「チュベローズで待ってる AGE22」は、大学生の金平光太がホストクラブ「チュベローズ」で働き始める物語です。
就職に苦戦し、家計を支えるためホストになる決意をした光太は、店内での人間関係や過去の秘密に翻弄されながらも、自身の成長と葛藤を経験します。事件や裏切りが交錯する中、ホストとしての成功を目指しつつも、最終的に自分の進むべき道を見つけ出すストーリーです。
ネタバレを含む詳細なあらすじを紹介します。
- 金平光太がホストクラブで働く理由
- 店内での人間関係と光太の葛藤
- 光太が直面する事件や裏切り
- 光太の成長とホストとしての成功
- 光太が最終的に選ぶ道
「チュベローズで待ってる AGE22」の超あらすじ(ネタバレあり)
金平光太(かねひら こうた)は、東京の大学に通う四年生で、就職活動に苦戦していました。秋になっても内定がもらえず、焦りと不安が募ります。光太の家族構成は、母と八歳の妹の三人家族。父は早くに亡くなり、母は銀行員として働いていましたが、認知症の祖母を介護するために仕事を辞め、内職で家計を支えていました。しかし、祖母が亡くなったことで母の体調も悪化し、入院することになりました。
光太は、大学を留年してでも就職を決めたいと思っていましたが、母の医療費や妹の生活費を考えると、アルバイトをして家計を助ける必要がありました。そんなある夜、最後の就職面接に失敗した光太は、やけ酒を飲んで酔いしれ、フラフラと街を歩いていました。そこに、雫(しずく)という名のホストから声をかけられます。「チュベローズ」というホストクラブで働いてみないか、と誘われたのです。
光太は迷いましたが、母の退院時に就職内定を決めた恋人の恵(めぐみ)と口論になり、さらに悩みが深まります。最終的に、ホストとして働くことを決意し、雫の紹介で「チュベローズ」という店を訪れることにしました。スーツを着て店を訪れると、雫から十万円を渡され、「このお金で店に似合う服を買ってこい」と指示されます。
光太はそのお金で服を購入し、店に戻ります。店でのホスト体験は無事に合格し、雫から十万円のバイト代をもらいましたが、最初に渡された十万円は「ただの貸し付けだ」と言われ、すぐに返済を求められました。こうして、光太は「光也(こうや)」という源氏名で正式にホストクラブ「チュベローズ」に入店することになりました。
光也として「チュベローズ」で働き始めた光太でしたが、最初はなかなか指名が入らず、ホストとしての自信を失いかけていました。同じ日に入店した同期のホスト、亜夢(あむ)はすぐに指名が入り、彼の成績に差をつけられてしまいます。そんな中、ある晩に雫の恋人であるミサキが光太を初指名します。
ミサキは光太に「三か月以内にランキングで五位以内に入ることを約束する。その代わりに、雫の動向を探ってほしい」と提案しました。光太は最初は戸惑いましたが、ホストとして成功したいという思いから、ミサキの提案を受け入れることにしました。
光太は、ミサキの指示を受けて、雫の行動を注意深く観察しながら、少しずつホストとしての地位を築いていきます。ミサキの協力のおかげで、光太は次第に指名が増え、店内での評価も上がっていきました。
光太が「チュベローズ」での仕事に慣れ始めたころ、同期の亜夢が店のお金を盗んで逃走するという事件が発生しました。その晩、亜夢と最後に会っていた光太は、店のオーナーである水谷(みずたに)と雫に事情を聞かれます。亜夢に電話がかかってきたことを話すと、水谷は「亜夢には共犯者がいる」と疑念を抱きます。
水谷は、店の金を取り戻したと公言し、事件を内密に処理することを決めました。さらに、雫には借金返済のため、これまで以上に働くよう命じます。光太は水谷から百万円の口止め料を受け取りますが、心の中では不安が広がっていました。
光太はこの出来事をミサキに報告します。ミサキは雫との将来を真剣に考えており、彼を独立させようとしていましたが、この事件のせいでその計画も狂ってしまいました。
翌日、ミサキは斉藤美津子(さいとう みつこ)という女性を「チュベローズ」に連れてきました。美津子は光太を指名しますが、彼女との会話はうまくいかず、気まずい雰囲気が続きました。後日、再び店を訪れた美津子は、光太に謝罪し、実は彼女が光太を落とした面接官であったことを告白します。光太は美津子に「常連客になって、その分の埋め合わせをしてほしい」と頼みました。
美津子が常連客になってから、不思議と他のお客様からの指名も増えていきました。クリスマスのパーティーでは、光太も多くの指名を受けましたが、次第に仕事に対する虚しさを感じるようになります。
光太は美津子に誘われ、ホテルで会うようになります。彼女は光太に「来年もDDLを受けるように。私が合格させるから」と言い、彼との関係を深めていきました。年が明けても美津子は変わらず「チュベローズ」に通い続けますが、光太はミサキからの連絡で、雫が荒れてナンバー6に落ち込んでいることを知ります。
光太は雫のマンションを訪れますが、彼は部屋に入れてくれません。一方、美津子は光太にインターンシップの準備を手伝い、彼にマキャベリの「君主論」を貸してくれます。光太は、その本に書かれていた美津子と別の男性の書き込みを見て、嫉妬心を覚えます。
