『リトルマーメイド』原作の超あらすじ

大海原を舞台に、人魚姫アリエルと人間の王子エリックの切ない恋を描いた「リトルマーメイド」。アンデルセン童話として有名なこの物語は、ディズニー映画によって広く知られるようになりました。

しかし、原作の「人魚姫」は、ディズニー版とは異なる結末を迎えることでも知られています。王子への叶わぬ恋、声と引き換えにした魔法、そして究極の選択を迫られる人魚姫の運命とは?

この記事では、原作「人魚姫」のあらすじを、章ごとに詳しく解説していきます。ディズニー版しか知らない方はもちろん、原作を忘れてしまった方も、ぜひこの機会に「人魚姫」の本当の姿に触れてみてください。

この記事のポイント
  • 人魚姫アリエルの切ない恋物語
  • アリエルが人間の世界に憧れる理由
  • アリエルが払った犠牲と試練
  • ディズニー版との結末の違い
  • 原作「人魚姫」の奥深さ

『リトルマーメイド』原作の超あらすじ

 

第一章:海からの恋

デンマークの青い海深くには、七人の美しい人魚姫たちが暮らす、サンゴと貝殻でできたきらびやかな宮殿がありました。末っ子の人魚姫アリエルは、好奇心旺盛で優しい心の持ち主です。アリエルは、人間の世界を垣間見たことのある姉たちから、陸の世界の文化や習慣について、そして何よりも人間には「魂」があり、死後も星となって永遠に輝き続けるという話を聞かされ、心を躍らせていました。

十五歳の誕生日を迎える日、アリエルは海の魔女アースラと契約し、特別な薬を使って人間の姿に変身できるようになりました。しかし、その代償として、彼女の一番の宝物である美しい歌声を奪われてしまうのです。それでも、人間の世界への憧れと、いつか王子様に会うことを夢見て、アリエルは海の泡となって消えてしまう危険を冒してまで、陸の世界へ行くことを決意します。

人間の姿になったアリエルは、浜辺で偶然にも難破した船から海に投げ出されたエリック王子を発見します。意識を失ったエリック王子を助け、砂浜に引き上げたアリエルは、一目見た瞬間から王子に心を奪われてしまいます。エリック王子が目を覚ます前に、アリエルは彼の声を聞くことも叶わず、名残惜しさを感じながら海の中へと姿を消すのでした。

第二章:叶わぬ恋と犠牲の道

再び人魚の姿に戻ったアリエルは、エリック王子のことが頭から離れません。何とかして王子に会いたい一心で、彼女は禁断の魔法を使うことを決意します。海の魔女アースラは、アリエルの切なる願いを叶える代わりに、恐ろしい条件を突きつけます。それは、三日の間にエリック王子の愛を得て、王子から「真実の愛のキス」を受けなければ、アリエルは永遠に海の泡となってしまうというものでした。

海の魔女の魔法によって人間の姿に変身したアリエルは、再び陸の世界へと向かいます。エリック王子と再会を果たしたアリエルでしたが、声を失っているため、自分が彼を助けたことを伝えることができません。それでも、持ち前の明るさと優しさで、アリエルは次第にエリック王子の心を惹きつけていきます。二人は、宮廷舞踏会や月明かりのボート遊びなど、楽しい時間を共に過ごします。

第三章:愛の選択と永遠の魂

エリック王子は、アリエルに特別な感情を抱き始めていましたが、過去の記憶から、自分を助けてくれたのはアリエルではないと思い込んでいました。一方、アリエルは、エリック王子が自分に心を開いていく一方で、「真実の愛のキス」を受けなければ自分の命が尽きてしまうという焦燥感に駆られます。

そんな中、エリック王子は、隣国の王女であり、かつて自分が命を救われたと信じる女性と再会します。アリエルは、エリック王子がその女性こそ自分の命の恩人だと確信し、結婚を決意するのを目の当たりにします。海の泡になる運命を受け入れたアリエルでしたが、海の仲間たちの助けによって、エリック王子を殺害すれば人魚に戻れるという最後のチャンスを与えられます。しかし、アリエルは、愛するエリック王子の幸せを願い、その提案を拒否します。

夜が明け、アリエルは朝日が昇る中で海の泡となってしまいます。しかし、彼女の自己犠牲の精神とエリック王子への純粋な愛は、天上の世界に届き、アリエルは「空気の精」となって永遠の命を得ることができました。エリック王子もまた、アリエルへの深い愛情に気づき、二人は永遠に結ばれることになります。

『リトルマーメイド』原作の感想・レビュー

アンデルセン童話の「人魚姫」の原作を改めて読んでみて、ディズニー映画版とは全く違う印象を受けました。

まず、アリエルの置かれている状況が、映画よりもずっと過酷です。美しい声と引き換えに人間の姿になれる薬は、三日間のうちに王子の愛を得なければ、アリエルを泡に変えてしまうという恐ろしいものでした。しかも、王子はアリエルのことを、自分を助けてくれた人だとは知らず、別の女性を探しているという状況です。アリエルは、愛する人に気持ちを伝えることもできず、ただただ泡になって消えてしまうかもしれない恐怖と、王子への募る想いとの間で苦しみます。

それでもアリエルは、持ち前の明るさと優しさで、エリック王子と楽しい時間を過ごします。宮廷舞踏会での華やかなダンスや、月明かりの下でのロマンチックなボート遊びなど、原作には映画にはないエピソードも描かれていて、二人の束の間の幸せを感じました。

しかし、物語の終盤は、ディズニー版とは全く異なる展開を見せます。エリック王子は、人魚のアリエルではなく、自分を助けてくれたと思い込んでいる隣国の王女と結婚することを決めてしまいます。アリエルには、王子を殺して人魚に戻る道が残されていましたが、愛する人の幸せを願い、彼女はそれを拒否します。そして、朝日が昇る中で海の泡となってしまうのです。

原作は、ディズニー版のようにハッピーエンドではありません。しかし、アリエルの純粋で深い愛と自己犠牲の精神は、読む人の心を強く打ちます。また、人間の姿になるために、どれほどのものを犠牲にしたのか、どれほどの苦しみを味わったのかが、原作ではよりリアルに描かれており、アリエルの健気さに胸が締め付けられる思いがしました。

そして、原作では、アリエルは泡になってしまった後、「空気の精」となって永遠の命を得ることができるとされています。これは、人間の魂を得るために努力を続けたアリエルへの、ささやかな救いなのかもしれません。

全体を通して、ディズニー映画とは異なる、アンデルセン童話らしい、残酷だけれども美しい、深いテーマを持った物語だと感じました。

まとめ:『リトルマーメイド』原作の超あらすじ

上記をまとめます。

  • 人魚姫アリエルが人間の王子エリックに恋をする
  • アリエルは人間の姿に変身する薬と引き換えに、美しい声を失う
  • アリエルは、王子と結ばれなければ海の泡になってしまうという約束を海の魔女アースラとする
  • 声を失ったアリエルは、エリック王子に自分の気持ちを伝えることができない
  • エリック王子は、アリエルに特別な感情を抱くが、自分を助けてくれたのは別人だと勘違いしている
  • エリック王子は、隣国の王女と結婚しようとする
  • アリエルは、海の仲間たちからエリック王子を殺せば人魚に戻れると言われる
  • アリエルは、エリック王子の幸せを願い、殺害を拒否する
  • アリエルは、海の泡となるが、その純粋な愛によって「空気の精」となる
  • エリック王子もアリエルへの愛に気づき、二人は永遠に結ばれる