有川浩「キャロリング」の超あらすじ(ネタバレあり)

有川浩の小説『キャロリング』は、クリスマスの時期に倒産が決まった子供服会社「エンジェル・メーカー」と、その社員たちが繰り広げる感動的な物語です。この記事では、「キャロリング」の詳細なあらすじをネタバレを含めてご紹介します。

クリスマスに倒産が決まった会社で働く大和、彼の元恋人の柊子、そして学童に通う男の子・航平の視点から描かれる彼らの苦悩と成長、絆の物語を詳しく解説します。闇金との対立や人質事件、そしてそれを乗り越えた新たな絆と未来が描かれる『キャロリング』の魅力を、ネタバレを交えながらお届けします。

この記事のポイント
  • 子供服会社「エンジェル・メーカー」の倒産とその影響
  • 主人公たちの人物関係と彼らの悩み
  • 航平が両親の離婚を防ごうとする努力
  • 闇金「赤木ファイナンス」との対立と人質事件の詳細
  • 事件解決後の登場人物たちの成長と新たな未来

有川浩「キャロリング」の超あらすじ(ネタバレあり)

第1章: クリスマス倒産と新たな始まり

エンジェル・メーカーの倒産

大和が働いている子供服会社「エンジェル・メーカー」は、クリスマスに倒産することが決まりました。この会社の社長である英世さんは、大和にとって恩人でもあります。英世さんは会社を立て直そうと一生懸命努力していましたが、残念ながらうまくいきませんでした。

社員たちの動き

会社が倒産することが決まったので、働いている社員たちは新しい仕事を探し始めました。4人の社員たちは、それぞれ自分に合った仕事を見つけようと必死に就職活動をしています。しかし、大和だけは新しい仕事を探す気になれず、会社が倒産してから考えようと思っていました。

学童の運営

「エンジェル・メーカー」には学童もありました。この学童は、会社が倒産する前に閉める予定でしたが、ある事情でクリスマスまで続けることになりました。それは、航平という男の子のためでした。航平の母親は冬休み中に海外へ引っ越すことを考えていて、航平がクリスマスまで学童に通うことを希望したのです。

航平との接点

航平の面倒を見ることになったのは、会社の社員であり大和の元恋人である柊子さんです。航平が母親の圭子さんが迎えに来るまでの間、柊子さんが面倒を見ることになりました。

大和の時間

時間を持て余している大和は、航平と接する機会が増えていきました。大和は、航平と話をする中で、彼がどんなことを考えているのか、何に悩んでいるのかを知るようになりました。航平との交流を通じて、大和は少しずつ自分の中に変化を感じるようになりました。

このようにして、大和、柊子、そして航平の3人はクリスマスまでの短い時間の中で、少しずつ絆を深めていくのでした。

第2章: 航平の願い

航平の悩み

航平はエンジェル・メーカーが運営する学童にクリスマスまで通うことになりました。航平には一つ大きな悩みがありました。それは、両親に離婚してほしくないということです。夜中に両親が言い争っているのを聞いていたのに、自分が仲裁できなかったことを後悔していました。航平は、両親がまた仲良くなってほしいと強く願っていました。

父親への思い

航平は母親が怒っている理由が父親の裕二のせいだと思っていました。だから、裕二に謝ってもらえば母親も怒らなくなるかもしれないと考えました。航平は別居中の裕二に連絡を取りたいと思い、母親に内緒で電話を掛けました。しかし、裕二は曖昧な態度で、積極的に母親と仲直りしようとはしてくれませんでした。

裕二に会いたい

航平は裕二に直接会って話をしたいと思いましたが、裕二が住んでいる場所は離れていて、一人で電車を乗り継いで行く勇気がありませんでした。そこで、航平は学童で面倒をみてくれている柊子に相談しました。航平は、柊子ならなんとかしてくれるかもしれないと思ったのです。

柊子の葛藤

柊子は最初、航平の母親に黙って裕二に会いに行くことに抵抗がありました。しかし、航平の熱心な説得に心を動かされました。航平の母親や社長の英世には内緒で、柊子は航平と一緒に裕二に会いに行くことを決心しました。

裕二との面会

航平と柊子は、裕二が働いている整骨院に向かいました。裕二は昔、母親と同じ会社で働いていましたが、今は整骨院で働いています。最初の面会では、航平は裕二と話をすることができましたが、裕二は積極的に母親とやり直そうとはしてくれませんでした。航平はその態度に苛立ちましたが、それでも諦めずに何度も裕二と会おうとしました。

整骨院通い

航平と柊子は裕二を説得するために何度も整骨院へ通うようになりました。ある日、航平が英会話教室に通っていないことが大和にバレてしまいました。これにより、大和も航平の整骨院通いに関わることになりました。大和は、航平の悩みを理解し、彼のために協力することにしました。

