ようこそ、わが家へ(池井戸潤)の超あらすじとネタバレ

『ようこそ、わが家へ』は池井戸潤のサスペンス小説で、家族の絆と正義を貫く姿を描いています。

主人公の倉田さんが駅で見知らぬ男を注意したことから始まる一連の事件は、彼と家族に数々の困難をもたらします。会社では不審なドリルの在庫問題に直面し、同僚の不正行為を暴くために奮闘する一方、自宅では謎の男からの嫌がらせが続きます。

物語は、倉田さんが真実を追求しながら家族を守る姿を通じて、読者に感動と緊張感を提供します。ネタバレを含む詳細なあらすじと感想をお届けしますので、物語の核心を知りたい方はぜひご覧ください。

この記事のポイント
  • 主人公・倉田さんが駅で注意した男とのトラブルの発端
  • 倉田家への嫌がらせの詳細とその影響
  • 倉田さんが働く会社でのドリルの在庫不一致問題
  • 同僚の真瀬さんによる不正行為の暴露とその過程
  • 最終的な解決と家族の絆の回復

ようこそ、わが家へ(池井戸潤)の超あらすじとネタバレ

第1章: 事件の発端

ある日、倉田さんはいつものように駅に向かっていました。その日は特に混雑していて、人々が列を作って電車を待っていました。そんな中、一人の若い女性が順番を守って待っていました。ところが、突然、中年の男がその女性を突き飛ばして、列の前に割り込んできたのです。

倉田さんはその光景を見て、とても驚きました。そして、勇気を出して、その男に注意しました。「すみません、順番を守ってください」と言ったのです。男は一瞬驚いた様子でしたが、すぐに無視して前に進んでしまいました。

倉田さんは温厚な性格で、普段はあまり人に注意することはありません。しかし、その時は我慢できずに言ってしまいました。自分が言い過ぎたのではないかと、後でとても不安になりました。

その日の帰り道、倉田さんは何となく誰かに見られているような気がしました。後ろを振り返ると、駅で注意したあの男が自分をつけているのに気づきました。倉田さんは急いで歩いて男を撒こうとしましたが、不安な気持ちは消えませんでした。

家に帰った倉田さんは、家族に今日あった出来事を話しました。妻と子供たちに「今日、駅でちょっとしたトラブルがあったんだ。もしかしたら変な男に目をつけられたかもしれないから、気をつけてね」と言いました。

翌朝、倉田家の庭にある花壇がひどく踏み荒らされているのを見つけました。家族全員が驚きました。倉田さんは昨日の男の仕業かもしれないと思い、さらに不安になりました。

これが、倉田さんとその家族に起こる一連の出来事の始まりでした。彼らはこの後、さまざまな困難に直面することになるのです。

第2章: 会社での不審な動き

倉田さんは青葉銀行から出向して、ナカノ電子部品の総務部長として働いています。ある日、部下の西沢さんが倉田さんのところに来て、大きな問題を報告しました。「倉田部長、二千万円分のドリルの在庫が帳簿と合わないんです。倉庫にも見当たりません」と言うのです。

この話を聞いた倉田さんは驚きました。そんな大きな金額のものがどこにもないなんて、一体どういうことなのかと考えました。

まず、倉田さんはそのドリルのことを担当している営業部長の真瀬さんに問い合わせることにしました。真瀬さんは社内で敏腕営業として知られており、社長の持田さんからも信頼されている人物です。しかし、倉田さんが真瀬さんに「このドリルのことについて説明してください」と頼むと、真瀬さんは軽くあしらうような態度で答えました。

「そんなに大した問題じゃないですよ。後で調べておきます」と言って、深く取り合おうとしませんでした。倉田さんは真瀬さんの態度に不信感を抱きました。

その後、営業部の平井さんが現れて、「実は私がミスをして、ドリルのことをうまく伝えられていなかったんです」と言いました。そして、平井さんが案内する倉庫からドリルが見つかりました。この出来事に西沢さんは納得できず、「やっぱり何かおかしいです」と言いました。

倉田さんは真瀬さんに対する不信感を強めていきました。特に、西沢さんが「真瀬部長は交通費の二重取りなど、不正なことをしているみたいです」と言ったことが気にかかりました。そこで、倉田さんは真瀬さんの行動をもっと詳しく調べることにしました。

まず、倉田さんは社内で真瀬さんの経費について調査を始めました。交通費の件に関しても、西沢さんと一緒に確認しました。その結果、真瀬さんが二重に交通費を受け取っている証拠を取引先の経理から得ることができました。

