東野圭吾「どちらかが彼女を殺した」の犯人は?超あらすじ!

本記事では、東野圭吾の心理ミステリー小説「どちらかが彼女を殺した」の核心に迫り、その犯人について詳細に分析します。この物語は、愛知県名古屋市出身の和泉康正とその妹、園子の絆を中心に展開します。幼い頃に両親を失った二人は、それぞれの生活を送りながらも、深い絆で結ばれていました。しかし、ある日園子が不審な死を遂げると、康正は彼女の死の真相を探求するため、自らの手で捜査を開始します。

この物語の鍵を握るのは、園子の死に至る状況と、それに関わる人物たちの複雑な人間関係です。特に、利き手の矯正や睡眠薬の袋の開け方といった細かい証拠が、事件解明に重要な役割を果たします。康正と練馬警察署の刑事・加賀恭一郎による捜査が進む中、物語は次第にその真相に迫っていきます。

本記事では、小説の超あらすじを通じて事件の概要を紹介し、続いて犯人に関するヒントや証拠を詳細に分析します。「どちらかが彼女を殺した」を読んだことがある方も、これから読む予定の方も、この記事を通じて、東野圭吾が織りなす複雑なミステリーの魅力をより深く味わうことができるでしょう。

この記事のポイント
  • 「どちらかが彼女を殺した」の基本的な物語構造と、主要な人物関係についての概要。
  • 園子の死に至る複雑な背景と、その死の真相を追う過程での重要な証拠の役割。
  • 犯人特定に至る重要な手がかりである、利き手の矯正と睡眠薬の袋の開け方に関する詳細。
  • 康正と加賀恭一郎刑事による捜査の進展と、犯人が明らかにされる過程。

東野圭吾「どちらかが彼女を殺した」の超あらすじ

第1章:突然の悲報

愛知県名古屋市で生まれ育った和泉康正とその妹、園子は、幼い頃に両親を病気で失いました。この困難な時期を乗り越え、兄の康正は安定を求め、地元豊橋の警察署に就職し、交通課で働くようになりました。一方、妹の園子は東京で新たな生活を始め、電子部品を製造する企業の東京支社で働き始めます。二人は遠く離れて暮らしながらも、お互いの唯一の家族として強い絆を保ち続けていました。

ある年の12月、金曜日の夜に康正のもとに園子から突然の電話がありました。「信じていた人に裏切られた」という妹の声に、康正は大きな不安を感じます。電話でのやり取りの中で、具体的な詳細は語られませんでしたが、園子の声は明らかに動揺しており、何か深刻な問題に直面していることが伺えました。

その電話を受けてからの週末を心配しながら過ごした康正は、月曜日の仕事を終えると、すぐに東京にある園子のアパートへと車を走らせます。長時間の運転を経て、明け方に練馬区に位置する妹の住まいに到着しました。彼は以前に妹からもらっていた合鍵を使って、静かに部屋の中へと入りました。

部屋の中は暗く静まり返っており、最初に康正の目に飛び込んできたのは、ベッドに横たわる園子の姿でした。しかし、近づいてみると、園子は既に息をしていませんでした。彼女の周囲には不自然な光景が広がっており、特に胸と背中には、電源コードが剥き出しになって貼り付けられていることに康正は驚愕します。そして、その電源コードがタイマーに繋がれており、ある時刻に電流が流れるように仕掛けられていたことがわかりました。

この光景を目の当たりにした康正は、一瞬、園子が自らの命を絶ったのではないかと思いました。しかし、彼はすぐにその考えを疑問視します。というのも、調理台の上にあった包丁の側面に、電源コードを剥く際に出るであろう細かいけずり屑を発見し、その屑が包丁の右側に付着していることに気が付いたからです。園子は左利きであったため、自分でそのような行動をとった場合、屑は刃の左側に付着するはずです。この事実から、康正は園子の死が他殺である可能性を強く疑い始めました。

さらに彼が部屋を詳しく調べた結果、隅に落ちていた3種類の髪の毛と、ポケットサイズのメモ用紙に書かれた「カヨコ」と「J」の電話番号を発見します。これらの証拠品を見つけた康正は、これまでの状況を総合して考えると、妹の死が単なる事故や自らの意志によるものではないことを強く感じ取りました。

妹との絆を深く大切にしてきた康正にとって、この痛ましい発見は計り知れないショックでしたが、彼は冷静さを保ち続けます。そして、すぐに警察への通報を決断します。彼は、警察に連絡を取り、発見した事実をすべて報告しました。警察からの返答を待つ間、康正は園子の部屋の中で過ごした時間を振り返り、彼女が残したと思われる最後の言葉や行動の意味を考えます。その中で、彼は妹が直面していた問題の本質と、その背後にある真実を解き明かすための手がかりを求め続けました。

