橋を渡る(吉田修一)の超あらすじとネタバレ

「橋を渡る」(吉田修一)のあらすじとネタバレ情報をお探しの方に向けて、本記事では物語の詳細な内容をご紹介します。

ビール会社に勤める明良と甥の孝太郎、妻の歩美が織りなす平穏な日常から、突如現れる不審な贈り物、孝太郎の予期せぬ結婚、さらには未来社会へのタイムスリップまで、予測不能な展開が続く物語です。

明良たちの家族の絆、政治家の妻篤子の葛藤、ジャーナリスト謙一郎の裏切りと逃亡、そして未来社会でのサインたちの愛と冒険が交錯する本作の魅力を、ネタバレを含めて詳しくお伝えします。

この記事のポイント
  • 明良と孝太郎、歩美の家族の物語の詳細
  • 歩美のギャラリーとアーティスト俊介のエピソード
  • 篤子と夫の秘密とその影響
  • 謙一郎の裏切りとその後の展開
  • 未来社会でのサインたちと謙一郎のタイムスリップ

橋を渡る(吉田修一)の超あらすじとネタバレ

第1章: 明良と孝太郎の家庭

ビール会社に勤める鈴木明良(すずき あきら)は、甥の山田孝太郎(やまだ こうたろう)と妻の鈴木歩美(すずき あゆみ)と一緒に、東京都内の一軒家で幸せに暮らしています。孝太郎の両親は海外に出張中で、孝太郎が高校を卒業するまでは、明良の家で預かるという約束になっているのです。

歩美は自宅の一部を使って小さなギャラリーを営んでおり、絵画や陶芸品などを展示・販売しています。ある日、歩美のギャラリーに中村俊介(なかむら しゅんすけ)というアーティストがやってきました。俊介は、自分の作品をしつこく売り込んできます。彼の強引な態度に困惑する歩美ですが、美術界隈では俊介の才能が認められつつあり、歩美はその影響で業界から干されそうになります。

そのような中、明良の家の前に、突然酒や米が放置されるようになります。不安に思った明良たちは、近所の警察署に相談しましたが、警察も犯人を見つけることができませんでした。警察の助言で、酒と米を一時的に預け、家族は平穏を取り戻すことにしました。

しかし、その後しばらくして、孝太郎の彼女、佐藤美咲(さとう みさき)が妊娠したことが判明します。驚いた明良は、どう責任を取るべきか悩みますが、孝太郎と美咲の結婚がとんとん拍子に決まります。孝太郎は、家の前に置かれていた酒や米は、自分たちの出産を祝うためのプレゼントではないかと考えるようになります。

第2章: 篤子と夫の秘密

東京都議会議員の妻である田中篤子(たなか あつこ)は、夫の田中一郎(たなか いちろう)の行動を心配していました。当時、都議会では、女性議員に対するハラスメントが社会問題となっており、その行為を行ったのが一郎ではないかと疑っていたのです。篤子はママ友の間でも、この問題について時折話題にされ、肩身の狭い思いをしていました。

幸い、ハラスメントの問題は次第に周囲の記憶から薄れ、他のゴシップが話題をさらうようになり、篤子は一安心します。しかしその後、一郎が旧友の佐々木光男(ささき みつお)と頻繁に会うようになります。不審に思った篤子は、こっそり一郎の行動を監視することにしました。すると、一郎が光男から不正なお金を受け取っている現場を目撃してしまいます。

光男はレンズの開発に関わる仕事をしており、一郎はそのレンズの入札価格を光男に教える代わりに、お金を受け取っていたのです。篤子はこの事実を知り、最初は夫の悪事を見て見ぬふりをしようとしますが、次第に耐えられなくなります。ついに篤子は、夫の不正を週刊誌に告発し、その後で自ら命を絶とうとします。

第3章: 謙一郎の裏切り

ジャーナリストの高橋謙一郎(たかはし けんいちろう)は、忙しい仕事の合間を縫って、婚約者の松田薫子(まつだ かおるこ)との結婚話を進めています。しかし、ある日謙一郎は、薫子が浮気をしていることに気づきます。その浮気相手は、謙一郎が以前所属していた和太鼓サークルの団長、伊藤太一(いとう たいち)でした。

太一と薫子は以前関係がありましたが、謙一郎が薫子を選んだことで、二人は別れたはずでした。しかし、薫子は謙一郎と結婚する方が幸せになることはわかっていても、どうしても太一のことが忘れられないと泣きついてきます。謙一郎はいったんすべてを許すふりをし、薫子を旅行に誘いますが、そこで薫子に手をかけてしまいます。

薫子を傷つけた謙一郎は、警察から逃亡しますが、すぐに捕まってしまいます。

第4章: タイムスリップと未来社会

警察に送還される途中、謙一郎は突如タイムスリップします。気づくと、そこは70年後の日本でした。未来の日本では、人間のほかに、ロボットや「サイン」と呼ばれる遺伝子操作された人間が存在する社会が築かれていました。謙一郎はこの新しい社会に恐れを抱き、元の世界に戻ろうと奮闘します。

