この記事では、伊坂幸太郎の小説『フーガはユーガ』のあらすじとネタバレを詳しく紹介します。
『フーガはユーガ』は、特殊な能力を持つ双子の優我(ゆうが)と風我(ふうが)が、その力を使ってさまざまな困難に立ち向かう物語です。二人が幼い頃に発見した能力を使って、家族の問題や社会の理不尽に立ち向かう姿が描かれています。
この記事を読むことで、物語の展開や双子の成長、そして彼らが直面する試練についての理解が深まるでしょう。小説をまだ読んでいない方や、もう一度物語を振り返りたい方に向けて、ネタバレを含む詳細な解説をお届けします。
- 双子の優我と風我の特殊能力の発現と使い方
- 双子が直面する家庭内や社会での困難
- 双子の成長過程と新たな出会い
- 高校生活とさらなる試練への挑戦
- 双子が困難を乗り越え、未来へ進む姿
フーガはユーガ(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ
第1章:双子の能力の発現
双子の優我(ゆうが)と風我(ふうが)は、5歳の頃に初めて自分たちの特殊な能力を発見しました。ある日、父親の健二(けんじ)が優我に理不尽な暴力を振るっていました。優我はどうにかして自分を助けたいと強く願い、全身にピリピリとした感覚が走った次の瞬間、風我と入れ替わっていました。風我が優我の代わりに暴力を受けることで、優我は助かりました。この出来事で双子は、自分たちが入れ替わる能力を持っていることに気づきました。
現在、優我はファミレスで都内のテレビディレクター・高杉(たかすぎ)と話しています。高杉は優我に、トイレの個室を盗撮した映像を見せました。その映像には、便座に座っていた優我が立ち上がる動作をすることなく一瞬で立ち上がる姿が映っていました。さらに、立ち上がる前にはなかった絆創膏が優我の頬についていました。
高杉は「言っておきますけど、僕が話すことには嘘や省略がたくさんあります」と言う優我に、もう一度映像を見せながら「本当のことを話せ」と厳しい視線を送りました。優我は「面白かったらテレビに出れるんですか?」と尋ね、自分たちの能力に関する出来事を話し始めました。
第2章:双子の成長と能力の使い方
双子が初めて能力を使ったのは、父親に暴力を受ける優我を助けるためでした。次の瞬間には、優我は風我と入れ替わり、暴力を受ける役目を風我が引き受けました。この奇妙な感覚を経験し、二人は自分たちの能力を自覚しました。
小学校の授業中、再びそのピリピリとした感覚が訪れ、次の瞬間には双子は再び入れ替わっていました。この能力は誕生日限定で一年に一回のみ、二時間おきに発動することがわかりました。
優我と風我は、この能力を何度か使ううちに、その特性を理解していきました。例えば、持ち上げられるものならば一緒に移動できることもわかりました。この能力は、二人の絆をより強固なものにしました。
第3章:双子の苦難と新たな出会い
双子が帰る家には、厳しい父親の健二、無関心な母親の美智子(みちこ)、そして騒音に腹を立てる近所の住人たちがいました。このため、双子は家に帰りたくなくなり、放課後には道草を食う日々が続きました。
中学生になると、双子は偏屈で素性不詳な「岩窟おばさん」が営むリサイクルショップでアルバイトを始めました。ある日、岩窟おばさんから血濡れのような色をしたシロクマのぬいぐるみを「処分してほしい」と頼まれました。
夕方、そのシロクマを持って街を歩いていた双子は、小学校のいじめられっ子である渡部(わたべ)に出会いました。渡部がいじめられている現場に遭遇し、双子は正義感から石を投げていじめっ子たちを追い払いました。帰り道で出会った家出をしてきた女子小学生には、「このシロクマを持っているとお守りになる」と言って、シロクマを渡しました。
その後、その小学生が交通事故に遭い亡くなったというニュースを聞き、双子は大きなショックを受けました。一方、いじめの主犯格である広尾(ひろお)は、怒りの矛先を渡部に向け、彼に石を投げ始めました。この出来事が、双子の感情を大きく揺さぶりました。
第4章:高校生活とさらなる困難
双子のもう一つの真実は、持ち上げられるものならば一緒に移動できるということです。偶然にも、この日は双子の誕生日でした。風我は、いじめに参加するふりをして広尾たちを埃っぽい倉庫に閉じ込めました。そして風我自身も倉庫の中に隠れました。風我は渡部の手を取り、優我と場所を入れ替えました。優我は驚く広尾たちの前に現れました。
中学を卒業後、優我は高校に進学し、風我は岩窟おばさんのリサイクルショップで働き始めました。初めて離れ離れになった双子でしたが、顔を合わせればお互いの経験を共有し続けました。
