死神の浮力(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ

「死神の浮力(伊坂幸太郎)」は、サスペンスとファンタジーが交錯する魅力的な作品です。

本作では、主人公の千葉が「死神」として登場し、山野辺菜摘さんの傷害事件で無罪判決を受けた本城崇への復讐劇が描かれます。物語は、菜摘の父である遼とその妻美樹、そして千葉の三人が本城を追い詰める計画を立てるところから始まります。

この記事では、「死神の浮力」の詳細なあらすじとネタバレを紹介します。結末までの展開やキャラクターの動きを詳しく解説するので、物語の全貌を知りたい方はぜひご覧ください。

この記事のポイント
  • 「死神の浮力」のあらすじ
  • 本城崇の無罪判決とその後の展開
  • 山野辺家の復讐計画
  • 調査部の死神たちの役割
  • クライマックスと結末の詳細

死神の浮力(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ

第1章: 無罪判決と復讐計画

1日目、山野辺菜摘さんの傷害事件で拘留されていた本城崇(ほんじょうたかし)に無罪判決が下されました。本城は無罪になったものの、世間の目は冷たく、彼の行方を追うマスコミで溢れていました。

菜摘さんの父である山野辺遼(やまのべりょう)は、自宅で妻の美樹(みき)と共に本城への復讐を考えていました。そんな中、千葉(ちば)という男がインターフォン越しに「情報を持ってきた」と言って訪ねてきました。千葉は本城が潜伏しているホテルの場所を教え、山野辺夫妻はその情報を聞いて復讐の計画を立て始めました。

第2章: 本城の拉致未遂

2日目、千葉は山野辺家に一泊し、翌日、山野辺夫妻と共に本城を拉致しに行くことになりました。千葉は、遼の幼稚園時代の同級生で、弟が本城によって自殺に追い込まれたと話しましたが、遼たちは完全には信じていませんでした。しかし、千葉の存在には不思議な安心感がありました。

ホテルに到着すると、週刊誌の記者が待ち構えていました。千葉は手袋を外し、記者を気絶させました。その後、遼は防犯スプレーを使い、美樹はスタンガンを用意していましたが、本城は寸前で逃げ出してしまいました。

第3章: 調査部の死神たち

3日目、千葉は深夜営業の音楽が聴ける喫茶店を訪れ、香川(かがわ)という女性に話しかけました。彼女は普通の人間の女性に見えましたが、千葉と同じく調査部に所属する死神でした。今回の対象者である本城に対し、香川は「可」でも「見送り」でもなく「20年延長」を宣告するつもりでした。

香川は、本城が逃げた後の居場所を既に把握していて、世田谷区にある佐古(さこ)という高齢男性の大きな一軒家に潜伏していることを知っていました。佐古は本城に弱みを握られているようで、ふたりに血縁関係はありませんでした。

第4章: 佐古の家への侵入計画

4日目、千葉から佐古の住所を教えてもらった遼と美樹は、家の前まで様子を見に行きました。家の周囲には高い塀があり、監視カメラも無数に設置されているため、簡単には中に入れませんでした。

佐古は独り暮らしで外出が少なく、毎日の食事には宅配サービスを利用していました。そこで遼たちは、宅配業者に成り済まして侵入する作戦を考えました。

5日目、遼たち3人は「キッチンボックス」という高齢者向け食事配達サービスの店舗前に立っていました。遼が店の前で腹痛を訴えスタッフを引き付ける間に、千葉が裏口から事務所に忍び込み、制服とネームプレートを盗み出しました。

アルバイト店員の小木沼(おぎぬま)は、遼の小説のファンで協力してくれました。小木沼と配達員に変装した遼はインターフォンを押し、美樹と千葉は家の周りを見張りました。佐古が出てきましたが、監視カメラで本城に見張られているため、助けを求めることはできませんでした。佐古はキッチンボックスのチラシに「今はまずい。2時間後に来てくれ」とメッセージを書き残しました。