未来の日本では、人間の次にサイン、サインの次にロボットという身分の差が生まれていました。人間は結婚相手にサインを選び、それに加えて人間とも恋愛関係を楽しむことが一般的でした。この人間たちは、物語の序盤に登場した明良や篤子の子孫にあたります。彼らはそれぞれ自分の結婚相手としてサインを所有していました。

第5章: 謙一郎と未来のサイン

サインは人間の所有物であり、サイン同士の恋愛はタブーとされていました。しかし、あるとき二人のサイン、ミライとタクヤが恋愛感情を持つようになります。ミライとタクヤにはそれぞれ結婚相手がいましたが、どうしても耐えられず、二人で逃亡することを決意します。

逃亡の最中、彼らは70年前からタイムスリップしてきた謙一郎に出会います。ミライとタクヤは、謙一郎が元の世界に戻れるよう手助けをしようとします。謙一郎の記憶を頼りに、三人は過去の世界に戻る手段を探します。最終的に謙一郎は過去の世界に戻ることができますが、薫子への罪は消えないままでした。

橋を渡る(吉田修一)の感想・レビュー

吉田修一の「橋を渡る」は、登場人物たちの複雑な人間関係と驚くべき展開が魅力の作品です。物語は、ビール会社に勤める鈴木明良(すずき あきら)と甥の山田孝太郎(やまだ こうたろう)、そして妻の鈴木歩美(すずき あゆみ)の家庭から始まります。孝太郎の両親が海外出張中のため、明良の家で生活しています。

歩美はギャラリーを経営しており、ある日、中村俊介(なかむら しゅんすけ)というアーティストが現れ、強引に自分の作品を売り込みます。彼の押しつけがましい態度に困惑する歩美ですが、美術界では俊介の才能が認められていきます。このことがきっかけで歩美は業界から干されそうになりますが、物語はさらに意外な方向へ展開します。

明良の家の前に突如現れる酒や米は不安を引き起こしますが、警察も犯人を特定できません。その後、孝太郎の彼女である佐藤美咲(さとう みさき)が妊娠し、結婚が決まります。これらの出来事は家族の絆を強める一方で、新たな問題を引き起こします。

一方、東京都議会議員の妻である田中篤子(たなか あつこ)は、夫の田中一郎(たなか いちろう)が不正を行っているのではないかと疑います。篤子は夫が旧友の佐々木光男(ささき みつお)から不正なお金を受け取っている現場を目撃し、週刊誌に告発します。篤子の決断は家庭に大きな影響を与え、彼女自身の命を危険にさらすことになります。

ジャーナリストの高橋謙一郎(たかはし けんいちろう)は、婚約者の松田薫子(まつだ かおるこ)の浮気を知り、激しい怒りと悲しみに襲われます。薫子の浮気相手は、謙一郎が以前所属していた和太鼓サークルの団長、伊藤太一(いとう たいち)です。謙一郎は最終的に薫子を手にかけ、逃亡生活を送ることになりますが、捕まってしまいます。

物語はここで大きく転換し、謙一郎が未来社会にタイムスリップする展開が待っています。未来の日本では、人間、ロボット、「サイン」と呼ばれる遺伝子操作された人間が共存しています。謙一郎はこの新しい社会で生き抜くために奮闘し、元の世界に戻ろうと努力します。

未来社会では、人間の次にサイン、その次にロボットという身分の差があり、サイン同士の恋愛はタブーとされています。しかし、二人のサイン、ミライとタクヤが恋愛関係になり、逃亡を試みます。彼らは謙一郎と出会い、彼を過去に戻す手助けをすることになります。謙一郎は最終的に過去に戻ることができますが、婚約者への罪は消えないままです。

「橋を渡る」は、登場人物たちの運命が交錯し、読者を引き込むストーリー展開が素晴らしいです。人間関係の複雑さや、未来社会の描写がリアルで、最後まで飽きさせません。吉田修一の作品ならではの深いテーマと、驚きの展開に満ちた一冊です。

まとめ:橋を渡る(吉田修一)の超あらすじとネタバレ

上記をまとめます。

  • 明良と孝太郎、歩美の家族の平穏な日常
  • 孝太郎の両親が海外出張中の設定
  • 歩美のギャラリーでのアーティスト俊介との出会い
  • 明良の家の前に放置される酒や米
  • 孝太郎の彼女美咲の妊娠と結婚の決定
  • 篤子が夫の行動を心配する理由
  • 一郎が旧友光男から不正なお金を受け取る事実
  • 篤子が夫の不正を週刊誌に告発
  • 謙一郎が婚約者薫子の浮気に気づく
  • 謙一郎がタイムスリップして未来社会に行く冒険