
給与所得者の多くが年末に受け取る源泉徴収票。そして、自営業者や副業などで所得が増えた人に馴染みがある予定納税。これらはどちらも所得税に関わる大切な書類ですが、、「源泉徴収票に予定納税額が記載されているのか、どこで確認すればいいのか?」という疑問を抱えています。
本記事では、予定納税や源泉徴収票の基本的な仕組みから、具体的にどこを確認すればよいのか、そして間違えやすいポイントや注意点までを網羅的に解説します。税金に関する知識は難解に感じがちですが、専門的な内容を分かりやすく整理し、どのように書類を読み解き、どんな場合に予定納税が発生し、どんな手続きを踏めばよいのかを丁寧にご説明します。この記事を最後まで読んでいただければ、予定納税額が源泉徴収票のどこに記載されているのかという悩みをしっかりと解消できるはずです。
1. 予定納税額が源泉徴収票がどこに書いてあるのか気になる理由
まず、予定納税額が源泉徴収票のどこに書いてあるのか気になるということは、次のようなシチュエーションが考えられますね。
- 会社員(給与所得者)だが、副業収入や雑所得があり、予定納税をしている
- フリーランスや個人事業主で、源泉徴収票と予定納税の関係が知りたい
- そもそも予定納税とは何か、どこで金額を確認するのか曖昧で不安
「予定納税」は自営業者や副業で一定以上の所得がある場合に必要となる制度です。一方、会社員が年末にもらう「源泉徴収票」には、その年の給与収入や源泉徴収された所得税額などが記載されます。
実は、この源泉徴収票には予定納税額そのものがが記載されているわけではありません。それゆえ、「源泉徴収票には予定納税額が載っていないけど、どこで分かるのだろう?」という疑問が生まれるのです。
- 予定納税と源泉徴収の違いが分かり、税金計算の全体像を把握できる
- 自分の所得状況によってはどのように予定納税が発生し、どの書類を見るべきか理解できる
- 確定申告の際に、源泉徴収票と予定納税通知書をどのように扱うかが分かる
2. 予定納税の基礎知識
2-1. 予定納税とは何か
予定納税とは、前年度の所得税額に応じて、あらかじめ決められた金額を年に数回に分けて納付する制度のことです。個人事業主やフリーランス、また副業収入が大きい会社員など、年間の所得税を確定申告でまとめて支払う場合に、納税の平準化を目的として設けられています。
予定納税が求められる理由
- 年収(正確には所得)が高い場合、年度末に一度に大きな税額を納付すると負担が大きいため
- 税務署側としても、年間の所得税を分割して早期に徴収することで、徴税リスクを軽減したいという狙いがある
2-2. 予定納税が必要となるケース
前年度(前年分)に「確定申告書で算出した所得税額(源泉徴収税額を差し引いた後の納付額)」が15万円以上になる場合、今年度に予定納税が課される可能性があります。具体的には、下記のような方が該当します。
- 個人事業主・フリーランスで前年の所得が大きかった
- 副業(雑所得、事業所得、不動産所得など)で収入が増えたサラリーマン
- 退職後に再就職せず、年金やその他収入があるが税金が源泉されていない人
2-3. 予定納税の計算方法
予定納税額は、通常「前年分の所得税額×(1/3)」*を2回、合計2/3分を前もって納め、残りを確定申告時に精算する形となります。詳しい計算式は国税庁HPに掲載がありますので、下記リンクをご参照ください。
外部リンク例
国税庁:予定納税のしかた
3. 源泉徴収票の基礎知識
3-1. 源泉徴収票とは
源泉徴収票とは、給与所得者が1年間に受け取った給与の合計額や、源泉徴収された所得税の金額、社会保険料などが記載された書類です。会社等の給与支払者は、年末調整終了後や退職時などに、給与所得者へ源泉徴収票を交付する義務があります。
3-2. 源泉徴収票の読み方(項目別)
一般的な源泉徴収票には、次のような項目が並びます。
- 支払金額
- 1年間の給与の総支給額(税引前)
- 所得控除額の合計額
- 社会保険料控除、生命保険料控除、扶養控除などの合計
- 源泉徴収税額
- 1年間に給与から天引きされた所得税の合計
- 住民税に関する情報(自治体によって記載形式は異なる)
- 摘要欄
- その他特記事項
3-3. どんな情報が記載される?
