「光る牙」は、北海道・日高山脈で起きたヒグマによる恐怖の物語です。
山岳カメラマンの渡辺健二が撮影中にヒグマに襲われ、その遺体が発見されるところから物語は始まります。道庁森林事務所の日高支所の樋口孝也と山崎が事件の調査に乗り出し、駆除作業を進めますが、実は別の巨大なヒグマが潜んでいました。続く展開では、違法なくくり罠や白い巨大ヒグマが絡む新たな襲撃が描かれ、ついにはヒグマとの壮絶な対決が繰り広げられます。
この物語の詳細なあらすじとネタバレについてご紹介します。
- 「光る牙」の物語の舞台が北海道・日高山脈であること
- 山岳カメラマンの渡辺健二がヒグマに襲われる事件の発端
- 樋口孝也と山崎が事件を調査し、駆除作業を進めること
- ヒグマによる新たな襲撃があり、さらに別の巨大ヒグマが関与すること
- 最終的にヒグマとの壮絶な対決が繰り広げられること
「光る牙」の超あらすじ(ネタバレあり)
山岳カメラマンの渡辺健二さんは、厳冬期の北海道、日高山脈の「行者返し」という場所で、ご来光の写真を撮るために一人で出かけました。日が昇る瞬間を捉えるために、厳しい寒さの中でもカメラを構えた渡辺さんは、目標通りの素晴らしい写真が撮れたことでにこやかな笑みを浮かべました。
しかし、そのとき背後から不穏な物音が聞こえ、渡辺さんが振り返ると、巨大な影が迫っているのが見えました。その後、道庁森林事務所日高支所の樋口孝也さんが、遭難の一報を受けて上司の山崎さんとともに現場に向かいました。樋口さんと山崎さんは、雪に閉ざされた登山道をクロスカントリースキーで進んで行きました。
ようやく「行者返し」に到着した二人は、そこに渡辺さんの遺体を発見しました。遺体は雪に埋もれており、額がひどく陥没し、頭の皮がはがれて骨が見えていました。周囲には大量の血痕が散らばっていて、非常にショッキングな光景でした。樋口さんは「誰かに殴り殺されたのか?」と驚愕し、山崎さんは険しい顔つきで下山の準備を始めました。
下山の途中で、樋口さんは大きな雄のエゾシカの死体を見つけました。そのエゾシカの臀部には、ヒグマによると思われる大きな爪痕が残されていました。これを見た樋口さんは、渡辺さんもヒグマに襲われたのだと理解し、山崎さんが下山を急いだ理由がわかりました。
翌朝、北海道警察の捜査関係者と銃を持った猟友会のメンバーたち、そしてヒグマ研究の第一人者である森内教授が一緒に、再び「行者返し」に向かいました。森内教授は、渡辺さんを襲ったヒグマが「穴持たず」と呼ばれる冬眠できなかった個体で、体重が200キロ以上あると説明しました。
その翌日、10人の地元猟友会員と樋口さん、山崎さんで駆除隊が編成され、ヒグマの追跡が始まりました。猟友会員たちは山歩きに不慣れで、樋口さんと山崎さんは彼らに不安と苛立ちを募らせていました。
途中で猟友会員たちと別行動を取った樋口さんと山崎さんは、巨大なヒグマを発見し仕留めました。解剖の結果、このヒグマは違法なくくり罠にかかっていたために十分な食事ができず、冬眠に必要な脂肪を蓄えられなかったことが判明しました。森内教授は「これは人為的な原因であり、渡辺さんを襲ったヒグマは駆除された」と記者会見で発表しました。
しかし、山崎さんは渡辺さんに残された傷跡がもっと大きなヒグマのもので、捕獲されたヒグマとは別の個体だと樋口さんに断言しました。
日高に遅い春が訪れ、「もりもりパーク」という森林公園がキャンプ客で賑わい始めました。その中には、大音量で音楽を流しながらドラッグパーティに興じる若者たちもいました。樋口さんたちは注意をしましたが、若者たちは聞く耳を持ちませんでした。
