「こんな日のきみには花が似合う」の超あらすじ(ネタバレあり)

『こんな日のきみには花が似合う』は、湯乃渚と名草かえの恋愛を描いた物語です。

夏祭りでの告白から始まる二人の関係は、季節の移ろいとともに深まりますが、かえの過去や謎めいた行動に渚は不安を抱きます。秋の公園でのデート、年末の孤独、そして春に明かされる過去の秘密。それらを乗り越えた先に、再び訪れる夏の花火が二人の愛を再確認させるシーンが描かれます。

本作は、季節の風物詩とともに紡がれる心温まる恋愛物語です。

この記事のポイント
  • 湯乃渚と名草かえの恋愛物語の概要
  • 物語の始まりが夏祭りでの告白から始まること
  • かえの過去や謎めいた行動が物語の鍵であること
  • 季節の移ろいと共に二人の関係が変化すること
  • 夏の花火が二人の愛を再確認する場面であること

「こんな日のきみには花が似合う」の超あらすじ(ネタバレあり)

湯乃渚(ゆの・なぎさ)は、23歳の会社員で、ある日、前々から気になっていた同僚の名草かえ(ながさ・かえ)に、自分の気持ちを伝えることを決意しました。8月7日、近所の夏祭りにかえと一緒に出かけた渚は、祭りの賑やかな雰囲気に後押しされ、ついに告白をしました。

渚は心の中で「フラれたらどうしよう」と不安でいっぱいでしたが、花火が夜空に咲き、その美しさに見とれていたかえに、勇気を出して「ずっと好きだった」と告げたのです。かえは一瞬驚いたようでしたが、特に答えを返さず、ただ「またね」と言って手を振り、家に帰りました。

次の日の朝、渚のスマートフォンにかえからメッセージが届きました。内容は短く、「私もあなたのことが好きです」と書かれていました。これにより、渚は自分の告白が成功し、かえが自分の彼女になったことを実感しました。渚は心の中で歓喜し、初めての恋人との日々が始まりました。

その後、渚は仕事が終わると最寄り駅のカフェでかえと会ってお茶をしたり、週末には映画を見たりアウトドアに出かけたりしました。デートを重ねる中で、2人の絆は深まり、ファーストキスも経験しました。しかし、かえは自宅にはなかなか渚を招いてくれませんでした。ある雨の日、かえの傘が壊れてしまい、やむを得ず渚はかえのマンションでお風呂を借りることになりました。渚がかえの家に入ると、かえは「奥の部屋には幽霊がいる」と冗談を言い、渚は少し緊張しながらも、その場を後にしました。

秋が訪れ、かえの好きな季節がやってきました。かえは「キンモクセイの香りが一番好き」と言い、渚もその言葉に共感して、夜の公園にかえを誘いました。公園の中を散歩していると、かえは去年もこの場所を訪れたと話しましたが、その時一緒にいた人については触れませんでした。渚はかえの過去について少し気になりましたが、あえて深くは聞きませんでした。

その後、2人は渚の部屋でそれぞれの恋愛経験について話し合いました。渚が「今までに何人と付き合ったことがあるの?」と尋ねると、かえは「3人かな」と答えました。渚はその答えに少し驚きましたが、「女性は実際の人数より少なめに言うものだ」と考え、5〜6人と推測しました。しかし、そのことが渚の心の中に小さな不安を生じさせました。

かえは週に1〜2回、渚の部屋に泊まりに来るようになり、平日も時々一緒に過ごすようになりました。11月17日にはかえの誕生日があり、渚はかえに合カギとキーケースをプレゼントしました。かえは自分の着替えや化粧品を渚の部屋に持ち込み、部屋の一角を自分のスペースにしました。ルームフレグランスはかえのお気に入りのキンモクセイの香りです。

しかし、ある日、かえが置き忘れていったスマートフォンに見知らぬ男性からの着信がありました。渚はその名前を知らなかったため、少し動揺しましたが、特に詮索はしませんでした。

年末年始が近づき、かえは「帰省して家族と過ごす」と言い、渚に実家に帰ることを告げました。渚は、かえの生まれ育った町がどこなのかを知りませんでしたが、「飛行機でしか行けない距離にある」とだけ聞いていました。渚は空港まで見送りに行こうと提案しましたが、かえはやんわりと断りました。

大みそかの夜、カウントダウンが終わった後、かえから一枚の写真が送られてきました。それは、かえが実家で飼っているという猫「はなお」と一緒に写っているものでした。かえは「はなおはかなりのおじいちゃん猫なの」と書いていました。昔、かえの家ではたくさんの花を飾っていたそうですが、はなおが飼い猫になってからは、誤って花を飲み込まないようにすべて撤去してしまったそうです。

