伊坂幸太郎の「PK」では、小津誠選手がワールドカップアジア予選でPKのチャンスを得た場面と、それにまつわる過去の出来事が描かれています。小津は17年前に体験した衝撃的な出来事と、チームメイトである宇野大輔の支えを思い出しながら、重大な決断を迫られることになります。
物語は、幼少期に目撃した運命的な出来事を通じて、サッカーに対する情熱と友情が描かれています。そして、時を経て再び訪れた重要な瞬間で、小津がどのような決断を下すのかが緊張感をもって描かれています。
最終的には、過去に救った命が別の形で恩返しをするという感動的な展開が待っています。この記事を通じて、運命の不思議な巡り合わせと、それにどう立ち向かうかを知ることができます。
- 小津誠選手がPKを蹴るまでの経緯
- 17年前に起こった運命的な出来事
- 宇野大輔の励ましが小津に与えた影響
- 大臣の苦悩と毬夫の再会
- 過去の出来事が未来に影響を与える瞬間
「PK(伊坂幸太郎)」の超あらすじ(ネタバレあり)
日本代表は2002年ワールドカップ出場をかけて、アジア予選最終戦でイラクと対戦します。試合はスコアレスのままロスタイムに突入し、緊張が高まる中、日本の小津誠選手がゴール前で倒され、PKのチャンスを得ます。これは絶好の機会であり、決めれば日本のワールドカップ出場が決定する状況です。
しかし、数か月前、小津は遠征先のホテルで奇妙な男に出会い、その男から「ワールドカップ予選の最終戦でPKのチャンスがあれば、わざと外してほしい」と脅されます。脅しの内容は不明確でありながらも、不安を募らせるものでした。小津はこの脅迫を忘れることができず、ゴール前でボールを見つめるうちに、その男の言葉が頭をよぎります。
そんな時、小津の幼馴染でありチームメイトの宇野大輔が近づいてきます。宇野と小津は幼少期から共にサッカーを続けており、辛い過去を乗り越えてきた仲間です。宇野の励ましを受け、小津はPKを蹴るかどうか、人生を左右する決断を迫られる瞬間を迎えます。
小津と宇野の出会いは、17年前にさかのぼります。二人は子供の頃からサッカーに熱中していましたが、家庭環境は厳しく、いじめを受けることも多かったです。彼らがサッカーを辞めようと考えていたある日、運命を大きく変える出来事が起こります。
小津と宇野は、学校からの帰り道でマンションのベランダから落ちそうになっている本田毬夫という子供を目撃します。子供が落下寸前の瞬間、背広姿の男性が駆け寄り、見事にキャッチしました。ふたりはその光景に感動し、自分たちも絶対に諦めずにサッカーを続けようと誓い合います。
この出来事が、小津と宇野の心に強い決意を植え付け、その後も厳しいサッカーの道を歩んでいく原動力となりました。彼らの人生において、この瞬間は忘れられないものとなります。
17年後、再び運命が小津の前に立ちはだかります。ワールドカップ出場をかけた重要なイラク戦で、小津は再びPKのチャンスを得ます。あの時と同じように、小津は心の中で葛藤し、脅迫されたことを思い出します。しかし、この瞬間、宇野が再び小津を支えます。
宇野は「このシュートで、みんなの勇気が湧くんだ」と、シンプルながらも力強い言葉をかけます。その言葉に勇気をもらった小津は、ついに決断を下し、PKを蹴ります。ボールは見事にゴールに吸い込まれ、日本の勝利を確定させました。
スタジアムは歓声に包まれ、喜びにあふれる中、小津は宇野と抱き合い、ガッツポーズを取りました。あの17年前の約束が、ついに果たされた瞬間でした。
本田毬夫を救った男性は、後に大臣となり多忙な日々を送っています。しかし、彼の政治生活には影がさしています。幹事長から不正な要求をされ、従わなければ過去のスキャンダルを暴露すると脅される状況に直面します。身に覚えのない疑惑ですが、政治家としてのキャリアに大きな危機を迎えます。
そこで大臣は、27年前に救った本田毬夫と再会することを決意します。現在、毬夫は立派な大人に成長し、警備会社で働いています。二人が食事をする中で、大臣は自身の悩みを打ち明けます。
毬夫は「過ちを認めることから物事は始まる」と大臣を励まし、その言葉に勇気をもらった大臣は、ついに自らの決断を下すことを決意しました。過去に助けた命が、再び彼を救う形となりました。
「PK(伊坂幸太郎)」の感想・レビュー
物語『PK』は、サッカーを通じて描かれる運命の巡り合わせと、友情、勇気に満ちた感動的な作品です。特に、小津誠がワールドカップ予選の最終局面でPKを蹴るかどうかに悩む姿は、読者に深い共感を呼びます。数カ月前に脅迫された経験や、17年前に目撃した本田毬夫の事故が、小津の心に複雑な感情を引き起こす中、彼はどのような決断を下すのかが緊張感を持って描かれています。
この物語の魅力は、サッカーという競技の枠を超えた人間ドラマにあります。小津と宇野が幼少期に目撃した本田毬夫の事故は、彼らの人生に大きな影響を与え、その後もサッカーを続ける決意の原動力となります。17年後に再びPKの場面で二人の絆が強調され、特に宇野の励ましが小津に勇気を与えるシーンは感動的です。
また、大臣となった人物が、過去に救った命である本田毬夫と再会するシーンも非常に印象的です。政治的な圧力に苦しむ大臣が、毬夫から「過ちを認めることが大切」と励まされ、決断を下す場面は、過去の出来事がどのように未来に影響を与えるかを巧みに描いています。
全体を通して、友情や決断の重要性が強く伝わってくる物語です。サッカーという競技が単なるスポーツとしてではなく、人生の中での選択や試練を乗り越えるための象徴として描かれている点が非常に魅力的です。
まとめ:「PK(伊坂幸太郎)」の超あらすじ(ネタバレあり)
上記をまとめます。
- 小津はPKの場面で脅迫を思い出す
- 幼少期の小津と宇野は本田毬夫の事故を目撃
- 小津と宇野はその後サッカーを続ける決意をする
- 宇野の言葉が小津を勇気づける
- 小津はPKを成功させ、日本代表をワールドカップに導く
- 救われた本田毬夫が大臣に再会する
- 大臣は政治的圧力に苦しむ
- 毬夫の励ましで大臣は決断を下す
- 過去に救った命が大臣を救う形となる
- 友情と決断の重要性が物語のテーマ