翌日、「もりもりパーク」でヒグマが出現したと通報があり、樋口さんは山崎さんとともに銃を持って急行しました。現場に着くと、地面に埋められた女性を発見し、「…ロクマ、…ロクマ」とつぶやく彼女を救急車に託しました。その後、ヒグマのけもの道を追っていくと、そこに違法なくくり罠が仕掛けられているのを発見します。
その時、山中に銃声が響きました。銃声の方へ向かうと、裕福な身なりの男が一人倒れていました。その男は道議会議員の若林さんで、違法なくくり罠を仕掛けた張本人でした。若林さんは「途方もなく大きな白いヒグマだったんだ」と言い訳をしました。負傷した若林さんを連れて樋口さんと山崎さんは急いで下山しました。
休憩中に山崎さんが用を足しに一人で離れると、突然山崎さんの悲鳴が聞こえました。岩陰から現れたのは白い巨大なヒグマで、樋口さんは銃を向けましたが間に合わず、若林さんがヒグマに襲われてしまいました。斜面を転落した山崎さんを探すため、樋口さんは一人で山中に入っていきました。
探索の途中、樋口さんは顔が半分潰された白い小熊の死体を見つけました。これは、若林さんが近距離から無抵抗な小熊を射殺したため、親熊が報復としてハンターを追いかけた結果でした。雷雨の中、樋口さんのトランシーバーが鳴り、山崎さんの声と車のクラクションが聞こえました。
樋口さんは山崎さんが生存していると確信し、再びトランシーバーが鳴ると、山崎さんの声とともに車のクラクションが聞こえました。山崎さんは二人が乗ってきた車のところに戻っていたのです。樋口さんが駆けつけると、車に白い巨大なヒグマがのしかかっていました。樋口さんはヒグマを射殺しようとしましたが、失敗してしまいました。
車が動かなくなり、山崎さんがヒグマに車から引きずり出されました。樋口さんはなんとか山崎さんを岩の上に担ぎ上げましたが、ヒグマはまだ襲い続けてきました。樋口さんはヒグマを車におびき寄せ、トランシーバーとプロパンボンベを使って車ごとヒグマを爆発させました。
ヒグマは爆発によって真っ黒に焼け焦げ、白かった痕跡は完全に消えました。これでヒグマによる脅威は終息し、樋口さんと山崎さんは無事に帰還することができました。二人は、ヒグマの脅威から解放され、安堵の気持ちで帰路に着きました。
「光る牙」の感想・レビュー
「光る牙」を読んで、物語の緊張感と迫力に圧倒されました。物語は北海道・日高山脈で起きた実際の事件を元にしており、厳冬期の寒さと険しい山道がリアルに描かれています。山岳カメラマンの渡辺健二さんが撮影中に襲われ、その遺体が発見されるシーンは衝撃的で、読む者に強い印象を与えます。
樋口孝也さんと山崎さんが事件を調査する過程では、ヒグマの恐怖が深く掘り下げられています。特に、違法なくくり罠や「穴持たず」のヒグマがどのように物語に影響を与えるのかが詳しく描かれており、ヒグマ研究の第一人者である森内教授の説明も非常に説得力があります。
また、「もりもりパーク」での新たなヒグマの襲撃シーンや、白い巨大ヒグマとの対決は非常に緊張感があり、ページをめくる手が止まりません。ヒグマが車にのしかかるシーンや、最終的な爆発のシーンは迫力満点で、物語全体を通じてスリリングな展開が続きます。
全体として、「光る牙」は自然と人間の対決を鮮烈に描いた作品で、読み終わった後もその緊迫感が心に残る作品です。
まとめ:「光る牙」の超あらすじ(ネタバレあり)
上記をまとめます。
- 「光る牙」の舞台は北海道・日高山脈である
- 主人公の山岳カメラマンがヒグマに襲われる
- 渡辺健二の遺体が発見されるところから物語が始まる
- 樋口孝也と山崎が事件調査に乗り出す
- 駆除作業が進められるが、別のヒグマが存在する
- ヒグマの襲撃が新たに発生する
- 違法なくくり罠が関与している
- 白い巨大ヒグマが登場する
- ヒグマとの壮絶な対決が繰り広げられる
- 最終的にヒグマは爆発によって討たれる