阪急電車(有川浩)の超あらすじとネタバレ

この記事では、有川浩の小説「阪急電車」の超あらすじとネタバレを紹介します。「阪急電車」は、宝塚駅から西宮北口駅までの阪急今津線を舞台に、電車に乗るさまざまな人々の人生が交錯する感動的な物語です。

この記事を通して、主要な登場人物やエピソード、そして物語の展開を詳しく知ることができます。ネタバレを含むため、物語の詳細を知りたい方や再読の前に内容を確認したい方に最適です。キャラクターたちの成長や人間関係の変化に注目しながら、心温まるストーリーを楽しんでください。

この記事のポイント
  • 主要な登場人物の紹介と関係性
  • 各エピソードの詳細な内容
  • 物語全体の展開と結末
  • キャラクターたちの成長と変化
  • 物語のテーマやメッセージ

阪急電車(有川浩)の超あらすじとネタバレ

第1章: 宝塚駅から逆瀬川駅まで

図書館が好きな征志(せいし)は、宝塚(たからづか)駅から電車に乗って家に帰るところです。彼は中央図書館で借りた本を持っています。電車に座ると、隣の席に見覚えのある女性が座っていました。その女性は、かつて図書館で本の争奪戦に敗れた相手でした。

その女性は窓の外を見て、楽しそうに笑っています。征志もつられて窓の外を見てみると、「生」という字が石で川の中洲に作られているのを見つけました。女性は自信満々に「すごいでしょ」と征志に話しかけてきます。

征志とその女性は「生」という字について話し合い、だんだんとお互いを気に入るようになります。二人は話が盛り上がり、次に会ったら一緒に飲みに行こうと約束します。

そのとき、宝塚南口(たからづかみなみぐち)駅で、白いドレスを着た女性が電車に乗り込みました。彼女の名前は翔子(しょうこ)です。翔子は5年も付き合った彼氏と婚約していましたが、彼氏が同期の女性に心を奪われてしまい、婚約が破棄されました。

彼氏の結婚式に招待された翔子は、白いドレスを着て結婚式に現れ、結婚式を台無しにしてしまいました。今、翔子はその帰り道で電車に乗っているのです。

翔子は電車の中で、征志と女性が楽しそうに話しているのを見て、自分の失恋の後なので少し辛い気持ちになります。逆瀬川(さかせがわ)駅に着くと、征志は降りていく女性を追いかけて、「次に会うんじゃなくて、今から飲みに行こう」と誘います。

その横を、時江(ときえ)というおばあさんが孫娘の亜美(あみ)と共に電車に乗り込んできます。亜美は白いドレス姿の翔子を見て、「花嫁さん」と声を上げますが、翔子は涙を流し始めます。

時江は翔子に声をかけ、慰めながらアドバイスをします。翔子は時江の勧めに従い、次の小林(こばやし)駅で降りることにします。

時江は孫娘の亜美と犬について話し始めます。小林駅で降りた翔子は、周辺の雰囲気を気に入ります。スーパーに立ち寄り、普通の服を購入して着替えます。引き出物とドレスを処分し、メイクを直すと、不思議と復讐の念も消えていきます。そして、これからの人生について考え始めます。

第2章: 逆瀬川駅から甲東園駅まで

小林(こばやし)駅で電車に乗ったミサと彼氏のカツヤは、最初は普通に話していましたが、些細なことでケンカを始めてしまいます。カツヤは怒り始め、ドアを蹴ったりして電車内で暴れ出します。それを見た周りの乗客たちは驚き、不安そうな顔をします。

仁川(にがわ)駅に着くと、カツヤは必死に止めようとするミサを無視して電車を降りてしまいます。時江(ときえ)と孫娘の亜美(あみ)も電車を降ります。ミサは時江に謝りますが、時江はカツヤのことを「くだらない男」と切り捨て、「やめておいた方が良い」とミサに忠告します。

ミサは時江の言葉を聞いて、カツヤと別れることを真剣に考え始めます。そして、再び電車に乗り込みます。

甲東園(こうとうえん)駅では、女子高生の集団が乗り込んできます。ミサはその会話を聞いていると、面白おかしく話している中でも自分よりもきちんとした恋愛をしているなと思います。そして、カツヤとは別れる決心を固めます。

門戸厄神(もんどやくじん)駅から西宮北口(にしのみやきたぐち)駅へ向かう電車の中で、大学一年生の圭一(けいいち)は隣に立つ女の子が同じ大学の同級生だと気づきます。彼は勇気を出して話しかけます。

圭一は軍オタクという自分の趣味にコンプレックスを持っており、彼女は権田原美帆(ごんだはらみほ)という名前にコンプレックスを持っていました。二人はお互いのコンプレックスを明かし、少し打ち解けます。

