住野よるの『また、同じ夢を見ていた』は、感動的なストーリーと深いテーマが特徴の作品です。主人公の小柳奈ノ花が、さまざまな人々との出会いを通じて「幸せ」とは何かを探求する物語です。
学校でのトラブルから始まり、アパートに住むアバズレさんや南さん、クラスメートの桐生くんとの交流を描きながら、奈ノ花が成長していく様子が丁寧に描かれています。
本記事では、作品のあらすじと重要なポイントをネタバレを交えて詳しく解説します。興味を持った方はぜひ続きをご覧ください。
- 小柳奈ノ花が「幸せ」を探求する過程
- アバズレさんとの関係とその影響
- 南さんとの出会いと友情の形成
- 桐生くんの困難と奈ノ花のサポート
- 物語全体のテーマと結末
また、同じ夢を見ていた(住野よる)の超あらすじとネタバレ
第1章: 彼女の幸せ
小柳奈ノ花(こやなぎなのは)は、ある日学校で担任の先生に怒られました。その帰り道、奈ノ花は小さな猫のような尻尾の短い彼女と一緒に、クリーム色の2階建てアパートに向かいました。そのアパートの角部屋には、奈ノ花がよく訪れる人が住んでいました。
部屋のチャイムを鳴らすと、Tシャツに長ズボンを着た綺麗なお姉さんが出てきました。そのお姉さんは奈ノ花が「アバズレさん」と呼ぶ人でした。アバズレさんはニコニコしながら「こんにちは! 奈ノ花ちゃん」と言い、奈ノ花と尻尾の短い彼女を部屋に招き入れました。
アバズレさんの部屋は、古いけれど居心地が良さそうな場所でした。奈ノ花は毎日学校が終わると、アバズレさんの部屋に行くことが多かったです。アバズレさんがいない日もありましたが、在宅しているときは奈ノ花にヤクルトやアイスをくれました。奈ノ花とアバズレさんは、他愛もない話をしたり、オセロというゲームをしたりして楽しみました。いつもアバズレさんが勝つので、奈ノ花は「いつかアバズレさんに勝ってみせる」と思っていました。
ある日、奈ノ花はアバズレさんに「幸せって何?」と尋ねました。それは学校の授業で出たテーマだったからです。アバズレさんは少し考えてから、「私の今の幸せは、奈ノ花ちゃんが来てくれることだよ」と言いました。そして、幸せのヒントとしてアイスをくれました。
このように、奈ノ花にとってアバズレさんの存在は大きなものでした。アバズレさんの部屋で過ごす時間は、奈ノ花にとって特別なひとときでした。奈ノ花はアバズレさんから「幸せ」について少しずつ学んでいきました。彼女にとっての幸せは、大切な人と一緒に過ごす時間や、小さな喜びを感じることだったのです。
第2章: 物語の素晴らしさ
ある日、奈ノ花はいつも通りアバズレさんの家に行きました。しかし、アバズレさんは留守でした。いつもならアバズレさんがいなくても、おばあちゃんが家にいるはずですが、その日おばあちゃんもいませんでした。奈ノ花は行く宛てがなくなり、少し困ってしまいました。
奈ノ花はしばらく考えた後、尻尾の短い彼女を連れて、おばあちゃんの家に向かうことにしました。途中で奈ノ花はふと思い立ち、いつもとは違う道を選んでみることにしました。分かれ道の先には、立派な門があり、その奥には石段が続いていました。
奈ノ花はその石段を登っていくことにしました。石段を上りながら、奈ノ花はどんな場所にたどり着くのか少しドキドキしていました。やがて石段は途中で途切れ、奈ノ花は砂利が敷き詰められた広場に出ました。
広場には四角い石の箱のような建物がありました。その建物には普通のドアはなく、代わりに大きな穴がぽっかりと空いていました。奈ノ花は少し怖かったけれど、勇気を出してその穴の中に入ってみることにしました。
