  • 戦場ヶ原ひたぎが交渉役として登場する
  • 物語が予想外の展開を見せる
  • ネタバレを含む詳細なあらすじが紹介される