「シフォン・リボン・シフォン」は、家族の期待を裏切り、自らの夢を追い求めた水橋かなえさんの物語です。
大学卒業後、ハワイでの経験からファッションビジネスに挑戦したかなえさんは、乳がんの診断を受けながらも通販業務に専念。実店舗「シフォン・リボン・シフォン」の開店と成長を描きながら、過去の人間関係や家族との葛藤が織り交ぜられた感動的なストーリーが展開します。
詳細なあらすじとネタバレをお楽しみください。
- 水橋かなえさんの夢を追い求める物語
- かなえさんがファッションビジネスに挑戦する経緯
- 乳がんの診断とその後の生活の変化
- 実店舗「シフォン・リボン・シフォン」の開店と成長
- 家族との関係や過去の葛藤が物語にどう絡むか
「シフォン・リボン・シフォン」の超あらすじ(ネタバレあり)
水橋かなえさんは、東京の郊外で育ちました。彼女の家族は、教育に深く関わっていました。祖父は川巻市の小学校で校長をしており、父親は教育委員会の役員として働いていました。母親も中学校で国語の教師をしていました。このように、教育に携わる家族の中で育ったかなえさんは、教員になるのが当然とされていました。
しかし、かなえさんは大学の卒業旅行でハワイに行った時、心に強い影響を受けました。旅行中に立ち寄ったお土産屋で、美しいスリップを見かけました。スリップにはシフォンの飾りがついており、その軽やかで華やかなデザインが頭から離れなくなりました。帰国後、かなえさんは東京郊外のファッションビルに、小さなフロアを借りてオリジナルのナイティ(パジャマ)を販売することに決めました。
店を始めた頃、雑誌に紹介されたことで、遠方から電話での注文が増えてきました。しかし、仕事が忙しくなるにつれて、かなえさんは脇にしこりを感じるようになりました。病院で検査を受けた結果、乳がんが発見されました。医師からは、左乳房とリンパ節の切除手術が必要だと告げられました。手術後、かなえさんは乳がん患者専用のカップとプロテーゼを装着しましたが、以前のように長時間働くことが難しくなりました。そこで、東京のお店は雇われ店長に任せ、川巻市の駅前商店街の空き店舗で通販業務に専念することにしました。
「シフォン・リボン・シフォン」という店名で、インターネット通販が順調に進んでいきました。また、実店舗での販売も視野に入れ、準備を進めていました。ある日、店にやってきたのは市原美保子さんという女性でした。美保子さんはフランス製のブラジャーを手に取り、パリでの留学経験について長々と話しました。支払い時に使われたクレジットカードの名義は「イチハラ ミホコ」でしたが、返品に来たのはその美保子さんでした。
美保子さんとは高校時代の同級生であったため、すぐに話が通じました。市原家はかつてこの地域で大きな土地を所有していましたが、当主が愛人を作り散財したため、家計が悪化しました。不動産投資でも失敗し、アパート経営でも入居者とのトラブルが絶えませんでした。その結果、現金も不足し、ついには美保子さんが使っていたカードで買い物をするようになったとのことです。美保子さんは介護施設に入居することになり、その話を聞いたかなえさんは、自分の状況と重ね合わせて複雑な気持ちを抱えました。
かなえさんの幼少期の思い出の一つに、スケッチブックにデザイン画を描いているとき、母親に取り上げられて勉強を強いられた経験があります。教育大学に不合格になった時、家を出て上京した時、ランジェリーショップを開いた時など、かなえさんは家族の期待を裏切ることが多かったとされました。過労で入院した際には、母親から「天罰だ」と言われてしまいました。この言葉が許せないかなえさんは、家族との縁を切ろうと考えましたが、弟の浩樹さんとその妻・由美香さんが間に入りました。
数年前、母親はくも膜下出血を起こしましたが、命に別状はありませんでした。しかし、左半身には重度の麻痺が残りました。専業主婦の由美香さんが母親と同居し、面倒を見ていましたが、かなえさんも久しぶりに実家に帰ることにしました。そこで、新発売のパジャマを母親にプレゼントしました。パジャマは、母親の好きなくすんだピンク色で、レースやリボンなどの締め付ける部分がなく、片手でも楽に着脱できるようになっていました。母親は派手だと文句を言いながらも、優しい肌ざわりには満足している様子で、穏やかな寝顔を見せていました。
「シフォン・リボン・シフォン」は、ドアを開けるだけで開店できるスタイルを採用していました。シャッターの上げ下げが不要で、開店準備も簡単です。プライベートな空間を大切にし、フィッティングルームも用意していました。時折、男性誌のグラビアカメラマンやアダルトビデオの撮影隊が訪れることもありましたが、これは稀なことです。メインのターゲットは、春香のような明るく元気な女性です。
かなえさんは、接客からレジ係、発注業務まで一人で行っていました。昼食は、客足が途絶えた時間帯におにぎりや菓子パンを食べるだけでした。最近の検診で、ガンの再発の心配がないと主治医からお墨付きをもらっていましたが、将来的には体を壊すことが心配されていました。
店頭にバイト募集の張り紙を出すと、真っ先に面接に来たのが春香さんでした。春香さんは近くの短大に通いながら、服飾の仕事に就きたいと考え、自分の店を持つことが夢でした。かなえさんは、夢が簡単にはかなわないことを理解しながらも、春香さんの明るく元気な性格にひかれ、彼女を採用することに決めました。春香さんには店番をお願いし、彼女と共に「シフォン・リボン・シフォン」を運営していくことになりました。
「シフォン・リボン・シフォン」の感想・レビュー
「シフォン・リボン・シフォン」は、水橋かなえさんの感動的なストーリーが描かれた作品です。物語は、かなえさんが家族の期待を裏切り、ファッションビジネスに挑戦するところから始まります。大学の卒業旅行でハワイに行った際、華やかなスリップを見て心を奪われ、帰国後にファッションビジネスを始める決心をします。
しかし、仕事が忙しくなる中で、かなえさんは乳がんの診断を受けます。左乳房とリンパ節の切除手術を受けた後、長時間働くことが難しくなり、通販業務に専念することにしました。これにより、「シフォン・リボン・シフォン」の実店舗の運営を譲る決断をします。
その後、インターネット通販が順調に進み、実店舗の開店も実現します。物語の中では、高校時代の同級生である市原美保子さんとの再会や、過去の家族との葛藤が描かれています。特に、母親の健康問題やその後の介護も重要な要素として扱われています。
また、明るい性格の春香さんがバイトとして採用されることで、物語に新たな展開が加わります。全体を通して、かなえさんの夢追い人としての挑戦と成長、家族との関係、そして人生の困難に立ち向かう姿が深く描かれており、感動を呼び起こす内容となっています。
まとめ:「シフォン・リボン・シフォン」の超あらすじ(ネタバレあり)
上記をまとめます。
- 水橋かなえは家族の期待を裏切りファッションビジネスに挑戦する
- ハワイ旅行がきっかけでファッションの夢を持つようになる
- 乳がんの診断を受け、左乳房とリンパ節の切除手術を受ける
- 手術後、通販業務に専念するために実店舗を譲る
- 「シフォン・リボン・シフォン」の開店により新たなスタートを切る
- インターネット通販が順調に進み、実店舗での販売も開始する
- 高校時代の同級生、市原美保子との再会と過去の影が描かれる
- 家族との関係や葛藤が物語の重要な要素となる
- 母親の健康問題とその後の介護についても触れられる
- 明るい春香がバイトとして採用され、物語に新たな展開をもたらす