住民税と市県民税の違いを徹底解説!意外と知らないポイントと対策

住民税って毎月の給与明細を見ていると意外と大きい金額が引かれているし、「これって所得税とどう違うの?」と疑問を抱いたことはないだろうか。加えて、「市県民税」という言葉を聞くと、「あれ、住民税と市県民税って別物なの?」と頭の上にハテナマークが浮かぶ人も少なくないはずだ。実は住民税と市県民税の違いは知っているようで知られていない。理解しておくと節税のヒントになったり、納付方法で損しないコツが見えてきたりするメリットがある。

本記事では、そんな「住民税と市県民税の違い」について詳しく解説する。具体的にどのように計算されているのか、どんな仕組みで納付しているのか、さらには手続きや控除などのポイントも交えながら、かみ砕いて説明する。読めば自分の給与明細や住民税通知書を見たときに「なるほど、こういうことか」と納得できるようになるだろう。ユーモアを織り交ぜつつ、かつ専門的な内容をわかりやすく伝えるので、ぜひ最後までチェックしてほしい。

1. 住民税と市県民税とは?

まず、住民税と市県民税の違いを一言で表すと、呼び方の違いに近い。住民税とは「地方自治体に納める税金」であり、その内訳は「都道府県民税」と「市町村民税」に分かれている。地域によっては「市民税・県民税」と呼んだり、「特別区民税・都民税」と呼んだりするが、本質的には同じ仕組みである。

  • 住民税=「都道府県民税」+「市町村民税」
  • 市県民税=「市民税」+「県民税」(都道府県民税のうち”県民税”部分と市町村民税のうち”市民税”部分)

「市県民税」は通称であり、市民税と県民税を合わせた税金を指す言葉である。「え、それって住民税と違うの?」と思うかもしれないが、実際には住民税=市民税+県民税でもあり、単に名称が変わっているだけで仕組みは同じと考えていい。ただし、自分が暮らす地域の条例や細かい規定で呼称が変わる場合があるので、通知書をよく見ると、「市・県民税(住民税)」という風にセットで書かれていることも多い。

こんなときは要注意

  • 通知書や給与明細に「住民税」と書いてある場合もあるし、「市県民税」と書いてある場合もある。だが、両者は基本的に同じ性質の税金だ。
  • 大都市圏では「特別区民税・都民税」という表記もある。「東京23区の区民税+都民税」を合算して、一般的には「住民税」と呼ぶケースがある。

結論としては、住民税と市県民税には大きな違いはない。呼び方が違うだけで、納める先が都道府県と市町村(もしくは特別区)にまたがっているため、従来「市民税と県民税をまとめたもの」を市県民税と呼んだり、都民税の場合は都民税という名称を使ったりする。いわゆる地方自治体に対して納める税金という点で共通しているのだ。

2. 住民税と市県民税の内訳

住民税(=市県民税)は、主に次の2つのパートに分かれている。

  1. 均等割
    一律の金額で課される部分。所得の多寡に関係なく一定額を納める。

    • 県民税(都道府県民税)の均等割
    • 市民税(市町村民税)の均等割
  2. 所得割
    個人の所得に応じて税額が決まる部分。前年の所得をもとに計算される。

    • 県民税(都道府県民税)の所得割
    • 市民税(市町村民税)の所得割

つまり、住民税や市県民税というのは、均等割+所得割で構成されており、トータルの税額が通知書や給与明細で「住民税(市県民税)」として示されるわけだ。

なぜ均等割があるのか?

「所得が低くてもお金を取り立てるなんて、ちょっとひどくない?」と思うかもしれないが、住民税は地域社会のサービスを受ける対価という考え方もある。道路や図書館、ゴミ処理など、市民生活に欠かせないサービスの財源となるため、最低限の負担として一律の均等割が存在する。

さらに、所得割は払える人がより多く負担するという仕組みだ。地域インフラの恩恵を受ける以上、一定額はみんなで出し合い、所得が高い人はその分多くの割合で出す、という理屈である。

3. 住民税と市県民税の計算方法

住民税(=市県民税)の税額は前年の所得をもとに算出される。つまり、「2025年に支払う住民税の額は2024年の所得を参考に決められる」という具合だ。以下、シンプルな流れを示す。

  1. 前年(1〜12月)の所得を確定
    • 給与所得、公的年金、事業所得などを合算して、その年の所得を出す。
  2. 所得控除を差し引く
    • 配偶者控除や扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除など。
  3. 所得割の課税標準額を算出
    • 所得 – 各種所得控除 = 課税標準額
  4. 課税標準額に市町村民税、都道府県民税の税率を掛ける
    • これで所得割分を計算。
  5. 均等割分を上乗せ
    • 県民税分(1,000円〜1,500円程度)+市民税分(2,500円〜3,500円程度)
      (※多くの自治体では、一定の防災目的などで加算がある場合がある)