インターンが順調に進む中、最終日前夜にミサキから「助けて」と電話がかかってきました。光太は急いで雫のマンションへ向かい、倒れているミサキを発見し、すぐに救急車を呼びます。その後、光太は雫を探しに外へ出ますが、彼は外国人とトラブルを起こしていました。光太もそのトラブルに巻き込まれ、警察に二日間拘束されてしまいました。
当然、インターンは欠席となり、光太は大きなショックを受けました。その後、母親や恋人の恵にホストの仕事をしていたことを打ち明け、彼の生活は大きく変わっていきました。
春が訪れ、光太は久しぶりに大学へ行きます。そこで、彼は逃亡していた亜夢と再会しました。亜夢は光太に、「水谷の愛人のひとりが産んだ子供である自分が、母親を失った後に水谷の店で働かせてもらっていた」と告白しました。さらに、雫に疑いをかけるために水谷から指示され、お金を盗む計画に加担していたことも話しました。
亜夢は、光太に「海外に行くつもりだ」と告げ、姿を消します。一方、光太は就職活動でいくつかの内定を得ることができましたが、最も重要なリベンジとなるAIDAの最終面接が残っていました。AIDAは、DDLの親会社でもありました。
最終面接は圧迫面接で、応募者たちのプライベートな秘密を暴かれ、厳しい言葉で攻められました。光太のホストの件も調査され、面接官たちから激しく非難されます。しかし、光太は冷静に対応し、最終的にその場を乗り切ることができました。
その後、光太は偶然に雫と再会し、盗難事件の真相を伝え、彼にホストとしての復帰を促しました。光太自身は就職が決まったため、ホストを辞める決意を固めます。水谷にそのことを報告しましたが、最初は認められませんでした。しかし、従業員たちの懇願により、最終的に光太のホスト引退と雫の復帰が認められました。
しばらくして、光太にAIDAから合格の連絡が入りました。彼はその喜びを美津子に伝えようとしましたが、彼女とは連絡が取れなくなっていました。美津子の家を訪れると、甥だという青年から、彼女がホストに夢中になり、会社のお金を使い込んでしまい、その後自ら命を絶ったことを知らされました。光太は深い悲しみとともに、これまでの経験を心に刻み、前に進む決意を新たにするのでした。
「チュベローズで待ってる AGE22」の感想・レビュー
「チュベローズで待ってる AGE22」を読んで、まず印象に残ったのは、主人公・金平光太の成長と葛藤が非常にリアルに描かれている点です。光太は就職に失敗し、家族を支えるためにホストクラブ「チュベローズ」で働く決意をします。この決断は、彼の状況や背景を考えると、とても共感できるものでした。
ホストとしての仕事を始めた光太は、最初は思うように成果が出ず、同期の亜夢と比較されて焦る姿が印象的でした。雫の恋人であるミサキから「雫の動向を探るように」と依頼される場面では、光太の心の中での葛藤が伝わってきました。彼がホストとして成功するために、この提案を受け入れる姿には、彼の必死さと覚悟が感じられました。
また、亜夢が店の金を盗んで逃げるという事件は、物語に大きな転機をもたらします。光太はこの事件をきっかけに店のオーナーである水谷から口止め料を受け取りますが、この時の光太の不安や罪悪感が痛いほど伝わってきました。彼が沈黙を守ることで、さらに複雑な状況に追い込まれていく様子が、物語の緊張感を高めています。
さらに、光太と斉藤美津子の関係も物語の重要な部分です。美津子が光太の過去を暴きつつ、彼に寄り添う姿は、一見すると親切なようでいて、どこか不安定なものを感じさせます。彼女との関係が深まる一方で、光太がホストとしての自分に疑問を抱き始める場面は、彼の内面的な変化を象徴しています。
インターンでトラブルに巻き込まれ警察に拘束されるエピソードは、光太にとって大きな試練でした。この経験を通じて、彼は自分の過去と向き合い、最終的にホストを辞めるという決断を下します。この場面では、光太が自分自身の成長を感じ取り、新たな道を歩む決意をしたことがはっきりと伝わってきました。
総じて、「チュベローズで待ってる AGE22」は、主人公・光太が困難に立ち向かいながら成長していく過程が丁寧に描かれており、読者に深い感動を与える作品です。物語の中で描かれる人間関係や、成功と失敗の狭間で揺れ動く心情が、非常にリアルで共感を呼びます。光太の選択や彼を取り巻く登場人物たちの行動が、物語に深みを加えています。
まとめ:「チュベローズで待ってる AGE22」の超あらすじ(ネタバレあり)
上記をまとめます。
- 光太は就職活動に失敗しホストになることを決意する
- ホストクラブ「チュベローズ」で働き始める
- 光太は同期入店の亜夢と比較されるが苦戦する
- 雫の恋人ミサキから雫の動向を探るよう依頼される
- 亜夢が店の金を盗んで逃走し店内が混乱する
- 光太は水谷から口止め料を受け取り沈黙を強いられる
- 美津子が光太の過去を暴き、彼との関係を深める
- 光太はインターンでトラブルに巻き込まれ警察に拘束される
- 就職活動の最終面接でホストの過去を追及される
- 光太は最終的にホストを辞め、新たな道を選ぶ