「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の超あらすじ(ネタバレあり)と感想レビュー

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」のネタバレありのあらすじです。感想・レビューや社会的観点からの考察もあります。

この物語は、ある一家の試練と愛、成長を繊細に描いたドラマです。主人公の七実とその家族は、重い病気、障害、そして悲しみと向き合いながら、互いを深く理解し支え合っていきます。

各話では、家族の絆が試される様々なシチュエーションが展開され、それぞれのキャラクターが直面する困難を乗り越える過程が描かれています。

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の超あらすじ(ネタバレあり)

第1話 詳細あらすじ

七実は学校のスクールカーストでは目立たない存在で、所属はいわゆる3軍です。ある日、彼女の母、ひとみから連絡が入ります。その内容は、ダウン症の弟、草太が万引きをした可能性があるというものでした。しかし、この疑惑には誤解がありました。実際には、暑い中を歩いていた草太を同情したコンビニの店長が、代金の支払いを後回しにしてでも飲み物を提供したのです。「お代はいつでも結構です」という店長の優しさによって、草太は無実であることが明らかになりました。

その夜、ひとみが突然倒れる事態が発生します。草太が夜中にひとみを見つけ、すぐに救助を求めます。病院に運ばれたひとみは、大動脈解離と診断され、緊急手術が必要だと医師から告げられます。医師は手術の成功率が20%しかないこと、手術を行わなければ1週間も持たない可能性があることを説明します。この重大な情報を受け、七実は手術の同意書にサインする決断をします。

数年後の春、桜が満開の下、ひとみは車椅子で活発に動き回っています。七実は彼女の愛車「ボルちゃん」を運転し、成長した草太も一緒です。そんな家族の姿を見守る祖母・芳子のそばには、もう1人の男性がいます。七実はこの光景を眺めながら、心の中でつぶやきます。「家族の死、障害、不治の病……どれか1つでもあれば、どこぞの映画監督が世界を泣かせてくれそうなもの。それ全部、うちの家に起きてますけど?」と。これは、彼女が直面した家族の試練とその克服に対する皮肉とも取れるコメントです。

第1話は、七実と彼女の家族が直面する多くの困難と、それに立ち向かう彼女たちの勇気を描いています。家族の絆が試される中で、彼らがどのようにして困難を乗り越え、互いを支え合うかが描かれています。

第2話 詳細あらすじ

第2話では、ひとみの手術が成功したものの、彼女は全身に麻痺が残るという重大な後遺症に苦しんでいます。リハビリを行えばある程度の回復は見込めるとのことですが、ひとみは自身の状態に絶望し、「もう生きたくない」という思いに駆られるようになります。彼女は頭ははっきりしているのに、体が思うように動かせないことに大きなフラストレーションを感じています。

一方で、七実は自分が手術の同意書にサインしたせいで母が苦しんでいると自責の念に駆られます。彼女は母が死ぬときには自分も一緒に死ぬと言うほど、深い絶望感を抱えていますが、母が再び生きたいと思えるように努力しようと決意します。この決意は、彼女が母との強い絆を感じていることの表れです。

さらに、七実は新たな人生の道を模索し始めます。彼女はニューヨークで大道芸人になるために、英語を必死に勉強し始めます。しかし、車椅子のひとみが自由に外出できない現実を目の当たりにし、より大きな社会の問題に直面します。この経験が彼女を動かし、名門大学の人間福祉学部を受験することを決意させます。見事、彼女は合格し、自分の未来を切り開くための一歩を踏み出します。

七実の大学合格のニュースを聞いた草太は、亡くなっているはずの父・耕助と喜びを分かち合います。家族は耕助が「東京に出張中」という設定を維持していますが、草太の前には耕助の幽霊がときどき姿を現していました。草太はこの幽霊を本当の父親と信じて疑わないのです。