例を挙げると、課税標準額が200万円の人の場合、仮に市民税の税率が6%、県民税の税率が4%だとすると、所得割として合計10%。所得割:200万円×10%=20万円。そこに均等割を仮に5,000円だとすると、合計20万5,000円がその年の住民税(市県民税)となる。

ただし、実際の税率や均等割の金額は自治体によって微妙に異なるので、あくまでイメージだと思ってほしい。また、所得控除の額や控除の種類によっても税額はかなり変わってくる。詳しくは自分の住んでいる市町村のホームページや総務省の地方税に関するページを確認するとよい。

4. 住民税と市県民税の納付方法(特別徴収と普通徴収)

住民税(市県民税)には大きく2種類の納付方法がある。これを知らないと「給料から天引きされたけど、どういう計算なんだ?」と戸惑う原因になるかもしれない。

4.1 特別徴収

給与天引きで納める方法である。会社に勤めているサラリーマンやOLは原則として特別徴収が義務付けられている。会社が市町村に代わって住民税を引き落とし、本人に代わって納付してくれる仕組みだ。給与明細に「住民税」「市県民税」という項目があれば、それが特別徴収分というわけだ。

  • メリット: 納期を意識せずにすむので、払い忘れや滞納リスクが少ない。
  • デメリット: 毎月の手取りが減る感覚があり、タイミングを自分で調整できない。

4.2 普通徴収

フリーランスや自営業、あるいは年の途中で会社を退職した人などは、基本的に普通徴収で自分で納めることになる。市町村から郵送される納税通知書に基づいて、自分でコンビニや役所、銀行などで支払うか、口座振替などを設定するのが一般的だ。

  • メリット: どのタイミングで納めるかコントロールしやすい。
  • デメリット: 納期を忘れてしまうと滞納や延滞金が発生するリスクがある。
  • 一括納付も可能: 年4回の分割ではなく一括で払うと多少の割引(早期納付報奨金など)が受けられる自治体もある。

「会社勤めをしているのに普通徴収にしたい」と思っても、原則的には難しい。社会保険と同じく、住民税も会社が代行する形になっているのだ。ただし、兼業や副業による所得など、会社に知られたくない場合に普通徴収を希望するパターンも存在するが、自治体によっては厳密に扱われることがある。

5. 住民税と市県民税が高くなる理由

「やけに住民税(市県民税)が高いんだけど、どうして?」という疑問を持つ人は多い。これにはいくつかの理由がある。

  1. 前年に所得が増えた
    住民税は前年の所得に連動するため、昨年よりもボーナスが増えたり、副業収入がアップしたりすると、翌年の住民税がグッと上がる。

  2. 扶養控除や配偶者控除が外れた
    子どもが就職して扶養から外れたり、配偶者の収入が増えて配偶者控除が受けられなくなったりする場合、控除が減るので課税所得が増える。

  3. ふるさと納税の控除限度を超えた
    ふるさと納税を利用しすぎて限度額を超えると、本来期待していた住民税の控除が受けられず、結果として負担額が上がってしまう。

  4. 自宅購入や住宅ローン控除の影響
    住宅ローン控除で所得税から控除しきれなかった分が住民税から控除される場合があるが、住宅ローン控除期間が終わると、その分の負担が増える。

こうした要因で「思っていたよりも高い」と感じることが多い。逆に前年に仕事を辞めたり、収入が大幅にダウンしたりすれば、翌年の住民税も下がる。したがって、住民税を把握すると、昨年の所得状況を振り返るヒントにもなる。

6. 住民税と市県民税の優遇や控除制度

住民税(市県民税)にも優遇措置や減免がある。意外と知られていないが、所得税と同様に住民税でもいろいろな控除が利用できる。たとえば下記のようなものだ。

  • 配偶者控除・扶養控除
    所得税に連動して、住民税にも同様の控除がある。
  • 社会保険料控除・生命保険料控除
    国民健康保険や国民年金の支払い額、生命保険料、地震保険料などが控除対象となる。
  • 住宅ローン控除
    所得税で控除しきれなかった場合に住民税から差し引かれる場合がある。
  • 障害者控除
    納税者本人または控除対象親族が障害者の場合に控除が適用される。
  • 寡婦・ひとり親控除
    離婚や死別をしている場合に所得に応じて一定の控除がある。

