アンジュと頭獅王(吉田修一)の超あらすじとネタバレ

「アンジュと頭獅王(吉田修一)」のネタバレを知りたい方へ。本作品は、不遇の判官とその子どもたちが繰り広げる壮大な冒険譚です。

父親の冤罪を晴らすため、姉のアンジュと弟の頭獅王は遠い京都を目指します。しかし、その道のりは過酷で、多くの試練が待ち受けています。彼らは山椒太夫のもとでの厳しい労働や、仲間との絆、そして逃亡劇を経験します。最終的に、二人は運命の再会を果たし、新たな未来を切り開くのです。

本記事では、物語の詳細な展開をネタバレを交えて紹介します。

この記事のポイント
  • アンジュと頭獅王の冒険と試練
  • 正氏の冤罪と兄妹の旅立ち
  • 山椒太夫のもとでの労働と苦難
  • 伊勢の小萩との出会いと絆
  • 再会後の新たな未来と結末

アンジュと頭獅王(吉田修一)の超あらすじとネタバレ

第一章: 不遇の判官と兄妹の旅立ち

奥州の岩城には、正氏(まさうじ)という名の判官がいました。正氏は人々の平等な幸せを願い、いつも慈悲の心を持っていました。しかし、彼の正義感が強すぎたために、周りの人たちから反感を買ってしまいます。その結果、正氏は太宰府に左遷されることになりました。

正氏には、姉のアンジュと弟の頭獅王(とうしおう)という二人の幼い子どもがいました。二人は父親が無実の罪で捕らえられたことを知り、何とかしてその冤罪を帝に訴えたいと考えました。そこで、アンジュと頭獅王は勇気を出して、遠い京都へと旅立つことを決意します。

第二章: 山椒太夫のもとでの苦難

旅を始めてから30日ほど経ったある日、アンジュと頭獅王は越後の直江の浦にたどり着きました。そこでは、山岡の太夫という強欲な商人が暗躍していました。二人はこの商人に「京都へ向かう船がある」と騙されて乗せられてしまいます。

しかし、船が向かった先には仲買人が待っていて、二人はあちこちと売り飛ばされました。最終的には、丹後の由良の港に連れて行かれ、山椒太夫に買い取られました。山椒太夫はアンジュに浜辺で塩をくむよう命じ、頭獅王には山で芝を刈るように言いました。二人は毎日厳しい労働を強いられました。

第三章: 伊勢の小萩との出会いと絆

アンジュは首に地蔵菩薩(じぞうぼさつ)の御守りをかけていました。この御守りは、不幸が降りかかった時に身代わりになってくれると信じられていました。一方、頭獅王の首には奥州54郡の系図を記した巻物がかけられていました。この二つの宝物が、いつの日か自分たちを助けてくれると信じていました。

山椒太夫には五人の息子がいましたが、特に三番目の息子である三郎は非常に邪悪でした。アンジュと頭獅王は粗末な小屋に押し込められ、逃げ出せないように額に焼き印を押されました。ある日、アンジュが絶望のあまり海に身を投げようとした時、伊勢の小萩(いせのこはぎ)という女性に助けられました。

小萩はもともと大和の国の高貴な家柄の出身でしたが、義理の母親からの事実無根の中傷により苦しい運命に翻弄されていました。アンジュと頭獅王は小萩に心を許し、三人は兄妹の契りを結びました。それから、アンジュの地蔵菩薩の御守りのおかげで額の傷跡も消えました。

第四章: 逃亡と救いの手

アンジュは弟の頭獅王を逃がすため、自らが犠牲となり、山椒太夫の屋敷に戻りました。頭獅王が逃げたことを知った山椒太夫は、85人の手下を放って彼を追わせました。しかし、頭獅王は国分寺に駆け込み、お聖(おせい)というお寺の住職に助けを求めました。