第2話は、家族各自が自らの困難にどう向き合い、それを乗り越えようとするかが描かれています。特に七実の変化が顕著で、彼女の新たな決意が今後の展開に大きな影響を与えることになります。家族の絆とは、ただ支え合うだけでなく、時には個々の成長を促す力もあることが示されています。

第3話 詳細あらすじ

第3話では、七実が中学に上がった頃の家庭の状況に焦点を当てています。その頃、彼女の父・耕助は会社を辞めて起業する決断をします。耕助は新しい事業に没頭し、以前よりも家族と過ごす時間が激減しました。これにより、家庭内の緊張が高まることになります。

2010年のある日、耕助は仕事の疲れからか、帰宅後に息子の草太に対して思わず冷たくあたってしまいます。これに心を痛めた七実は、怒りから「パパなんか、死んでまえ!」と言ってしまいます。この言葉が出た夜、耕助は体調を崩し、家族に内緒で救急車で病院に運ばれていきました。耕助が入院していることを知った七実は、後悔と心配で眠れない夜を過ごします。

翌朝、七実たちは祖母の芳子に連れられて病院に行きます。耕助は急性心筋梗塞でICUに入っており、カテーテル治療を受けていました。その後の回復は耕助の体力と意志にかかっていると医師から説明されます。

数年後のある日、今度は母・ひとみが突然倒れるという事件が発生します。七実は父のときと同じ運命を母に辿らせたくない一心で、ひとみを気遣い、彼女のために沖縄旅行を計画します。旅行の目的は、ひとみに新たな気持ちでリフレッシュしてもらうことです。七実は必死でアルバイトをして旅行費用を貯め、ひとみが再び元気になることを願っています。

しかし、旅行の日程と大学での重要なテストが重なってしまいます。ひとみはこの事実を知り、七実が教育の機会を逃さないようにと、旅行を優先させます。沖縄では、観光地としてバリアフリーが行き届いており、周囲の人々も手助けを惜しまないため、3人は思い出深い時間を過ごすことができました。

第3話は、家族間の葛藤、愛情、そしてお互いへの思いやりが描かれています。特に、家族を支えるために努力する七実の成長が感じられるエピソードです。家族が共に困難を乗り越え、互いに支え合いながら前進しようとする姿が描かれています。

第4話 詳細あらすじ

第4話では、七実が大学で車椅子ユーザーの学生・首藤颯斗と出会うことから物語が始まります。首藤はバリアフリーの問題に強い関心を持ち、それが「いつか完成される夢」ではなく、「すぐにも解決したい現実」として彼の行動を動かしています。首藤の情熱に触発された七実は、社会に対する新たな視点を学びます。

首藤が立ち上げたユニバーサルデザインを推進する会社「ルーペ」で、七実はお試し期間として雇われることになります。職場での経験を通じて、彼女は障害を持つ人々が直面する日常の困難について深く理解を深めていきます。首藤から「障害者にとって、誰かの役に立てることはうれしい」という言葉を聞くことで、七実は社会への新たな貢献の形を見つけることができます。

ある日、七実は駅ビルのバリアフリー化のコンペに参加することになります。彼女は、母・ひとみに障害者の視点から改善点を指摘してもらうアイデアを思いつきます。ひとみはリハビリのために通院していた経験を活かし、多くの入院患者やその家族とのコミュニケーションから得た知識を生かして、具体的な提案を行います。

このコンペでの成功は、ひとみの提案が大きな影響を与え、最終的にはルーペがプロジェクトを受注することになります。ひとみの貢献はただの提案にとどまらず、彼女自身がその経験を生かして心理カウンセラーを目指す決意を固めます。この決意は彼女に新たな生きがいを与え、家族だけでなく、より広いコミュニティに対しても影響を与えることになります。

ひとみがルーペに「アドバイザー」として迎えられることになり、彼女は自身の知識と経験を活かして、多くの人々の生活の質の向上に寄与することを目指します。七実とひとみ母娘のこの取り組みは、個人の努力がどのように社会全体の変化を促すことができるかを示す、感動的なエピソードです。

