有川浩「旅猫リポート」の超あらすじ（ネタバレあり）

有川浩の「旅猫リポート」は、猫のナナとその飼い主サトルが織りなす感動的な物語です。この記事では、ナナとサトルの出会いから始まり、旅を通じて再会する友人たちとのエピソードを、ネタバレを含めて詳しく紹介します。

ナナはノラ猫として自由気ままに生きていましたが、サトルとの運命的な出会いで生活が一変します。二人の旅は、サトルの過去や友人たちとの絆を深め、最後には心温まる結末へと続きます。

有川浩の作品の魅力を余すところなくお伝えしますので、「旅猫リポート」の全貌を知りたい方はぜひお読みください。

有川浩「旅猫リポート」の超あらすじ（ネタバレあり）

第1章: ナナとサトルの出会い

この物語は、猫のナナの視点から始まります。ナナは5歳のオス猫で、もともとは自由気ままなノラ猫でした。ナナの名前は、ある有名な一文「吾輩は猫である。名前はまだない。」からきています。この本も同じように、ナナが主人公として話を進めていきます。

ナナはノラ猫として、人間を俯瞰的に見ていました。つまり、人間を上から見下ろすような感じで見ていたのです。ナナは人間に対して愛想を振りまけば餌をもらえると考えていました。ですから、ナナは自由気ままに生きていました。

しかし、そんなナナの生活に大きな変化が訪れます。ある日、ナナは車にはねられてしまいます。痛みで動けなくなり、助けを求めて叫んでいました。その時、ナナに餌を分け与えてくれる人間の一人であるサトルが駆けつけてくれました。サトルはナナを動物病院に連れて行き、治療を受けさせてくれました。

ナナは治療を受けて元気になりました。その後、サトルはナナを自分の家で飼うことにしました。こうしてナナとサトルは初めて出会い、一緒に暮らすことになったのです。

その後、5年の月日が流れました。ある日、サトルはナナを連れて銀色のワゴンに乗り込みます。二人はナナの新しい飼い主を探すための旅に出発しました。この旅は、ナナにとってもサトルにとっても大切な旅となります。

第2章: コースケとの再会

ナナとサトルの最初の目的地は、サトルの小学校時代の親友、コースケの家でした。コースケは写真館の二代目店主として働いています。彼のお父さんが元々経営していた写真館を引き継いだのです。サトルとコースケは、小学生の頃からの親友でした。

小学生のころ、コースケは自分が見つけた猫を飼いたがっていました。しかし、コースケのお父さんはとても厳しい人で、猫を飼うことを許してくれませんでした。結局、その猫はサトルが飼うことになりました。その猫の名前はハチでした。

サトルとコースケが久しぶりに再会すると、昔の思い出話をしました。その中で、サトルの両親がサトルの修学旅行中に交通事故にあい、二人とも亡くなってしまったことも話しました。サトルにとっては辛い過去ですが、コースケとはその時のことを共有していたのです。

コースケは、ナナの毛の模様がハチに似ていることから、ナナを引き取りたいと言いました。しかし、コースケのお父さんはまだ健在で、コースケはお父さんには逆らえませんでした。実は、コースケの奥さんはその厳しいお父さんに愛想をつかして、実家に戻ってしまっていました。

サトルは、コースケのそんな状況を見て、ナナを引き取ることができないと判断しました。そして、コースケには新しい猫を飼うことを勧めました。コースケの奥さんも猫が好きなので、猫を飼うことで二人の関係が改善するかもしれないと考えたのです。

次に、サトルとナナは二人目の飼い主候補であるヨシミネを訪れました。ヨシミネは中学校時代の親友です。彼は、両親の離婚問題を抱えており、祖母の家に引き取られていました。サトルは、両親を亡くしたことでヨシミネに親近感を抱き、二人は仲良くなりました。

ヨシミネは、祖母の家で土いじりに親しんでおり、サトルと一緒に園芸部に入部しました。現在では、一人で農業を営んでいます。サトルがナナを引き取ってほしいと連絡をした後、ヨシミネの家には茶トラの子猫が迷い込んできて、そのまま飼うことになりました。

ナナはその子猫に狩りの仕方を教えましたが、自分がヨシミネの猫になるつもりはありませんでした。ナナは子猫を威嚇し、サトルはナナをヨシミネに預けることができないと判断しました。こうして、サトルとナナは次の目的地へ向かうことにしました。

第3章: ヨシミネとの交流

サトルとナナは二人目の飼い主候補であるヨシミネの家に向かいました。ヨシミネはサトルの中学校時代の親友で、現在は農業を営んでいます。ヨシミネの家は広々とした田園地帯にあり、自然に囲まれた静かな場所でした。