建物の中は暗かったですが、少し進むとまた階段がありました。奈ノ花はその階段をゆっくりと上がっていきました。階段を上がりきると、明るい日差しが顔を照らし、優しい風が奈ノ花の髪をなびかせました。
奈ノ花が日差しの中に出ると、そこには一人の女性がいました。その女性は体操座りをしていて、手首に何かを押し当てているようでした。奈ノ花とその女性は目が合い、少しの間お互いに驚いて声も出ませんでした。
その女性が奈ノ花に気づいて、すぐに道具を隠しました。奈ノ花はその女性に「こんにちは」と挨拶しました。女性は少し緊張しながらも、「こんにちは」と返しました。その女性の名前は南さんと言いました。
奈ノ花と南さんは少しずつ話をするようになりました。南さんは最初はあまり話さなかったけれど、奈ノ花がいろいろな話をするうちに少しずつ心を開いてくれました。奈ノ花は南さんのことをもっと知りたいと思いました。そして、南さんも奈ノ花の話を楽しんでいるようでした。
こうして、奈ノ花と南さんは友達になりました。奈ノ花は南さんとの出会いを大切に思い、また南さんと会うのを楽しみにするようになりました。奈ノ花にとって、この出会いは新しい物語の始まりでした。そして、この物語の中で、奈ノ花はたくさんの素晴らしいことを学んでいくのでした。
第3章: 勇気と心の力がいること
ある日、奈ノ花が学校から帰ってくると、自分の部屋の前で待っていた中野さんに出会いました。中野さんは奈ノ花の友達で、突然訪ねてくることがよくありました。奈ノ花は、あまり突然の訪問が得意ではなかったので、少し困った顔をしましたが、中野さんを帰そうとはしませんでした。
その頃、奈ノ花のクラスメートの桐生くんが学校に来なくなってから数日が経っていました。桐生くんはとても静かで絵を描くのが好きな男の子でした。奈ノ花は桐生くんがどうして学校に来なくなったのか気になっていました。
ある日、桐生くんが久しぶりに学校に来たとき、教室の後ろのドアから静かに入ってきました。クラスのみんながその姿に気づき、一瞬で教室は静まり返りました。みんなの視線が一斉に桐生くんに向かいましたが、その視線は冷たく感じられました。
奈ノ花はこの状況に不思議に思い、廊下でひとみ先生を呼び止めました。ひとみ先生に桐生くんのことを尋ねると、先生は「奈ノ花さん、桐生くんの味方でいてあげてほしいの」と言いました。その言葉に奈ノ花は少し驚きましたが、うなずきました。
昼休み、奈ノ花は給食が終わった後の教室で、桐生くんが男子たちに囲まれているのを見つけました。男子たちは桐生くんに心無い言葉を投げかけていました。「お前の父ちゃん、泥棒したんだろ」とか「変な絵を描く奴の父ちゃんは悪い奴なんだな」といったひどい言葉でした。
奈ノ花はその言葉に胸が痛みましたが、その場で何も言えませんでした。桐生くんはうつむき、何も言わずにただじっとしていました。奈ノ花はその光景を見て、桐生くんの苦しみを感じましたが、どうすればいいのかわからず、ただ見守ることしかできませんでした。
その日の帰り道、奈ノ花は中野さんと一緒に歩きながら、桐生くんのことを考えていました。中野さんは奈ノ花の様子に気づき、「何かあったの?」と尋ねました。奈ノ花は桐生くんのことを話し、中野さんに相談しました。中野さんは「桐生くんを助けたいなら、まずは友達として話しかけてみるのがいいんじゃない?」と言いました。
奈ノ花はその言葉に勇気をもらい、次の日から少しずつ桐生くんに話しかけることにしました。最初は簡単な挨拶から始め、少しずつ会話を増やしていきました。桐生くんは最初は驚いていましたが、次第に奈ノ花の優しさに心を開いていきました。
