「海路」の超あらすじ(ネタバレあり)

「海路」のあらすじを詳しく知りたい方に向けて、本作のストーリーを紹介します。

志木は准看護師として厳しい環境で働きながら、新たな転職先として月島診療所に採用されます。診療所での生活や仲間との関係が進展する中、同僚の誠一とのトラブルや月島の突然の失踪が描かれます。

志木は月島の行方を追い、沖縄の渡嘉敷島での予期せぬ再会と別れを経験し、それぞれの人生の道を歩んでいく様子を描いた感動の物語です。

この記事のポイント
  • 志木が准看護師として厳しい職場での経験を積む過程
  • 月島診療所での志木の新しい生活と仲間との関係
  • 同僚誠一とのトラブルとその影響
  • 月島の突然の失踪と志木の追跡
  • 沖縄の渡嘉敷島での再会と別れを経て、それぞれの人生の道を歩む様子

「海路」の超あらすじ(ネタバレあり)

春に高校を卒業した志木は、准看護師の資格を取るために専門学校に通っていました。昼間は授業を受け、夜間には指定された医療機関で助手として働いていました。試験に合格するまでは、意地悪な先輩たちにいじめられることが多く、試験に合格しても正看護師の免許を持つ同僚たちから厳しく扱われることが続きました。

そんなある日、志木は大学病院でガーゼや包帯を補充するアルバイトをしている小池誠一と出会いました。誠一は関西の大学を卒業後、東京に引っ越してきたばかりで、「妥協はしない」というのが口ぐせでした。彼はこれまで一度も定職に就いたことがありません。志木のマンションにあっという間に転がり込み、一日中パソコンゲームをして過ごしたり、志木の財布から1000円札を抜き取ったりしていました。

心機一転するために、志木は大田区馬込の「月島診療所」の面接を受けに行きました。この地域は、昔は文士村と呼ばれ、多くの坂があることで知られています。診療所は人通りの少ない場所にあり、木の板に「月島診療所」と書かれていました。面接では志望動機や経歴についての質問もなく、即決で採用されました。

「月島診療所」で内科の患者の治療から小さな外科処置までを担当しているのは、月島先生です。診療所の金庫内の計算やカルテの整理をしているのは、水鳥さんです。志木は自動車の運転が得意で、方向音痴でハンドルを握るのが嫌だという月島からは、往診の際に頼りにされることが多かったです。

おしゃべり好きな水鳥には少し戸惑うこともありますが、以前の病院に比べるとストレスはかなり少ないと感じています。水鳥によると、月島の専門は脳外科であり、通常の外科医が2〜3針で縫うところを、月島は5〜7針で細やかに縫うとのことです。

一方で、誠一は就職活動のためにお金を貸してほしいと言ったり、仕事の終わりにマンガ雑誌を買ってきてほしいと頼んだり、今日の夕飯に牛肉を食べたいと言ったりしていました。そんな彼が、診療所にまで押しかけてきたこともありました。月島は誠一を「シガバチ」と例え、獲物を無抵抗にするために麻酔を打つ昆虫のようだと言っています。

誠一は恥をかかされたことで逆恨みし、数日後に「J大学の月島英雄容疑者が逮捕、病棟の新築工事受注をめぐって業者から数百万円を詐取」と報じられた新聞記事を志木の目の前で見せました。志木は月島を信じるか誠一を信じるかを選ぶ必要がありましたが、迷わず月島を選び、誠一と別れました。

月島診療所が閉院するという情報を最初に知ったのは水鳥さんでした。経営が厳しいわけではありませんが、月島は3月いっぱいは患者を受け入れると述べていました。しかし、3月の3週目の月曜日の朝には連絡が取れなくなりました。

