「島はぼくらと」の超あらすじ(ネタバレ)

「島はぼくらと」は、瀬戸内海の小さな離島・冴島を舞台に、4人の高校生が繰り広げる成長と冒険の物語です。

島外の高校に通う朱里、衣花、新、源樹の4人は、島に現れた胡散臭い作家・霧崎ハイジと出会い、彼の求める「幻の脚本」を偽造して渡します。その後、島に新たな移住者が増え、Iターンによる島の活性化が進む一方、村長との対立や新たな危機が発生。

最後に、島での未来を描く感動的な結末が待っています。

この記事のポイント
  • 冴島という離島が舞台であること
  • 4人の高校生が主人公であること
  • 幻の脚本をめぐるエピソードがあること
  • 島の活性化と移住者(Iターン)について描かれていること
  • 島の未来と感動的な結末が描かれていること

「島はぼくらと」の超あらすじ(ネタバレ)

瀬戸内海に浮かぶ小さな離島「冴島(さえじま)」は、人口3000人弱の静かな島です。この島には中学校まではありますが、高校がないため、島の子どもたちは中学卒業後、フェリーで本土の高校に通うことになります。島から本土へのフェリーは片道450円で、20分ほどかかります。フェリーの最終便は16時10分であるため、冴島から通う高校生たちは部活動に参加するのが難しい状況にあります。

物語の中心となるのは、冴島で育った4人の高校生です。池上朱里(いけがみあかり)、榧野衣花(かやのいか)、矢野新(やのあらた)、青柳源樹(あおやなぎげんき)は、同じく冴島出身の高校2年生で、幼い頃からいつも一緒に過ごしてきました。冴島には彼ら以外に同学年の子どもがいないため、4人は特に仲が良く、いつも一緒にフェリーで高校に通っています。

ある日、4人が冴島に戻るフェリーの中で、見知らぬ青年に声を掛けられます。彼は霧崎ハイジと名乗り、胡散臭い雰囲気を漂わせていました。霧崎は自分を作家だと言い、冴島に伝わる「幻の脚本」を探しに来たと語ります。霧崎はIターンで島に移住してきたばかりで、幻の脚本について無遠慮に島の住人たちに尋ね歩いていました。そのせいで、冴島に不穏な空気が漂い始めます。

朱里たち4人は、霧崎の存在が島に混乱を招いていることに気付き、何とかして彼に島を出て行ってもらいたいと考えます。そこで、新が演劇部で学んだ知識を活かして、適当な脚本を書き上げ、これを「幻の脚本」だと偽り、霧崎に渡すことにしました。4人は小学校でこの脚本を見つけたと嘘をつき、霧崎に手渡します。翌日、霧崎は島を去り、冴島は再び平穏を取り戻します。

しかし、3ヶ月後、霧崎が冴島を去る前に渡した脚本を自分の作品として発表し、なんとコンクールで最優秀賞を獲得します。新は、自分が書いた脚本が評価されたことを内心喜びますが、他の3人も「新がそれで良いなら」と納得し、この件は一応の解決を見ました。

冴島では、少子高齢化による人口減少が深刻な問題となっており、島を活性化させるために都会からの移住者(Iターン)を積極的に受け入れています。Iターンをする人々の背景はさまざまで、家族で移住してくる者や、夫婦2人世帯、シングルマザー、独身者が新しい生活を求めて島にやってきます。実際、Iターンによって島の漁業が活性化し、観光客も増加しています。

多葉田蕗子(たばたふきこ)とその娘・未菜(みな)もまた、Iターンで冴島に移住してきた家族の一つです。蕗子は4年前、オリンピックの水泳で銀メダルを獲得した有名な競泳選手でした。しかし、その栄光が原因で、多くの人々が蕗子に近づいてきました。そのような環境に疲れ果てた蕗子は、既婚者のコーチとの間に過ちを犯し、未菜を妊娠してしまいます。この出来事が原因で、蕗子はさらに心の平穏を失い、娘を守るためにすべてを捨てて冴島に移住する決断をしました。

蕗子と未菜は、冴島で池上家と親しくなり、しばしば池上家で夕食を共にするようになりました。また、冴島は国土交通省から地域活性デザイナーの谷川ヨシノ(たにがわよしの)を招き、島の活性化を図っています。ヨシノは、冴島の抱える問題を解決するために働いており、蕗子と未菜の生活を支えることも彼の仕事の一環でした。

蕗子は、過去の出来事から心を閉ざしていましたが、ヨシノや島の人々の支援を受けて、次第に自分の両親と再会する勇気を持ちます。少しずつですが、蕗子の心の傷も癒されていきました。冴島はIターンの成功によって、古くからの住民と新しい移住者が共存する、活気あふれる島へと変わりつつありました。

池上朱里の母親が社長を務める食品加工会社「さえじま」が、地域おこしの成功例としてテレビで取り上げられることになりました。この計画は、地域活性デザイナーの谷川ヨシノが仲介し、従業員たちも意欲的に取り組んでいました。しかし、ここで予想外の問題が発生します。村長がこのテレビ取材に反対し、計画が頓挫してしまったのです。

村長とヨシノは、これをきっかけに対立するようになりました。村長はこれまで島のために尽力してきた人物として知られていましたが、実際には自分や親しい人々の利益を優先していたことが次々と明らかになっていきます。例えば、冴島に医者がいないのは、村長が知り合いの家の息子を島の医者にするために、他の医者を呼ばなかったためです。

