二銭銅貨(江戸川乱歩)の超あらすじとネタバレ

江戸川乱歩の名作『二銭銅貨』は、古典的な探偵小説として多くの読者に愛されています。物語は、給料日当日に起きた大規模な電気工場の盗難事件から始まり、巧妙な暗号解読を巡るスリリングな展開が魅力です。

この記事では、『二銭銅貨』の超あらすじとネタバレを詳しく解説し、読者が物語の核心に迫ることができるよう、詳細な内容を提供します。ミステリー好きな方や、乱歩作品に興味を持つ方にとって、本記事は絶好のガイドとなることでしょう。『二銭銅貨』の魅力とその緻密なプロットを、ぜひご堪能ください。

この記事のポイント
  • 物語の基本的なあらすじと主要な出来事
  • 電気工場での盗難事件の詳細
  • 紳士盗賊の逮捕の経緯
  • 暗号の発見と解読のプロセス
  • 最後のどんでん返しと真相の解明

二銭銅貨(江戸川乱歩)の超あらすじとネタバレ

第一章:電気工場の盗難事件

芝区にある大きな電気工場では、毎月の給料日がやってきました。その日、工場の支配人は忙しくしていましたが、一人の男が訪ねてきました。その男は新聞記者だと言い、従業員の待遇について取材をしたいと話しました。

支配人はその男を快く迎え入れました。男は珍しいエジプトの煙草を吸いながら、色々と質問をしてきます。工場の雰囲気は和やかでした。しかし、支配人が用を足しに席を離れると、男は突然姿を消してしまいました。

支配人が戻ってきた時、驚くべきことが起きていました。給料として用意していた五万円が盗まれていたのです。工場内は大騒ぎになりました。警察にもすぐに連絡が入りました。

警察が調べたところ、盗んだのは間違いなくその新聞記者の男だということがわかりました。しかし、実はその男は新聞記者ではなく、正体は大泥棒でした。

盗難事件が起きてから一週間以上が経ちましたが、警察は何の成果もあげられませんでした。ところがある日、一人の刑事が偶然にもエジプトの煙草の吸殻を発見しました。その吸殻を手がかりに、あっという間にその男、つまり紳士盗賊は逮捕されました。

しかし、盗まれた五万円のありかについては、その紳士盗賊は一切語りませんでした。結局、彼はそのまま監獄送りとなり、五万円の行方はわからないままでした。工場の支配人は困り果てました。そこで支配人は行方不明の五万円に懸賞金をかけ、情報を求めることにしました。

このようにして、電気工場で起きた盗難事件は多くの謎を残したまま、新たな展開を迎えることになりました。

第二章:紳士盗賊の逮捕

電気工場から五万円が盗まれてから一週間が過ぎました。警察は何も手がかりを見つけられず、支配人も従業員たちも心配でたまりませんでした。そんな中、一人の刑事が偶然にも重要な手がかりを見つけました。

その手がかりは、エジプトの煙草の吸殻でした。この吸殻は工場の近くで発見されました。エジプトの煙草は珍しいもので、日本ではあまり見かけないものです。刑事たちは、これがあの新聞記者を名乗る男のものだと考えました。

刑事たちはすぐに調査を進め、その吸殻を手がかりに男の行方を追いました。いくつかの聞き込みと調査の結果、ついに男の居場所を突き止めました。そして、警察はその男を逮捕するために出動しました。

男はとある安宿に隠れていました。警察が到着すると、男は驚いた様子でしたが、抵抗することなく逮捕されました。彼は逮捕された時も落ち着いた態度を見せていました。この男こそが、電気工場から五万円を盗んだ紳士盗賊でした。

警察署に連行された紳士盗賊は取り調べを受けました。しかし、彼は盗んだ五万円のありかについては一切語りませんでした。何度尋ねても、「知らない」としか答えませんでした。

最終的に、紳士盗賊は罪を認めて監獄送りとなりましたが、五万円の行方は依然として謎のままでした。支配人や従業員たちは再び困り果てました。支配人は、盗まれた五万円を取り戻すために、懸賞金をかけて情報を求めることにしました。懸賞金を出すことで、何か新しい情報が得られることを期待していたのです。

こうして、紳士盗賊は逮捕されましたが、五万円の謎は残されたまま、事件は新たな局面を迎えることとなりました。支配人や従業員たちは、一日も早く五万円が見つかることを願っていました。

第三章:暗号の発見と解読

それから数週間が経ちました。五万円の行方はまだわかりません。ある春の日、私と友人の松村武は、余裕ができたので古い家財を売り払い、少しのお金を手に入れました。その日の夕方、私は銭湯から帰ってくると、松村が興奮した様子で机の上に置いてあった二銭銅貨について尋ねてきました。