第2章:疑念の糸

康正は、妹の園子が亡くなった状況を受け入れることができず、その死の背後に隠された真実を探求する決意を固めます。妹の死が自殺とされたものの、彼はそれを疑問視し、自らの手で真相を解き明かすことを誓います。そのため、彼は園子の生前の交友関係や行動パターンを詳細に調べ上げることから捜査を始めました。

まず康正の目に留まったのは、園子の部屋で見つかった「カヨコ」と「J」と書かれたメモです。彼はこのメモが、園子の最後の言葉や行動に深い意味があると確信し、これら二つの名前を手掛かりに捜査を進めることにしました。康正はまず、メモに書かれていた「カヨコ」に注目し、その人物が誰であるかを突き止めるための調査を開始します。

彼がたどり着いたのは、弓場佳世子という女性でした。園子が高校時代からの親友であるという佳世子には、康正自身も面識がありませんでしたが、妹から彼女のことを聞かされた記憶がありました。康正は佳世子に連絡を取り、直接会う約束をします。佳世子は、名古屋で行われる園子の葬儀に参列するために東京から出向くと言い、これが二人が直接対面する機会となりました。

葬儀という悲しい場ではありましたが、康正は佳世子に園子の死について尋ね、何か手がかりを掴もうとします。佳世子は園子の死に深く悲しんでいるように見えましたが、康正には彼女の反応から何かを隠しているような印象を受けました。そこで、康正はさりげなく佳世子の髪の毛を採取することに成功し、これを園子の部屋で見つかった髪の毛と照合することで、何らかの関連性があるかを確かめようと考えます。

一方で、「J」という人物についても調査を進める康正は、そのヒントを提供してくれたのが、練馬警察署の刑事、加賀恭一郎でした。加賀は、園子の手帳を調べた結果、デザイン事務所に勤務する佃潤一という人物に注目していたのです。康正は、加賀からの情報を元に、佃潤一が「J」である可能性に気づき、さらに調査を深めることにしました。

佃潤一の自宅を訪れた康正は、そのゴミ箱から粘着シートを拾い上げます。その粘着シートには佃潤一の髪の毛だけでなく、佳世子の髪の毛も付着していたことから、二人が事件の直前に園子の部屋を訪れていたことが明らかになります。この発見により、康正は佳世子か佃潤一、もしくは二人が園子の死に関与しているという疑念を強め、真相解明への決意を新たにします。

第3章:謎を追う兄

康正の捜査は次第に深まり、園子の最後の日々に何が起こったのかを解明する手がかりを求めて、彼はさらに詳細な調査を進めます。彼の目的は明確です。愛する妹の死の真相を突き止め、彼女を苦しめた真犯人を見つけ出すことです。

調査を進める中で、康正は園子が去年の10月に佃潤一と知り合い、わずか4日後には二人が交際を始めたことを発見します。この情報は、園子の携帯電話や手帳、そして友人たちへの聞き取り調査から得られました。園子と潤一の関係は、当初は幸せそうに見えました。園子は潤一を、彼女にとって特別な人として、親友である佳世子にも紹介しています。この出来事は、二人の関係が順調に進んでいる証拠であると康正は考えました。

しかし、12月に入ると、潤一は園子に対して「自分のことは忘れてほしい」と告げたとされます。この言葉が二人の関係に何を意味するのか、康正には理解しがたい部分もありましたが、この時点で何らかの問題が生じていたことは明らかでした。この情報も、園子の友人や周囲の人々からの聞き取りによって明らかになりました。

園子を死に追いやった真相を突き止めるため、康正は佳世子に接触することを決めます。彼は、佳世子が何かを知っていると疑い、園子のマンションに彼女をおびき寄せる計画を立てます。康正は、園子の死に何らかの形で関与していると疑われる佳世子に対して、真実を話すよう迫ります。この段階で、康正は自らの手で正義を実現しようとしており、その過程で、彼自身も法を犯すリスクを負っていました。

康正の計画は突然の介入により中断されます。その人物は、練馬警察署の刑事、加賀恭一郎です。加賀は、園子の死に関して自殺という結論に疑問を持っている数少ない人物の一人でした。彼は、康正が佳世子に睡眠薬を飲ませたこと、そしてその後の展開を止めるために、部屋に乗り込んできました。加賀は康正と佳世子に対して、園子の死の真相がまだ解明されていないこと、そして真実を突き止めるためには冷静な捜査が必要であることを説きます。

加賀刑事の説得により、康正は自分の行動が過激だったことを認め、加賀と協力することを決意します。加賀は、園子の死について独自に調査を続けており、彼が持つ情報が、事件の真相を解き明かす鍵になる可能性があると康正は感じていました。

