キケン(有川浩)の超あらすじとネタバレ

成南電気工科大学の「機械制御研究部」、通称「キケン」は、火薬好きの上級生たちが繰り広げる冒険と友情の物語です。

有川浩の小説『キケン』は、元山くんと池谷くんが新入部員として入部し、個性的な先輩たちとともに、数々の危険なエピソードを経験する青春ストーリーです。

本記事では、『キケン』の超あらすじとネタバレを詳しくご紹介します。物語の魅力やキャラクターの成長、胸を打つ感動的なシーンを振り返りながら、有川浩の世界に浸りましょう。

この記事のポイント
  • 『キケン』の基本的なストーリー概要
  • 主要キャラクターの紹介とその特徴
  • 各章の主要な出来事とエピソード
  • 物語のクライマックスや重要な展開
  • 結末やキャラクターのその後の状況

キケン(有川浩)の超あらすじとネタバレ

第1章: キケンの設立と入部

成南電気工科大学には「機械制御研究部」という部活があります。この部活は通称「キケン」と呼ばれています。新入生の元山くんと池谷くんがこの「キケン」に入部するところから話が始まります。

元山くんと池谷くんは、入学したばかりの1年生です。彼らは同じクラスで仲良くなり、一緒に部活に入ることにしました。二人が「キケン」に入部を決めたのにはいくつかの理由があります。

まず、部室がとても充実していることに惹かれました。「キケン」の部室には、優秀なOB(卒業生)が寄贈したたくさんの機材や道具が揃っていました。機械やロボットに興味がある元山くんと池谷くんにとって、これはとても魅力的でした。

さらに、上級生二人の熱心な勧誘も大きな理由でした。「キケン」の上級生は2年生の上野さんと大神さんだけです。上野さんは部長で、大神さんは副部長です。二人はとても個性的で、部活をとても楽しそうに見せてくれました。

しかし、「キケン」には「危険」という意味があると聞かされます。実際、上野さんと大神さんはかなり破天荒な人たちです。特に上野さんは「成南のユナ・ボマー」と呼ばれるほどの火薬好きです。小学生の頃から自宅で爆発物を作るなど、かなりの冒険家です。

元山くんと池谷くんは、このような少し変わった部活に興味を持ち、「キケン」に入部することを決めました。部活に入ったばかりの二人は、これからどんな冒険が待っているのか、少し不安と期待が入り混じった気持ちでした。

こうして、元山くんと池谷くんの「キケン」での活動が始まります。彼らは上級生の上野さんと大神さんとともに、たくさんの楽しい経験や危険な出来事を乗り越えていくのです。

第2章: 上級生との関わり

元山くんと池谷くんが「キケン」に入部して少し経ったころ、彼らはすぐに上級生の上野さんと大神さんの個性的な行動に巻き込まれることになりました。

まず、上野さんは新入生を獲得するための作戦を考えていました。この作戦に、元山くんと池谷くんも参加させられることになります。上野さんは、大学内で「成南のユナ・ボマー」と呼ばれるほどの火薬好きで、非常に独創的な人です。小学生の頃から家で爆発物を作って遊んでいたというエピソードまであります。

ある日、上野さんは元山くんたちに火薬の威力を見せると言い出しました。新入生向けの部活説明会の日、上野さんは「キャンプファイアー点火実験」と称して爆破実験を行うことにしました。部活説明会に参加した新入生たちは、その迫力に圧倒されました。しかし、この行動は当然、大学の教授たちには受け入れられませんでした。

特に、曽我部教授は激怒し、上野さんを追いかけ回しました。しかし、上野さんは逃げ足も速く、これもいつものことのようでした。この爆破実験の結果、新入部員として残ったのは元山くんたちを含めて9名だけでした。この少数精鋭のメンバーが、これからの「キケン」を支えていくことになります。

次に、副部長の大神さんの話です。大神さんはとても迫力があり、部員たちから「大魔神」と呼ばれていました。彼の逆鱗に触れることは、部員たちにとって恐ろしいことでした。ある日、大神さんは女子大生からラブレターをもらいます。それは、女子大の学祭に行ったことがきっかけでした。この出来事に驚いた部員たちは、大神さんの恋愛を応援することにしました。

上野さんとともに「キケン」の面々は、大神さんの恋を見守り、応援しました。しかし、恋愛に対するスタンスの違いから、大神さんはその女子大生と破局してしまいます。失恋に傷ついた大神さんは、自棄酒を飲むことになり、元山くんたち1年生もそれに付き合いました。この経験を通じて、元山くんと池谷くんは、上野さんと大神さんとの絆を深めていきました。

