「嘘を愛する女」の超あらすじ(ネタバレあり)

「嘘を愛する女」は、東日本大震災をきっかけに出会った川原由加利と小出桔平の物語です。キャリアウーマンの由加利と医師の桔平は一見、順調な同棲生活を送っていましたが、桔平の突然の意識不明の発症を機に、彼の過去や正体に隠された秘密が明らかになっていきます。桔平の名前や職業はすべて偽りであり、由加利は真相を追い求めて探偵の助けを借り、彼の過去に迫ります。

桔平が抱えていた秘密とは、彼が過去に家族を失った悲劇的な出来事でした。彼の過去を知った由加利は、彼を再び目覚めさせるべく、すべての感情を彼にぶつけ、二人の未来を信じ続けます。この物語は、嘘をついて生きることの重さと、それでも愛し続ける力強さを描いた感動的なストーリーです。

この記事のポイント
  • 川原由加利と小出桔平の関係
  • 桔平の偽名と過去の秘密
  • 由加利の探偵への依頼と捜査
  • 瀬戸内海での過去の追跡
  • 桔平が抱えていた家族の悲劇

「嘘を愛する女」の超あらすじ(ネタバレあり)

川原由加利と小出桔平の出会いと同棲生活

2011年の東日本大震災の日、地下鉄が停止し、具合が悪くなった川原由加利を助けたのが小出桔平でした。二人はそれを機に親しくなり、やがて同棲を始めます。由加利はキャリアウーマンとして仕事に追われる日々を送り、桔平は医師でありながら、研究職というために収入が少ないため、家事を担当していました。二人は一見、うまくいっているように見えますが、由加利は時々友人の綾子と一緒に合コンに参加していました。

そんな日常の中、由加利の母親が上京し、桔平と会わせようとする出来事が起こります。桔平は返事を避け、由加利が勝手に待ち合わせ場所を決めたにもかかわらず、桔平はその約束をすっぽかしてしまいます。由加利は桔平に対して苛立ちを募らせますが、そこに突然警察が訪れ、桔平がくも膜下出血で倒れ、意識不明の状態であることが伝えられます。

さらに警察から、桔平の名前や職業などすべてが偽造であることが明かされ、由加利は大きなショックを受けます。今まで信じてきた桔平のすべてが嘘であったことに、由加利の心は揺れ動きます。

探偵事務所への依頼と真相の探索

桔平が偽名を使用していたことが発覚し、由加利は彼の過去を探るために、探偵事務所を訪れます。綾子の叔父で探偵の海原は、由加利に「真実を知っても良いことはない」と忠告しますが、それでも由加利は調査を依頼することを決意します。桔平の正体に関する手がかりを求めて、由加利と探偵は動き出します。

調査の中で、桔平をストーカーしていた女性、心葉の存在が浮かび上がります。心葉は、桔平がカフェで小説を書いていたことから彼を作家だと思っていたのです。由加利は心葉の協力を得て、桔平が使用していたノートパソコンを手に入れます。中には小説が書かれており、その内容は3人家族の幸せな日々を描いたものでした。

その小説が、実際の桔平の過去に何か関係があるのではと由加利は感じます。そして、由加利は桔平の正体をさらに追求するため、仕事を休んで探偵の調査に協力することを決意します。

瀬戸内海での捜索と過去の追跡

探偵の木村が桔平の小説に出てくる灯台の描写から、重要な手がかりを掴みます。由加利は、心葉との関係に動揺しながらも、一人で瀬戸内海へ向かいます。そこでは、桔平との過去の思い出や、彼の謎に迫るための新たな手がかりを追い求めます。由加利が瀬戸内海に到着すると、探偵の海原も現れ、二人で捜索を続けることになります。

瀬戸内海の灯台で、桔平が以前探していたというおもちゃの缶を見つけます。さらに捜索を進めると、桔平を知る漁師たちが現れ、彼が「トシ」という名前で過去に漁協で働いていたことが明らかになります。桔平と呼ばれていた人物は、実際には「トシ」とは無関係でしたが、由加利はますます彼の過去に興味を持ちます。

漁師たちの証言により、桔平が震災前から何らかの理由で警察に探されていたことが判明し、由加利はさらに桔平の真相に迫ります。そして、桔平の過去を追いかける中で、由加利は彼に関する重大な事実を発見することになります。

桔平の過去と二人の未来

桔平の本名が「安田公平」であり、彼が医師であったことが判明します。そして、過去に彼の家族が経験した悲劇的な事件も明らかになります。桔平の妻は育児ノイローゼに苦しんだ末、娘を亡くし、その後自身も命を落としたのです。この悲劇から逃れるために、桔平は名前を変え、別の人生を歩もうとしていたのでした。

由加利と探偵の海原は、桔平がかつて住んでいた家を訪れ、近隣の住民から過去の話を聞きます。家の中に隠されていた桔平の過去が、彼の書いた小説に反映されていることも分かります。小説には「息子」として描かれていた存在は、実際には桔平の娘であり、桔平が妻を失った後の心の痛みが表現されていました。

由加利は、桔平に対して全ての隠していた思いを話し、彼との未来を信じる決意を固めます。やがて春が訪れ、桔平は長い眠りから目を覚まし、由加利に「おかえり」と言われ、二人の新たな日々が始まるのです。

「嘘を愛する女」の感想・レビュー

「嘘を愛する女」は、主人公・川原由加利が、最愛の人である小出桔平の正体を知り、苦悩しながらも愛を貫く物語です。物語の冒頭では、震災をきっかけに出会った二人が同棲生活を送っている様子が描かれます。しかし、桔平が意識不明に陥り、彼のすべてが偽りであったことが判明するという展開には、読者も大きな驚きを感じるでしょう。

由加利は、桔平の真実を知るために探偵に依頼し、桔平の過去を探る旅に出ます。桔平のストーカーだった心葉の存在や、彼が書いていた小説が手がかりとして浮かび上がり、物語は次々と新しい謎を提供していきます。小説に描かれた家族の物語が、桔平の過去とつながっているという展開は、巧妙でありながらも感動的です。

特に印象的だったのは、由加利が瀬戸内海に向かい、桔平の過去を探るシーンです。そこで見つけた灯台や漁師たちの証言を通じて、桔平の正体が徐々に明らかになっていく過程は、緊張感と興味を引きつけます。桔平の本名が安田公平であり、彼が過去に家族を失った悲劇的な出来事に直面していたことが明かされる場面は、特に感動的でした。

物語のクライマックスでは、由加利が桔平に対して自分の気持ちをすべて打ち明ける場面が描かれます。彼女の愛情と、桔平を支え続ける姿勢には強い感銘を受けました。そして最後に、桔平が目を覚まし、二人の未来が再び動き出すシーンは、希望に満ちた結末を提供してくれます。

この作品は、愛と真実、そして過去の悲劇を乗り越えていく力強さを描いており、読後感も深い感動を与えてくれる素晴らしい物語です。

まとめ:「嘘を愛する女」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 川原由加利と小出桔平は震災で出会う
  • 桔平は医師として働いていたが偽名だった
  • 探偵事務所に依頼して真相を調べ始める
  • 桔平をストーカーしていた心葉の存在が明らかになる
  • 桔平のノートパソコンから小説が見つかる
  • 小説に描かれた家族は桔平の過去に関連している
  • 瀬戸内海で桔平の過去を追う手がかりを得る
  • 漁師たちから桔平の本当の名前が判明する
  • 桔平の家族が過去に悲劇的な事件に巻き込まれていた
  • 由加利は桔平が目覚めるまで彼を支え続ける