ヨシミネは中学生の時に両親が離婚し、祖母の家に引き取られました。サトルは両親を交通事故で亡くした経験から、似たような家庭の事情を持つヨシミネに親近感を抱き、二人はすぐに仲良くなりました。中学校では一緒に園芸部に入り、植物を育てる楽しさを共有しました。

現在、ヨシミネは一人で農業をしており、自給自足の生活を送っています。サトルがナナを預かってほしいと連絡した時、ヨシミネの家には偶然、茶トラの子猫が迷い込んできました。ヨシミネはその子猫をそのまま飼うことにしました。

サトルとナナがヨシミネの家に到着すると、ヨシミネは温かく迎えてくれました。ナナは早速、ヨシミネの家の中を探検し始めました。そこで、茶トラの子猫と出会いました。ナナは子猫に狩りの仕方を教えることにしました。ナナは自分が優れたハンターであることを示すために、子猫に一つ一つの動きを教えました。

しかし、ナナは自分がヨシミネの猫になるつもりはありませんでした。ナナは自由を愛するノラ猫としての誇りを持っていたからです。ナナは子猫に対して少し厳しく接しました。子猫が近づいてくると、ナナは威嚇して追い払うこともありました。

サトルはそんなナナの態度を見て、ナナをヨシミネに預けるのは難しいと感じました。ヨシミネはナナを気に入ってくれましたが、ナナ自身がここに留まる気がないのは明らかでした。サトルはナナの気持ちを尊重し、ヨシミネの家を後にすることにしました。

ヨシミネはサトルに感謝し、自分が迷い込んできた子猫と一緒に生活していくことにしました。サトルもまた、ヨシミネとの再会を喜び、次の目的地に向かうために出発しました。

第4章: スギとチカコとの再会

サトルとナナは次の目的地、サトルの高校時代の親友であるスギとチカコが経営するペンションに向かいました。このペンションは、富士山の絶景が見られる場所にあり、ペットと一緒に泊まれる宿として人気があります。サトルは高校時代、スギとチカコと親しくしていました。

サトルがスギとチカコと親しくなったきっかけは、高校時代のある出来事でした。サトルが用水路に落ちた犬を助けたことがきっかけで、スギとチカコと友達になったのです。サトルは両親が交通事故で亡くなった時、その飼い犬ハチを九州の親戚の家に預けなければなりませんでした。その出来事がサトルにとって心の傷となっていました。

スギとチカコのペンションに到着したサトルとナナは、温かく迎えられました。チカコはナナを可愛がり、ペンションでの滞在を楽しんでいました。サトルはペンションの仕事を手伝いながら、スギとチカコとの再会を楽しんでいました。

サトルは、九州の親戚からハチの交通事故死の知らせを受けた時のことを思い出しました。その時、サトルは九州に行くことができず、ハチのお墓参りもできませんでした。しかし、スギとチカコのサポートを受けながら、サトルはアルバイトを続けました。

ペンションで飼われている犬の虎丸は、サトルとナナの訪問に敏感に反応しました。虎丸は、ナナがペンションに来るとスギが落ち着かなくなると感じて吠えたてました。さらに、虎丸はサトルの体から助からない匂いがするとナナに話しました。サトルが重い病気を患っていることがここで明らかになります。

ナナは虎丸とのけんかを経て、サトルの病気について深く考えました。ナナは初めからサトルの体調が良くないことを感じ取っていましたが、それを改めて確認したのです。サトルもまた、ナナが自分の病状を理解していることに気づきました。

スギとチカコはナナを引き取りたいと言いましたが、サトルはナナがペンションに留まるべきではないと判断しました。サトルはナナを最後の目的地である北海道のノリコの家に連れて行くことに決めました。ノリコはサトルの母の妹で、長年検事として働いてきた独身のキャリアウーマンです。

こうして、サトルとナナはスギとチカコのペンションを後にし、北海道のノリコの家へ向かいました。この旅の終わりが近づいていることを感じながらも、サトルとナナは新たな目的地に希望を持って出発しました。

第5章: 旅の終わりと新たな旅立ち

サトルとナナは最後の目的地、北海道に住むサトルのおば、ノリコの家に向かいました。ノリコはサトルの母の妹で、長年検事として働いてきたキャリアウーマンです。独身で一人暮らしのノリコは、強い意志と勝気な性格を持っていました。

ノリコの家に到着すると、サトルとナナは温かく迎えられました。ノリコはサトルが小さい頃から面倒を見てきたため、二人の間には深い絆があります。しかし、ノリコは普段の会話でもつい余計な一言を言ってしまうことがありました。

