残り全部バケーション(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ

「残り全部バケーション」(伊坂幸太郎)のネタバレをお探しですか?本作は、いかさまな仕事で生計を立てる岡田雅人と溝口俊介の物語です。

彼らの人生が大きく変わる瞬間から始まり、奇妙なドライブ、タキオン作戦と呼ばれる計画、そして溝口の葛藤と続きます。最後には、真実と対決の場面が描かれ、読者を引き込む展開が満載です。

本記事では、この物語のあらすじとネタバレを詳細に紹介し、物語の魅力をお伝えします。この記事を読めば、物語の核心に迫ることができます。

この記事のポイント

岡田雅人と溝口俊介の関係と彼らの生計手段
早坂家との奇妙なドライブの詳細
タキオン作戦の目的と実行方法
溝口の葛藤とその後の展開
最終章での真実と対決の結末

残り全部バケーション(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ

第1章:転機と出会い

岡田雅人(おかだまさと)は、友人の溝口俊介(みぞぐちしゅんすけ)と一緒に、いかさまな仕事で生計を立てていました。具体的には、交通事故を装ったり、弱みを握って金をゆすったりする仕事です。しかし、岡田はある日、このような生活を続けることに疲れ、溝口に相談しました。

「もうこの仕事をやめたいんだ。普通の生活がしたい」と岡田が言うと、溝口はニヤリと笑って言いました。「じゃあ、適当に選んだ携帯番号の相手と友達になったらどうだ?」

岡田は最初は戸惑いましたが、やるしかないと思い、適当な番号にメールを送りました。その相手は、離婚寸前の早坂沙希(はやさかさき)の父親、早坂一郎(はやさかいちろう)でした。早坂家は父・一郎、母・由美(ゆみ)、そして娘の沙希の三人家族です。一郎の浮気が発覚し、両親は離婚することになり、家族で引越しの準備をしていました。

一郎は岡田からのメールに驚きましたが、最後の思い出にと家族に提案しました。母親の由美が賛成し、沙希も渋々同意しました。こうして、岡田と早坂家は奇妙なドライブに出かけることになりました。

第2章:奇妙なドライブ

ドライブ当日、岡田雅人は早坂家の車に乗り込みました。沙希は岡田に警戒心を持ち、後部座席で腕を組んで座っていました。車内での会話が始まります。

「職業は何をしているんですか?」と沙希が尋ねると、岡田は笑顔で答えました。「今日仕事を辞めたばかりで、明日からはずっとバケーションだよ。」

早坂家のメンバーはそれを聞いて驚きましたが、特に深くは追及しませんでした。彼らは静かな湖の近くにある大きなホテルで食事をしました。和やかな時間が過ぎ、帰り道に入った頃、岡田は後ろから車がついてきていることに気付きました。

「誰かがついてきているかもしれない」と岡田が言い、コンビニに立ち寄りました。そこで岡田は後をつけてきた車に近づき、そのままどこかへ行ってしまいました。早坂家は驚きながらも、自分たちだけで家に帰ることにしました。

第3章:タキオン作戦

溝口俊介と一緒に仕事をしていた頃、岡田雅人は常に溝口のサポート役でした。ある日、二人が横断歩道を渡ろうとしていた時、溝口はそばにいた小学生の行動から、背中に傷があることを見抜きました。

「この子、虐待されているんじゃないか?」と溝口が言いましたが、特に気に留めませんでした。しかし、岡田はその子供を助けることを決意しました。

岡田は「タキオン作戦」という名前の作戦を考え出しました。これは、子供を虐待している父親に対し、未来からタイムスリップしてきたと信じ込ませるというものです。そして、「超光速粒子タキオン」が発見されたという偽の情報を父親に刷り込み、このまま虐待を続けると将来、子供に自分が虐待されると警告しました。

この作戦は成功し、子供は無事に保護されました。岡田は、この経験を通じて、自分の正義感を再確認し、いかさまな仕事をやめることを決意しました。

第4章:溝口の葛藤

岡田が仕事を辞めた後、溝口俊介は新たなパートナーを見つけて仕事を続けていました。しかし、溝口は自分の立場が悪くなったときに岡田に罪をなすりつけていたため、いつか親会社のボス、毒島浩二(ぶすじまこうじ)に岡田が見つかることを恐れていました。

