黄金豹(江戸川乱歩)の超あらすじとネタバレ

この記事では、江戸川乱歩の名作『黄金豹』のあらすじとネタバレを詳しく紹介します。

『黄金豹』は、光り物を食らう金色の豹が繰り広げる奇妙な事件を描いた推理小説です。銀座の宝石店を襲う豹、次々と奪われる高価な宝石、そして名探偵明智小五郎と助手の小林芳雄が挑む謎解きの物語が展開されます。

犯人は誰なのか、豹の正体は?この記事では、物語の各章を詳細に解説し、エピローグまでの全貌をお伝えします。『黄金豹』の魅力とその結末を知りたい方は、ぜひご覧ください。

この記事のポイント
  • 『黄金豹』の物語のあらすじと主要な展開
  • 各章ごとの詳細な内容
  • 黄金豹の正体と犯人の正体
  • 明智小五郎と小林芳雄の活躍
  • 事件の解決とその後の結末

黄金豹(江戸川乱歩)の超あらすじとネタバレ

第1章: 光り物を食らう怪物

銀座通りにはたくさんの宝石商のお店が並んでいます。その中のひとつの店には、ショーケースがずらりと並んでいて、お客さんが自由に歩いて宝石を眺められるようになっていました。

午後8時頃、人通りが少なくなり始めた時間に、あるお客さんが店の片隅で驚くべきものを見つけました。それは、全身が金色に光る大きな豹でした。その豹は、ショーケースの扉を開けて、高級な宝石を次々と飲み込んでいきました。豹は宝石を食べ終わると、応接室に逃げ込み、カギをかけてしまいました。

店のスタッフはすぐに警察に通報しました。警察官が駆けつけ、ドアを体当たりで破壊して応接室に突入しました。しかし、部屋の中には豹の姿はなく、どこかに消えてしまっていました。

この奇妙な事件が起こってから3日後、明智小五郎の助手である小林芳雄は、友だちの園田武夫の家に遊びに来ていました。ふたりが部屋で遊んでいると、不気味な声が聞こえてきました。窓の外を見ると、闇の中に金色に輝く豹がいて、ふたりに話しかけてきました。

「明日の午後10時までに、君のお父さんのコレクションである純金の豹の置き物を必ず奪いにくる」と言い残して、豹は姿を消しました。武夫はその言葉を聞いて、とても心配になりました。

武夫の父親は、純金の置き物を寝室の縁の下に埋めて、住み込みの学生と庭番の助造に見張らせました。これで安心だと思いましたが、武夫と小林は心配が尽きませんでした。果たして、黄金豹は本当に戻ってくるのでしょうか。そして、どうやってこの貴重な置き物を守るのでしょうか。

第2章: 次の獲物は護送中のダイヤ

武夫の家は、麹町6番町という静かな住宅街にあります。明智探偵事務所からもそれほど遠くない場所です。次の日、学校が終わった後、小林芳雄は明智探偵事務所に立ち寄りました。そこで明智にこれまでの経過を報告しました。その後、武夫の家の警備を手伝うために再び向かいました。

夜になり、置時計が10時を告げました。武夫の父親は助造に命じて、純金像を入れた箱を掘り返して確認させました。しかし、箱の中は空っぽでした。小林はすぐに助造が床下の横穴に純金像をビニールに包んで隠していたことを見抜きましたが、犯人はすでに逃走した後でした。何とか純金像を守ることには成功しましたが、助造は6日前に園田の父親が知人の紹介で雇ったばかりで、その後の行方は分からなくなっていました。

「園田邸の怪事件」として話題になってから3週間ほど経ったある日、株式会社宝玉堂の大阪支店に勤める野村という男性が、5000万円のダイヤモンドを東京の本店に運ぶことになりました。野村は護衛役の荒井と一緒に東海道線の夜行列車に乗り込みました。