第5話 詳細あらすじ

第5話では、ひとみが手術後の回復期を経て、ルーペのアドバイザー兼カウンセラーとして活躍している様子が描かれています。彼女は多忙を極める日々を送りながらも、多くの人々の心のケアに尽力しています。その一方で、七実はルーペの広報担当として、初めての仕事に取り組んでいますが、失敗が続いてしまいます。

七実は自身の失敗に落ち込みつつも、解決策を模索します。彼女は編集者の末永に相談を持ちかけると、末永はネットメディアを立ち上げたばかりの山根を紹介してくれます。山根は七実にインタビューを行い、その中で彼女の家族について詳しく知ることになります。ダウン症の弟がおり、中学生の時に父が急死し、母も車椅子ユーザーになったという七実の話に、山根は大きな衝撃を受けます。

山根は七実に、どのようにしてそんなに強く生きることができるのかを尋ねます。これに対して、七実は父が亡くなる前に「七実は大丈夫」と言った言葉が、自分を支え、「大丈夫」な状態にしてくれたと答えます。山根は、七実の「壮絶な人生」が多くの世代の関心を引くだろうと感じ、このストーリーの可能性を見いだします。

しかし、七実自身は、自分の人生を過酷だと感じつつも、いつも自分の才能を認めて励ましてくれたのは父・耕助だったと思い返します。耕助に対してひどい言葉を投げかけたまま、彼が亡くなってしまったことに対する後悔の念が、彼女を今でも苦しめています。七実は「全然大丈夫じゃない。パパに会いたい」という強い思いを抱えています。

第5話では、七実の内面の葛藤と成長、そして家族との深い絆が重要なテーマとなっています。彼女が抱える感情のジェットコースターが、家族の愛と支えを通じて描かれています。また、七実の人生における苦難と成功が、彼女の人間性を形作る重要な要素として描かれています。

第6話 詳細あらすじ

第6話は、七実が家族を「悲劇」と表現されたことによる心的衝撃から始まります。七実はこのラベリングに深く傷つき、元気を失ってしまいます。祖母の芳子は、「七実は心の中がジェットコースターみたいやな」と表現しながら、孫の心情を案じます。

この言葉を聞いた草太は、七実がジェットコースターに乗りたいと勘違いし、彼女を元気づけるために遊園地へ連れて行くことを決めます。遊園地で過ごす中で、草太の成長と前向きな態度に触れた七実は、家族への誇りを新たに感じます。帰りの車中で、七実はひとみに向かって草太の成長を褒め称え、努力しているひとみの姿も素敵だと伝えます。

しかし、七実は家族を「悲劇」と書かれたことがまだ引っかかっており、「こんなに素敵な家族なのに」と悔しさを感じます。そんな彼女にひとみは、その気持ちを文章にして発表することを提案します。耕助は生前、「最高な岸本家」を「文才のある人」によって書かれ、いずれはドラマや映画にしてもらうことを夢見ていたのです。

このアドバイスに従い、七実はSNSで家族の日常やエピソードを書き始めます。その結果、彼女の投稿はたちまち人気を博し、多くのフォロワーからの共感や支持を得ることになります。この反響を受けて、ついに東京の編集者から声がかかり、七実は小説家としての活動を本格的に始めることになります。

「ALL WRITE」の代表・小野寺から作家になるよう勧められた七実は、ルーペを辞めて、「家族を自慢する仕事」を本格的に始めることにしました。これは彼女にとって新たなスタートとなり、家族の素晴らしさを世界に伝える一歩となります。

第6話では、家族の困難な状況が世間に誤解される一方で、七実が自身の感情を正直に表現することで、新たな可能性が開かれます。家族の絆が再確認され、七実の新しいキャリアが始まる瞬間が描かれています。

第7話 詳細あらすじ

第7話では、七実が作家としてのキャリアをスタートし、東京での新生活が描かれています。彼女の最初の本は大成功を収め、何度も重版されるほどの人気となります。この2年間、七実は多忙を極め、実家に帰省することができていませんでした。

