有川浩の「植物図鑑」は、都会の喧騒に疲れた読者にとって、心温まる癒しの物語です。この記事では、物語の全体像をネタバレを含めて紹介します。
さやかさんという普通のオフィスレディが、倒れていた青年・樹さんを助けたことで始まる奇妙な同居生活から、二人が織り成す山菜狩りの楽しみ、初めての喧嘩と告白、そして突然の別れと再会までを詳しく解説します。
心温まるストーリーに興味がある方や、物語の詳細を知りたい方にぴったりの記事です。
- 「植物図鑑」のあらすじと主要な展開
- さやかと樹の出会いと同居生活の始まり
- 二人の山菜狩りを通じた絆の深まり
- 初めての喧嘩とその後の告白
- 突然の別れと再会、そしてプロポーズの詳細
有川浩「植物図鑑」の超あらすじ(ネタバレあり)
第1章:出会いそして一つ屋根の下
ある日、普通のオフィスレディであるさやかさんは、酔っ払って自宅マンションに帰ってきました。すると、マンションの前で若い男性が倒れているのを見つけました。彼はとても疲れている様子で、どこか具合が悪そうでした。
さやかさんは彼を放っておけず、家に連れて帰ることにしました。その青年は見た目が人畜無害で、危険な感じはしませんでした。翌朝、さやかさんが起きると、なんとその青年が台所に立っていました。彼は、さやかさんの冷蔵庫にあった少し傷みかけた食材を使って、朝ご飯を作っていたのです。
その朝ご飯を食べたさやかさんは、とても癒されました。しばらくの間、温かい手料理を食べていなかったので、久しぶりにほっとする気持ちになったのです。そこでさやかさんは、青年に「行くところがないなら、ここにいないか」と提案しました。
こうして二人は一緒に住むことになりました。青年の名前は「樹(いつき)」と言いますが、名前以外のことは一切明かしませんでした。彼には謎が多く、さやかさんは少し不安に感じましたが、同時に彼の優しさと家事の腕前に助けられていました。
さやかさんと樹の共同生活は、予想以上に快適でした。樹は深夜にバイトをしながらも、さやかさんの家の洗濯や掃除、料理を完璧にこなしてくれました。さやかさんは樹の存在に次第に安心感を覚え、彼に心を開いていくようになりました。
それでも、樹が過去について何も話さないことに、さやかさんは少しだけ不安を感じ続けていました。しかし、温かい家庭の雰囲気と樹の優しさに包まれた日々が続くことで、さやかさんの心の中の不安も少しずつ和らいでいったのです。
第2章:二人での生活、山菜ごはん
一緒に暮らし始めたさやかさんと樹さんの日々は、次第に充実したものになっていきました。さやかさんは、最初はただの家事を手伝ってくれる人として樹さんを見ていましたが、彼の真面目さや優しさに触れるうちに、次第に彼に惹かれていきました。
樹さんは夜にバイトをしていましたが、日中はさやかさんの家の掃除や洗濯、料理を完璧にこなしていました。さやかさんは、彼の手際の良さに驚きながらも、とても助かっていました。樹さんが作る料理はどれも美味しく、さやかさんは毎日の食事が楽しみになっていました。
ある日、樹さんはさやかさんに「近所の川まで散歩に行かないか」と誘いました。さやかさんは普段はあまり外に出るのが好きではありませんでしたが、樹さんの誘いに興味を持ち、一緒に行くことにしました。
川に着くと、樹さんは周りの草や植物について説明し始めました。「これは食べられる草だよ」と言って、さやかさんにいくつかの植物を教えてくれました。さやかさんは驚きました。こんな身近な場所に、食べられる植物がたくさんあるとは知らなかったのです。
樹さんの指導のもと、さやかさんは初めて自分で植物を摘み取りました。家に帰ると、樹さんがその植物を使って料理をしてくれました。自分で摘んだ植物を食べる楽しさを初めて知ったさやかさんは、とても満足感を覚えました。
この体験を通じて、さやかさんと樹さんの距離はさらに近くなりました。さやかさんは、樹さんと一緒にいると安心できると感じるようになり、彼と過ごす時間がますます楽しくなっていきました。
その後も、さやかさんと樹さんは何度も一緒に山菜を狩りに行くようになりました。二人で自然の中を歩き、植物を探す時間は、さやかさんにとって特別なものとなりました。樹さんの知識と優しさに触れるたびに、さやかさんは彼に対する思いを深めていきました。
こうして、さやかさんと樹さんは共通の楽しみを通じて、少しずつ心を通わせていきました。さやかさんは、樹さんとの生活が自分にとってどれほど大切なものかを実感し始めていました。