この証拠をもとに倉田さんは真瀬さんを追及しました。真瀬さんは一度はそのことを認めましたが、すぐに態度を変え、「そんな事実はない」と否定しました。社長の持田さんも「真瀬を疑うなんてけしからん」と逆に倉田さんを叱りました。

それでも、倉田さんは真瀬さんの不正を諦めませんでした。倉田さんはドリルの型番を調べ、配送課の江口さんに確認を取ったところ、そのドリルは古い型番で廃棄予定のものである可能性が高いことが分かりました。倉田さんはますます真瀬さんが会社を騙しているのではないかと疑いました。

倉田さんはこの件を解明するために、さらに調査を進める決意を固めました。会社の中で信頼できる人たちと協力して、真瀬さんの不正を暴こうと考えたのです。この後も、倉田さんはさまざまな困難に直面しますが、真実を明らかにするために奮闘するのでした。

第3章: 家族への嫌がらせ

ある日、倉田さんが仕事から帰宅すると、娘の七菜さんが言いました。「お父さん、家の前に怪しい男が立ってたよ」。倉田さんはすぐに外を見ましたが、誰もいませんでした。あの駅で注意した男ではないかと、倉田さんは心配になりました。

倉田さんはその男を探しに、周辺を歩いてみることにしました。しかし、結局男を見つけることはできませんでした。家に戻ると、帰宅途中の息子の健太さんが「お父さん、あの男はまともじゃないよ。無闇に探さない方がいい」と注意しました。倉田さんは不安を抱えながらも、その日はそれ以上追跡することをやめました。

その晩、激しい雨が降り始めました。「今日は何もないだろう」と思っていた倉田さんでしたが、翌朝、家の郵便受けに子猫が入れられているのを見つけました。驚いた家族でしたが、幸いにも子猫は元気でした。倉田家はその子猫を引き取り、家族の一員としました。

それから数日後、倉田さんが仕事から帰宅すると、車に大きな傷がつけられているのを発見しました。家族全員が驚きました。倉田さんはすぐに警察に連絡し、事情を説明しましたが、確たる証拠がないため警察はあまり動きそうにはありませんでした。

これに対し、倉田家は防犯カメラを購入することにしました。家の周りにカメラを設置し、いつでも映像を確認できるようにしました。

しばらくして、七菜さんから再び連絡が入りました。「お父さん、車のタイヤが全部パンクしてるよ!」。倉田さんは驚きました。すぐに警察に連絡し、防犯カメラの映像を確認しました。すると、マスクと帽子を被った男が映っていました。

近隣をよく走るタクシー運転手からも話を聞くことができました。「豪雨の日に、不審な男をタクシーに乗せたんです。その男は武蔵小杉に住んでいるみたいでしたよ」と言われました。その男が家に侵入し、現金を盗んでいる可能性があると倉田さんは考えました。

しかし、確証がないため警察は動いてくれませんでした。

家族に対する嫌がらせが続く中、倉田家では男がピッキングで家に入り込んでいるなら、盗聴もしているのではないかと考えました。そこで、家中を探してみると、なんと三つの盗聴器が見つかりました。そのうちの一つは、妻が友人からもらったものでした。

盗聴器を外さずに、逆に犯人を騙してみようと健太さんが提案しました。倉田家はこの策略に従い、盗聴器をそのままにしておくことにしました。

しかし、さらに嫌がらせは続きました。健太さんの大事にしていた自転車が破壊されてしまったのです。これに怒った健太さんは、犯人を突き止めるために武蔵小杉で待ち伏せする計画を立てました。

倉田さんと健太さん、そして七菜さんの三人で見張りをしていると、犯人に似た男を見つけました。しかし、捕まえることはできませんでした。犯人は逃げてしまったのです。

倉田家はこの嫌がらせにどう立ち向かうべきか、悩みながらも対策を考え続けました。男の正体と目的を明らかにするために、家族全員で協力していくことを決意しました。この困難な状況の中、家族の絆がさらに強まっていったのです。

第4章: ドリルと真瀬の不正

倉田さんは、二千万円分のドリルが本当に必要なものであったのか、ますます疑問に思うようになりました。そこで、倉田さんはドリルの型番を詳しく調べて、配送課の江口さんに確認を取りました。江口さんは、そのドリルが古い型番であり、廃棄予定のものかもしれないと言いました。