しかし、ある日ひとみから「熱がある」というメールが届きます。これを受けて、七実は急遽帰省することに決めます。実家に到着すると、祖母の芳子はぼんやりと座っており、ひとみは一人で寝込んでいました。ひとみの熱はかなり高く、七実は母を病院に連れて行くことを決断します。

病院での診察の結果、医師からひとみに検査入院を勧められます。七実はひとみの検査結果が出るまで実家にいることにし、その間に家の現状を把握します。すると、芳子は家のことをほとんどしていなかったことが明らかになります。

病院からの連絡で、ひとみが8年前に行った手術で入れた人工弁が細菌感染していることが判明しました。これにより、ひとみは再び手術を受ける必要があること、かなり難しい手術であり、後遺症が残る可能性もあると告げられます。

手術当日、七実は笑顔でひとみを送り出し、その後、待合室で1人待っています。不安な心境を抱えつつも、彼女はひとみの無事を祈ります。そこへ、東京から仕事仲間たちが応援に来てくれ、彼らとの会話で少し気が紛れます。最初は賑やかに話していたものの、話のネタも尽きたとき、ようやく手術が無事に終わったとの報告が入ります。

第7話は、家族の絆と試練、そして七実が作家としての成功を背景に、改めて家族の健康と向き合うシリアスな展開が描かれています。七実は自身のキャリアと家族の健康のバランスを取りながら、新たな困難に立ち向かう姿が描かれています。

第8話 詳細あらすじ

第8話では、ひとみの手術が無事に終わった後の七実の動きが中心に描かれています。手術のお礼がてら一旦東京に戻った七実は、仕事の打ち合わせを行います。彼女が所属する「ALL WRITE」では、岸本家のドキュメンタリーを企画しており、ひとみが入院中で不在の間から撮影を始めたいと提案されます。しかし、七実は家族のプライバシーを守るため、この話を断ります。

その後、神戸に戻った七実はひとみのお見舞いに行きますが、帰宅後に大阪の住吉から留守電が入っていたことを知ります。芳子が財布も着替えも持たずにふらりと現れたとのことで、住吉は心配して彼女を家に泊め、ひとみに連絡を取ったと言います。

この状況に直面し、七実は芳子の健康状態について真剣に考えることになります。七実は、芳子の認知症の可能性に気づき、ひとみと共にこの問題に取り組むことを決意します。これをきっかけに、七実、芳子、草太の3人暮らしがスタートしますが、新たな生活環境に順応しようとする中で、七実は芳子の介護に奮闘します。

しかし、介護の負担と芳子の状態の変化に対応することが難しく、七実の仕事にも影響が出始めます。また、コレステロールの高い草太のために健康的な料理にチャレンジするものの、草太の反応は芳しくありません。ストレスが溜まった七実は、やけになり家族の愚痴をSNSに投稿しますが、予想外にその投稿が多くの「いいね」を集め、大きな反響を呼びます。

第8話は、家族内で新たに浮上した課題、特に芳子の認知症とその影響をどのように扱うかが主要なテーマです。また、家族の中で生じる問題を公にすることが、意外な形で支援や共感を得るきっかけになることも示されています。七実は家族の介護と自身のキャリアのバランスを求める中で、多くの挑戦に直面しています。

第9話 詳細あらすじ

第9話では、ひとみの最初の手術から10年後の岸本家の現状が描かれています。七実は東京で成功した作家としての生活を送っており、芳子はケアハウスで暮らしています。一方、ひとみと草太は神戸で生活しており、家族はそれぞれの場所で日々を過ごしています。

このエピソードの冒頭で、七実は密着取材のために神戸に戻ってきます。メディアによる取材が進む中、草太が一人暮らしを計画していることが明らかになります。家族は草太の意思を尊重し、彼が一人暮らしをしたがっているグループホームを見学に行きます。見学の後、2泊3日のお泊まりの日程が決定され、草太はその計画にはしゃぎます。