列車が関ケ原を通過したあたりで、金色の猛獣が寝台に潜り込んできました。豹はダイヤの入ったカバンを口にくわえ、車両と車両をつなぐ通路を破って消えてしまいました。列車の中は大騒ぎになり、野村と荒井は驚きと恐怖で固まってしまいました。

警察はすぐに捜査を開始しましたが、黄金豹はまるで煙のように消えてしまい、手がかりは何もありませんでした。明智探偵もこの事件のことを知り、次の動きを考え始めました。黄金豹は一体何者なのか、そしてどこに消えたのか。事件はますます謎めいていきました。

第3章: 獣の皮をかぶった人間

黄金豹が東海道線の列車内に現れ、大騒ぎとなった事件から10日後、昭和信用金庫の社長である松枝が明智の探偵事務所を訪ねてきました。松枝は命の次に大切にしているというインドの宝石があり、その宝石をここ2日の間にもらいにいくという脅迫電話がかかってきたのです。

松枝から預かった宝石を、明智は書斎の金庫に保管しました。そして、明智と小林は事務所の向かいの通りに停めた自動車の中から、様子をうかがうことにしました。

夜の9時を過ぎた頃、屋根の上からロープを伝って黄金豹が事務所の中に侵入していくのが見えました。小林はすぐに車外に出ようとしましたが、明智は「待て」と制止しました。実は、金庫の中には明智の助手が豹の毛皮を被って隠れていたのです。本物の黄金豹が金庫を開けようとした瞬間、助手が飛び出して驚かせたため、黄金豹は宝石をあきらめて逃げ出しました。

逃げた黄金豹は、新宿から中野を過ぎて、杉並区の森や畑が広がる寂しい場所に入ると、ぐったりとして動かなくなりました。明智と小林は車で追跡し、豹の体をつついてみると、それはただの毛皮で、中には誰もいませんでした。

実は、この黄金豹の中に入ってこれまでの犯行を重ねてきた張本人がいるのです。彼を捕まえるために、小林は森の中にそびえるレンガ造りの西洋館へと忍び込みました。そこで、黄金豹の正体を突き止め、事件の全貌を明らかにすることを決意しました。

小林は西洋館の中を慎重に探索しましたが、そこには多くの部屋があり、どこに犯人がいるのかわかりません。緊張感が高まる中、小林は一歩一歩進んでいきました。

第4章: 猫屋敷で宿敵との対面

小林が森の中にそびえるレンガ造りの西洋館に忍び込むと、館の中は暗く静かでした。彼は慎重に足音を立てないように進んでいきました。やがて、小林は10歳くらいの女の子と10匹以上の猫がうろちょろしている部屋にたどり着きました。部屋には黄金豹の姿は見当たりません。

女の子の母親は、イブニングドレスを身にまとった30歳くらいの美しい女性でした。彼女の顔はどことなく猫のような雰囲気がありました。親子は「いいものを見せてあげる」と小林を誘い、彼はその言葉につられて洋室に足を踏み入れました。

その瞬間、床板に隠されていた落とし穴が開き、小林は穴の中に落ちてしまいました。穴の底には白いひげを生やした老人がいました。彼こそが一連の事件の真犯人だったのです。老人は、小林を見て冷たく笑いました。

一方、西洋館の門から入った小林とは別に、庭の地下通路から明智もここまでたどり着いていました。彼は静かに小林の後を追い、ついに合流しました。

老人は、自分が銀座の宝石店の支配人、園田家の庭師、東海道線の車掌など、いくつもの顔を持つ変装の達人であることを明かしました。そして、黄金豹という大胆なトリックを思いつき、それを実行してきたのも彼ひとりであると告白しました。

明智は「怪人二十面相!」と叫びました。その瞬間、事前に連絡していた警察官が突入してきました。警察官たちは迅速に老人を取り押さえました。希代の怪盗との戦いに、明智と小林は見事に勝利を収めました。

小林は安心して大きく息をつきました。そして、明智と共に館を後にし、無事に事件を解決できたことを喜び合いました。これで一連の事件は終わり、平和な日常が戻ってくることを願いました。

