この記事では、夏目漱石の名作『こころ』の簡単なあらすじを紹介します。
この物語は、主人公が「先生」と出会うことから始まります。先生は外国人と一緒に西洋風の水着を着て海水浴場で目立っていました。主人公は先生と親しくなろうとしますが、先生は冷たい態度を崩しません。交流が続く中で、主人公は先生の奥さんとも関係を深めますが、先生の態度には疑問が残ります。
そんな中、主人公の父が重病にかかり、実家に戻ることになります。その後、先生から届いた手紙によって、先生の過去と深い苦悩が明らかになります。この手紙は、先生の友人Kとの関係や、Kの死の真相を語るものでした。最終的に先生は明治天皇の死を契機に自ら命を絶ちます。
この記事を通じて、『こころ』の魅力と深いテーマについて理解を深めてください。
- 主人公と先生の出会いとその後の交流
- 先生がなぜ自分を価値のない人間だと思うようになったか
- 先生と友人Kとの関係と葛藤
- 先生の苦悩と罪悪感について
- 先生が自ら命を絶つに至った経緯
夏目漱石『こころ』のあらすじを簡単に
私と先生が出会ったのは海水浴場でした。先生は平凡な男性でしたが、外国人と一緒にいて、西洋風の水着を着ていたため、海水浴場でとても目立っていました。
毎日思い切って先生に話しかけてみましたが、先生はいつも冷たい感じでした。親しくなれたと思ったら、すぐに突き放されることの繰り返しで、私はよく失望しました。先生が自分を迷惑に思っているのかと考えましたが、どうやら先生は自分を交流する価値のない人間だと思っているようでした。
私は先生の奥さんとも交流を深めましたが、先生は奥さんに対しても同じような態度をとっていました。疑問を抱き、先生に問い詰めましたが、返事はやはり冷たいものでした。私は心に小さなわだかまりを抱えて過ごしていました。
先生との交流は細々と続いていましたが、父親が重い病気にかかったため、私は一旦先生から離れて実家に帰りました。そんな中、明治天皇が亡くなりました。その直後に、先生から長い手紙を受け取りました。「あなたがこの手紙を手に取るころには、私はこの世にはいないでしょう」と書かれており、私は不安になりました。
手紙には、先生がなぜ自分を価値のない人間だと思うようになったかが書かれていました。先生は学生時代、友人Kと一緒に裕福な家に下宿していました。Kは優秀で純粋な男でした。二人は同郷の知り合いで親友でしたが、一人の女性によって引き裂かれました。
下宿先に美しい娘がいて、彼女は恋愛において二人よりも一枚上手でした。彼女は先生の気を引くために、Kに気があるふりをしていました。Kは彼女の策略通りに恋に落ちていきました。先生も彼女に恋をしていました。Kは「お嬢さんに気があるので応援してくれないか」と言い、先生は表面上は承諾しましたが、実際の心境は違っていました。
結果的に、先生は親友のKを裏切って彼女と恋人になりました。Kは祝福の言葉を述べましたが、数日後に自ら命を絶ってしまいました。彼女はKがなぜ死んでしまったのか分かりませんでしたが、先生にはその理由がはっきりと分かっていました。先生はKを裏切ったことに苦しみながら彼女と結婚しましたが、心から幸福を感じることはありませんでした。
先生はひっそりと亡くなりました。妻が悲しまないように、過去を隠していました。先生は命を絶つことをを考えていましたが、実行には至りませんでした。しかし、明治天皇が亡くなり、時代遅れのように感じて命を絶つことを決意しました。妻と話し合った結果、先生は天皇の後を追って命を絶つことを決意し、その思いを手紙に綴ました。
このようにして、先生は自らの命を絶ちました。
夏目漱石『こころ』の感想・レビュー
夏目漱石の『こころ』を読んで、非常に心に残る作品だと感じました。物語は主人公と「先生」との出会いから始まります。海水浴場で外国人と一緒にいる先生は、西洋風の水着を着ていてとても目立っていました。先生は冷たく距離を置くような態度を取り続けますが、それでも主人公は先生と親しくなりたいと努力します。
先生の奥さんとも交流を深めるうちに、先生の態度の理由が少しずつ明らかになります。しかし、父親が重病にかかったため、主人公は一旦実家に戻ることになります。その間に明治天皇が崩御し、先生から長い手紙が届きます。この手紙を通じて、先生の過去と苦悩が詳しく語られます。
特に心に残ったのは、先生が学生時代に友人Kと一緒に過ごした日々です。Kは優秀で純粋な人物でしたが、一人の女性によって二人の関係は壊れてしまいます。Kがその女性に恋をし、先生も同じ気持ちを抱いていたのです。Kが先生に応援を頼む場面は、とても切なく感じました。結果的に、先生はKを裏切って女性と恋人関係になります。その後、Kが自殺してしまうという衝撃的な出来事が起こります。
先生はKを裏切ったことに対する深い罪悪感を抱えながら生きていきます。この罪悪感が、彼の生き方や態度に大きな影響を与えています。最終的に先生は、明治天皇の崩御をきっかけに自ら命を絶つことを決意します。妻とのやりとりや、手紙に綴られた思いがとても悲しく、心に響きました。
この作品を通じて、友情や恋愛、罪悪感といった複雑な感情が丁寧に描かれていることがわかります。夏目漱石の『こころ』は、人間の内面の深い部分に触れることができる素晴らしい作品だと思います。
まとめ:夏目漱石『こころ』のあらすじを簡単に(ネタバレあり)
上記をまとめます。
- 主人公と先生の出会いは海水浴場である
- 先生は外国人と西洋風の水着で目立っていた
- 先生は冷たい態度をとり続ける
- 主人公は先生の奥さんとも交流を深める
- 主人公の父親が重病になり実家に戻る
- 明治天皇が崩御する
- 先生から長い手紙が届く
- 先生の学生時代の友人Kとの関係が描かれる
- Kが自殺した原因は先生の裏切りである
- 先生は罪悪感から自ら命を絶つ決意をする