「もし本当に廃棄予定のドリルなら、それを二千万円もかけて仕入れる理由がありません。真瀬さんは会社を騙しているのかもしれません」と倉田さんは思いました。

倉田さんは真瀬さんの過去についても調べ始めました。真瀬さんは以前、自分の会社を起こしていましたが、その会社は倒産していました。その後、ナカノ電子部品に入社したことが分かりました。真瀬さんは過去に金融トラブルを抱えていたようで、給与口座として社員が持つべき青葉銀行の口座を持っていないことも判明しました。

営業部から新規取引予定として挙げられた株式会社イーグル精密機器について、倉田さんはその業績に不安を感じていました。そこで、銀行で探りを入れたところ、取引はやめたほうが良いというアドバイスを受けました。しかし、真瀬さんは強くその取引を押し進めようとしていました。持田社長も真瀬さんを信頼しており、倉田さんの意見を軽んじました。

西沢さんが真瀬さんの交通費の二重取りについて取引先の経理から証拠を得たことを受けて、倉田さんは真瀬さんを再度追及しました。真瀬さんは一度はその事実を認めたものの、すぐに態度を変え、「そんな事実はない」と否定しました。そして、持田社長も真瀬さんを擁護し、逆に倉田さんを叱責しました。

倉田さんはさらに調査を進め、相模ドリルからナカノ電子部品に納入されたドリルが、実はイーグル精密機器に売却され、そこから新潟半導体という会社に納入されていることを突き止めました。新潟半導体に問い合わせると、相模ドリルから直接仕入れたと言っていました。これにより、取引の流れに不自然な点があることが明らかになりました。

倉田さんは、真瀬さんが相模ドリルと共謀し、倒産企業を挟んだ架空取引に及んでいるのではないかと考えました。真瀬さんは過去にシータ電気という会社を起業しており、その際に相模ドリルの社長から助けを受けていました。シータ電気が清算されたときも、相模ドリルの社長が肩代わりをしていたことが分かりました。

倉田さんは真瀬さんの不正を証明するため、社長の前で企業買収に詳しい野中さんを説得し、真瀬さんの不正を暴露する計画を立てました。三人で話す予定でしたが、真瀬さんもその場に入り込んできました。倉田さんは辞める覚悟で持っている情報を全てぶつけました。

「真瀬さんは相模ドリルと共謀し、架空取引を行っていたのです」と倉田さんは言いました。そして、野中さんに「このままでは刑事事件になりますよ」と揺さぶりをかけました。すると、野中さんは「真瀬から頼まれたんだ」と真実を話しました。

真瀬さんは相模ドリルの社長のすすめでシータ電気を起業し、その営業力を評価されていました。ナカノ電子部品に入ってからも相模ドリルに利益をもたらすように取引を進めていたのです。そして、真瀬さんは社長に肩代わりしていた借金を返済していたことが明らかになりました。

持田社長は架空取引で生じた損を補填すれば、刑事事件にはしないと決めました。こうして、真瀬さんの不正は明るみに出て、倉田さんは一歩前進することができました。しかし、倉田家に対する嫌がらせはまだ終わっていませんでした。

第5章: 解決と後日談

倉田家では、防犯カメラの映像を見返しながら、嫌がらせを続ける男の正体を突き止めようとしました。ある日、カメラに映った男の画像から、倉田さんは犯人を割り出すことに成功しました。その男は以前、駅で倉田さんが注意したあの男でした。

警察に通報すると、映像をもとに捜査が進み、ついにその男が逮捕されました。家族全員がほっと胸を撫で下ろしました。「これでやっと安心できる」と倉田さんは思いました。

一方、健太さんも男を追跡していました。健太さんは、武蔵小杉で犯人を待ち伏せする計画を立て、実行に移しました。健太さんは自転車を破壊されたことに怒り、どうしても犯人を捕まえたいと思っていました。

ある日、健太さんは男を見つけ、後をつけました。しかし、驚いたことに、男は健太さんのバイト先の人間だったのです。健太さんは驚きましたが、すぐに警察に通報し、男は逮捕されました。男は健太さんが例の男の話をしているのを聞き、それを利用して倉田家に嫌がらせをしていたことが判明しました。

その頃、会社では大きな問題が発生しました。イーグル精密機器が不渡りを出し、社長が逃げたというのです。このニュースに倉田さんは愕然としました。さらに調査を進めると、相模ドリルからナカノ電子部品に納入されたドリルが、イーグル精密機器に売却されており、そこから新潟半導体に納入されていることが分かりました。