会社員の場合、給与収入が主たる所得なので、年末調整でほとんどの税額が精算されます。その結果、源泉徴収票に書かれている「源泉徴収税額」が、実質的にその年に納めた所得税の金額に近い数値となります。ただし、ここで注意が必要なのは、源泉徴収票に「予定納税額」は表示されないという点です。あくまでも「源泉徴収された所得税額」が書かれているだけであり、予定納税は別途、自分で納付するものだからです。
4. 予定納税額は源泉徴収票のどこ?:実際に何を確認すればいい?
4-1. 源泉徴収票に予定納税額は記載されるのか
結論から言えば、「源泉徴収票に予定納税額が記載されることはありません」。これは制度上、まったく別の流れだからです。
- 源泉徴収票:給与に対する源泉徴収(天引き)された金額を証明する書類
- 予定納税:個人事業主や副業等での前年所得税額が一定以上あった場合に、あらかじめ納める制度
会社で給与を受け取り、その給与にかかる所得税については天引き(源泉徴収)されます。しかし、副業所得や事業所得は源泉徴収されない場合が多いため、あらかじめ予定納税という形で納付する必要が生じるのです。
4-2. 予定納税通知書との違い
予定納税額を確認する主な書類は、税務署から郵送される「予定納税通知書」です。この通知書には、「第1期」「第2期」でいくら納める必要があるのか、具体的に金額が明記されています。この予定納税通知書こそが、予定納税額を確認する最もわかりやすい書類です。
- 予定納税通知書は、通常6月下旬から7月頃に郵送される
- 第1期分と第2期分の納付期限はそれぞれ「7月末」「11月末」
- 来年度の予定納税額を左右するのは、あくまで「前年の所得税額」
4-3. 予定納税額はどこで確認できる?
予定納税額は源泉徴収票には書かれていないため、次の方法を使う必要があります。
- 税務署から届く予定納税通知書
- 通知書に明示されている金額が、現年度の予定納税額
- 前年分の確定申告書の控えを参照
- 所得税額が15万円以上あれば、予定納税が発生する見込み
- 税務署に問い合わせ
- 紛失や届かない場合は税務署へ連絡することで再発行してもらえる
5. 予定納税額と源泉徴収額の関係
5-1. 「源泉徴収額」と「予定納税額」の違い
- 源泉徴収額:主に給与所得など、支払者が所得税を天引きして納める金額
- 予定納税額:前年の所得税に基づき、あらかじめ自主的に納める金額
サラリーマン(給与所得者)の場合は、給与に対する所得税の多くが「源泉徴収額」としてあらかじめ天引きされます。年末調整により精算が行われるため、追加納付が発生しない、あるいは還付されることもあります。
しかし、給与以外の所得が増えた場合や、年末調整では精算しきれないような所得控除がある場合には、確定申告をする必要が出てきます。その際、前年の確定申告で納税額が高額だと、今年度は予定納税が発生し、7月と11月にそれぞれ納付するのが一般的です。
5-2. 予定納税で注意すべきポイント
- キャッシュフローの確保:7月と11月にまとまった金額を支払う必要があるため、資金計画に注意
- 通知書の管理:予定納税通知書は大切な書類なので、到着したら必ず保管する
- 確定申告時の精算:予定納税で納めすぎた場合は還付、逆に足りない場合は追加納付となる
6. 【具体例】副業をしている場合はどうなる?
6-1. 副業で所得が増えると予定納税は増える?
会社員でも、副業で事業所得や雑所得が大きくなると、前年の確定申告で所得税額が大きくなります。その結果、翌年に予定納税が課されるケースがあるというわけです。例えば、
- 年間の給与所得:源泉徴収でほぼ精算
- 年間の副業所得:源泉徴収されないため確定申告でまとめて納税
前年の確定申告の結果、所得税額が15万円以上になれば、税務署から予定納税通知書が送られてきます。会社に勤めているからといって予定納税は無関係、というわけではありません。
6-2. 副業をしているサラリーマンの源泉徴収票のチェック方法
副業しているからといって、会社が発行する源泉徴収票の書式は変わりません。ただし、以下の点に注意してください。
- 本業(給与)の源泉徴収票
- 支払金額・源泉徴収額を確認
- 年末調整結果を確認し、控除漏れなどがないかチェック
- 副業の収入・経費の整理
- 確定申告時、給与所得と合算して所得合計を計算
- 予定納税の発生有無
- 副業所得が増えた場合、翌年以降の予定納税額が変動する
結局のところ、予定納税額を源泉徴収票だけで確認することは不可能です。必ず、予定納税通知書を確認するか、自分で前年の確定申告書から計算する必要があります。
7. 予定納税に関するよくある質問Q&A
7-1. 予定納税の支払いが遅れたらどうなる?