このようにして、航平、柊子、大和の3人は、裕二を説得するための努力を続けていくのでした。それは、航平の両親を再び仲良くさせるための大切な一歩となりました。

第3章: 闇金との対立

裕二との再会と葛藤

航平は、裕二との面会を重ねるうちに、父親が本当に母親とやり直したいのかどうか疑問を抱くようになりました。裕二はいつも曖昧な態度を取り、積極的に動こうとしません。それでも航平は諦めず、柊子と一緒に裕二に会いに行き続けました。

整骨院での出来事

ある日、航平と柊子が整骨院を訪れたとき、整骨院で問題が発生しました。整骨院の院長である坂本冬美先生の祖父が、闇金「赤木ファイナンス」から借金をしていたのです。借金の返済期限が過ぎていたため、赤木ファイナンスの組員が整骨院に脅しに来ました。

赤木ファイナンスの脅し

赤木ファイナンスの組員は、坂本先生に対して威圧的な態度を取り、借金を返すように迫りました。坂本先生は困り果て、どうすればよいのか分からなくなりました。航平と柊子もその場に居合わせ、事態の深刻さを知りました。

人質事件の発生

ある日、赤木ファイナンスの組員は、さらにエスカレートして、航平と柊子を人質に取りました。彼らは、航平の母親に金を要求するためにこの手段を取ったのです。航平の母親は、貯金をかき集めて一部の金額を準備しましたが、要求された全額には届きませんでした。

大和の介入

航平と柊子がいなくなったことに気づいた大和と裕二は、すぐに赤木ファイナンスの仕業だと疑いました。大和は、航平の母親と協力し、要求された金を持って指定の場所に向かうことになりました。最初に裕二が金を持って行きましたが、金額が不足していることに気づいた赤木ファイナンスは、さらに追加の金を要求しました。

再び大和の行動

次に、大和が追加の金を持っていくことになりました。大和は勇気を出して金を届けましたが、そこで赤木ファイナンスの社長に逆らってしまい、暴行を受けました。大和は痛みに耐えながらも、航平と柊子を救うために必死でした。

柊子の行方

一方、柊子は別の場所で赤木ファイナンスの組員に見張られていました。赤木ファイナンスの社長は、組員を助けるために身代金を要求していましたが、最終的にはその組員が裏切り、赤木ファイナンスは警察に捕まることになりました。

このようにして、航平と柊子は無事に救出されましたが、この事件を通じて彼らの絆は一層深まりました。航平は大和や裕二、そして柊子の助けを借りて、少しずつ前に進む勇気を得たのです。

第4章: 人質事件と解決

人質事件の発覚

航平と柊子が行方不明になったことに気づいた大和と裕二は、すぐに赤木ファイナンスを疑いました。彼らは航平の母親と協力して、航平と柊子を救出するための計画を立てました。最初に裕二が金を持って赤木ファイナンスの指定した場所に向かいましたが、要求された金額には届きませんでした。

交渉の難航

裕二がお金を持って行ったものの、赤木ファイナンスはさらに追加の金を要求しました。次に、大和が追加のお金を持って行くことになりました。大和は不安を感じながらも、勇気を振り絞って金を届けました。しかし、赤木ファイナンスの社長はまだ納得せず、さらに高額な金額を要求しました。

大和の行動

大和は赤木ファイナンスの社長に逆らってしまい、暴行を受けました。それでも、大和は航平と柊子を救うために諦めませんでした。彼はなんとかして二人を助け出そうと決意しました。

柊子の行方

一方、柊子は別の場所で赤木ファイナンスの組員に見張られていました。組員たちは柊子を人質に取りながらも、内心では社長に不満を抱いていました。柊子は冷静に状況を見極め、隙を見つけて脱出しようと考えていました。

裏切りと解決

赤木ファイナンスの社長がさらに高額な身代金を要求している間に、組員の一人が裏切りを決意しました。その組員は警察に情報を提供し、赤木ファイナンスの計画を暴露しました。警察はすぐに動き出し、赤木ファイナンスの拠点を急襲しました。

救出の成功

警察の介入により、赤木ファイナンスの組員たちは次々と逮捕されました。航平と柊子は無事に救出され、再び自由の身となりました。航平は母親と再会し、柊子も無事に戻ることができました。大和と裕二も安心しました。

家族との再会

人質事件が無事に解決した後、航平は両親と一緒にクリスマスを迎えることができました。しかし、両親は再び一緒に暮らすことはできないと告げました。航平は悲しみましたが、その現実を受け入れることを決意しました。

大和と柊子の絆

大和は航平からの手紙を受け取り、柊子への自分の気持ちに気づきました。一度は別れた二人ですが、この出来事を通じてお互いの大切さを再確認し、もう一度やり直すことを決めました。

このようにして、航平、大和、柊子、裕二の4人はそれぞれの困難を乗り越え、新たな絆を築いていきました。

第5章: 新たな絆と未来

航平の家族の決断

クリスマスが近づき、航平は両親と一緒に過ごすことができました。しかし、両親から再び一緒に暮らすことはできないと告げられました。航平はその知らせに大変ショックを受けましたが、両親の気持ちを理解しようと努めました。彼は、自分がどうしても両親を仲直りさせたかった理由を考え、その思いに決着をつけることにしました。