第3章:初めての喧嘩、そして告白
さやかさんと樹さんの生活は順調でしたが、ある日、二人はいつものように山菜を狩りに出かけました。川の近くでクレソンを摘んでいると、さやかさんが足を滑らせて冷たい川に片足を突っ込んでしまいました。びっくりしたさやかさんを見て、樹さんはすぐに自分のハンカチを取り出して、彼女の足を拭いてくれました。
しかし、そのハンカチが問題の始まりでした。樹さんは普段、物に執着せず、特にお金に対してはとても慎重でした。それなのに、ブランド物のハンカチを持っていたのです。さやかさんはそのことに引っかかりました。「どうしてこんな高価なハンカチを持っているの?」と尋ねると、樹さんは「バイト中に貧乏自慢をしていた時、これが一番貧乏なエピソードだったからもらったんだ」と説明しました。しかし、誰からもらったのかは明かしませんでした。
さやかさんは、そのハンカチが女の子からの贈り物だと直感しました。それが気になって仕方がなくなり、後日、夜中に樹さんのバイト先に行ってしまいました。同じシフトに女の子がいるかを確かめるためです。さやかさんが到着すると、ちょうど樹さんが女の子とそのハンカチの話をしているところでした。それを見たさやかさんは激しく嫉妬し、そのまま店を飛び出してしまいました。
追いかけてきた樹さんは、「夜中に一人で出歩くなんて危ない!」と怒りました。しかし、さやかさんは嫉妬のあまり我慢していた気持ちを吐き出してしまいました。二人は口論になり、最終的にはケンカ別れをしてしまいました。
翌日、さやかさんは同僚から飲み会に誘われました。樹さんと顔を合わせづらかったさやかさんは、久しぶりに飲みに行くことにしました。しかし、その帰り、同僚の男性に最寄り駅まで付きまとわれてしまいました。
そこに現れたのは樹さんでした。同僚を追い払ってくれた樹さんでしたが、今度は樹さんが嫉妬しているようでした。また口論になる二人でしたが、感情的になったさやかさんは、ついに自分が樹さんを好きだという気持ちを告白しました。すると樹さんも、「本当は僕も好きだけど、必死に隠していたんだ」と告白しました。
その日を境に、二人の関係は一層深まりました。お互いの気持ちを確かめ合い、今まで以上に理解し合うようになったのです。さやかさんは、樹さんとの生活がさらに幸せなものになると確信しました。
第4章:突然の別れ
さやかさんと樹さんは、恋人同士としての甘い同棲生活を楽しんでいました。樹さんは、さやかさんに対して優しく、家事も完璧にこなしてくれる理想のパートナーでした。しかし、樹さんは過去について一切話そうとしませんでした。さやかさんはそれを気にしながらも、彼との幸せな生活に満足していました。
ある日、さやかさんが仕事から帰ってくると、いつもいるはずの樹さんがいませんでした。最初は買い物にでも行っているのかと思いましたが、時間が経っても帰ってきません。不安になったさやかさんが家中を探すと、樹さんの荷物もすべて消えていました。台所のテーブルの上には、「また、いつか」と一言だけ書かれた手紙と合鍵、そして樹さんがこれまで作ってくれた料理のレシピが書かれたノートが置かれていました。
さやかさんはひどい喪失感に襲われました。毎日一緒に過ごしていた大切な人が突然いなくなってしまったのです。しかし、さやかさんは諦めることなく、樹さんを待つことを決意しました。彼が戻ってくる日を信じて、さやかさんは樹さんとの思い出を胸に、彼の帰りを待ち続けました。
それからのさやかさんの生活は、以前とはまったく違うものでした。樹さんがいなくなったことで、家事はすべて自分でやらなければならなくなりましたが、さやかさんは樹さんが残してくれたレシピノートを見ながら、彼の味を再現しようと努力しました。苦手な料理も、一生懸命に挑戦し、少しずつ上達していきました。
また、さやかさんは樹さんとの思い出を大切にし、二人でよく行った山菜狩りにも一人で出かけるようになりました。自然の中で過ごす時間が、さやかさんにとっては心の癒しとなりました。彼女は、樹さんとの日々を思い出しながら、その場所で静かに待ち続けました。
時間が経つにつれて、さやかさんの中には樹さんが戻ってくるという希望が薄れていくこともありましたが、それでも彼女は諦めませんでした。彼がいつか戻ってきてくれると信じて、毎日を過ごしていました。樹さんがいない寂しさを抱えながらも、さやかさんは強く生きていくことを心に誓いました。
