アヒルと鴨のコインロッカー(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ

「アヒルと鴨のコインロッカー」の超あらすじとネタバレを知りたい方へ。

この物語は、気弱な大学生・椎名勇太が新しい生活を始めた際に隣人の河崎和也、そしてブータン人留学生のドルジと出会うところから始まります。椎名が本屋の手伝いを頼まれることで、次々と明らかになる過去の出来事や登場人物たちの関係が複雑に絡み合い、驚きの展開を見せます。

ミステリーと人間ドラマが融合した伊坂幸太郎の名作を、ぜひこの記事で詳しくお楽しみください。

この記事のポイント
  • 椎名勇太の新生活と隣人との出会い
  • 河崎和也とドルジの関係と秘密
  • 琴美の過去と悲劇
  • ドルジの復讐計画の真相
  • 物語全体のミステリーと人間ドラマの展開

アヒルと鴨のコインロッカー(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ

第1章: 新生活の始まり

少し気が弱く流されやすい男子大学生の椎名勇太(しいな ゆうた)は、大学入学と同時に一人暮らしを始めました。新しい生活にワクワクしながらも少し不安な気持ちを抱えていました。勇太は、引っ越し初日にお菓子を持って隣人に挨拶に行くことにしました。しかし、隣人の河崎和也(かわさき かずや)はそっけない態度で対応し、勇太は少しがっかりしました。

その後、勇太は廊下でボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさみながら段ボールの片付けを始めました。すると、河崎が部屋から出てきて、ディランの曲が好きだと話しかけてきました。意外な共通点に驚いた勇太ですが、河崎が「本屋で手伝ってほしい」と言い出したことにさらに驚きました。理由を尋ねると、同じアパートに住むブータン人留学生のドルジ(本名:ドルジ・シェルパ)がアヒルと鴨の違いを知りたがっているので、そのために辞書をプレゼントしたいとのことでした。

第2章: 河崎とブータン人留学生の謎

河崎との会話の中で、「琴美」(ことみ)という女性の話が出てきました。琴美は河崎の元恋人で、その後ドルジと付き合っていたそうです。ある日、勇太は近所でブータン人と思しき人を見かけ、話しかけました。その人物はやはりドルジで、河崎から「ブータン人は恋人を失って心を閉ざしている」と教えられていました。

さらに、河崎から「ペットショップ店長の麗子(れいこ)の言うことは信じるな」とも言われました。興味を持った勇太は、本屋を手伝った後に本屋を訪ねてみました。しかし、本屋の店主は「ばか息子がまた騒いだだけ」と全く気にしていない様子で、勇太は肩透かしをくらった気分になりました。

第3章: ペットショップ店長の麗子との出会い

そんな中、勇太は偶然ペットショップの店長、麗子と出会うことになりました。麗子から琴美についての話を聞き、驚愕の事実を知ることになりました。まず、河崎は2年前に既に亡くなっていたこと。そして、琴美も亡くなっていたことです。

琴美はドルジと非常に仲が良く、琴美を通じてドルジは河崎と知り合いました。琴美は男癖の悪い河崎を疎んでいましたが、3人で会ううちにドルジは河崎と仲良くなり、日本語を教えてもらいました。ドルジはブータンでの神様の教えを守り、穏やかな生活を送っていましたが、琴美とドルジはある事件に巻き込まれていきました。

第4章: 琴美とドルジの悲劇

琴美とドルジは、ある日突然事件に巻き込まれました。犯人のせいで琴美が亡くなってしまったのです。麗子から全てを聞いた勇太は、アパートに戻り、ドルジが住んでいるはずの部屋を訪ねました。出てきた学生に「広辞苑を貸して欲しい」と頼むと、その学生は訛りのある日本語で話し始めました。出身を尋ねると、山形だと答えました。

次に勇太は河崎の部屋のドアを叩き、出てきた河崎に「一人暮らしの本」を差し出し、「ボブディランの詩集だけど、読む?」と尋ねました。すると河崎は何の疑いもなくそれを受け取りました。この事実によって、河崎が日本語を読めないことが証明され、勇太はそのことを河崎に詰め寄りました。実は「河崎」と名乗っていたこの男こそが、河崎が話していたブータン人留学生のドルジだったのです。