以前、月島は洗足池駅近くに購入した一軒家で、妻の巻さんと息子の博一くんと暮らしていました。しかし、離婚後、巻さんは旧姓の篠沢に戻り、宮城県仙台市に帰郷しました。月島は診療所の2階を改装して寝泊まりしていましたが、その住居スペースにも月島の姿はありませんでした。若い医師が代理として診療所を引き継ぐことになりました。

月島がよく利用していた個人タクシーの運転手によると、前日の夜に羽田空港まで送っていったとのことです。数日前に、志木が郵便局で渡嘉敷島行きの速達便を受け取ったため、水鳥がインターネットで飛行機のチケットを予約してくれました。

志木は那覇空港に到着後、タクシーで市内に移動し、泊のターミナルからフェリーに乗船しました。渡嘉敷港で降りてマイクロバスに乗りました。周りの乗客たちは楽しそうに風景を楽しんでいましたが、志木は見知らぬ場所に来てしまった不安でいっぱいでした。

バスの運転手が営む「星砂荘」で沖縄そばとゴーヤチャンプルーを振る舞われましたが、その後、具合が悪くなってしまいました。この島の名医である山口先生が倒れ、代役の医師が来ているとのことでした。診療所を訪れてみると、浜辺で月島が楽しそうに遊んでいるのを見つけました。

月島は、J大学を辞めた理由が裏金を受け取ったからではなく、医局や医師会から疎まれていたためだと説明しました。妻子に出て行かれてからは、医学への情熱も失われたと語り、大学の先輩である山口先生の手伝いをしながら、この地でのんびり過ごすことに決めたとのことです。翌朝、東京に戻る志木をフェリー乗り場まで月島が見送りに来てくれました。志木は大きく手を振り、月島は丁寧にお辞儀をしました。船と港の間の海には、一筋の道が浮かび上がっていきました。

志木が東京に戻ると、月島は渡嘉敷島でのんびりとした生活を続けることになりました。志木との別れの瞬間、月島は感謝の気持ちで見送りました。志木は再び東京での生活に戻り、それぞれが自分の道を歩んでいくのでした。

「海路」の感想・レビュー

「海路」は、志木が准看護師としての厳しい経験から始まる物語です。志木は専門学校で学びながら、夜間の仕事で多くの困難に直面します。特に先輩たちのいじめや、同僚の厳しい態度に悩まされながらも、新しい転職先として月島診療所に採用されます。

月島診療所での生活が描かれる中、志木は診療所の内科医である月島先生や、金庫の管理をする水鳥と関わっていきます。月島の専門分野が脳外科で、非常に細かい技術を持っていることが紹介され、志木はその医療の世界に触れます。しかし、誠一という問題の多い同僚が登場し、志木の生活に影を落とします。誠一は、志木の財布からお金を抜き取るなど、非常に困った人物です。

月島の突然の失踪という展開が物語を大きく変えます。志木は月島が失踪した理由を探るため、沖縄の渡嘉敷島へ向かいます。そこで月島と再会し、彼がなぜ診療所を辞めたのかが明らかになります。月島は、医局や医師会からの圧力で辞職したわけではなく、組織との対立から解放されたかったと語ります。沖縄の自然の中で、月島はリラックスした生活を送っているのです。

最終的に、志木は東京に戻り、再び自分の生活を始めることになります。物語は、志木と月島の別れを感動的に描き、それぞれが自分の道を歩んでいく姿が描かれます。月島と志木の再会や別れが心に残る、感動的なストーリーです。

まとめ:「海路」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 志木は准看護師として厳しい環境で働く
  • 月島診療所に転職し、新たな生活を始める
  • 月島診療所での仕事や仲間との関係が描かれる
  • 誠一とのトラブルが物語の中心となる
  • 月島が突然失踪し、志木はその行方を追う
  • 沖縄の渡嘉敷島で月島と再会する
  • 月島の辞職理由や人生の変化が明かされる
  • 志木は東京へ戻り、新たな生活に向かう
  • 月島と志木の別れが感動的に描かれる
  • それぞれのキャラクターが自分の道を歩んでいく