『くちびるに歌を』小説の超あらすじ(ネタバレあり)

「くちびるに歌を」は、五島列島の中学校を舞台にした感動的な小説です。

物語は、産休に入る音楽教師の代わりに、東京からやってきた美人教師、柏木ユリ先生が合唱部を指導することから始まります。柏木先生の登場により、女子だけの合唱部に男子生徒が加わり、部内の対立や葛藤が生まれますが、次第に一つにまとまっていきます。彼らはNHK全国学校音楽コンクールの長崎県大会を目指し、練習に励む中で絆を深めていきます。

仲間との衝突や和解、家族との絆が描かれる本作は、多くの読者に感動を与えることでしょう。

この記事のポイント
  • 柏木ユリ先生の合唱部顧問としての登場と影響
  • 男子生徒の入部と合唱部の変化
  • 合唱部内の対立と解決
  • Nコン長崎県大会に向けた練習と努力
  • 合唱部員たちの成長と絆の深まり

『くちびるに歌を』小説のあらすじ

第1章: 美人教師登場

長崎県西部の海に浮かぶ五島列島にある中学校には、活気ある合唱部がありました。ある日、その合唱部の顧問を務めていた音楽教師、松山ハルコ先生が産休に入ることになりました。そのため、代わりに臨時の音楽教師として東京から柏木ユリ先生がやってきました。

柏木ユリ先生は、かつては音楽の神童と呼ばれ、現在は無職を自称していますが、彼女の美しい容姿と優れた音楽の才能は周囲の人々を引きつけます。柏木先生がやってくると、合唱部は一変します。女子だけの合唱部に、向井ケイスケや三田村リクなど、多くの男子生徒が入部しました。

桑原サトルも、松山先生に頼まれて音楽室に行っただけだったのですが、入部希望者と勘違いされてしまい、そのまま合唱部に入ることになりました。こうして、合唱部は混声合唱としてNHK全国学校音楽コンクール、通称Nコンの長崎県大会を目指すことになります。課題曲は「手紙」です。新しいメンバーたちが加わり、合唱部は新たな一歩を踏み出しました。

第2章: 練習と亀裂

桑原サトルには、自閉症の兄、アキオがいます。アキオは工場で働いており、サトルは毎日迎えに行くことが日課でした。しかし、合唱部の練習に参加したいサトルは、アキオの迎えを一日おきにすることを母に相談します。母は、サトルが部活動に専念できるようにと、アキオの迎えを自分がすることにしました。

Nコンに向けての練習が始まりましたが、男子と女子の間に次第に亀裂が生じてきました。男子生徒たちは合唱の経験が少なく、指導を受けてもなかなか上達しませんでした。そのため、男子に対する不満が高まり、合唱部内は男子肯定派と否定派に分かれてしまいました。

そんな中、向井ケイスケは第二音楽教室で二年生の篠崎と喧嘩をしてしまいます。しかし、向井ケイスケは喧嘩の理由を話さず、その理由は不明のままでした。合唱部は一つにまとまることができず、厳しい状況が続いていました。

第3章: 合唱部一丸となる

合唱部内の亀裂は依然として深刻でした。男子肯定派と男子反対派に分かれた状態が続いていたのです。ある日、男子反対派の女子部員たちが職員室前に集まり、柏木ユリ先生を取り囲んで直談判をしました。「Nコンを勝ち進むためには、女声三部合唱で出場させて欲しい」と主張したのです。

しかし、柏木先生は全員で前に進むために混声三部合唱で挑むことを決断しました。反対派の女子部員たちは納得できませんでしたが、先生の決めたことだからと渋々従うことにしました。

そんな中、仲村ナズナは向井ケイスケが喧嘩をした理由を知ります。向井ケイスケは、仲村ナズナの行方不明になった父親のことを悪く言われたため、怒って殴ってしまったのです。このことがきっかけで、男子生徒たちは改心し、真剣に練習に取り組むようになりました。合唱部内の亀裂は次第に消え、みんなが一丸となってNコンに向けて努力を重ねました。