風我には新しい彼女、小玉(こだま)ができました。小玉は両親を亡くし、叔父の家に世話になっていましたが、居心地が悪く、あまり帰りたくない様子でした。
第5章:双子の未来と試練
ある日、風我がリサイクルショップで回収したパソコンから、悪趣味なショーが行われているという情報を得ました。それは、女性を大きなガラス張りの水槽に沈め、その苦しむ様子を楽しむというものでした。小玉の叔父がそのショーに関与していることを知り、風我は小玉を救うことを決意しました。
小玉救出の日、風我と優我は計画を立て、ショーが行われる叔父の家に潜入しました。風我は街に出て試着室に隠れ、時間が来るのを待ちました。優我は観客としてショーに参加し、小玉が沈められる様子を見ながら、冷静に対処しました。
その瞬間、優我は観客に向かって「変身!」と言い放ち、風我と入れ替わりました。風我は小玉を救出し、双子は困った人を助けることで心の穴を埋めました。
その後、優我は大学に進学し家を離れました。風我は小玉と暮らし、双子は父親の元を離れて新たな生活を始めました。優我はコンビニでのアルバイト中に、若い母親の春子(はるこ)さんとその息子の春太(はるた)君と出会い、親しくなりました。しかし、その地域で小学生の失踪事件が発生し、優我たちは再び困難に立ち向かうことになりました。
優我は失踪事件の影響で落ち込む春太君を元気づけるため、双子の誕生日に遊園地に誘いました。しかし、春太君が帰ってこないという事件が起きました。優我は父親と春子さんが親しげに話す姿を思い出し、急いで父親の住むアパートに向かいました。そこには春子さんと父親がいましたが、優我は「春子さん、ごめんなさい。全部忘れてください」と言い、春太君の行方を追いました。
最終的に、優我と風我は協力して困難を乗り越え、互いの絆を深めました。風我と小玉の間には双子が生まれ、入れ替わりの能力は優我の死とともに終わりを迎えました。
フーガはユーガ(伊坂幸太郎)の感想・レビュー
伊坂幸太郎の小説『フーガはユーガ』は、双子の優我(ゆうが)と風我(ふうが)が持つ特別な能力を軸に展開される物語です。物語は、彼らが5歳の頃に初めてその能力を発見する場面から始まります。父親の健二(けんじ)から理不尽な暴力を受ける優我を助けるため、風我と入れ替わるという驚きの展開に引き込まれました。
この能力は、誕生日限定で一年に一回のみ発動し、さらに二時間おきに使えるという設定が斬新でした。能力の特性を理解しながら成長する双子の姿には共感を覚えました。
中学時代には、双子が偏屈で素性不詳な「岩窟おばさん」のリサイクルショップで働きながら、家出をしてきた女子小学生にシロクマのぬいぐるみを渡す場面があります。その後、その小学生が交通事故で亡くなるという悲しい出来事が起き、双子の心に大きな影響を与えました。
高校生になった優我は勉強が得意で進学し、風我は岩窟おばさんのリサイクルショップで働き続けるという道を選びます。ここで、双子は初めて別々の道を歩むことになりますが、頻繁に会ってお互いの経験を共有する姿が描かれています。
風我には小玉(こだま)という彼女ができ、彼女を救うために悪趣味なショーに潜入するというスリリングな展開も見どころの一つです。風我と優我が能力を駆使して小玉を救うシーンは、緊張感と感動が交錯します。
さらに、優我が大学進学とともに家を離れ、新しい生活を始める一方で、コンビニで出会った春子(はるこ)さんとその息子の春太(はるた)君との交流が描かれます。しかし、地域で起きた小学生の失踪事件が二人に新たな試練をもたらします。
全体として、『フーガはユーガ』は、双子の絆や成長、困難に立ち向かう姿を描いた感動的な物語です。伊坂幸太郎ならではの巧みなストーリーテリングに引き込まれ、最後まで目が離せませんでした。この物語は、特殊な能力を持つ双子の視点から、人間関係や社会の問題に対する深い洞察を提供してくれます。
まとめ:フーガはユーガ(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ
上記をまとめます。
- 双子の優我と風我は5歳の頃に入れ替わる能力を発見する
- 父親の暴力から優我を救うために風我と入れ替わる
- ファミレスでテレビディレクターの高杉に能力の話をする
- 誕生日限定で一年に一回のみ能力が発動することに気づく
- 中学時代、岩窟おばさんのリサイクルショップで働く
- 不気味なシロクマのぬいぐるみを家出少女に渡す
- その少女が交通事故で亡くなる
- 高校で優我と風我が初めて離れ離れになる
- 風我は彼女の小玉を救うためにショーに潜入する
- 双子の力で困難を乗り越え、未来へ進む