しかし、草太は新しい場所が苦手で、最初の夜に一人で家に帰ってきてしまいます。これにより、家族は草太の自立に向けての心配を新たにします。そんな中、草太の前に亡くなった父・耕助の幽霊が現れ、息子を励ます場面があります。草太が「パパ、今までありがとう」と言うと、耕助の姿は消えていきます。

旅立ちの日、草太は家族に別れを告げ、新しい生活へと歩み出します。その瞬間、ひとみが車から落ちそうになりますが、草太が駆け寄って母を受け止め、「ママ、大丈夫です。僕はママの子どもです。僕は大人です。」と言います。この言葉によって、ひとみも家族も草太の成長と自立を感じ、彼の新たなスタートを心から祝福します。

最終的に、七実は東京で、芳子はケアハウスで、草太はグループホームでそれぞれの生活を送りながらも、週末にはひとみのもとに集まり、家族の絆を再確認しています。第9話は、家族の一員が新たな生活を始める過程とその心理的な影響、そして家族がそれぞれの場所で独立しつつも絆を深める様子を描いています。

第10話 詳細あらすじ

2025年の設定で始まる第10話では、岸本家のさらなる未来が描かれています。芳子はケアハウスで暮らしながら、すっかり草太を亡き夫・耕助だと思い込んでいます。この幻想は、芳子の認知症が進んでいることを示唆しており、家族は彼女のこの状態をやさしく受け入れています。

一方で、ひとみは沖縄で耕助に対して、彼が生前に残した約束や遺言に感謝を伝えます。耕助が結婚の挨拶に来たときに「決してひとみを1人にしない、世界中どこにでも連れていく」と語ったことを回想し、その言葉を守り続けることが、ひとみと耕助の愛情の深さを物語っています。

七実は自身のキャリアに没頭しながらも、「褒められる以外の幸せがわからん」と苦悩しています。これに対して、耕助の幽霊は現れて、七実がそのままで十分素晴らしいと励まします。この交流は、七実が内面的な成長と自己受容を深めるきっかけとなります。

物語は、七実が家族全員を外に連れ出し、見せたいものがあると言って案内するシーンでクライマックスを迎えます。彼女はかつて生活のために手放した愛車「ボルちゃん」を印税で買い戻していたのです。これは家族にとって非常に感慨深い瞬間であり、七実は初ドライブで耕助の墓参りに行くと決めています。もちろん、彼女の心の中では耕助も一緒です。

ひとみは車から降りると、満開の桜の下を車椅子で駆け抜けます。このシーンは、家族の困難と喜び、そして未来への希望が一体となって表現されており、岸本家の新たな章が始まることを予感させます。

第10話は、家族の変化に適応し、それぞれが自己実現を追求しつつも、強固な絆で結ばれている岸本家の姿を描いており、感動的なフィナーレを飾っています。

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の感想・レビュー

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」という作品を通じて、家族というものの深い絆、困難を乗り越える力、そして互いに対する無条件の愛が繊細かつ力強く描かれています。各エピソードが、個々の家族成員の成長と変化を細かく、かつ感動的に表現しており、視聴者に強い共感を呼び起こす内容でした。

第1話から始まる家族の試練は、ひとみの病気と手術を中心に展開され、家族がどのようにして困難な状況を乗り越えるかが描かれています。特に七実の成長が印象的で、彼女が母親のために強くなる様子が感動を誘います。彼女の内面の葛藤、決断、そして行動が、家族を支える大きな力となっています。

中盤のエピソードでは、社会との関わり方がテーマとして取り上げられ、障害者の権利とバリアフリーへの配慮が重要なポイントとなっています。七実がユニバーサルデザインを推進する会社で働くこと、そしてその業務を通じて社会に貢献しようとする姿勢が、彼女の成長を物語っています。また、ひとみのリハビリとその後のカウンセラーとしての活躍は、彼女の強さと他者への深い思いやりを示しています。