予定納税の納付期限を過ぎてしまうと、延滞税が加算される恐れがあります。延滞税は納期限の翌日から日割りで計算されるため、支払いが遅れれば遅れるほど負担が増します。万が一、納付期限に間に合わない場合は、早めに税務署に相談し、状況を説明することをおすすめします。
7-2. そもそも予定納税通知書が届かない場合は?
前年の所得税額が15万円以上でも、住所変更等の事情で通知書が届かないケースもまれにあります。そのような場合は、自分から税務署へ問い合わせて再発行を依頼しましょう。無視していると、後でペナルティや延滞税が発生する可能性があるので注意が必要です。
7-3. 予定納税額を減らす・増やすには?
予定納税額は、基本的には「前年の所得税額」に準じて決定します。ただし、今年の所得が明らかに前年より減少する見込みがある場合、「予定納税額の減額申請」が可能です。逆に、副業や事業が拡大して所得が増加する見込みであれば、あえて予定納税額を多めに入れておくと、翌年の確定申告で大きな納税が発生するリスクを減らせます。
8. 源泉徴収票と確定申告のタイミング
8-1. 源泉徴収票の受け取り時期
- 年末調整後(通常は1〜2月頃までに交付される)
- 退職時(退職後1ヵ月以内に交付)
源泉徴収票は、確定申告をする際の重要な添付書類になります。給与所得がある人は必ず受け取り、手元に保管しておきましょう。
8-2. 確定申告・還付申告との関係
- 確定申告期間:通常は翌年の2月16日〜3月15日
- 還付申告:医療費控除や寄附金控除などがある場合、早めに申告することで還付が早く受けられる
源泉徴収票に記載された数字を、確定申告書の給与所得欄に転記し、副業やその他所得がある場合は別途入力する形になります。また、予定納税した金額は、確定申告書の「予定納税額」欄に記載し、最終的に精算されます。
9. 実務での注意点:間違えやすいケースと対処法
9-1. 予定納税額と源泉徴収額を混同しているケース
「源泉徴収税額=予定納税額」と思い込んでしまうと、確定申告時に混乱する恐れがあります。あくまで「給与所得の天引き」と「前年実績に基づく予定納税」は別物ですので、しっかり区別しましょう。
9-2. 確定申告時に源泉徴収票を紛失してしまった場合
もし源泉徴収票を紛失した場合は、勤務先に再発行を依頼しましょう。再発行の依頼は労力がかかるため、原本は大切に保管しておくことが大切です。
9-3. 予定納税を誤って多く払いすぎた場合
予定納税は、あくまで見込納税です。実際の所得が予想よりも下がり、結果的に予定納税額が過大だった場合は、確定申告により還付されます。逆に予定納税が足りなかった場合は、追加納付となります。
10. まとめ:[予定納税額 源泉徴収票 どこ]のポイントを再確認
最後に、この記事の要点を整理しましょう。
- 予定納税額は源泉徴収票に記載されない
- 源泉徴収票は、給与所得に関する源泉徴収税額を示す書類であり、副業や事業所得などによる「予定納税額」は反映されない。
- 予定納税額の確認には「予定納税通知書」を見る
- 前年の所得税額が15万円以上だと、7月・11月に予定納税を行う。金額は税務署から届く通知書に明記される。
- 副業している会社員にも予定納税が発生する可能性がある
- 副業による所得が増えれば、給与所得と合わせて確定申告を行い、結果として予定納税が必要となる場合がある。
- 確定申告時に精算される
- 予定納税はあくまで仮の納付。最終的には確定申告時に源泉徴収額と合算して精算が行われ、過不足があれば還付または追納となる。
- 源泉徴収票と予定納税通知書は別々に管理
- どちらも確定申告時に必要な情報が記載されているため、紛失や誤廃棄には注意する。
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参考リンク