「この二銭銅貨、どこで手に入れたの?」松村が言いました。

「煙草を買った時の釣り銭だよ。」と私は答えました。

「どこの煙草屋だ?」松村はさらに質問を続けました。

「近所の煙草屋さ。他に客はいなかったと思うけど。」と答えました。

松村はその答えを聞くと、さらに質問を重ねました。「その煙草屋の娘が監獄の差入れ屋と結婚したって話を聞いたことがあるか?」

私はその話を聞いたことがありませんでしたが、松村はその話に興味を持ち始め、部屋の中をそわそわと歩き回り始めました。私はその様子を興味深く見ていましたが、お腹が空いたので飯屋へ出かけることにしました。

しばらくして飯屋から帰ると、松村は盲目のあん摩師にマッサージを受けていました。マッサージが終わると、松村は二枚の小さな紙切れを取り出し、それに何かを書き込み始めました。その後、夜になると東京の地図を広げて何かを探し始めました。

「何をしているの?」と私は尋ねましたが、松村は黙ったままでした。

そして、九時になると松村は十円札を持ってどこかへ出かけました。その夜、私はすっかり眠り込んでしまいました。

翌朝の十時頃、目を覚ますと、商人の格好をした松村が私の枕元に立っていました。彼は風呂敷包みを背負っており、その中に五万円が入っていると言いました。

「これが例の五万円だよ。」松村が誇らしげに言いました。

「でも、どうやって手に入れたんだ?」と私は驚きました。

松村はその経緯を語り始めました。私が銭湯に出かけた後、彼は二銭銅貨が二枚に分かれることに気づき、その中に小さな紙切れを発見しました。そこには「陀や無弥仏」など、南無阿弥陀仏の六文字からいくつかを組み合わせた文字列が書かれていました。

松村はそれが何かの暗号だと考えました。さらに、煙草屋の娘の夫が監獄の差入れ屋だという話に疑いを持ち、部屋の中を歩き回りながら考えました。そして、ついに点字を使った暗号であることに気づいたのです。

盲目のあん摩師を呼んだのは、点字の読み方を教えてもらうためでした。松村はそのあん摩師に点字の読み方を教えてもらい、暗号を解いてみると、「五軒町の正直堂から玩具の札を受け取れ、受取人の名は大黒屋商店」という意味の文章が出てきました。

松村はこれが紳士盗賊が五万円のありかを相棒に知らせるためのメッセージだと確信し、大黒屋商店に向かいました。そして、その店で玩具の札に紛れ込んでいた五万円を手に入れたのです。

松村の話を聞いた私は驚きましたが、同時にどこかおかしいと感じました。果たしてこの暗号は本物なのか?それとも松村の思い込みに過ぎないのか?物語はまだまだ続きます。

第四章:五万円の奪還

松村は興奮した様子で、どうやって五万円を見つけたのかを詳しく話し始めました。私が銭湯から帰ってきた後、松村は二銭銅貨が二枚に開くことに気づきました。その中に一枚の小さな紙切れが入っていました。そこには「陀や無弥仏」など、南無阿弥陀仏の六文字を組み合わせた暗号が書かれていました。

松村はこれが何かの暗号だと直感しました。特に、捕まった紳士盗賊が五万円のありかを相棒に知らせるためのものではないかと疑いました。松村は煙草屋の娘の話を思い出し、その夫が監獄の差入れ屋だという情報にヒントを得ました。

松村は部屋の中を歩き回りながら考え続け、ついに点字を利用した暗号であることに気づきました。盲目のあん摩師を呼んだのは、この点字を解読するためでした。あん摩師から点字の読み方を教えてもらい、松村は暗号を解読し始めました。

暗号を解いた結果、「五軒町の正直堂から玩具の札を受け取れ、受取人の名は大黒屋商店」という意味の文章が現れました。松村はこれが五万円の隠し場所を示す手がかりだと確信しました。

その夜、松村は十円札を持ち、商人の格好をして大黒屋商店に向かいました。店に着いた松村は、玩具の札を注文しました。店員は何の疑いも持たず、松村に玩具の札を渡しました。その中には本物の五万円が隠されていました。

翌朝、松村は私にその五万円を見せました。「これが工場から盗まれた五万円だよ。」と彼は誇らしげに言いました。

しかし、私は松村に対して少し疑問を感じました。「本当にこのお金があの五万円なのか?」と尋ねました。

松村は、「間違いない。暗号を解読したんだ。これで間違いないんだ。」と言い張りました。

「でも、工場に届け出るつもりはあるの?」と私は聞きました。

「いや、届け出ても紳士盗賊の復讐を招くだけだ。」と松村は言いました。「それに、これが正しい方法だと確信している。」

松村の話を聞きながら、私は少し考えました。暗号を解読して五万円を見つけた松村の行動は見事でしたが、本当にそれが正しいことなのかどうか、私にはまだ疑問が残っていました。物語はまだ続き、私たちはさらに深くこの事件を探ることになります。