倉田さんは再度、シータ電気と真瀬さんの関係を調べました。真瀬さんは、会社を清算する際、家を抵当に入れており、相模ドリルの社長が肩代わりしていたことが分かりました。このことから、倉田さんは真瀬さんが架空取引に関与していると確信しました。

倉田さんは社長にそのことを進言し、企業買収に詳しい野中さんを証人として呼び出しました。三人で話す予定でしたが、真瀬さんも同席することになりました。倉田さんは覚悟を決めて、持っている情報を全てぶつけました。「真瀬さんは相模ドリルと共謀して架空取引を行っていたのです」と強く言いました。

野中さんは「これが刑事事件になると大変なことになりますよ」と言い、真瀬さんに圧力をかけました。すると、真瀬さんはついに「相模ドリルの社長に頼まれてやったんです」と告白しました。

真瀬さんは相模ドリルの社長のすすめでシータ電気を起業し、倒産後もナカノ電子部品に入社し、自社と取引するように頼まれていました。相模ドリルに利益をもたらすために、架空取引を行い、社長に肩代わりしていた借金を返済していたのです。

社長は「架空取引で生じた損失を補填すれば、刑事事件にはしない」と決めました。こうして、真瀬さんの不正は明らかになり、倉田さんは正義を貫くことができました。

倉田家では、嫌がらせの犯人が逮捕されたことで、ようやく平穏な日々が戻りました。健太さんも無事で、家族全員が安心しました。防犯カメラのおかげで、犯人を捕まえることができ、家族の絆も一層強まりました。

倉田さんは、この一連の出来事を通じて、家族の大切さと正義を貫くことの重要性を改めて感じました。これからも家族を守りながら、仕事でも誠実に努めていくことを決意しました。

こうして、倉田さんとその家族は、再び平和な生活を取り戻し、前向きな気持ちで日々を過ごしていくことができました。

ようこそ、わが家へ(池井戸潤)の感想・レビュー

『ようこそ、わが家へ』は、主人公の倉田さんが駅で見知らぬ男を注意したことから始まります。その後、彼と家族にさまざまなトラブルが降りかかる様子が描かれています。まず感じたのは、池井戸潤さんの描写力です。駅での小さな出来事が、大きな事件に発展する過程が非常にリアルで、まるで自分がその場にいるかのように感じました。

物語は家族への嫌がらせと会社での不正という二つの軸で進みます。家族への嫌がらせは、非常に緊張感がありました。特に、花壇が荒らされ、郵便受けに子猫が入れられる場面では、家族全員が恐怖におののきます。これらの描写は、読者にもその不安感を共有させ、物語に引き込む力があります。

一方、会社での不正に関する部分も非常に興味深かったです。倉田さんがドリルの在庫不一致に気付き、同僚の真瀬さんの不正を暴こうとする姿は、彼の正義感と粘り強さを感じさせます。真瀬さんが交通費を二重取りしていたことや、架空取引を行っていたことが明らかになる過程は、サスペンス映画のような緊迫感がありました。

物語の後半では、倉田さんと家族が防犯カメラを設置し、嫌がらせを続ける男の正体を突き止めるシーンが描かれます。この部分は、家族の絆が深まる感動的な場面でもあります。息子の健太さんが自分のバイト先の人間が犯人だと気付く場面は、驚きと同時に複雑な感情を呼び起こしました。

最終的に、真瀬さんの不正が明らかになり、倉田さんが正義を貫く姿には大きな感動を覚えました。家族全員で困難に立ち向かい、平和を取り戻す姿は、読者に希望と勇気を与えてくれます。

全体として、『ようこそ、わが家へ』はサスペンスと感動が巧みに織り交ぜられた作品です。池井戸潤さんの描写力とストーリーテリングの技術が光る一冊でした。家族の絆や正義を貫くことの大切さを改めて考えさせられる、非常に読み応えのある作品です。

まとめ:ようこそ、わが家へ(池井戸潤)の超あらすじとネタバレ

上記をまとめます。

  • 駅で倉田が男性に注意したことが発端
  • 男性による倉田家への嫌がらせが始まる
  • 倉田が会社で二千万円分のドリルの不正を疑う
  • 同僚の真瀬が交通費の二重取りをしていたことが判明
  • 倉田家に盗聴器が仕掛けられていたことが発覚
  • 防犯カメラ設置で犯人の姿が捉えられる
  • 健太が犯人を待ち伏せする計画を立てる
  • イーグル精密機器の取引をめぐる問題が浮上
  • 倉田が真瀬の架空取引を暴露する
  • 家族が嫌がらせから解放され、平穏を取り戻す