「いかれころ」の超あらすじ(ネタバレあり)

「いかれころ」は、昭和58年の日本の村を舞台にした物語です。

主人公奈々子とその家族は、本家と分家の複雑な関係に巻き込まれ、家族内での摩擦や社会的なプレッシャーに苦しむ姿が描かれています。妊娠中の母・久美子、婿養子の父・隆志、精神的に不安定な叔母・志保子といった登場人物が織りなすドラマが、結納から破局、家族の崩壊へと進展します。

詳細なあらすじとネタバレを知りたい方は、ぜひこの記事をご覧ください。

この記事のポイント
  • 昭和58年の日本の村を舞台にした物語
  • 主人公奈々子とその家族の複雑な関係
  • 家族内での摩擦や社会的なプレッシャー
  • 妊娠中の母・久美子と婿養子の父・隆志の問題
  • 結納から破局、家族の崩壊に至るドラマの展開

「いかれころ」の超あらすじ(ネタバレあり)

昭和58年、春のある土曜日のことです。妊娠中の奈々子の母、久美子さんは、毎週土曜日に奈々子を自転車に乗せ、三本松村にある杉崎の本家に通っていました。本家の杉崎家は昔、地主として名を馳せていた農家で、曾祖母の静子さん、祖父の末松さん、祖母の幸子さん、そして叔父の幸明さんと叔母の志保子さんが住んでいます。末松さんは、婿養子である奈々子の父、隆志さんのことをあまり良く思っておらず、軽んじています。隆志さんは福井出身で、学生運動に夢中になりすぎたため、地元では職が見つからず、大阪に移って教師になりました。

叔父の幸明さんは大学を中退しており、叔母の志保子さんは精神的な問題を抱えていて、村人たちからは心配されています。志保子さんには、親戚を通じて結婚の話が持ち込まれましたが、身分制度が色濃く残るこの村では、杉崎の家の娘に支払う結納金がわずか100万円ということが気に入らず、家族からの不満が上がっています。志保子さんはいつも籠を持っており、奈々子にも中身を見せようとしません。杉崎家の他の家族も志保子さんのことを怖がっています。

奈々子たちが家に帰ると、夕方に隆志さんが帰宅しました。隆志さんは中学校の教師をしていて、土曜日も半日勤務なのですが、すぐに帰ってこないことを久美子さんは不満に思っています。久美子さんは、家族を養う婿として隆志さんをどうしても認めたくない気持ちがあるのです。

ある日、久美子さんが祖母の幸子さんと一緒にデパートに出かけるとき、志保子さんが奈々子を幼稚園に迎えに来て、本家に連れて行くのが常でした。その日も、志保子さんと一緒に本家に行った奈々子は、志保子さんに誘われて墓参りに行きました。墓地には親戚のおばさんが来ていました。おばさんは曾祖母の静子さんの後妻として杉崎家に入り、先妻の子供たちを追い出したことがあり、そのために恨みを持っていました。おばさんは志保子さんに対して嫌味を言うものの、志保子さんは丁寧に頭を下げるだけで反論しません。

いよいよ志保子さんの結納の日がやってきました。分家である奈々子の家族も本家に集まりました。志保子さんが着ている着物が安物であることに、女性たちは眉をひそめました。奈々子の母、久美子さんは、自分の自慢の振袖を志保子さんに貸したがりませんでした。結局、振袖は譲ったものの、着物には目立つシミがあったため、志保子さんは急遽安物の着物を着ることになりました。縁談を仲介した分家筋の永通さんは堂々とした体格で登場し、縁談相手の氏家の父親も同様に威厳があります。志保子さんは相変わらず謎の籠を持っていましたが、和良さんは気にせず、結納は無事に終わりました。

田植えの日が訪れました。昔は手で一つ一つ田植えをしていましたが、現在は祖父が乗用型の田植え機を使って田植えを行っています。親戚が集まっている中、奈々子の母、久美子さんは身重にも関わらず温泉旅行に出かけており、女性たちは陰口をたたきます。奈々子の世話は志保子さんに任されていました。志保子さんは分家に来て、ひな人形がまだ飾られているのを見て驚きました。奈々子が行き遅れるからといって、人形を片付けてしまいました。夕食の支度をして本家に戻った後、翌日、久美子さんが帰ってきて、人形が片付けられていたことに激怒しました。