終盤には、家族の一員が自立するための準備と、新たな生活の始まりが描かれています。草太のグループホームへの移住は、彼の成長だけでなく、家族が彼の一歩を支える様子を描いており、特に彼が自立する過程で見せる勇気が印象的です。これによって、家族がそれぞれの場所で生活しながらも絆を深めていく過程が美しく表現されています。

全体を通して、この物語は家族の形がどのように変化しても、絆がどのようにして各人を支え、成長させるかを描いています。それぞれのエピソードは、岸本家のメンバーが直面する個々の課題をリアルに、そして感動的に描き出し、家族の愛の力を強調しています。最終話における七実の行動は、過去との和解と未来への希望を象徴しており、家族の永続的な愛と支えのメッセージを力強く伝えています。

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の社会的観点からの考察

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」という作品は、社会学的観点から見ると、現代家族の諸問題、障害者の社会的位置づけ、介護問題、そしてそれらが個人のアイデンティティに与える影響について多角的に考察を促します。

第1話から第10話までの展開を通じて、家族内での役割、期待、そして社会からの圧力がどのように個々の家族成員の選択と行動に影響を与えるかが描かれています。特に、障害を持つ家族成員や高齢者の介護が中心テーマとして取り上げられており、それによって家族の結束力が試される様子がリアルに描かれています。

第2話や第6話では、社会的スティグマと家族の名誉に関する問題が浮き彫りにされており、これは家族が外部の評価に左右されやすい現代社会の風潮を反映しています。メディアが家族をどう描くかが七実の心情に大きく影響を及ぼし、彼女が自己表現を通じてこれに対処しようとする様子が第6話で描かれています。

また、障害者の自立支援というテーマは第9話で特に強調されており、草太がグループホームへ移る決意を固める過程で、彼自身の成長だけでなく、社会が障害者にどのように対応しているかが示されています。この点は、障害者の社会参加という現代の重要な課題に光を当てるものです。

最終話では、家族がそれぞれの場所で生活しながらも、定期的に集まることで家族の絆を再確認するシーンが描かれます。これは、個人主義が強調されがちな現代社会においても、家族が依然として重要な支えであり得ることを示唆しています。

この物語を通じて、家族の形は多様でありながらも、その核となる愛と支えがいかに重要かが描かれています。社会が変わっても変わらない家族の価値を考えるきっかけを提供しており、社会学的にも非常に有意義な内容と言えるでしょう。

まとめ:「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 第1話: 七実の弟・草太が誤解から万引き犯とされるが、真実が明らかになり、母・ひとみの緊急手術とその後の家族の絆を描く。
  • 第2話: ひとみの手術後に残った障害に家族が苦悩する中、七実は母の希望を支え、人間福祉学部に合格する。
  • 第3話: 父・耕助の死と母・ひとみの倒れる前夜の事件を振り返り、家族の過去と向き合う。
  • 第4話: 七実が大学で出会った車椅子ユーザーの首藤颯斗と共に、バリアフリー化の重要性を学び、社会への貢献を目指す。
  • 第5話: ひとみがルーペのアドバイザー兼カウンセラーとして活躍する一方、七実は広報活動に苦戦しつつも家族の力を再認識する。
  • 第6話: 家族がメディアに「悲劇」と書かれたことにショックを受けた七実が、SNSで家族の真実を発表し、大きな反響を得る。
  • 第7話: 成功した作家として忙しい日々を送る七実が、病気の母・ひとみのために帰省し、再び家族の絆を確認する。
  • 第8話: 七実が東京での打ち合わせを終え神戸に戻るも、祖母・芳子の認知症と向き合うことになり、新たな生活の調整に苦悩する。
  • 第9話: 草太が一人暮らしを始めるための準備を進める中、家族は彼の成長と自立を支え、新しい生活を祝福する。
  • 第10話: 七実が家族全員を連れて愛車「ボルちゃん」を見せ、過去の絆を称えながら耕助の墓参りに向かう、未来への希望と和解を描く終章。