「ぼくはきっとやさしい」は、岳文が大学での恋愛や人生の困難に向き合う物語です。
大学で冬実に出会い、付き合い始めるも会話が続かず、やがて別れることに。インド旅行中、セリナと出会い深い関係になるも、別れを迎えます。帰国後は弟の恋人心佳に心を寄せるが、家族との関係も複雑に。物語は岳文が自己を見つめ直し、普通の兄弟関係に戻るまでを描いています。
ネタバレ要素が含まれていますので、ご注意ください。
- 岳文と冬実の恋愛の始まりと終わり
- インド旅行中のセリナとの出会いと別れ
- 岳文の生活の変化と困難
- 心佳への気持ちと弟との関係の悪化
- 岳文が自己を見つめ直し、普通の兄弟関係に戻るまで
「ぼくはきっとやさしい」の超あらすじ(ネタバレ)
岳文は大学受験を控えた冬のある日、クラスメートの冬実に一目惚れします。冬実の瞳に映る雪景色が、岳文の心を深く打ちました。大学に合格し、入学すると、岳文は冬実も同じ大学に通っていることを知り、驚きました。
新入生を対象にしたサークル勧誘のイベントで、岳文は照雪という名前の男子と友達になります。照雪は明るくて、スポーツ好きな性格です。冬実はときどきキャンパス内で見かけるものの、話す機会はありません。
入学から三か月が経ったころ、岳文は冬実に対して気持ちを伝えました。冬実もその気持ちを受け入れ、二人は付き合い始めます。しかし、会話が続かず、二人の関係はあまり進展しません。そこで岳文は、友達の照雪を誘って三人で野球の試合を観に行くことにしました。岳文は高校時代に野球部に所属していたので、野球観戦は得意です。照雪も野球が好きです。
三人でいるときだけは、冬実の会話が弾みますが、それでも二人の関係が深まることはありませんでした。岳文は、冬実を自分の部屋に招待しましたが、会話はうまく続かず、キスもできませんでした。冬実は夜の海を見に行きたいと言い出し、二人で夜の海に出かけました。
海辺で冬実は、自分が照雪に対して特別な感情を抱いていることを告白しました。また、もう岳文のことは好きではないと伝え、岳文を突き飛ばしてしまいました。岳文は夜の海に落ち、寒さに震えながら、近くのホテルに一夜を過ごしました。
冬実との別れから半年後、岳文は照雪と一緒にインド旅行に出かけました。インドでは、さまざまな困難に見舞われましたが、二人は北部から東へ八百キロ横断する夜行列車に乗りました。
列車の中で、岳文は香港から来たセリナという女性と出会いました。セリナはとても気さくで、二人はすぐに打ち解けました。列車内で手をつないで眠り、翌朝セリナは岳文について「霊性がある」と感心しました。
岳文はセリナと一緒に過ごすことに決め、照雪とはしばらく別行動をとりました。その晩、セリナと親密な関係になろうとしましたが、うまくいかず、セリナは非難することなく、「私は男らしさよりも、人間としての優しさを重視します」と言いました。
早朝、岳文とセリナはガンジス川を見に行くことにしました。ホテルの玄関が閉まっていたため、セリナは職員を起こしてもらい、ボートの乗り場まで行きました。セリナが値段交渉をして、少年の漕ぐボートに乗り込みました。
ガンジス川で、岳文とセリナは火葬場の近くにボートをつけました。そこでしばらく静かに過ごした後、岳文は元カノの冬実について話し始めました。すると、セリナは突然岳文を突き飛ばし、ガンジス川に落としてしまいました。
岳文がボートに戻ると、セリナの姿はなく、彼女は別のボートに移ってしまいました。それ以降、岳文はセリナと再会することができず、セリナとの関係は終わりを迎えました。
帰国後、岳文は弟の恋人である心佳と初めて会いました。心佳は岳文と同じように日記をつけており、共通の話題で親しくなりました。岳文は心佳の家の近くにある喫茶店で日記を書き続けるようになりました。
ある日、心佳がその喫茶店に偶然入ってきました。岳文は、彼女に自分の気持ちを伝えてしまいました。その後、弟から「心佳に接近しないように」という内容証明郵便が送られてきました。
さらに、岳文が働いていた出版社が倒産し、正式な雇用契約もなかったことが発覚しました。母親からは家を出るように言われ、岳文は照雪のアパートに泊めてもらうことになりました。照雪は現在ブロガーとして収入を得ており、岳文にアドバイスをしながら心配してくれました。
岳文は照雪のアパートに滞在しながら生活を立て直そうとしますが、さらに困難が続きます。ついには弟が岳文を探しに来て、心佳との関係が終わったことを告げます。家に戻った岳文は、兄弟の関係が再び修復されることになりました。
弟は岳文が整理した部屋を気持ち悪いと言い、岳文は自分が主人公ではなく、ただの兄であることを受け入れることにしました。最終的には、自分がどんなに努力しても特別な存在にはなれないことを理解し、普通の兄弟としての関係に戻るのでした。
「ぼくはきっとやさしい」の感想・レビュー
「ぼくはきっとやさしい」は、岳文が多くの試練を通じて成長していく姿を描いた物語です。岳文は大学で冬実に出会い、一目惚れから恋愛が始まりますが、会話が続かず別れてしまいます。この関係のもどかしさは、読者に深い感情を抱かせます。
その後、岳文は照雪と共にインド旅行に出かけ、そこでセリナという香港からの女性と出会います。セリナとの出会いは、岳文にとって新しい体験であり、彼の心に大きな影響を与えます。セリナとの関係も終わるものの、彼女の言葉や行動が岳文にとって重要な教訓となります。
帰国後、岳文は弟の恋人心佳に対して気持ちを抱きますが、弟との対立が生じます。出版社の倒産も重なり、岳文は仕事を失い、母親から家を出るように言われます。困難な状況の中で、照雪のアパートにお世話になりながらも、自己の成長と再出発を試みます。
最終的に、岳文は自分を見つめ直し、普通の兄弟関係に戻ることができるようになります。物語は、岳文が成長し、家族との関係を修復する過程を通じて、読者に希望や感動を与える内容となっています。全体として、感情豊かで心に残る作品です。
まとめ:「ぼくはきっとやさしい」の超あらすじ(ネタバレ)
上記をまとめます。
- 岳文は大学で冬実に恋心を抱く
- 冬実との関係は会話が続かず終わる
- 岳文はインド旅行中にセリナと出会う
- セリナとの関係も最終的に終わる
- 岳文は心佳に惹かれるが弟と対立する
- 出版社の倒産で岳文の職を失う
- 岳文は照雪のアパートに居候する
- 弟との関係が修復される
- 岳文は自己を見つめ直し成長する
- 普通の兄弟関係に戻ることで物語が締めくくられる