また、自治体によっては独自の減免制度や、自然災害時の特例措置などがある。災害や病気などで収入が激減した場合、役所に相談することで減免が適用されるケースもあるため、心当たりがある人は一度問い合わせてみるとよい。

7. 住民税と市県民税の納付をラクにするコツ

7.1 口座振替の活用

普通徴収の場合は、口座振替を設定しておくと納め忘れを防止できる。わざわざ金融機関やコンビニに行く必要がないため、忙しい人におすすめだ。

7.2 クレジットカード決済

自治体によってはクレジットカード決済が可能になっている。ポイントが付与されるカードを使えば、わずかながらお得になる。特に高額納付の場合にはポイントの恩恵が大きい。ただし、手数料がかかる自治体もあるので要注意。

7.3 ふるさと納税の活用

ふるさと納税をうまく使うと、翌年の住民税(市県民税)が軽減されるうえに、寄付先の特産品がもらえて一石二鳥だ。ただし、控除上限額を超えると逆に負担が増えるため、事前にシミュレーションして上限額を確認しておくことが大切である。

7.4 支払いスケジュールを把握する

会社員であっても、ボーナス時に住民税の天引きが増えるケースがある。「思ったより手取りが少なかった!」と慌てる前に、住民税の年間支払額と月割り額をチェックしておくのがよい。給与明細の住民税欄をこまめに確認しておけば、突発的な痛手を避けやすい。

8. よくある質問(FAQ)

Q1: 「住民税」と「市県民税」はまったく同じものと考えていいの?

ほぼイコールである。市県民税という言葉は「市民税と県民税」を組み合わせた呼び方だが、住民税は「都道府県民税と市町村民税」を合わせたものを指す。要するに、自治体によって呼称が異なるだけで、本質的には同じ税金と考えてよい。

Q2: 「市県民税」と書かれた通知書が届いたけど、なぜ「住民税」と書かれていないの?

自治体によって通知書の表記が異なり、単に「市・県民税」という呼び名を採用しているだけの場合がある。内容自体は住民税と同じ税金だ。

Q3: 住民税はいつからいつまでの所得が反映されるの?

1〜12月の所得をベースに翌年の6月から翌々年の5月までの納付額が決まる。たとえば2024年の所得に対しては2025年6月〜2026年5月までの住民税が課される。

Q4: 会社に副業がバレたくない。住民税から副業がバレるって本当?

特別徴収で副業分の住民税もまとめて会社に通知されると、会社の経理担当が疑問に思う可能性はある。しかし、副業分を普通徴収にして分けることを希望できる場合もあるが、自治体によっては対応が異なる。絶対にバレない保証はないが、普通徴収を選択してリスクを下げるのが一般的だ。

Q5: 自分の住民税を安くするにはどうすればいい?

すぐに思いつくのはふるさと納税や各種控除を漏れなく活用することだ。また、社会保険料や生命保険料をきちんと申告していないと損をするので、確定申告や年末調整の際に必ずチェックしておくべし。あとは節税策としては副業や投資による収入増を図る一方で必要経費をしっかり計上するなどが現実的な手段となる。

9. まとめ

ここまで、住民税と市県民税の違いについて詳しく解説してきたが、総括すると以下のポイントが大事だ。

  1. 名称は違えど、実質同じ税金

    • 住民税 = 都道府県民税 + 市町村民税
    • 市県民税 = 市民税 + 県民税
    • 自治体ごとに呼称が異なるだけで、仕組みや性質は同じである。
  2. 前年の所得に応じて課税される

    • 均等割(定額)+ 所得割(所得に応じて変動)で構成。
    • 控除や扶養状況、前年収入の増減で税額が変わる。
  3. 特別徴収(給与天引き)or 普通徴収(自分で納付)

    • 会社員は特別徴収が原則。
    • フリーランスや年の途中退職者は普通徴収。
    • 納付忘れや延滞に要注意。
  4. ふるさと納税や各種控除を活用して節税

    • ふるさと納税で住民税の控除を受けられる。
    • 社会保険料控除や扶養控除、住宅ローン控除などで税負担を減らせる場合あり。
  5. 納付方法を工夫してラクをしよう

    • 口座振替やクレジットカード払いなどで手間を減らす。
    • ボーナス時の住民税の増額に備え、手取りを予測する。

「住民税と市県民税」という言葉の違いによって混乱しがちだが、中身を見れば本質は同じである。実際には、通知書や給与明細の表記が異なるだけで、支払う税金の性質は共通している。しっかりと制度を理解し、各種控除を賢く使い、納付方法も適切に選ぶことで、意外と節税や納付の効率化を図ることができる。