こうして、「キケン」の部員たちは、危険な上野さんと強面の大神さんとともに、さまざまな出来事を乗り越えていくのです。彼らの絆はますます強くなり、これからの「キケン」での活動に向けて、さらに意気込むのでした。

第3章: 学祭のラーメン店

成南電気工科大学の学園祭が近づいてきました。「キケン」では、毎年恒例のラーメン店を出すことになりました。このラーメン店は「ラーメンキケン」と呼ばれ、特に学園祭の終了間際にしか食べられない「奇跡の味」として固定客がいるほどの人気でした。

部長の上野さんは、新入部員の元山くんと池谷くんに、今年のラーメン店の成功を託しました。上野さんは二人に「元手の30万円を3倍に増やさなければならない」と厳しい指示を出しました。これは、学園祭での売り上げ目標が90万円であることを意味しています。

元山くんは自宅が喫茶店であったことから、ラーメンスープの研究に取り組み始めました。彼は数々の試行錯誤を経て、ようやく満足のいくスープを完成させました。そのスープは上野さんのお墨付きをもらい、ラーメンキケンの主力メニューとして採用されました。

学園祭の前倒し営業を開始した「ラーメンキケン」は、学園祭期間中に多くの学生や教職員に支持され、大盛況となりました。お客さんたちは元山くんが作った美味しいラーメンに舌鼓を打ち、次々とリピーターになっていきました。

しかし、「キケン」には敵もいました。それはPC研究会(通称PC研)です。PC研は、「キケン」が人気を集めることを快く思っていませんでした。彼らはさまざまな妨害工作を仕掛けてきましたが、元山くんの指揮のもと、「キケン」のメンバーはこれらの妨害を乗り越え、目標の90万円を達成しました。

ところが、学園祭の最終日、元山くんがPC研に拉致されるという事件が起こりました。PC研は元山くんを拉致し、「キケン」の成功を妨げようとしました。しかし、上野さんは愛車のバイクでPC研を追いかけ、元山くんを見事に救出しました。この一件で、元山くんと池谷くんはさらに上野さんへの信頼と尊敬の念を深めました。

その後、曽我部教授から上野さんに町おこしのための「ロボット相撲大会」に出場するように指示が下りました。曽我部教授はこれまでの上野さんたちの行動を理由に、「キケン」の実績を生かして地域貢献を期待していたのです。

上野さんは渋々ながらも、教授の指示に従うことにしました。こうして、「キケン」のメンバーたちは、新たな挑戦に向けて準備を進めていくことになりました。元山くんと池谷くんは、学園祭での経験を通じて、一層強い絆で結ばれた仲間たちとともに、新たな冒険へと踏み出すのです。

第4章: ロボット相撲大会

学園祭が終わり、元山くんたち「キケン」のメンバーは次なる挑戦に取り掛かることになりました。曽我部教授からの指示で、町おこしのための「ロボット相撲大会」に出場することになったのです。これまでの派手な実績とは異なり、地域貢献という新たなミッションに挑むことになりました。

ロボット相撲大会に参加するため、「キケン」のメンバーはロボットの製作に取り組みました。1年生たちが中心となって、ロボットの設計や製作を進めました。元山くんと池谷くんも、ハードウェアの組み立てやプログラミングなどを担当し、みんなで力を合わせました。

上野さんと大神さんは、大会当日までに他のチームの偵察を行いました。対戦相手の戦略やロボットの性能を調査し、「キケン」のロボットがどのように戦えば勝てるのかを考えました。偵察の結果、決勝戦で対戦することになりそうな壮年チームは、予算が豊富で強力なロボットを持っていることがわかりました。

大会当日、「キケン」のロボットは順調に勝ち進みました。元山くんが操縦するロボットは、他のチームを次々と打ち負かしていきました。しかし、決勝戦では壮年チームの強力なロボットと対戦することになりました。壮年チームのロボットは非常に強力で、元山くんたちのロボットは苦戦しました。

ここで、上野さんが大胆な指示を出しました。「自爆せよ」という指示です。この作戦は、相手のロボットと自分たちのロボットが同時に倒れることで、引き分けに持ち込むというものでした。元山くんはその指示に従い、自爆作戦を実行しました。結果、両方のロボットが倒れ、引き分けとなりました。

大会が終わり、曽我部教授は上野さんに「よくやった」と声をかけましたが、上野さんはいつものように教授から逃げ回っていました。この一連の出来事を通じて、「キケン」のメンバーたちはさらに絆を深めました。彼らは、どんな困難にも立ち向かう強いチームとなっていたのです。