第5章: ドルジの告白と決意

勇太に全てを知られてしまったドルジは、改めて自己紹介をしました。動物好きの琴美との出会い、河崎との出会い、琴美からディランを「神様の声」と教えてもらったこと。ペットを傷つけた犯人を見かけてしまった琴美が犯行グループから恨みを買い、嫌がらせを受けていたこと。河崎が実は病気であったこと。

その後、犯人の車を見かけた琴美は警察を呼び、逃げようとした犯人グループの車にはねられ亡くなってしまいました。そして、河崎も病気で亡くなりました。立て続けに大切な人を失ったドルジは、勉強のために様々な会話を録音していたボイスレコーダーを使い、日本語を猛勉強しました。犯人が働いているとわかった本屋で犯人への報復を企み、そのために協力を仰いだのが勇太でした。

広辞苑を盗むのは、犯人を捕まえるためだったのです。捕まえた犯人は大きな木にくくりつけられ、厳しい罰を受けることになりました。ブータンの神様の教えを守るドルジが選んだ苦肉の策がこれだったのです。ドルジは一生その罪を背負い、生きていく覚悟をしていました。

父親にガンが見つかった勇太は、しばらく実家に戻ることになりました。駅でドルジと別れる時、勇太はディランの「風に吹かれて」を流したラジカセを持ち、それをコインロッカーに入れました。「神様に、見ないふりをしてもらおう」と呟きました。

アヒルと鴨のコインロッカー(伊坂幸太郎)の感想・レビュー

「アヒルと鴨のコインロッカー」(伊坂幸太郎)は、読んでいてとても引き込まれる作品でした。物語は、気が弱い大学生・椎名勇太が新生活を始めたことから始まります。新しいアパートでの生活に胸を躍らせながらも、少し不安な気持ちを抱える勇太の姿が共感できます。

隣人の河崎和也との出会いが物語の大きな転機となります。河崎は最初はそっけない態度を見せますが、ボブ・ディランの「風に吹かれて」をきっかけに話し始めるシーンがとても印象的でした。ディランの曲が二人の距離を縮めるきっかけになるのが、音楽の力を感じさせます。

河崎が「本屋で手伝ってほしい」と頼む理由が、ブータン人留学生ドルジのために辞書をプレゼントするという点も興味深いです。ドルジの存在が徐々に明らかになり、彼の過去や琴美との関係が描かれる中で、物語はどんどん複雑になっていきます。

琴美の過去について知ることで、河崎とドルジの関係がより深く理解できます。琴美は河崎の元恋人であり、ドルジとも深い絆で結ばれていました。琴美が亡くなってしまう悲劇は、物語の中で最も心を打たれる部分です。

ペットショップ店長の麗子との出会いも大きなポイントです。麗子から琴美の真実を聞かされる勇太の心情が丁寧に描かれていて、読者としても共感できます。琴美が亡くなった理由や、その背景にある事件の真相が明らかになると、物語の全体像が見えてきます。

ドルジが日本語を猛勉強し、犯人への復讐を企てるシーンは緊張感があります。勇太がその計画に巻き込まれることで、物語は一層緊迫感を増します。最終的に、ドルジが犯人を捕まえるために広辞苑を盗むという行動が理解できた時、彼の覚悟と決意が伝わってきます。

結末で、勇太が実家に戻る際にドルジと別れるシーンは、静かな感動を呼びます。ディランの「風に吹かれて」を流し、「神様に、見ないふりをしてもらおう」と呟く勇太の言葉が心に残ります。

全体を通して、伊坂幸太郎の巧みなストーリーテリングとキャラクター描写が光る作品でした。ミステリーと人間ドラマが絶妙に絡み合い、最後まで目が離せない展開が続きます。読者に多くのことを考えさせる深い物語でした。

まとめ:アヒルと鴨のコインロッカー(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ

上記をまとめます。

  • 椎名勇太が一人暮らしを始める
  • 隣人の河崎和也と出会う
  • 河崎がディランの曲を話題にする
  • 河崎が辞書を手に入れるために手伝いを頼む
  • ブータン人留学生ドルジの存在
  • 琴美の過去と河崎との関係
  • 琴美とドルジの仲良しのエピソード
  • ペットショップ店長麗子との出会い
  • 琴美の死の真相が明らかになる
  • ドルジの復讐計画とその結末