サトルの両親が亡くなった時も、ノリコはサトルに対して厳しい現実を突きつけました。サトルが両親の死で悲しんでいる時に、ノリコは「あなたの両親は本当の両親ではない」という事実を話してしまったのです。実は、サトルは幼少期に虐待を受けていた児童で、その事件を担当していたノリコがサトルを保護し、姉夫婦に預けたのでした。

ノリコはサトルに対して長い間そのことを謝罪したいと思っていました。そして、サトルの病気が進行する中で、ノリコはサトルに過去のことを詫びました。サトルは「自分を愛してくれた両親と出会わせてくれたことに感謝している」とノリコに感謝の言葉を述べました。

ナナはノリコの家に滞在していましたが、サトルが病院から家に戻らないことを悟り始めました。ナナはサトルがいなくなることに対して寂しさを感じながらも、自由を愛するノラ猫としての誇りを忘れませんでした。そして、ナナは再びノラ猫として生きる決意をしました。

天気の良い日にサトルが病院から外に出ると、ナナはどこからともなく現れました。ナナはサトルのそばで静かに過ごし、サトルの最後の時を一緒に過ごしました。そして、サトルの最期の瞬間、ノリコは病室にナナを連れてきました。サトルはナナのぬくもりを感じながら、静かに旅立っていきました。

サトルがいなくなった後、ナナは再び自由な生活に戻りました。ナナはサトルと過ごした五年間の思い出を胸に、旅を続けることにしました。ナナはサトルと一緒に見た美しい景色、サトルが育った街や富士山、北海道の広大な地面、大きな虹などを思い出しながら、新たな旅に出る決意を固めました。

ナナは、サトルとの思い出を大切にしながら、地平線の向こうにいるサトルと再び出会う日を夢見て、新たな冒険へと向かいました。ナナの旅は終わりではなく、新しい始まりを迎えたのです。

有川浩「旅猫リポート」の感想・レビュー

有川浩の「旅猫リポート」は、猫のナナと飼い主サトルの旅を通して、心温まるエピソードが詰まった感動的な物語です。物語の中心には、ナナとサトルの深い絆があります。ナナはもともと自由気ままなノラ猫でしたが、サトルとの運命的な出会いによって生活が一変します。サトルの優しさと愛情に包まれたナナは、やがてサトルの大切な家族となります。

この作品では、ナナとサトルが新しい飼い主を探す旅に出るところから物語が始まります。サトルの親友たちとの再会は、それぞれが異なる背景を持ち、サトルとの過去の思い出や現在の状況が描かれています。コースケ、ヨシミネ、スギとチカコとの再会は、どれも心に残るエピソードばかりです。特に、サトルの病気が進行する中で、彼らとの絆が再確認される様子は感動的です。

物語の最後には、サトルが病気で亡くなり、ナナが再びノラ猫として生きる決意をします。サトルとの思い出を胸に、ナナは新たな旅に出ることを選びます。この結末は悲しい一方で、ナナがサトルとの幸せな時間を大切にしながら前向きに生きる姿が描かれており、読者の心に深い余韻を残します。

「旅猫リポート」は、猫と人間の絆を描いた作品ですが、それ以上に人生の喜びや悲しみ、別れの切なさ、そして新たな出発の希望が詰まっています。ナナの視点から描かれる物語は、ユーモラスでありながらも感動的で、中学生でも理解しやすい表現で綴られています。この本を読むことで、家族や友人との絆の大切さを改めて感じることができるでしょう。

全体を通して、ナナのキャラクターがとても魅力的です。自由気ままで誇り高いノラ猫が、サトルとの生活を通じて見せる優しさや愛情には、心を打たれます。サトルの優しさとナナの強さが、物語をより一層魅力的にしています。「旅猫リポート」は、動物好きな人はもちろん、心温まるストーリーが好きな人にぜひ読んでほしい一冊です。

まとめ：有川浩「旅猫リポート」の超あらすじ（ネタバレあり）

上記をまとめます。

• ナナがノラ猫からサトルの飼い猫になる経緯
• サトルがナナの新しい飼い主を探す旅に出る理由
• サトルの小学校時代の親友コースケとの再会
• コースケがナナを引き取りたがるが断念する経緯
• 中学校時代の親友ヨシミネとの再会
• ヨシミネの家に迷い込んだ子猫とのエピソード
• サトルの高校時代の親友スギとチカコとの再会
• サトルの飼い犬ハチの過去と九州での出来事
• サトルの病気の進行とナナとの最後の時間
• ナナがサトルとの思い出を胸に再び旅立つ決意