加賀からの新たな情報により、康正は園子が佃潤一との関係が悪化する直前に、何か重大な決断を迫られていたことを知ります。具体的には、園子と潤一、そして佳世子の間で複雑な人間関係があり、それが園子の精神的な負担になっていた可能性が浮かび上がりました。

この段階で、康正は園子が最後に残したメモや日記を再度確認し、彼女の言葉に隠された意味を解読しようと試みます。園子の言葉には、彼女が直面していた問題や抱えていた感情が綴られており、これらが事件の真相を解明する重要な手がかりになると康正は確信していました。

さらに、康正と加賀は、園子の周囲の人物たちに再び接触し、新たな証言を集めます。この過程で、園子が事件前に不安定な精神状態にあったこと、また、彼女が佳世子と潤一に何か重要なことを伝えようとしていたことが明らかになりました。

第4章:真実への近道

康正と加賀恭一郎刑事の共同捜査は、園子の死の背後にある真実へと少しずつ近づいていきます。二人は園子の死に関わる人物たちとの関係性を解き明かし、事件の核心に迫る手掛かりを見つけ出すために、日夜努力を重ねていました。

園子と潤一の関係が悪化し始めた頃、園子は佳世子に対しても何かを感じ取っていたようです。康正と加賀は、園子の携帯電話の記録や日記、そして佳世子とのやり取りを調査することで、佳世子が園子と潤一の関係に何らかの形で介入していたことを突き止めます。佳世子には、表面上は見えない複雑な感情や過去があり、それが事件に重要な役割を果たしていたことが明らかになりました。

一方で、佃潤一についても新たな事実が明らかになります。潤一は園子との関係が公になることを極度に恐れており、その理由の一つに佳世子との関係がありました。潤一と佳世子は、園子が知らない秘密を共有していたことが判明します。この秘密が、園子を深く悩ませ、最終的には彼女の命を絶つことに繋がった可能性が高まってきます。

加賀は、園子、佳世子、そして潤一の間に存在する複雑な感情の糸を解きほぐすことで、事件の全貌を明らかにしようとします。彼は、園子が自らの命を絶つ直前に、佳世子と潤一に対して何かしらの行動を起こそうとしていたと推測します。その行動が、園子の死に直接的な影響を与えたと加賀は見ていました。

康正と加賀は、園子が遺したメモや日記、そして彼女が最後に撮影した写真から、決定的な手がかりを見つけ出します。これらの手がかりをもとに、二人は園子が佳世子と潤一に対して、自分の感情や考えを伝えようとした瞬間を特定します。そして、その伝えようとした内容が、園子の命を絶つに至った重大な要因であることを確信します。

第5章:真実の光

康正と加賀恭一郎刑事がついに、園子の死の背後に隠された真実にたどり着きます。これまでの謎が解け、悲しみと疑問に満ちた物語が、最終的な結論へと導かれます。

園子が抱えていた秘密とは、佳世子と潤一の間に存在した隠された関係のことでした。園子はこの事実を知り、それが原因で大きな精神的苦痛を感じていました。しかし、彼女が最終的に取ろうとしていた行動の目的は、 revengeではなく、ある種の和解や理解を求めるものであったことが明らかになります。園子の日記やメモからは、彼女が自らの感情を正直に伝え、関係を修復しようと試みていた痕跡が見つかりました。

加賀刑事は、園子の最後の行動が、彼女自身によるものではなく、ある誤解とトラブルから生じた結果であることを明らかにします。園子の意図とは異なる形で事態が進展し、それが彼女の悲劇的な結末を招いたのです。加賀と康正は、園子の死に至る直接的な原因を解き明かすために、佳世子と潤一への追及を続けます。

加賀の調査と康正の執念によって追い込まれ、佳世子と潤一はついに真実を語り始めます。二人は園子との間に誤解があったこと、そしてその誤解がどのようにして悲劇に繋がったのかを明かします。佳世子と潤一の関係は、園子が想像していたものとは異なり、園子の行動は、彼らにとっても予期せぬ結果を招いてしまいました。

真実が明らかになった後、康正は園子の死を受け入れ、彼女の意志を尊重する形で前に進むことを決意します。佳世子と潤一もまた、園子の死から学ぶべき教訓を胸に、新たな人生を歩み始めます。加賀刑事の尽力により、この複雑な事件は、悲しみの中にも希望の光を見出す形で幕を閉じます。

しかし、真実は…?

東野圭吾「どちらかが彼女を殺した」の犯人は?