圭一と美帆は、大学デビューを狙ったものの失敗しており、異性と付き合った経験もありません。地元は関西ではなく下宿しているなど共通点が多く、話しているうちにお互いを気に入ります。その日から二人は付き合い始めることになります。

第3章: 西宮北口駅から仁川駅まで

ミサは西宮北口(にしのみやきたぐち)駅から宝塚(たからづか)行きの電車に乗り込みます。彼女は、隣の席にオバサン軍団がやってくるのを見て驚きます。ミサの隣の空いている席に翔子(しょうこ)が座ろうとすると、オバサンの一人がカバンを投げて席を確保します。ミサと翔子は唖然としますが、怒ろうとするミサを制して翔子は立ち去ります。

ミサはオバサン達を横目に見ながら、自分の過去を思い出します。カツヤとの別れを決意した後、ミサはカツヤに何度もアパートに押しかけられ、殴られたり、部屋の前で怒鳴り散らされたりしました。ミサは困り果て、幼なじみのマユミを頼ることにしました。

マユミの兄の健吾(けんご)は大学の空手部で副主将をしており、ミサも旧知の仲です。健吾はカツヤを呼び出し、ミサと別れるように約束させ、今後二度と手出しが出来ないようにしてくれました。このことを考えながら、ミサは少しずつ心の整理をしています。

そのとき、ミサの隣に座っていたオバサン達の一人、康江(やすえ)が突然苦しみだします。康江はそれほど裕福でない家庭のため、家族を差し置いて自分だけが高いランチを食べに行くことに葛藤を抱えていました。胃が痛くなったのもそのためでした。

しかし、オバサン軍団は誰も康江のことを心配せず、他人であるミサだけが気遣ってくれます。門戸厄神(もんどやくじん)駅で降りた後、ミサは康江に胃薬を渡し、一緒に休むことにします。康江はミサに事情を話し、オバサン軍団との付き合いをやめる決心をします。

甲東園(こうとうえん)を過ぎたあたり、圭一(けいいち)と美帆(みほ)が電車内で窓から見えるワラビについて話しています。美帆は線路沿いに生えるワラビを取りたがりますが、圭一は安全な場所で山菜採りを提案します。

圭一は過去の甘い思い出を振り返りながら、美帆との会話を楽しんでいます。二人はお互いのことを少しずつ理解し合い、絆を深めていきます。

第4章: 仁川駅から小林駅まで

結婚式での復讐を果たした後、翔子(しょうこ)は心機一転して新しい仕事を見つけました。彼女は小林(こばやし)駅の近くに引っ越し、新しい生活を始めました。ある午後、会社から早く帰ることができた翔子は、電車に乗って家に帰る途中、小林駅へ向かう電車の中で物思いにふけっていました。

翔子は、新しい環境での生活に満足していましたが、ふと周りを見ると、窓から見えるワラビについて話す大学生カップルを見つけます。彼らが仲良さそうに話しているのを見て、少し羨ましく思います。

小林駅で降りた翔子は、駅の近くでいじめられている小学生の女の子を見かけます。いじめられている子は毅然とした態度で対応していますが、翔子はその子に近づき、優しい言葉をかけます。そして、そっとハンカチを渡します。

その子の名前も翔子(ショウコ)であることがわかり、翔子は自分も少し躓いたけれど、これから幸せになるために頑張ると約束します。二人は励まし合い、別れます。

階段を登ると、電車から降りてきたミサ(みさ)と出会います。ミサは西宮北口(にしのみやきたぐち)駅での出来事から翔子に話しかけ、二人は自然に話し始めます。ミサと翔子はお互いの体験を話のネタにして、共にお茶をすることにします。

逆瀬川(さかせがわ)駅では、宝塚行きの電車を待っている時江(ときえ)が、隣に立つカップルが半年前に見かけた恋に発展しそうだった男女であることに気づきます。時江は、時間が経つのは早いものだと感じながら、孫娘の亜美(あみ)と共に電車を待っていました。

電車に乗り込むと、喧しいオバサン軍団が乗ってきます。亜美が「どうして大人なのにうるさくしてるの?」と尋ねると、それを聞いたオバサン達が文句を言い始めます。しかし、時江は真っ向から受けて立ちます。

電車の中で、征志(せいし)と彼女のユキも時江に加勢します。オバサン達は完全に論破され、宝塚南口(たからづかみなみぐち)駅で逃げるように降りていきます。時江と亜美に別れを告げ、征志とユキは別の車両に移り、出会った頃の思い出に浸ります。

二人は出会う前からお互いを意識しており、付き合い始めてからも共通の趣味である図書館通いや時々飲みに行くというデートを重ねていました。そろそろ結婚を見据えて同棲しないかという征志の提案をユキは快諾し、物語は新たなスタートを迎えます。

