「ぶらんこ乗り」の超あらすじ（ネタバレあり）

「ぶらんこ乗り」の物語は、天才的な創作力を持つ弟と彼を見守る姉「私」の視点で進行します。

幼少期、庭のブランコで独自の世界を作り上げていた弟が、ある事故で声を失ったことから物語は動き出します。家族の悲劇と弟の変化、そして彼の突然の失踪が描かれ、姉は弟の存在を信じ続けます。動物園で働きながら、ブランコに乗ることで弟とのつながりを感じる「私」の姿が胸に迫ります。

この物語は、姉弟の絆と失われた時間の切なさを静かに語ります。

「ぶらんこ乗り」の超あらすじ（ネタバレあり）

高校生の「私」は、学校から帰宅したある日、祖母が見つけた麻袋の中身を確認します。その中には、小学生時代の弟が書きためた物語のノートがたくさん入っていました。弟は、4歳の頃から物語を作り始め、誰にも負けない想像力を持っていましたが、今は「私」のそばにはいません。弟はいつも「私」にだけ自分の物語を見せてくれ、その時間は「私」にとって特別なものでした。しかし、弟はある日突然姿を消し、それ以降「私」は彼の帰りを待ち続けています。

弟は庭の大きな木に自分でブランコを作り、それを隠れ家として利用していました。小学校1年生の時、ブランコを上手に漕ぐ姿が学校で人気となり、弟はみんなの注目の的になりました。しかし、ある日、ブランコに乗っていた弟の喉に大きな雹が当たるという事故が起こり、軽傷で済んだものの、その後声が変わってしまいました。弟は他人と話すことができなくなり、ノートを使って家族とコミュニケーションを取るようになります。弟のノートには動物たちが夜中にブランコを訪れて話していくという奇妙な物語が書かれており、「私」はそれを創作の一部だと考えていましたが、ある日それが弟にとって現実であることに気づき、弟の孤独を痛感します。

画家の母とそのパートナーである父が旅行中、突然の事故で命を落とします。両親の死を知った「私」はショックで学校にも行けなくなり、自宅に引きこもるようになります。弟もまた、飛行機事故に恐怖を覚え、葬儀に参加することを拒否します。家族は深い悲しみに沈みますが、弟は母からの最後の絵葉書を「私」に見せ、その後も次々と手紙が届きます。これらの手紙に支えられ、「私」は少しずつ気力を取り戻し、弟の存在の大切さを再確認します。しかし、弟はそれ以来ブランコには登らなくなり、創作活動からも遠ざかります。

弟は12歳で大学に進学し、その後、両親が亡くなった異国へ旅立ちます。しかし、それ以降弟の消息は途絶えてしまいます。弟を探すために祖母が多くの手を尽くしますが、見つけることはできません。「私」は、弟が生きていると信じて、彼が好きだった動物園でアルバイトを始めます。弟がブランコに乗る時に使っていた赤い付け鼻を持ち歩き、弟との思い出を大切にしながら、夜の動物園の静かな空気の中で弟のことを思い続けます。ある日、迎えに来た老犬に導かれ、かつて弟と遊んだブランコに再び乗り、「私」はゆっくりと揺れながら弟を感じます。

「ぶらんこ乗り」の感想・レビュー

「ぶらんこ乗り」は、天才的な才能を持つ弟とその才能を静かに見守る姉「私」の物語であり、幼少期からの姉弟の特別な関係が丁寧に描かれています。

弟の声が変わってしまった事故のシーンは、物語の中で非常に重要な転換点であり、それ以降の弟の行動や心情の変化が詳細に描かれています。弟が夜にブランコで過ごす中で動物たちと交流するという独特の物語は、彼の内面の豊かさと孤独感を象徴しており、読者に強い印象を与えます。

また、家族の喪失が弟と「私」の心に大きな影響を与える中、弟が残したノートと手紙が「私」を支え続ける姿は、姉弟の絆の深さを感じさせます。物語の終盤、弟が行方不明になることで、「私」は弟がいつか戻ってくると信じ続ける日々を送りますが、動物園での仕事や弟の思い出のブランコに触れることで、心の中に弟が生き続けていることを再確認します。弟がいた頃の鮮やかな思い出と、それが失われた後の喪失感が対比的に描かれており、物語全体にわたる切なさと希望のバランスが見事に表現されています。

ラストで「私」がブランコに座り、静かに揺れながら弟を感じるシーンは、彼女の心の中で弟が永遠に存在していることを象徴し、読者に深い感動を与えます。

まとめ：「ぶらんこ乗り」の超あらすじ（ネタバレあり）

上記をまとめます。

• 弟の物語を発見する「私」の感情
• 幼少期から特別な創作力を持つ弟
• 弟のブランコとそれにまつわるエピソード
• 弟の声が変わった事故とその影響
• 家族の喪失と「私」の心の変化
• 母からの最後の手紙の支え
• 弟がブランコに乗らなくなった理由
  弟の進学とその後の失踪
• 「私」の動物園での仕事と弟への想い
• 最後のシーンでの「私」の心の揺れ