第五章:真相の解明

松村が五万円を手に入れたことに驚きつつ、私はその経緯を詳しく聞きました。しかし、どうも腑に落ちない点がありました。そのため、私は松村にいくつかの疑問を投げかけることにしました。

「松村、この五万円が本当に工場から盗まれたお金だとどうやって確信したんだ?」と私は尋ねました。

松村は自信満々に答えました。「暗号を解読して見つけたんだ。それに、この二銭銅貨の中にあった紙切れには確かに『五軒町の正直堂から玩具の札を受け取れ』と書かれていた。これが証拠さ。」

しかし、私はさらに続けました。「でも、その暗号が本当に正しいのか?もし誰かのいたずらだったらどうする?」

松村は少し困惑した表情を浮かべましたが、すぐに反論しました。「いや、そんなことはない。この暗号は間違いない。それに、監獄の差入れ屋の話も一致している。」

そこで私は、ふとある考えを思いつきました。「松村、もう一度その風呂敷包みを見せてくれないか?」

松村は少し不安そうでしたが、私の要求に応じて風呂敷包みを開けました。中には五万円が確かにありましたが、私はそれを詳しく調べ始めました。すると、驚くべきことに気づきました。

「松村、この五万円は全て玩具の札だ。」と私は言いました。

松村は驚きました。「何だって!?そんなはずはない!」彼はもう一度札を確認しましたが、私の言う通り、それは全て偽物の札でした。

松村は愕然としました。「でも、どうしてこんなことに…?」と彼は呟きました。

私は少し笑いながら説明しました。「実は、この暗号は私が作ったものなんだ。煙草屋の娘の話も全てでたらめだ。」

松村は呆然としました。「そんな…どうしてそんなことを…?」

「松村、君がどれだけ頭が良いかを試したかったんだ。そして、君が見事に暗号を解読したことは素晴らしかった。でも、この暗号自体が偽物だったんだ。」

松村はしばらくの間、何も言えませんでしたが、やがて微笑んで言いました。「君のいたずらにはやられたよ。でも、確かに君の言う通り、世の中は小説より現実の方が面白いかもしれない。」

こうして、松村が見つけた五万円は実際には玩具の札であり、私のいたずらだったことが明らかになりました。しかし、この経験を通じて、私たちはお互いの知恵と友情をさらに深めることができました。事件は解決し、私たちの友情はさらに強くなりました。

二銭銅貨(江戸川乱歩)の感想・レビュー

江戸川乱歩の『二銭銅貨』は、スリリングな展開と巧妙なプロットが特徴の名作です。この物語は、給料日当日に電気工場で起きた大規模な盗難事件から始まります。主人公たちがこの事件に巻き込まれ、真相を解き明かしていく過程はとても興味深いです。

まず、盗難事件の導入部分は非常に引き込まれます。新聞記者を名乗る男が現れ、従業員の待遇について取材を始めるシーンは、読者に緊張感を与えます。その後、男が姿を消し、五万円が盗まれたことが発覚する瞬間の緊迫感は見事です。

次に、紳士盗賊の逮捕までの流れも巧妙に描かれています。エジプトの煙草の吸殻が重要な手がかりとなり、警察が犯人を追い詰めるシーンは、探偵小説の醍醐味を味わえます。また、犯人があっという間に逮捕される展開も、読者に爽快感を与えます。

しかし、本作の真骨頂は暗号の発見と解読にあります。主人公の松村が二銭銅貨に隠された暗号を見つけ、それを解読する過程はとても興味深いです。特に、点字を利用した暗号解読のシーンは、読者に驚きと興奮をもたらします。

さらに、松村が五万円を手に入れるまでの緊張感も見どころです。商人に変装して大黒屋商店に向かい、見事に五万円を手に入れるシーンは、まさに探偵小説の醍醐味です。しかし、最後に明かされる真相が、本作をさらに面白くしています。実はこの暗号は主人公のいたずらであり、松村がそれに引っかかってしまったという結末は、読者に笑いと驚きを与えます。

『二銭銅貨』は、江戸川乱歩の巧妙なストーリーテリングと緻密なプロットが光る一作です。中学生でも楽しめる内容でありながら、大人も満足できる深みがあります。この作品を通じて、乱歩の魅力を存分に味わうことができるでしょう。

まとめ:二銭銅貨(江戸川乱歩)の超あらすじとネタバレ

上記をまとめます。

  • 電気工場の給料日当日に起きた盗難事件の概要
  • 新聞記者を名乗る男が工場を訪れる経緯
  • 五万円が盗まれる事件の詳細
  • 紳士盗賊がエジプトの煙草を吸っていた手がかり
  • 刑事がエジプトの煙草の吸殻を発見する
  • 紳士盗賊が逮捕されるまでの経緯
  • 暗号が二銭銅貨に隠されていることの発見
  • 盲目のあん摩師の協力で暗号を解読する過程
  • 松村が暗号を解読し五万円を発見するまでの流れ
  • 最後に明らかになる松村の行動の真相