和泉康正の妹、園子は左利きでしたが、ナイフやフォークの使用方法は右利きの人と同じように矯正されていました。この事実は、園子の周囲のほとんどの人が彼女が左利きであることを知らなかった理由です。しかし、事件の調査を進める加賀刑事は、園子が左利きであることを様々な手がかりから見抜いていました。

事件のある段階で、康正は園子を殺害しようとする計画を知り、主要な関係者を園子のマンションにおびき寄せます。この場に現れた佳世子は、康正の目の前で睡眠薬の袋を開けて服用します。その後の事情から、佃潤一が園子を感電させようとしたこと、そして佳世子がこの場面に偶然遭遇したことが明らかになります。しかし、計画は中断され、佃潤一はその場を離れます。この際、潤一が右手で睡眠薬の袋を開けていたことが確認されます。

事件現場には睡眠薬の袋が2つ残されていました。もし園子が自ら睡眠薬を服用した後、感電死を選んだのであれば、彼女が左利きであることを考慮すると、少なくとも1つの袋は左手で開けられている必要があります。しかし、加賀刑事が最初から注目していた利き手に関する証拠から、彼は園子の死が自殺でないとの結論を導き出していました。これは、実際に現場に残された睡眠薬の袋がいずれも右手で開けられていたことを意味します。

この情報をもとに、康正は事件に関与した人物の中で右利きであることが確認されている佃潤一を真犯人と特定します。一方で、もし佳世子が左利きであった場合、康正はその場で佳世子が左利きであることを知ることになります。しかし、事実として、佳世子はその場で右手を使って睡眠薬の袋を開けています。これは、園子と同じく佳世子も日常的に利き手を矯正していた可能性があります。

以上の情報を総合すると、睡眠薬の袋の開け方から、真犯人が右利きの佃潤一であることが明らかになります。補足として、佳世子が公の場で右手を使用している様子もありますが、これは利き手の矯正を示唆するものと解釈されます。

東野圭吾「どちらかが彼女を殺した」の犯人について更に考察

本事件の核心にあるのは、園子の死の真相を解き明かすための重要な手がかりである、利き手に関する証拠です。

園子の利き手とその認識

園子は生まれつき左利きでしたが、ナイフやフォークの使用においては右利きのように矯正されていたとのこと。この事実は、彼女の周囲の人々が園子を左利きだと認識していなかった主要な理由となります。しかしながら、加賀刑事は、園子が左利きであることを様々な状況証拠から見抜いていました。これは、加賀刑事が非常に観察力が高い人物であることを示しています。

睡眠薬の袋の開け方の証拠

事件現場に残された睡眠薬の袋が2つとも右手で開けられていたことは、非常に重要な証拠となります。もし園子が自ら睡眠薬を服用し、その後自殺を選んだのであれば、彼女の利き手を考慮すると、少なくとも1つの袋は左手で開けられているはずです。この点から、加賀刑事は園子の死が自殺ではないと確信していたわけです。

真犯人の特定

佃潤一が右利きであること、そして事件現場で右手で睡眠薬の袋を開けていたことは、彼が真犯人であるという決定的な証拠となります。一方、佳世子が睡眠薬の袋を開ける際に右手を使用していたことは、彼女もまた日常生活において利き手を矯正していた可能性を示唆しています。これは、佳世子が事件に関与しているという証拠ではなく、むしろ彼女が利き手に関する認識を操作していた可能性を示しています。

利き手の矯正とその影響

この事件における利き手の矯正は、園子だけでなく佳世子にも適用されている可能性があります。これは、利き手の矯正が個人の身元を隠すための戦略として使用され得ることを示唆しています。特に、園子と同様に佳世子も公の場で利き手を矯正している様子があったことから、この戦略は意図的であった可能性が高いと考えられます。

結論

この事件における利き手の矯正と睡眠薬の袋の開け方は、真犯人を特定する上で決定的な役割を果たしました。特に、睡眠薬の袋がどちらも右手で開けられていたことは、園子の死が他殺であることを強く示唆しています。また、この証拠は佃潤一を真犯人と特定する上で重要な役割を果たし、事件の解決に大きく貢献しました。加賀刑事の洞察力と康正の観察により、複雑に絡み合った事件の真相が明らかになったのです。

まとめ:東野圭吾「どちらかが彼女を殺した」の犯人は?

上記をまとめます。

  • 康正と園子は幼い頃に両親を亡くした兄妹
  • 園子の死は感電自殺に見せかけられた他殺
  • 園子の部屋で見つかった証拠から自殺説を疑う康正
  • 園子の利き手の矯正が事件の鍵を握る
  • 睡眠薬の袋の開け方から犯人の利き手を推理
  • 園子の最後の電話が事件の発端
  • 康正は加賀刑事と共に真実を追求
  • 園子の人間関係と背後にある秘密
  • 犯人に至る決定的な手がかりは園子の生活習慣に隠されていた
  • 真犯人の特定とその動機の解明