『ジョシカク!』は、工業高校出身の浅田美麗が、音楽の夢を追う恋人・溜池豊を追いかけて上京し、モデルから女子格闘技の選手へと成長していく物語です。
最初はラウンドガールとして働いていた美麗ですが、厳しいダイエットと格闘技の練習を通じて、次第に自分の道を見つけます。
デビュー戦での挫折や恋人との別れを乗り越え、全米チャンピオン・井上比呂子との対戦を目指して奮闘する姿が描かれています。
- 浅田美麗のキャラクター背景
- 溜池豊との関係と上京の理由
- モデルから女子格闘技選手への転身
- デビュー戦での挫折とその後の成長
- 井上比呂子との対戦を目指す美麗の奮闘
「ジョシカク!」の超あらすじ(ネタバレあり)
浅田美麗(あさだ みれい)は、工業高校に通うごく普通の女子高校生でした。彼女はバスケットボール部に所属していて、努力すればレギュラーポジションを狙える実力がありました。しかし、美麗は練習に集中できず、サボりがちでした。バスケに対する情熱もどこか欠けていて、心ここにあらずの状態が続いていたのです。
そんな彼女の生活が変わるきっかけになったのは、学園祭でした。学園祭で知り合った溜池豊(ためいけ ゆたか)という青年と、イベントを通じて急速に親しくなり、その後交際を始めました。豊は音楽の夢を追いかける野心を持っていて、高校を卒業するとすぐに東京に出て行きました。美麗はそんな豊に惹かれ、彼の後を追うようにして上京することを決意します。
東京での生活は決して楽ではありませんでした。豊の夢を支えたいと思いながらも、自分自身の生活も立てなければならない状況でした。美麗は新聞で見つけたモデル募集の広告を頼りに、ある事務所に応募します。この事務所の社長である杉野(すぎの)は、偶然にも美麗と同じ出身地で、その縁から美麗をすぐにラウンドガールとして採用しました。
しかし、この仕事は単にプラカードを持ってリングを歩くもので、期待していたような華やかなモデルの仕事ではありませんでした。それでも、美麗は日々の生活を支えるために一生懸命働き続けました。しかし、そんな中で杉野が業績不振により事務所を解雇されるという事態が起こり、美麗はまたしても新たな困難に直面することになりました。
新しく事務所の社長となった三木谷(みきたに)は、美麗に対して非常に厳しい指導を行いました。三木谷は、彼女の健康管理に厳しく目を光らせており、美麗のお腹のたるみを見てすぐにダイエットを命じました。美麗は甘いものが大好きで、特にドーナツやワッフルが好物でしたが、このダイエットの要求に応えることができず、すぐに挫折してしまいます。逆にストレスで体重が増えてしまい、三木谷の要求を満たすどころか逆効果になってしまいました。
そこで、三木谷は美麗に「ジュリアス格闘スクール」を紹介します。このスクールは、女子格闘技の試合を主催する団体が運営しており、格闘技のスキルを学べる場所です。美麗の指導を担当するのは、ブラジリアン柔術の全米大会で優勝経験のある井上比呂子(いのうえ ひろこ)選手でした。比呂子は、美麗に基礎から丁寧に指導し、彼女がストレートやジャブなどの基本的なパンチ技術を学びながら、格闘技の楽しさを感じられるようになりました。
練習を重ねるうちに、美麗は体の変化を実感し始めます。腰や背中に走る筋肉痛も次第に心地よいものに感じられるようになり、週に3回のレッスンもまったく苦になりませんでした。体が引き締まると、自然と自信もついてきて、三木谷との約束であった1カ月で7キロの減量目標も達成しました。これで終わりかと思いきや、三木谷はさらに美麗を次のステップへと進ませる計画を考えていました。
美麗は三木谷の計画に従い、ラウンドガールから一転して女子格闘技選手としてのデビューが決まりました。デビュー戦は、格闘技の聖地とされる後楽園ホールで行われることになり、美麗は大勢の観客の前で戦うことになりました。
試合当日、美麗は第1試合ではこれまで通りラウンドガールを務め、その後急いで着替え、第2試合に備えました。彼女が赤コーナーから入場した瞬間、観客席からは大歓声が上がり、注目の的となりました。しかし、結果は厳しく、美麗は第1ラウンドで相手にノックアウトされてしまいます。試合はわずか1分で決着し、会場は一瞬にして静まり返りました。