第5章: エピローグ

事件が解決した翌日、明智と小林は警察署で詳細な報告を行いました。怪人二十面相こと白いひげの老人は、警察に連行され、取り調べを受けることになりました。彼の正体が明らかになり、これまでの犯行がすべて明るみに出ました。

盗まれた宝石や貴金属は、無事に所有者のもとに戻されました。銀座の宝石店のオーナーや園田家の父親は、安堵の表情を浮かべ、感謝の言葉を明智と小林に伝えました。明智は冷静に、「私たちはただの探偵ですから」と答えましたが、その目には誇りが輝いていました。

事件の後、銀座の宝石商や園田家は厳重な警備体制を整え、再発防止に努めることになりました。新しい防犯システムが導入され、警備員も増やされました。これで同じような事件が二度と起こらないように、万全の対策が取られました。

一方、明智探偵事務所には次々と新たな依頼が舞い込んできました。小林は探偵助手としての腕を磨き、明智と共に新たな挑戦に立ち向かう日々が続いていきました。彼らは多くの難事件を解決し、人々の信頼を得ていきました。

ある日、小林は事務所の窓から外を眺めながら、これまでの冒険を振り返っていました。彼は、明智と共に過ごした時間が、自分にとって大切なものであることを再確認しました。そして、これからも多くの人々を助け、真実を追求し続けることを心に誓いました。

このようにして、明智と小林のコンビは、多くの困難を乗り越え、数々の事件を解決していきました。彼らの名は広く知られ、探偵としての評価も高まっていきました。そして、彼らの冒険はまだまだ続くのでした。

黄金豹(江戸川乱歩)の感想・レビュー

『黄金豹』は、江戸川乱歩の作品の中でも特に印象的な一冊です。この物語は、金色に輝く豹が宝石を次々と奪うという、非常にユニークで奇妙な設定から始まります。最初に銀座の宝石店で豹が現れるシーンは、読者の興味を一気に引き込みます。宝石を飲み込む豹の姿は、まるで映画のワンシーンのように生き生きと描かれています。

物語が進むにつれて、明智小五郎とその助手である小林芳雄が登場し、事件の謎解きが本格的に始まります。小林が友人の園田武夫の家で遭遇する怪事件や、東海道線の列車内でのダイヤモンド強奪事件など、次々と展開されるエピソードは、どれもスリリングで、読者を飽きさせません。

特に印象的なのは、黄金豹の正体が明らかになるシーンです。逃げた豹が実は人間であり、その中には怪人二十面相が潜んでいたという展開は、読者に大きな驚きを与えます。明智小五郎と怪人二十面相との対決は緊張感に満ちていて、最後まで目が離せません。

また、事件の解決後、明智と小林が新たな依頼に挑む姿も描かれており、彼らの探偵としての成長と友情が感じられます。二人のコンビネーションは素晴らしく、彼らの活躍をもっと見たいと思わせる終わり方です。

全体を通して、『黄金豹』は謎解きの面白さとキャラクターの魅力が詰まった作品です。江戸川乱歩の緻密なプロットと独特の世界観が存分に楽しめます。中学生でも理解しやすい平易な表現で書かれているので、多くの読者におすすめできる一冊です。

まとめ:黄金豹(江戸川乱歩)の超あらすじとネタバレ

上記をまとめます。

  • 銀座の宝石店を襲う金色の豹の登場
  • 小林芳雄と友人園田武夫の家での怪事件
  • 武夫の父のコレクションが狙われる
  • 東海道線の夜行列車でのダイヤモンド強奪
  • 昭和信用金庫の社長への脅迫と宝石保管
  • 金庫に隠れた助手が黄金豹を驚かせる
  • 逃げた黄金豹が実は毛皮だったこと
  • レンガ造りの西洋館での犯人との対決
  • 怪人二十面相の正体と逮捕
  • 事件解決後の明智と小林の活躍と新たな挑戦