こうして奈ノ花は、桐生くんと友達になり、彼の心の支えになることができました。奈ノ花は勇気を出して行動することで、人を助けることができると実感しました。そして、友達の大切さを改めて感じました。
第4章: 人それぞれの幸せ
あるよく晴れた日、奈ノ花はいつも通り家を出ましたが、今日は学校には行きませんでした。学校に行くよりも大事な用事があったからです。それは、桐生くんの家を訪れることでした。
奈ノ花は尻尾の短い彼女を連れずに、ひとりで桐生くんの家に向かいました。何度かチャイムを鳴らすと、元気のない女性がドアを開けました。それは桐生くんのお母さんでした。桐生くんのお母さんに促されて奈ノ花は家の中に入りました。
桐生くんは家に引きこもっていて、自分の部屋から出てきませんでした。奈ノ花は桐生くんの部屋の前に行き、静かにドアをノックしました。返事はありませんでしたが、奈ノ花はそのまま話し始めました。
「桐生くん、ごめんなさい。私は何もできなかったけれど、今日はそのことを謝りたかったの」と奈ノ花は静かに言いました。そして、続けて「幸せとは何か考えてみたんだけど、桐生くんはどう思う?」と問いかけました。
奈ノ花は答えが返ってこないことを気にせず、さらに話を進めました。「私はアバズレさんに教えてもらったんだけど、幸せって大切な人と一緒にいることや、小さな喜びを感じることだと思うの。それから、復讐から始めるっていうのは、ちょっと違うかもしれないけど、私たちにできることを一緒に考えたいの」と話しました。
奈ノ花の言葉に桐生くんは少しずつ心を開き始めました。「小柳さん、どうして僕に構うの?」と桐生くんは静かに尋ねました。奈ノ花は即座に答えました。「私が構うと決めたからよ。それに、桐生くんの絵が好きなの」と奈ノ花は続けました。
奈ノ花は桐生くんが絵を描けることがすごいと感じていました。「桐生くんの絵には、言葉では伝えられない気持ちがたくさん詰まっていると思うの。それがすごいことだと私は思う」と奈ノ花は熱心に語りました。
扉の奥で桐生くんの息が止まったように感じました。奈ノ花の言葉が彼の心に響いたのです。奈ノ花は桐生くんがどんなに辛い思いをしているか理解しようと努力しました。そして、彼が再び絵を描くことを願っていました。
こうして奈ノ花と桐生くんは少しずつ、心の距離を縮めていきました。奈ノ花は桐生くんの力になりたいと強く思いました。そして、桐生くんも奈ノ花の優しさに支えられ、少しずつ前向きな気持ちを取り戻していきました。奈ノ花は、人それぞれの幸せがどのような形であっても、それを見つけるために努力することが大切だと感じました。
第5章: まとめ
奈ノ花はこれまでの出来事を振り返りながら、幸せについて改めて考えました。アバズレさんや南さん、そして桐生くんとの出会いを通じて、奈ノ花は様々な形の幸せを見つけてきました。
まず、アバズレさんの存在です。アバズレさんの家で過ごす時間は、奈ノ花にとってとても楽しいものでした。アバズレさんとの他愛ない会話やオセロのゲーム、ヤクルトやアイスを一緒に食べることが、奈ノ花にとっての小さな幸せでした。アバズレさんが「お嬢ちゃんが来てくれることが私の今の幸せ」と言ってくれたことも、奈ノ花の心に深く残りました。
次に、南さんとの出会いです。南さんとの出会いは偶然でしたが、奈ノ花はそこで新しい友達を見つけました。最初は少し怖かったけれど、勇気を出して話しかけたことで、南さんと心を通わせることができました。南さんとの会話や共有した時間は、奈ノ花にとって大切な宝物になりました。
そして、桐生くんとの関わりです。桐生くんが学校に来なくなり、心無い言葉に苦しんでいる姿を見た奈ノ花は、どうすれば彼を助けられるかを考えました。奈ノ花は自分の勇気を振り絞り、桐生くんに話しかけ、少しずつ彼の心を開いていきました。桐生くんが再び絵を描けるようになることを願いながら、奈ノ花は彼の力になろうと努力しました。