ある日、溝口と新しいパートナーは依頼を受けて女を誘拐し、盗んだ車で逃走していました。しかし、都内で起こった議員殺傷事件のための検問に引っかかってしまいます。ナンバーを正確に答えられなかったにもかかわらず、検問を通過できたことに不思議を感じた溝口が車を調べると、トランクから大金が見つかりました。

女は実は議員を刺した犯人で、逃げる途中だったのです。溝口たちはこのまま大金を山分けして逃げることにしました。しかし、こんな仕事を続ける中で、溝口は本当の事故にあい、病院に入院することになりました。

第5章:真実と対決

溝口俊介が入院した病院には、偶然にも毒島浩二も入院していました。毒島に脅迫状が届き、「次の誕生日までに命を狙われる」と書かれていました。毒島の部下たちは警備を強化しましたが、溝口はいつものように大部屋の患者や掃除のおばさんと仲良くなりました。

毒島の誕生日が近づく中、毒島を狙う犯人がわかったとの情報が入りました。警備に当たっていた部下たちは毒島の部屋を離れましたが、実はそれはデマでした。溝口は掃除のおばさんの助けを借りて凶器を手に入れ、毒島に詰め寄りました。

「岡田を裏切ったお前を許さない」と溝口が詰め寄ると、毒島は冷静に言いました。「岡田は生きているよ。彼は今、スイーツの食べ歩きブログを書いている。」

驚いた溝口は、そのブログにメッセージを送り、真実を確かめることにしたのでした。

残り全部バケーション(伊坂幸太郎)の感想・レビュー

伊坂幸太郎の「残り全部バケーション」を読み終えて、まず感じたのは、登場人物の魅力と物語の展開の妙です。主人公の岡田雅人とその友人溝口俊介は、いかさまな仕事で生計を立てていましたが、岡田の心の変化が物語の中心にあります。岡田はある日、この生活から抜け出したいと考え、適当な番号にメールを送るという突飛な行動に出ます。この行動が、早坂家との奇妙なドライブに繋がり、物語が動き出します。

早坂家の父親、早坂一郎の浮気が原因で家族が引越しの準備をしている中、岡田との出会いが新たな展開を生みます。ドライブ中に後をつけられる場面は、緊張感があり、岡田がどこかへ消えてしまうシーンでは、彼の過去の謎が深まります。

特に印象的だったのは、岡田と溝口が「タキオン作戦」という計画を実行するエピソードです。虐待されている子供を助けるために、父親に未来からのメッセージを信じ込ませるという作戦は、緻密でありながらも、人間味あふれるものでした。岡田の正義感と溝口の冷静な分析が見事に合わさって、読者を引き込みます。

その後、溝口が新しいパートナーと仕事を続ける中での葛藤や、事故に遭い病院に入院するエピソードも興味深かったです。同じ病院に入院している親会社のボス、毒島浩二とのやり取りや、毒島に届いた脅迫状の謎も、物語に深みを与えています。

最終的に、溝口が毒島の命を狙い、岡田が生きていることを知る場面は、感動的であり、物語の締めくくりとして非常に満足のいくものでした。毒島が岡田がスイーツの食べ歩きブログを書いていると告げるシーンでは、溝口と岡田の絆が再確認され、心温まる結末を迎えます。

「残り全部バケーション」は、友情や正義感、家族の絆など、さまざまなテーマが絡み合った作品であり、読後の余韻が深く残る一冊です。

まとめ:残り全部バケーション(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ

上記をまとめます。

  • 岡田と溝口はいかさまな仕事で生計を立てている
  • 岡田はこの生活から抜け出したいと考える
  • 岡田が適当な番号にメールを送り早坂家と繋がる
  • 早坂家は両親の離婚をきっかけに引越しを準備している
  • 岡田と早坂家が奇妙なドライブに出かける
  • ドライブ中、後ろから車に追跡される
  • 岡田はコンビニで追跡車に乗り込みどこかへ行く
  • 岡田と溝口が「タキオン作戦」で子供を救う
  • 溝口は仕事を続けるが事故に遭い入院する
  • 溝口が毒島の命を狙い、岡田が生きていると知る