結局、朱里の母親とヨシノはテレビの取材を断り、ヨシノは島との契約を更新せず、別の地域で新たな仕事に取り組むことになりました。そんなとき、突然、未菜が体調を崩し、血を吐いて倒れてしまいます。朱里や蕗子は大いに動揺しますが、幸運にも、WEBデザイナーとして3年前にIターンでやってきた本木(もとき)が未菜を救いました。

本木はこれまで医者であることを隠していましたが、実は医学部を卒業し、医師免許を持つ人物でした。本木は過去に命の重さに耐えきれず、医者の道を諦めていましたが、この出来事をきっかけに再び医療の現場に戻る決意を固めます。島の人々は、本木が医者であったことに驚きつつも、彼を温かく受け入れるようになります。

冴島では、朱里の祖母の同級生が亡くなりました。村長はその形見を朱里の祖母に届け、行方不明のもう一人の同級生、千船碧子(ちふねあおこ)にも渡してほしいと依頼します。碧子はかつて東京に住んでいたことがわかっていましたが、その後の消息は不明でした。

朱里たちは、再来週に修学旅行で東京に行く予定があったため、碧子を探す絶好の機会と考えました。4人は演劇鑑賞の時間に抜け出して碧子を探すことに決め、実行に移しました。会場を後にしようとしたところ、演劇の脚本家・赤羽環(あかばねたまき)に声を掛けられます。事情を話すと

、赤羽はヨシノの友人であることがわかり、一緒に碧子を探してくれることになりました。

5人は碧子の移住先を訪ねますが、碧子はすでに引っ越しており、再び行方不明になっていました。朱里たちは失望しましたが、後日、環が碧子が大阪で教師をしていたことを突き止めます。しかし、碧子はすでに亡くなっており、再会は叶いませんでした。

それでも、碧子が勤めていた学校で生前の姿が映ったビデオを見た新は、幻の脚本の正体に気付きました。その脚本は、島の子どもたちの人数に合わせて使い分けられるよう工夫されたもので、過疎化が進む島で演劇を続けるために考えられたものでした。新は、この脚本を過疎地で働くヨシノに届けたいと考え、現代風にアレンジして新たな脚本を作る決意をしました。

時間が流れ、朱里たち4人はそれぞれの道を進んでいきました。榧野衣花は網元の娘として村長を務めることになり、島の未来を担う役割を果たしています。池上朱里は看護士として島の医療を支え、矢野新は脚本家として自身の才能を発揮しています。青柳源樹は、母親と同じデザイン工学の道を歩み、島の発展に貢献しています。

ラストシーンでは、村長となった衣花が、新しい看護士を迎え入れる場面が描かれます。「ただいま」と挨拶する新しい看護士に、「おかえりなさい」と優しく応える衣花。この瞬間、冴島は新しい時代を迎え、物語は静かに幕を下ろします。

「島はぼくらと」の感想・レビュー

「島はぼくらと」は、瀬戸内海に浮かぶ冴島という小さな離島を舞台に、高校生4人の成長と冒険を描いた素晴らしい物語です。池上朱里、榧野衣花、矢野新、青柳源樹の4人が、島から本土の高校へフェリーで通う姿や、島の人々との温かな交流がとても印象的でした。

特に、霧崎ハイジという謎の作家が登場し、幻の脚本を探し求めるエピソードは、物語にスリルを与え、4人が協力して偽の脚本を作り上げる場面では、彼らの絆の強さが伝わってきます。霧崎がその偽の脚本を自分の作品として発表し、最優秀賞を獲得する展開は驚きましたが、新がそれを受け入れる姿勢には成長を感じました。

また、Iターンをテーマにした冴島の活性化が描かれている点も興味深かったです。多葉田蕗子が娘の未菜と共に冴島に移住し、シングルマザーとして新たな生活を築く姿は、現実の社会問題ともリンクしており、心に響きました。さらに、地域活性デザイナーの谷川ヨシノが島の発展を支える役割を果たしながら、古くからの住民との調和を図る姿は、島の未来への希望を感じさせます。

村長との対立や、未菜の体調不良とそれを救った本木のエピソードも、物語に深みを加えています。本木が医者であることを隠していた背景や、それが明らかになった後の島民たちの反応には、人間関係の複雑さと温かさが描かれており、感動しました。

物語のクライマックスで、朱里たちが修学旅行を利用して行方不明の千船碧子を探すエピソードも、スリルと感動が詰まっています。幻の脚本の正体が明らかになる瞬間は、過疎化が進む島の現実と、それを乗り越えるための創意工夫が感じられ、非常に感慨深かったです。

ラストシーンで、衣花が村長となり、朱里、新、源樹がそれぞれの夢を追いながら島の未来を支えていく姿は、読者に希望と勇気を与えてくれます。「島はぼくらと」は、離島に生きる若者たちの成長を通して、人々の絆や地域社会の大切さを教えてくれる、心温まる物語です。

まとめ:「島はぼくらと」の超あらすじ(ネタバレ)

上記をまとめます。

  • 冴島という離島が物語の舞台である
  • 主人公は冴島出身の高校生4人である
  • 本土へのフェリー通学が描かれている
  • 霧崎ハイジという作家が登場する
  • 幻の脚本を巡るエピソードが重要である
  • Iターンによる島の活性化がテーマである
  • 島の住民と移住者の共存が描かれている
  • 村長と地域活性デザイナーの対立がある
  • 主人公たちはそれぞれの夢に向かって進む
  • 最後に島の未来が描かれて物語が締めくくられる