年が明けてからも、かえは元気がなく、渚との連絡も少なくなっていきました。かえの勤め先が変わったと聞かされた渚は、新しい環境に慣れるまで時間がかかるのだろうと理解しようとしましたが、不安は募るばかりでした。そんな中、3月の下旬、渚は街中でかえが見知らぬ男性と一緒にいるところを目撃してしまいます。昼間からカジュアルな服装をしていたその男性は、渚が知っているかえの同僚には見えませんでした。

桜が咲き始める季節、渚はついにかえのワンルームマンションに招かれました。渚はこの訪問が最初で最後になるのではないかという覚悟をしていました。かえの部屋はシンプルで落ち着いた雰囲気でしたが、部屋の隅に立てかけてあった1本のエレキギターが渚の目に留まりました。かえはこれを見て、「これが幽霊の正体だよ」と言いました。

かえは、かつてミュージシャンを目指していた元交際相手がこのギターを残していったことを話しました。しかし、彼は結局夢を叶えることができず、言い訳ばかりするようになり、かえも彼に愛想を尽かして別れることを選んだのです。彼はその後、ギターを取りに戻ってくることもなく、連絡も途絶えていましたが、昨年の秋頃から突然スマートフォンに連絡が入るようになりました。

かえは最初は無視していましたが、ついに彼から「ギターを処分していい」というメッセージが届きました。かえはそのメッセージを受け取り、ギターを処分することにしました。これにより、かえは過去との決別を果たし、再び前向きに生きる決意を固めたのです。渚はその姿を見て、かえが新たな一歩を踏み出したことを確信しました。

夏が再び訪れ、渚とかえは一緒に花火大会に行くことになりました。8月12日、昨年と同じように2人は花火を見上げながら、会場の賑わいの中で肩を寄せ合っていました。渚はかえの耳元で「きれいだね、花みたい」とささやきました。かえは微笑みながら「ありがとう」と答え、2人は過去の不安や疑念を乗り越えて、再び愛を確かめ合うことができました。

渚は、この1年で様々なことを経験し、かえとの絆がより強くなったと感じています。季節が巡り、再び訪れた夏の花火は、2人にとって新たなスタートを象徴するものでした。過去の不安を振り切り、2人はこれからも一緒に新しい季節を迎える準備ができていました。

「こんな日のきみには花が似合う」の感想・レビュー

『こんな日のきみには花が似合う』は、湯乃渚と名草かえの繊細な恋愛模様が、季節の移り変わりとともに描かれる作品です。物語は、夏祭りでの告白から始まり、渚のまっすぐな気持ちが徐々にかえに伝わっていく過程が丁寧に描かれています。最初は淡い恋心として始まった関係が、季節を重ねるごとに深まり、複雑な感情や不安が絡み合っていく様子が印象的でした。

特に、かえの過去や謎めいた行動が物語に緊張感を与えています。秋の公園でのデートや年末年始の孤独感、そして春にかえの秘密が明かされる場面では、読者としても渚と同じように心が揺さぶられる感覚を味わいました。かえがどのような過去を持っているのか、そしてその過去が渚との関係にどのような影響を与えるのか、ページをめくるたびに緊張感が高まりました。

また、季節ごとに描かれる二人の情景がとても美しく、特に夏の終わりにかけての描写が心に残りました。最後に、夏の花火のシーンで渚が「きれいだね、花みたい」とささやく場面は、二人の関係が過去の不安を乗り越え、さらに強く結びついたことを象徴しています。このシーンでは、花火の美しさとともに、二人の愛がより一層輝きを増していくことが感じられました。

『こんな日のきみには花が似合う』は、恋愛の甘さと苦さをバランスよく描き出しており、湯乃渚と名草かえの物語を通して、恋愛における喜びや不安、成長を深く感じることができました。季節ごとの風景描写や心情の変化が丁寧に描かれており、最後まで飽きることなく楽しめました。

まとめ:「こんな日のきみには花が似合う」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 主人公は湯乃渚と名草かえである
  • 物語は夏祭りでの告白から始まる
  • 渚はかえに対して強い好意を抱いている
  • かえの行動には謎めいた部分がある
  • 秋には公園でのデートが描かれる
  • 年末年始に渚は孤独を感じる
  • 春にかえの過去が明らかになる
  • 渚はかえの過去に不安を感じる
  • 夏の花火が二人の愛を再確認させる
  • 季節の移ろいが物語の進行とリンクする