第5章:再会とプロポーズ
さやかさんの毎日は、樹さんがいない寂しさと戦いながらも、前向きに過ごしていました。彼の帰りを信じて、一人で山菜狩りに行ったり、樹さんのレシピを見ながら料理を作ったりして、彼との思い出を大切にしていました。
ある日、さやかさんが家に帰ると、ポストにリターンアドレスのない届け物が入っていました。中身が何か気になって開けてみると、それは図鑑でした。図鑑の中を見ると、なんとそこには樹さんの名前が記されていました。さやかさんは驚きましたが、それと同時に希望の光が見えた気がしました。
さやかさんはこの図鑑を手掛かりに、樹さんを見つけようと決心しました。図鑑の出版社に問い合わせをし、どこにいるのか絶対に見つけ出そうと意気込みました。さやかさんは、図鑑をしっかりと握りしめ、自分の部屋に向かいました。
部屋の前に着いたとき、さやかさんは驚きました。そこには、待ち続けた樹さんが立っていたのです。さやかさんは喜びと怒りが入り混じった感情で涙が止まりませんでした。樹さんは優しくさやかさんを抱きしめ、事情を説明しました。
樹さんは、自分の家の事情を片付けるために突然いなくなっていたのです。どうしても話せないことがあり、さやかさんを巻き込まないようにするためだったと説明しました。しかし、ずっとさやかさんのことを思っていたと伝えました。
樹さんは、「これからはずっと一緒に生きていきたい」とさやかさんにプロポーズしました。さやかさんは涙ながらにそのプロポーズを受け入れました。彼女は樹さんと一緒にいることがどれほど大切かを改めて感じ、これからの二人の未来に希望を抱きました。
こうして、さやかさんと樹さんは再び一緒になることができました。奇妙な同居から始まった二人の関係は、深い愛情と信頼に基づいたものに変わりました。彼らは共に手を取り合い、幸せな夫婦としての新しい生活を始めました。さやかさんと樹さんの絆は、これからも続いていくことでしょう。
有川浩「植物図鑑」の感想・レビュー
有川浩の「植物図鑑」を読んで感じたことを、具体的に書きます。この物語は、都会の喧騒に疲れた心を癒すような温かいストーリーです。さやかさんと樹さんの出会いから始まる奇妙な同居生活は、最初は不思議な感じがしますが、次第に二人の関係が深まっていく様子が丁寧に描かれています。
さやかさんが樹さんに惹かれていく過程は、自然に感じられました。特に、二人が山菜を狩りに行くシーンはとても印象的です。自然の中で過ごす時間が、二人の絆を深めるきっかけとなっているところが素敵でした。さやかさんが初めて自分で摘んだ植物を料理して食べるシーンは、彼女の成長を感じさせます。
物語の中での喧嘩や嫉妬も、現実的な問題として描かれています。樹さんのハンカチのエピソードから始まる喧嘩は、二人の間にある小さな不安や疑念が引き起こすもので、読んでいて共感できる部分が多かったです。また、さやかさんが夜中に樹さんのバイト先に行ってしまうシーンは、彼女の純粋な気持ちが伝わってきて、切ない気持ちになりました。
一番心に残ったのは、樹さんが突然いなくなってしまうシーンです。さやかさんが一人で樹さんの帰りを待ち続ける姿は、とても健気で感動的でした。彼女が樹さんのレシピノートを見ながら料理をするシーンでは、樹さんへの思いがひしひしと伝わってきます。
最後に、再会とプロポーズのシーンは、これまでの二人の努力と絆が報われる瞬間で、とても感動的でした。樹さんが事情を説明し、さやかさんにプロポーズするシーンは、読者にとっても待ち望んだ瞬間です。二人の幸せを心から祝福したくなります。
全体を通して、「植物図鑑」は心温まる物語であり、自然の中での生活や、日常の中での小さな喜びを再発見させてくれる作品でした。さやかさんと樹さんの成長と絆に共感し、感動すること間違いなしです。
まとめ:有川浩「植物図鑑」の超あらすじ(ネタバレあり)
上記をまとめます。
- さやかが樹と出会う経緯
- 樹がさやかの家で共同生活を始める
- 樹が家事全般を完璧にこなすこと
- 二人が山菜狩りに出かける楽しみ
- 山菜狩りで二人の関係が深まる
- 樹のブランド物のハンカチがきっかけで喧嘩
- さやかが樹のバイト先を訪れる
- 喧嘩後にさやかが飲み会でトラブルに遭う
- 樹がさやかを助け、二人が互いの気持ちを告白
- 突然の別れと再会後のプロポーズ