「サンクチュアリ」の超あらすじ(ネタバレあり)

「サンクチュアリ」は、オーストラリアに住む移民夫婦スティーブとルチアの物語です。

ある日、二人の家に日本から留学生カレンがホームステイにやってきます。彼女の登場をきっかけに、家族の間に隠されていた文化の違いや不満が表面化し、夫婦の関係に亀裂が生じます。ルチアは一度は他の男性に心を揺さぶられますが、家族の絆を再確認し、家族全員で新たな未来へと進んでいく姿が描かれます。

ネタバレを含むあらすじを知りたい方におすすめです。

この記事のポイント
  • サンクチュアリの基本的なあらすじ
  • 主要な登場人物と彼らの関係
  • 留学生カレンの役割と影響
  • 夫婦間の文化的な対立と解決
  • 物語の結末の方向性

「サンクチュアリ」の超あらすじ(ネタバレあり)

第1章: 留学生カレンの登場

スティーブ・ウォーカーとルチア・ウォーカーはオーストラリアのシドニー郊外に住む夫婦です。スティーブはイギリス系移民の子供で、現在は小さな建築会社を経営しています。ルチアはイタリア系移民の家庭で育ち、かつては看護師として働いていましたが、今は専業主婦として家族の世話をしています。ウォーカー家には二人の息子がいます。長男のライアンは大学進学を控えた18歳、次男のアンガスは高校に通う15歳です。

ある日、ルチアは日本からの留学生を家に迎えることになりました。20歳のカレン・タカハシという女子学生です。カレンがオーストラリアに来る日、ルチアは家族全員に早く帰ってくるようにお願いしましたが、スティーブは仕事が忙しく、ライアンはアルバイトとデート、アンガスはフットボールの練習で、誰もルチアの言うことを聞いてくれませんでした。

その日の夕方、ルチアはアンガスを迎えに行った帰りに、カレンがすでに家に到着していることを知ります。カレンは小柄で、ショートカットの黒髪がとても似合う、明るくて元気な女の子です。彼女は少し緊張しながらも、「タカハシカレンです。よろしくお願いします」と丁寧に挨拶をしました。翌朝、スティーブがカレンを学校に送って行くことになり、ルチアはその準備を手伝います。

翌朝、カレンが家族全員の前に現れ、彼女のお土産として日本から持ってきた小さな箱を差し出しました。その中には、イワシの佃煮が入っていました。スティーブやライアン、アンガスはその独特な匂いに驚きましたが、カレンが「これは日本ではとてもポピュラーな食べ物です。ちょっと変わっているかもしれませんが、ぜひ試してみてください」と笑顔で話すと、家族もなんとなく受け入れることができました。

第2章: 日常と新たな出会い

スティーブは黒のメルセデス・ベンツに乗り、ルチアは大きな四輪駆動車を愛用しています。スティーブの経営する会社「ウォーカーズ・コンストラクション」は順調に業績を伸ばしており、家庭も経済的には安定しています。しかし、ルチアがかつて夢見た家族全員での長距離旅行は、もう実現が難しそうです。家族の間には、どこか一体感が失われているのです。

ある日、ルチアは友人のエリザベスやサラといった裕福な友人たちと一緒にランチを楽しみました。彼女たちとは、昔貧しかった頃の友人とは違い、今のルチアにとっての新しい友人です。しかし、裕福な友人たちも、子供の教育や夫との関係など、悩みは多いようです。ルチアは、カレンのことや、子供たちの将来について話題にしながらも、どこか物足りなさを感じています。

数日後、ルチアは愛車の修理のために、いつも利用している中古車ディーラー「シェイマス・モーターズ」に行きました。そこで対応してくれたのは、ディーラーの営業担当者シェイマス・オコナーです。彼は40代半ばの男性で、妻子と別居していることを打ち明けました。ルチアは、彼とのおしゃべりが楽しく、彼が親しみやすい性格であることに気付きます。

また、クリスマスが近づくと、カレンは少し閉じこもりがちになり、日本の家族を思い出しているようでした。ルチアはカレンと家族で、クリスマスについて話し合い、オーストラリアと日本のクリスマスの過ごし方が大きく異なることを知ります。この話をきっかけに、カレンも少しずつウォーカー家に溶け込んでいきました。

第3章: ルチアの揺れる心

ルチアは、元気がないカレンを励ますために、自宅でバーベキューパーティーを開くことにしました。彼女はカレンの学校の友達を招待し、庭でにぎやかなパーティーを計画しました。当日、スティーブがバーベキューの火をおこし、カレンたちが日本語で楽しそうにおしゃべりをする様子を見守っていました。しかし、スティーブは自分が理解できない言葉で話されることに少しイライラしているようでした。

その夜、ルチアはシェイマスのお別れディナーに出かけました。シェイマスは仕事を辞めて、故郷に帰ることになったのです。ディナーの席で、ルチアはシェイマスと深い話を交わし、彼に対してどこか親しみを感じるようになります。シェイマスはルチアに好意を持っており、彼女を田舎に連れて行きたいと考えていました。

しかし、シェイマスが車の中でルチアにキスをした瞬間、ルチアはこれまでのスティーブとの結婚生活を思い出し、不倫をしてはいけないと強く感じます。ルチアはシェイマスの提案を断り、家に帰ることを選びました。シェイマスはルチアを尊重し、別れを告げます。