航平の成長

航平は、両親の決断を受け入れることで、自分自身も成長しました。彼は、家族の形が変わっても、それぞれが幸せであることが大切だと学びました。これからも父親や母親と連絡を取り合いながら、家族の絆を大切にしようと心に決めました。

大和と柊子の再出発

大和は、航平からの手紙を通じて、自分の気持ちに正直になりました。彼は、柊子への思いを再確認し、もう一度彼女とやり直すことを決意しました。柊子も大和の気持ちを受け入れ、二人は再び恋人としての関係を築くことになりました。彼らは、お互いの支えとなり、困難を乗り越えていくことを誓いました。

新たな生活の始まり

エンジェル・メーカーが倒産したことで、社員たちは新しい道を歩み始めました。大和も新しい仕事を見つけ、そこで新たな挑戦を始めました。柊子もまた、自分のキャリアを見つめ直し、新しいスタートを切ることにしました。

航平との絆

大和と柊子は、航平との絆も大切にし続けました。彼らは、航平が困ったときにはいつでも相談に乗ることを約束しました。航平は二人の存在に安心し、これからの未来に希望を持つことができました。

新たな仲間との出会い

大和と柊子は、新しい仕事や生活の中で多くの新しい仲間に出会いました。その中で、お互いの成長を助け合いながら、新しい絆を築いていきました。彼らは、これからも多くの困難に立ち向かうことになるでしょうが、互いに支え合うことで乗り越えていくことを信じています。

幸せな未来へ

こうして、大和、柊子、航平、裕二はそれぞれの道を歩み始めました。彼らは、過去の出来事を乗り越え、新たな未来に向かって進んでいきました。それぞれの人生は異なる方向に向かっていますが、共通しているのは、困難を乗り越えたことで得た強い絆と希望です。

このようにして、彼らの物語は一つの終わりを迎えましたが、それぞれの新たな始まりが待っているのです。彼らがこれからどのような未来を築いていくのか、それは誰にもわかりませんが、一つ確かなのは、彼らが互いに支え合いながら前に進んでいくことでしょう。

有川浩「キャロリング」の感想・レビュー

有川浩の『キャロリング』は、クリスマスに倒産が決まった子供服会社「エンジェル・メーカー」を舞台に、社員たちの苦悩と成長を描いた感動的な物語です。まず、物語の設定がクリスマスという特別な時期であることが、とても効果的だと感じました。クリスマスは通常、喜びと希望の象徴ですが、この物語では逆に困難な状況が描かれています。それが、キャラクターたちの感情をより一層引き立てています。

大和という主人公の成長が非常に心に響きました。彼は最初、会社の倒産に対して無気力で新しい仕事を探す気にもなれませんでした。しかし、航平との交流を通じて、徐々に自分の中に変化が生まれていく様子が描かれています。特に、航平が両親の仲を取り持とうとする姿を見て、大和自身も再び前向きに生きる力を取り戻す場面が印象的でした。

また、柊子との関係も見どころです。一度は別れた二人が、航平を通じて再び接点を持ち、お互いの大切さを再認識していく過程が丁寧に描かれています。特に、柊子が航平のために裕二に会いに行くことを決心する場面は、彼女の優しさと強さがよく表れています。

物語の中盤で登場する闇金「赤木ファイナンス」との対立は、物語に緊張感を加えています。航平と柊子が人質に取られるシーンは非常にスリリングで、手に汗握る展開です。大和と裕二が二人を救出しようとする姿は、彼らの成長と絆を感じさせます。

最後に、事件が解決し、それぞれのキャラクターが新たな一歩を踏み出す姿が描かれています。特に、航平が両親の離婚を受け入れ、自分の成長を感じさせる場面が感動的でした。また、大和と柊子が再び恋人としてやり直す決意をする場面も、希望に満ちています。

総じて、『キャロリング』は、クリスマスの時期にふさわしい感動的な物語です。困難な状況に立ち向かいながらも成長し、新たな絆を築いていく登場人物たちの姿は、読者に大きな勇気と感動を与えてくれます。中学生でも理解しやすい平易な表現で描かれており、多くの人におすすめできる一冊です。

まとめ:有川浩「キャロリング」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 「エンジェル・メーカー」の倒産決定と社員たちの対応
  • 航平の両親の離婚問題とその影響
  • 航平が父親に仲直りを頼むための行動
  • 柊子と航平の協力による父親裕二との面会
  • 裕二の曖昧な態度と航平の苛立ち
  • 闇金「赤木ファイナンス」の登場と整骨院の問題
  • 航平と柊子が人質になる事件の発生
  • 大和と裕二が人質救出のために奮闘する
  • 赤木ファイナンスの裏切りと警察による解決
  • 事件後の登場人物たちの成長と新たな絆