元山くんと池谷くんは、上野さんや大神さんとともに、これからもさまざまな挑戦に立ち向かっていくことを誓いました。「キケン」の活動は、まだまだ続くのです。

第5章: 思い出と再会

時は流れ、元山くんは大学を卒業し、社会人として忙しい日々を送っていました。そんなある日、元山くんの妻が、元山くんの大学時代の話を聞きたいと言い出しました。元山くんは「キケン」での冒険の日々を思い出しながら、妻にその話を始めました。

妻は元山くんの話を聞くうちに、「成南の学園祭に行ってみたい」と言いました。元山くんは最初は渋っていましたが、妻の熱心な頼みに応じて、一緒に学園祭に行くことにしました。久しぶりに訪れる母校は懐かしく、元山くんの心にはさまざまな思い出がよみがえってきました。

学園祭の会場には、「キケン」のラーメン店が出店していました。以前と同じく、行列ができるほどの人気店となっていました。元山くんと妻はその行列に並び、ラーメンを楽しみました。ラーメンの味は昔と変わらず、美味しかったです。

その後、妻が現役の部員に声をかけ、「OBが集まる教室がある」と教えてもらいました。元山くんはその教室を訪れることにしました。教室に入ると、誰もいませんでしたが、黒板が連絡板として使われていました。黒板には、元山くんを含む昔の部員たちのメッセージや会合の予定が書かれていました。

特に目を引いたのは、上野さんのメッセージでした。上野さんは結婚して落ち着いた生活を送っているようでしたが、昔の仲間たちとの再会を楽しみにしていると書かれていました。元山くんはそのメッセージを見て、懐かしさとともに、自分も再会の場に参加したいという気持ちが湧いてきました。

元山くんは妻に、その場で再会の予定を書き込みました。妻はその行動を微笑ましく見守り、二人で過ごす時間を大切に感じていました。元山くんは、あの頃とは違う自分がいることを実感しながらも、昔の仲間たちとの絆が今も続いていることに感謝しました。

こうして、元山くんは「キケン」の仲間たちと再会する決意を固めました。彼は、大学時代の思い出とともに、これからも続く新たな冒険に胸を躍らせました。成南電気工科大学の「キケン」での経験は、彼の人生にとって大切な宝物であり、これからもその絆は変わることなく続いていくのです。

キケン(有川浩)の感想・レビュー

有川浩の『キケン』は、成南電気工科大学の「機械制御研究部」、通称「キケン」を舞台にした青春物語です。この小説は、友情や挑戦、成長といったテーマが描かれており、非常に感動的で心温まる作品です。

まず、登場人物たちの個性がとても際立っています。主人公の元山くんと池谷くんは、新入生として部活に入部し、個性的な上級生たちと出会います。特に、部長の上野さんは「成南のユナ・ボマー」と呼ばれるほどの火薬好きで、彼の破天荒な行動は読んでいてとても楽しいです。副部長の大神さんも、見た目は怖いですが、実は心優しい人物で、彼の恋愛エピソードは胸を打ちます。

物語の進行はテンポが良く、次々と起こる事件や挑戦に読者は引き込まれます。例えば、学園祭でのラーメン店出店やPC研との対立、ロボット相撲大会への参加など、どれもワクワクする展開です。特に、学園祭でのラーメン店のシーンでは、元山くんたちの努力と工夫が感じられ、彼らの成長を見ることができます。

また、友情の描き方がとても素晴らしいです。上野さんと大神さん、そして新入生たちが困難を乗り越える中で、絆が深まっていく様子が丁寧に描かれています。特に、元山くんがPC研に拉致された際の上野さんの行動には、仲間を思う気持ちが強く表れており、感動的です。

さらに、物語の最後では、卒業後に元山くんが再び学園祭を訪れ、懐かしい仲間たちとの再会を果たすシーンがあります。このシーンは、青春時代の思い出とその後の成長が交錯し、非常に感慨深いです。

まとめ:キケン(有川浩)の超あらすじとネタバレ

上記をまとめます。

  • 成南電気工科大学の「機械制御研究部」、通称「キケン」の紹介
  • 新入生の元山と池谷が「キケン」に入部する理由
  • 上級生の上野と大神のキャラクターと行動
  • 上野の爆破実験による新入部員の選別
  • 大神の恋愛エピソードと破局
  • 学園祭でのラーメン店の成功とPC研の妨害
  • 元山の拉致事件と上野の救出劇
  • 曽我部教授の指示でロボット相撲大会への参加
  • ロボット相撲大会の決勝戦での引き分け作戦
  • 元山が大学卒業後に学園祭を訪れ、仲間と再会する決意