奈ノ花はこれらの経験を通じて、幸せとは一つの形ではなく、人それぞれに違う形があることを学びました。アバズレさんのように大切な人と過ごす時間、南さんとの新しい友情、そして桐生くんのように誰かを支えることも、すべてが幸せの一部です。
奈ノ花は、幸せを見つけるためには自分から動くことが大切だと感じました。勇気を出して一歩踏み出すことで、新しい幸せを見つけることができるのです。そして、周りの人々との関わりの中で、互いに支え合いながら生きていくことが、奈ノ花にとっての幸せだと気づきました。
このようにして、奈ノ花は自分なりの幸せを見つける旅を続けていきました。彼女の心には、アバズレさん、南さん、桐生くんとの大切な思い出がいつまでも残り、それが奈ノ花の人生を豊かにしていくのです。人それぞれの幸せを見つけることができた奈ノ花は、自分の未来に向けて、これからも前向きに歩んでいくことでしょう。
また、同じ夢を見ていた(住野よる)の感想・あらすじ
住野よるの『また、同じ夢を見ていた』は、心温まる感動的な物語です。この作品を読んで、いくつかの点で深く感銘を受けました。
まず、主人公の小柳奈ノ花はまだ幼いですが、とても強くて優しい心を持っています。彼女がアバズレさんや南さん、桐生くんと出会い、それぞれの人たちと交流する中で「幸せ」について学んでいく姿が描かれています。奈ノ花がそれぞれの人物から学ぶことは、私たちにも多くのことを教えてくれます。
アバズレさんとの関係は特に印象的です。アバズレさんは奈ノ花にとっての相談相手であり、友達でもあります。アバズレさんが奈ノ花に「幸せ」について教える場面は、とても感動的です。彼女の言葉や行動から、奈ノ花は大切な人と過ごす時間や小さな喜びを感じることの大切さを学びます。
南さんとの出会いも重要なポイントです。南さんは最初は心を閉ざしていましたが、奈ノ花の純粋な心に触れ、少しずつ心を開いていきます。南さんとの友情は、奈ノ花にとって新しい経験であり、大切な宝物となります。奈ノ花が南さんと過ごす時間は、物語の中で特別な意味を持っています。
桐生くんとの関わりも感動的です。桐生くんが学校に来なくなり、心無い言葉に苦しむ姿を見た奈ノ花は、どうすれば彼を助けられるかを真剣に考えます。奈ノ花は自分の勇気を振り絞り、桐生くんに話しかけ、少しずつ彼の心を開いていきます。奈ノ花が桐生くんの力になろうとする姿は、友達の大切さを教えてくれます。
この作品を通じて、幸せとは一つの形ではなく、人それぞれに違う形があることを学びました。奈ノ花が出会った人々との関わりの中で、互いに支え合いながら生きていくことが、彼女にとっての幸せだと気づきます。
全体として、『また、同じ夢を見ていた』は、心に深く響く素晴らしい作品です。奈ノ花の成長と彼女を取り巻く人々の物語を通じて、読者もまた幸せについて考えさせられます。中学生でも理解しやすい平易な表現で書かれているため、幅広い年齢層の読者におすすめです。
まとめ:また、同じ夢を見ていた(住野よる)の超あらすじとネタバレ
上記をまとめます。
- 小柳奈ノ花の学校でのトラブル
- アバズレさんとの日常の交流
- アバズレさんからの「幸せ」についての教え
- 南さんとの偶然の出会い
- 南さんとの友情の形成
- 桐生くんが学校に来なくなる理由
- 桐生くんに対するクラスメートの心無い言葉
- ひとみ先生からの「桐生くんの味方でいてほしい」とのお願い
- 奈ノ花が桐生くんの家を訪れる場面
- 奈ノ花が学んだ「幸せ」の多様な形