第5章: 小林駅から宝塚駅まで

翔子(しょうこ)は結婚式での復讐を果たした後、新しい生活を始めました。小林(こばやし)駅の近くに引っ越し、転職して新たなスタートを切った彼女は、仕事が早く終わった午後、電車に乗って帰宅します。電車内で物思いにふける翔子は、過去の出来事を振り返りつつ、新しい生活に満足している自分に気づきます。

電車の中で、ワラビについて話す大学生カップルの圭一(けいいち)と美帆(みほ)を見かけます。二人が仲良く話している姿に、翔子は少し羨ましい気持ちになりますが、同時に自分も新たな幸せを見つけたいと感じます。

小林駅で電車を降りた翔子は、いじめられていた少女ショウコに再び出会います。翔子は少女に「少し躓いたけど、これから幸せになるために頑張るから、一緒に頑張ろう」と励まします。二人は再会を喜び、しばらく一緒に過ごします。

翔子が少女と別れた後、階段を上がると、降りてきた電車からミサ(みさ)が降りてきます。ミサは西宮北口(にしのみやきたぐち)駅での出来事から翔子に話しかけ、自然に話が弾みます。二人はお互いの体験を話し合い、お茶をすることにします。

逆瀬川(さかせがわ)駅では、孫娘の亜美(あみ)と電車を待っていた時江(ときえ)が、隣に立つカップルを見て気づきます。そのカップルは半年前に見かけた、恋に発展しそうだった男女です。時江は、時間が経つのは早いものだと感じながら、過去の出来事を思い出します。

電車に乗り込むと、またしても喧しいオバサン軍団が乗ってきます。亜美が「どうして大人なのにうるさくしてるの?」と尋ねると、オバサン達が文句を言い始めます。しかし、時江は毅然とした態度で彼女たちに立ち向かいます。

その時、征志(せいし)と彼女のユキも時江に加勢します。オバサン達は完全に論破され、宝塚南口(たからづかみなみぐち)駅で逃げるように降りていきます。時江と亜美に別れを告げ、征志とユキは別の車両に移り、出会った頃の思い出に浸ります。

二人は出会う前からお互いを意識しており、付き合い始めてからも共通の趣味である図書館通いや、時々飲みに行くというデートを重ねていました。征志はそろそろ結婚を見据えて同棲しないかとユキに提案し、ユキはそれを快諾します。二人は新しい生活を共に始めることを決め、物語は幸せな未来を予感させる形で幕を閉じます。

阪急電車(有川浩)の感想・レビュー

有川浩の「阪急電車」は、日常の中で出会う人々の小さな物語が丁寧に描かれており、読む人の心に温かい感情を呼び起こします。

まず、物語の舞台となる阪急今津線の電車内という設定がとてもユニークです。電車の中での短い出会いや出来事が、登場人物たちの人生に大きな影響を与えるという点が興味深いです。例えば、図書館帰りの征志と女性の再会や、翔子の結婚式後の復讐のエピソードなど、どれも一瞬の出来事が物語の大きな転機となっています。

登場人物たちはみな個性豊かで、そのキャラクターたちが抱える悩みや葛藤がリアルに描かれています。ミサとカツヤの喧嘩や、康江の悩みなど、誰もが共感できるような問題が描かれており、読者は自然と彼らに感情移入してしまいます。特に、時江というおばあさんの存在は物語の中で非常に重要で、彼女の助言や行動が他のキャラクターたちを前向きに変えていく様子が感動的です。

また、大学生の圭一と美帆の出会いや成長も微笑ましいです。彼らのコンプレックスや悩みを共有しながら、少しずつ関係を深めていく過程が丁寧に描かれています。特に、ワラビを取りたがる美帆と、それに対する圭一の提案など、日常の中の小さな幸せを見つけるシーンがとても印象的です。

全体として、「阪急電車」は、普通の日常の中にある小さなドラマを見逃さず、それを丁寧に描き出した作品です。読み終わった後には、心がほっこりと温かくなるような感覚を味わうことができます。この物語を読むことで、人との出会いや日常の何気ない出来事の大切さに気づかされます。誰にでもおすすめできる一冊です。

まとめ:阪急電車(有川浩)の超あらすじとネタバレ

上記をまとめます。

  • 宝塚駅から逆瀬川駅までのあらすじ
  • 翔子の結婚式破壊と新生活の始まり
  • 征志と女性の図書館での再会と交流
  • ミサとカツヤの喧嘩と別れの決意
  • 時江のミサへの助言と影響
  • 圭一と美帆の出会いと関係の発展
  • オバサン軍団との対立とその解決
  • 康江の悩みとミサの助け
  • 翔子といじめられた少女の交流
  • 征志とユキの関係の進展と未来への決意