指示通りに一旦引き揚げた一行は、時間を置いて再び訪れました。しかし、居間には本城に毒を盛られた佐古が倒れていました。救急車を呼び、佐古は一命を取り留めましたが、遼は「山野辺容疑者」としてニュースで報道されてしまいました。

第5章: 本城との対決

6日目、遼たちは自宅ではなく、もしもの時のために用意していたマンションに隠れていました。突然、スマートフォンに動画付きのメールが届きました。送り主は、これまで3人に協力してきた箕輪(みのわ)でした。箕輪は本城に囚われていましたが、千葉は動画から流れる「なつみ饅頭」のCMソングに気づきました。

和菓子屋が入店しているビルの3階に監禁されていた箕輪を救出しましたが、本城はそこにいませんでした。本城はダムから毒を流し、全ての罪を遼に押し付けようとしていました。遼と千葉は自転車で本城を追いかけました。

本城と千葉は奥多摩湖へ転落しましたが、人間を超えた浮力を持つ死神の身体は沈むことがありませんでした。7日目、湖の底で本城は生き続けていました。香川によって寿命を保証された本城は、あと20年は死ぬことができませんでした。

千葉によって「可」と判定された遼は、横断歩道を飛び出した子供を助け、安らかな死を迎えました。

死神の浮力(伊坂幸太郎)の感想・レビュー

「死神の浮力(伊坂幸太郎)」を読んで、まず感じたのは、物語のテンポの良さとキャラクターの魅力です。本城崇の無罪判決から始まるこの物語は、山野辺菜摘さんの父・山野辺遼とその妻・美樹が、本城に復讐を計画するという緊張感あふれる展開です。

千葉という謎の男が登場し、本城が潜伏しているホテルの情報を提供するシーンは特に印象的です。千葉の存在が、物語に一層のミステリー要素を加えており、彼がただの協力者ではなく、調査部の死神であることが明らかになると、一気に物語の深みが増します。

本城の拉致未遂のシーンでは、千葉が手袋を外すと記者が気絶するという奇妙な描写があり、読者の興味を引きます。千葉と山野辺夫妻の緊張感と焦りが伝わり、読んでいる側もハラハラさせられました。

物語が進むにつれ、香川という女性死神が登場し、本城に対して「20年延長」を宣告するという意外な展開が待っています。香川の冷静さと千葉とのやり取りが、この物語にさらに複雑な要素を加えています。

佐古の家に侵入する計画では、山野辺夫妻と千葉が宅配業者に成り済まして侵入するアイデアが面白かったです。佐古が本城に毒を盛られたシーンはショッキングで、遼が容疑者としてニュースで報道される展開は、物語の緊張感をさらに高めています。

最後に、遼と千葉が本城を追い詰めるシーンでは、自転車での追跡劇が描かれ、奥多摩湖での対決に至ります。湖の底で生き続ける本城と、子供を助けて安らかな死を迎える遼の対比が非常に印象的です。

全体を通して、伊坂幸太郎の巧みなストーリーテリングとキャラクター描写が光る作品です。特に千葉のキャラクターが魅力的で、彼の正体が明らかになるにつれ、物語の奥深さが感じられました。読み終わった後には、深い満足感とともに、もう一度最初から読み返したくなる作品です。

まとめ:死神の浮力(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ

上記をまとめます。

  • 本城崇が無罪判決を受ける
  • 山野辺遼と美樹が復讐を計画する
  • 千葉が本城の潜伏先を教える
  • 千葉が山野辺家に泊まり、拉致計画に同行する
  • ホテルで本城の拉致を試みるも失敗する
  • 千葉と香川が調査部の死神であることが判明する
  • 本城が佐古の家に潜伏していることが分かる
  • 山野辺夫妻が宅配業者に成り済まして侵入を試み
  • 佐古が毒を盛られて倒れ、遼が容疑者となる
  • 遼と千葉が本城を追い詰め、湖での対決に至る