翌日、美麗の試合結果は4紙のスポーツ新聞に掲載されましたが、その見出しはどれも彼女を厳しく批判するものでした。美麗はその記事を読んで、自分の未熟さに打ちのめされます。さらに、実家の父からも「こっちに戻ってこい」との電話があり、美麗は自分の選択に迷いを感じます。同じく夢を追い続けていた豊も、結成と解散を繰り返しているバンド活動に疲れ、ある夜突然姿を消してしまいます。豊との連絡が途絶え、美麗は心の拠り所を失ってしまいます。
美麗は、格闘技を辞めたいと弱音を吐きましたが、そんな彼女に真剣に向き合ってくれたのが井上比呂子でした。比呂子は、大学で国際関係を学び貿易会社に就職していましたが、自分の本当の夢を追いかけるために格闘技の道に転身しました。彼女もまた、両親からは猛反発を受けながらも、この道を選んだ過去がありました。
比呂子は、美麗に自分が格闘技を始めたときの苦労や、どのようにして技を習得したかを話してくれました。特に、比呂子が習得に3カ月かかったというミドルキックを、美麗は初日の練習でマスターしてしまいました。比呂子は美麗の関節の柔らかさや軸足の使い方に天性の素質を見出し、彼女の成長を期待するようになります。
比呂子との深い話を通じて、美麗は心の中にあったわだかまりが消えていきました。そして、再び格闘技に挑戦する決意を固めました。2カ月後の再戦では、美麗は見事に初勝利を収め、リング中央でマイクを握り、次の対戦相手として比呂子を指名しました。この瞬間、美麗は本当の意味で自分の道を歩み始めたのです。
初勝利を収めた美麗は、自分の成長を実感し、新たな挑戦に向けて意欲を燃やしていました。この試合には、母親と弟が駆けつけてくれていましたが、父親の姿はありませんでした。しかし、試合後に控室でスマートフォンを確認すると、父からの短いメールが届いていました。そのメールには「応援してるぞ」とだけ書かれており、美麗は父の不器用ながらも温かい気持ちを感じました。
美麗は、これからも自分の道を切り開き、女子格闘技界の新たな女王を目指す決意を固めました。比呂子との戦いはもちろん、家族との絆を胸に刻みながら、彼女はさらなる高みを目指していきます。美麗の物語は、ここからが本当のスタートです。
「ジョシカク!」の感想・レビュー
『ジョシカク!』は、浅田美麗という一人の少女が、困難を乗り越えながら自分の道を見つけていく成長物語です。物語の冒頭で、美麗は工業高校でバスケットボールに打ち込んでいましたが、やる気を失いがちで、将来に対する明確なビジョンも持てずにいました。そんな彼女が、恋人の溜池豊を追って上京し、モデルとしての生活を始めるものの、厳しい現実に直面します。
美麗が三木谷という新しいマネージャーに出会い、ダイエットや格闘技のトレーニングを通じて、自分の新しい可能性に目覚めていく過程が非常に印象的です。特に、井上比呂子との出会いが美麗にとって大きな転機となります。比呂子は、自分自身も厳しい状況から夢を追い続けてきた経験があり、その経験をもとに美麗を励まし、指導していく姿が心に響きました。
デビュー戦での挫折や、恋人の溜池豊との別れなど、美麗が直面する困難はとてもリアルで共感できます。それでも彼女が諦めずに前に進もうとする姿には、強い意志と成長を感じました。最終的に、全米チャンピオンである井上比呂子との対戦を目指す美麗の決意は、読者に勇気と希望を与えてくれるものでした。
『ジョシカク!』は、夢を追いかけることの大切さや、自分の可能性を信じることの大切さを教えてくれる作品です。美麗がどのようにして自分の道を切り開いていくのか、その過程を通じて多くのことを学ぶことができました。これからも美麗の活躍を見守りたいと思います。
まとめ:「ジョシカク!」の超あらすじ(ネタバレあり)
上記をまとめます。
- 浅田美麗は工業高校出身の女子高生である
- 恋人の溜池豊を追って上京する
- 上京後、モデルとして働き始める
- ラウンドガールの仕事を始めるが厳しい環境に直面する
- 三木谷からダイエットと格闘技の指導を受ける
- 井上比呂子の指導で格闘技に目覚める
- 初めての試合でノックアウトされ挫折を味わう
- 恋人の溜池豊と音信不通になる
- 井上比呂子との交流で再び格闘技に挑戦する決意を固める
- 次の目標として井上比呂子との対戦を目指す