お聖は頭獅王を古い皮で作られたつづらに入れ、「1000年かかろうとも京都へ送り届ける」と誓いました。お聖は京都へ向かう長い旅を始め、時代が応仁の乱から昭和・平成・令和へと移り変わる中、ついに新宿御苑の入口にたどり着きました。疲れ果てたお聖は、頭獅王に衣の袖を渡し、力尽きて立ち去りました。

第五章: 再会と新たな未来

新宿でホームレスとして生き延びていた頭獅王は、ある日、歌舞伎町で働いていたアンジュと再会しました。二人は再会の喜びに涙し、頭獅王の視力は回復し、再び歩けるようになりました。彼らは旅のサーカス団に拾われ、動物の世話をする仕事を得ました。

そのサーカス団の興行を見に来たのが、六条の院という京都の帝の血を引く大富豪でした。六条の院は、頭獅王が岩城の判官・正氏の子息であることを知り、アンジュとともに二人を養子に迎えました。六条の院から託された財産を、アンジュと頭獅王は自分たちのために使わず、国分寺で旅行客を迎える仕事を始めました。

また、彼らはお聖に紅の勲章を授け、山椒太夫には罰を与え、伊勢の小萩には緑の勲章を授けました。頭獅王が創設した褒章は、世界中の勇敢で優しい人々にとって名誉となり、いつまでも輝き続けました。

アンジュと頭獅王(吉田修一)の感想・レビュー

「アンジュと頭獅王(吉田修一)」は、とても感動的で心温まる物語です。奥州の岩城に住む正氏(まさうじ)という判官が、人々のために尽力する姿は非常に印象的です。しかし、その正義感が災いし、彼は太宰府に左遷されることになります。この出来事が物語の始まりです。

正氏の無実を晴らすために、姉のアンジュと弟の頭獅王(とうしおう)は遠い京都へと旅立ちます。二人が旅の途中で直江の浦にたどり着き、山岡の太夫という強欲な商人に騙されるシーンはとても緊張感があります。その後、山椒太夫に買い取られ、厳しい労働を強いられる場面は、二人の辛さが伝わってきます。

物語が進む中で、伊勢の小萩(いせのこはぎ)という女性と出会い、彼女と兄妹の契りを結ぶシーンは心温まります。小萩もまた、苦しい運命に翻弄されているため、アンジュと頭獅王の心の支えとなります。この絆が物語をさらに深くしています。

アンジュが頭獅王を逃がすために自らが犠牲となるシーンは、とても感動的です。頭獅王が国分寺でお聖(おせい)に助けを求め、お聖が彼を京都へ送り届ける約束をするシーンも印象深いです。時代が移り変わり、新宿御苑にたどり着いたとき、お聖の力尽きるシーンは切なくもあります。

新宿で再会するアンジュと頭獅王のシーンは、感動的で涙を誘います。二人がサーカス団に拾われ、新しい生活を始める様子も希望に満ちています。そして、六条の院に養子として迎えられ、新たな未来を切り開く結末は、物語にふさわしいエンディングです。

全体を通して、兄妹の絆や友情、困難に立ち向かう勇気が描かれており、非常に感動的な物語でした。アンジュと頭獅王の成長や努力が伝わってくる素晴らしい作品です。

まとめ:アンジュと頭獅王(吉田修一)の超あらすじとネタバレ

上記をまとめます。

  • 正氏は太宰府に左遷される
  • アンジュと頭獅王は父の冤罪を訴えるために京都へ旅立つ
  • 二人は越後の直江の浦で山岡の太夫に騙される
  • 丹後の由良の港で山椒太夫に買い取られる
  • 山椒太夫のもとで厳しい労働を強いられる
  • 伊勢の小萩と出会い、兄妹の契りを結ぶ
  • アンジュは頭獅王を逃がすために犠牲となる
  • お聖が頭獅王を京都へ送り届ける
  • 新宿でアンジュと頭獅王が再会する
  • 六条の院に養子として迎えられ、新たな未来を切り開く