第4章: 夫婦の対立と自己傷害

ルチアが帰宅すると、スティーブは怒っていました。ルチアが家を空けていたことで、スティーブは自分が家族に対して孤立していると感じていたのです。夫婦の間で積もり積もった感情が爆発し、激しい口論に発展しました。お互いに抱えていた不満や文化の違いが、言葉にならない怒りとなって噴き出します。

口論の中で、ルチアは感情が高ぶり、思わずキッチンの包丁を手に取りますが、そこで自分を傷つけてしまうことになります。スティーブはすぐに救急車を呼び、ルチアは病院に運ばれます。医師たちの迅速な対応で、ルチアの親指は無事に接合されましたが、夫婦の心には深い傷が残ります。

第5章: 家族の再生と未来への旅立ち

ルチアが入院している間、次男のアンガスはお見舞いに白い菊の花を持ってきました。しかし、カレンはそれを見て「それは日本では葬式の花だ」と驚きます。アンガスはオーストラリアでは母の日に贈る花だと説明しますが、イタリアの文化でも菊は葬式に使う花だとルチアが説明します。この文化の違いが、家族の間で小さな誤解を生むきっかけとなります。

スティーブはこれをきっかけに、ルチアを退院させたその日に花屋に連れて行きます。花屋でスティーブは、どんな花を贈ればいいのか悩んでいましたが、花屋の店員にアドバイスを求めます。「心がこもっているなら、どんな花でもいいんですよ」と店員が言うと、スティーブは一束の花を選び、それをルチアに渡します。ルチアは感激し、この花を自分が先に亡くなったときに墓に飾ってほしいとスティーブにお願いしました。スティーブはその願いを静かに受け止めました。

一年後、ウォーカー一家は日本へ向かう飛行機に乗っています。カレンから結婚式の招

待状が届き、家族全員で彼女の結婚式に出席するためです。飛行機の中で、スティーブやルチアは、日本の結婚式の文化がどのようなものか想像しながらも、不安と期待が入り混じった気持ちを抱いています。しかし、何よりも大切なのは、家族が一つにまとまり、新しい一歩を踏み出す準備ができているということです。ウォーカー一家は、新たな未来へと旅立っていきました。

「サンクチュアリ」の感想・レビュー

「サンクチュアリ」は、移民としてオーストラリアに暮らす夫婦、スティーブ・ウォーカーとルチア・ウォーカーが主人公の物語です。物語の始まりは、日本からの留学生カレン・タカハシがウォーカー家にホームステイすることから始まります。カレンの到来は一見、日常の中でのちょっとした変化に過ぎないように見えますが、実はこれが家族全員の心の奥底に眠っていた問題を浮き彫りにしていく重要な出来事となります。

スティーブは建築会社を経営し、家族を経済的に支えていますが、忙しい日常の中で家族との時間が減り、次第に家族の一体感が薄れていきます。一方、ルチアはかつて看護師として働いていた経験を持ちますが、今は専業主婦として家庭を守っています。彼女は家族全員が一つにまとまっていることを願いながらも、その願いが遠のいていることに気づきます。

カレンがウォーカー家に滞在することで、スティーブとルチアの間に潜んでいた文化の違いが表面化し、夫婦間の摩擦が次第に激しくなります。特に、スティーブが理解できない日本語でカレンが話すことに苛立ちを感じる場面や、ルチアが別の男性であるシェイマス・オコナーに心を揺さぶられる場面は、彼らの結婚生活における緊張を象徴的に描いています。

物語の中盤では、ルチアがシェイマスとの間で一瞬、浮気の誘惑に駆られる場面がありますが、長年築き上げてきたスティーブとの関係を思い出し、最終的にはその誘惑を断ち切ります。この選択が、彼女が家族の一員としての自覚を再確認するきっかけとなり、物語のクライマックスへとつながっていきます。

ルチアが不慮の事故で入院するというショッキングな展開を経て、スティーブはルチアへの愛情を再確認し、彼女を退院させた後、花屋に連れて行きます。ここで、スティーブが心からの花を贈るシーンは、夫婦が再び一つになろうとする姿を象徴的に描いています。

物語の最後では、カレンの結婚式に出席するために一家が日本へ向かう場面が描かれます。ウォーカー家は文化の違いに対する不安を抱きつつも、家族としての絆を取り戻し、新たな未来に向かって歩み出します。家族の再生と未来への希望が込められた感動的な結末です。

この作品は、家族や文化の違いに直面したときに、どのように乗り越えていくかというテーマを深く掘り下げています。スティーブとルチアが、家族としての絆を取り戻す姿には、読者として多くの共感と感動を覚えるでしょう。

まとめ:「サンクチュアリ」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • オーストラリアに住む移民夫婦の物語である
  • 日本からの留学生カレンがホームステイする
  • カレンの登場が家族に影響を与える
  • 夫婦間の隠れた問題が表面化する
  • 文化の違いが家族の対立を引き起こす
  • ルチアが他の男性に心を揺さぶられる
  • 夫婦の関係が一時的に危機に陥る
  • 家族の絆を再確認する展開がある
  • 最終的に家族が再びまとまる
  • 物語は未来への希望を持って終わる