奈々子は幼稚園でいじめに遭い、杉崎の分家の娘という地位は子供の世界ではあまり意味がありませんでした。小学校に進学してもいじめは続きましたが、奈々子は杉崎の家族として毅然とそれに耐え、母には一切相談しませんでした。父と母の仲は次第に冷えていきます。久美子さんは、本当は別の男性と結婚したかったのですが、立派な分家の家を建てられ、無理やり婿を取らされました。隆志さんは、次第にビデオの収集に夢中になり、奈々子が婿を取って住む予定の二階部分はビデオで埋め尽くされていきました。

志保子さんと和良さんの結婚式は、10月の吉日に決まりました。本家の犬、マーヤは老齢で死を待つばかりです。夏の盛りに曾祖父の二十三回忌があり、和良さんも出席しました。奈々子の母、久美子さんは、結婚していないのに夫婦のように振る舞い、呼んでもいないのに来たと毒づきます。志保子さんは部屋にこもり、奈々子を追い出して和良さんと二人で話をしました。

8月になり、奈々子が楽しみにしていた花火大会の時期には、すべてが終わっていました。志保子さんと和良さんの縁談は破談となり、婚約指輪を返すこともできず、結納金は倍返しだと本家では文句を言っています。犬のマーヤは死んでしまいました。奈々子の両親の仲は破局寸前です。隆志さんは福井の実家に帰ることが増え、久美子さんは離婚をちらつかせながら本家に戻ります。しかし、祖母の幸子さんには「今から働いて子供を養う気があるのか」と叱られ、隆志さんは久美子さんに「お前にあるのはこの分家の家だけだ」と言います。両親は不仲ながらもなんとか続きます。祖父は毎日のように分家の庭を手入れしますが、隆志さんは後片付けをしません。時が流れる中、みじめな将来しか待っていないのでした。

志保子さんと和良さんの破談が決まった後、奈々子の家族はますます困難な状況に直面します。隆志さんと久美子さんの関係は修復できず、家庭内の雰囲気はますます悪化します。隆志さんは仕事から帰ると、自分の趣味であるビデオの整理や収集に没頭し、家族の問題には無関心となっていきます。久美子さんは本家に戻りながらも、家族の経済的な問題や将来に対する不安を抱えています。奈々子は、家庭内の不安定さといじめに耐えながら、成長していく日々が続きます。祖父の末松さんが庭を手入れする姿は、家族の乱れを象徴するかのようです。時間が経つにつれて、奈々子たちの未来には希望の光が見えず、厳しい現実だけが待っているのです。

「いかれころ」の感想・レビュー

「いかれころ」は、昭和58年の日本の村を舞台にした深いドラマです。物語の中心には、奈々子という少女とその家族がいます。彼らは本家と分家の複雑な関係に悩まされながらも、生活していかなければなりません。主人公の奈々子とその家族、特に妊娠中の母・久美子さんと婿養子の父・隆志さん、そして精神的に不安定な叔母・志保子さんの関係が物語を引っ張ります。

久美子さんは、毎週土曜日に奈々子を自転車に乗せて本家の杉崎家に通い、そこでの人間関係の問題に苦しみます。隆志さんは、福井出身で学生運動に夢中だったため、地元では職が見つからず、大阪に移って教師になりました。こうした背景が、家族内での摩擦を引き起こします。

物語の重要なイベントである結納では、志保子さんが安物の着物を着る羽目になり、そのことで家族間にさらに緊張が走ります。破局の後、家族はますます困難な状況に直面し、奈々子は家庭内の不安定さといじめに耐えながら成長していきます。隆志さんはビデオ収集に夢中になり、久美子さんは本家に戻りながらも経済的な不安に悩む姿が描かれます。

この物語は、家族の複雑な関係とそれに伴う問題、そして社会的なプレッシャーが家族に与える影響を深く掘り下げています。主人公とその家族がどのように困難に立ち向かい、成長していくのかが、読者に強い印象を残す作品です。

まとめ:「いかれころ」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 昭和58年の日本の村が舞台である
  • 主人公は奈々子とその家族である
  • 本家と分家の複雑な関係が描かれている
  • 妊娠中の母・久美子と婿養子の父・隆志の問題が中心である
  • 精神的に不安定な叔母・志保子が重要な役割を果たす
  • 結納が物語の重要なイベントである
  • 破局が家族内の緊張を引き起こす
  • 家族の崩壊とそれに伴う苦悩が描かれている
  • 奈々子の成長とその困難がストーリーの鍵となる
  • 社会的なプレッシャーが家族関係に影響を与える