第4章: 九州本土へ

合唱部はNコン長崎県大会の会場がある九州本土に向かうため、フェリーに乗りました。初めての遠征に胸を躍らせながら、やがて九州本土に上陸し、ホテルに到着しました。

部員たちは本番を想定しての練習を開始し、集中して取り組みました。練習が終わった後、自由時間に仲村ナズナは向井ケイスケに呼び出されました。向井ケイスケは誰かに告白するつもりだと言いましたが、その相手は仲村ナズナではなく、部長の辻エリでした。仲村ナズナは少し落胆しました。

一方で、桑原サトルは長谷川コトミに付き添いました。長谷川コトミは恋人である神木先輩に会いに行くと言いました。そこで予期せぬ展開がありましたが、これを機に桑原サトルと長谷川コトミの距離が縮まりました。

第5章: フィナーレ

いよいよ迎えたNコン当日、合唱部員たちは緊張しながらも一生懸命に歌いました。無事に発表を終えた後、桑原サトルはホールの外で兄のアキオと両親に会いました。アキオは大会の最中、ずっとホールの外にいて、歌声を聞くことができませんでした。

そのことを知った仲村ナズナは、アキオのために合唱部のみんなを集めて、外で歌うことを提案しました。部員たちは快く応じ、アキオの前で歌いました。その輪は次第に大きくなり、多くの歌声がアキオを包み込みました。

こうして、合唱部は一つにまとまり、素晴らしい思い出とともにNコンを終えました。合唱部員たちの絆は一層深まり、それぞれが大きな成長を遂げました。

『くちびるに歌を』小説の感想・レビュー

「くちびるに歌を」を読んで、心が温かくなるような感動を味わいました。物語の舞台は美しい長崎県五島列島で、そこにある中学校の合唱部が中心です。物語の始まりは、音楽教師の松山ハルコ先生が産休に入るところからです。そこへ東京から美人で才能あふれる柏木ユリ先生が臨時教師としてやってきます。柏木先生の登場によって、合唱部には新たな風が吹き込みます。

特に印象に残ったのは、女子だけだった合唱部に向井ケイスケや三田村リクなどの男子生徒が加わるところです。桑原サトルが入部することになった経緯も興味深かったです。松山先生に頼まれて音楽室に行っただけだったのに、入部希望者と勘違いされてそのまま合唱部に入ることになるなんて、ちょっとしたハプニングが楽しく描かれています。

物語が進むにつれて、合唱部内の対立や葛藤が描かれます。男子生徒たちが未経験であるために、女子生徒との間に亀裂が生じます。向井ケイスケが二年生の篠崎と喧嘩をするシーンは、その対立の象徴的な場面です。しかし、仲村ナズナが喧嘩の理由を知り、男子生徒たちが改心して練習に励む姿は感動的でした。

合唱部が一丸となってNHK全国学校音楽コンクール、通称Nコンの長崎県大会を目指す姿は、仲間との絆や努力の大切さを教えてくれます。フェリーに乗って九州本土に向かうシーンや、本番前の練習風景は、まるで自分も一緒に旅をしているかのような気持ちにさせてくれました。

クライマックスでは、桑原サトルと彼の兄アキオ、そして家族との絆が描かれます。特に、アキオのために合唱部のみんなが外で歌うシーンは、涙なしには読めませんでした。仲村ナズナをはじめとする部員たちの優しさと団結力が光る場面です。

全体を通して、登場人物たちが成長し、絆を深める姿に心が打たれました。「くちびるに歌を」は、友情や家族の大切さを再確認させてくれる素晴らしい作品です。柏木ユリ先生の指導のもと、一丸となって目標に向かう合唱部の姿に、多くの感動をもらいました。

まとめ:『くちびるに歌を』小説の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 長崎県の五島列島が舞台である
  • 合唱部の顧問松山ハルコ先生が産休に入る
  • 東京から柏木ユリ先生が臨時の音楽教師として着任する
  • 柏木先生の美貌と才能が注目を集める
  • 女子だけの合唱部に男子生徒が加わる
  • 桑原サトルが入部することになる経緯
  • 合唱部がNHK全国学校音楽コンクールを目指す
  • 男子生徒の未経験による部内の対立
  • 仲村ナズナが向井ケイスケの喧嘩の理由を知る
  • 合唱部が一つにまとまり、練習を続ける