「アグニの神(芥川龍之介)」の超あらすじ(ネタバレあり)

『アグニの神』は、日本人の書生・遠藤が行方不明となった少女・妙子を救い出すために奮闘する物語です。物語の舞台は支那の上海で、占い師として君臨する印度人の老婆と妙子が、アグニの神の降臨をめぐるスリリングな駆け引きを繰り広げます。妙子の計略や遠藤の奮闘によって、運命の歯車が大きく動きます。

物語は、遠藤が妙子を見つけるところから始まり、占い師の力に対抗しながら彼女を救出しようとするスリリングな展開が続きます。妙子が神の力を借りて占い師を騙そうとする計画は、意外な結末を迎えます。占い師との対決の中で、二人の運命が大きく揺れ動くストーリーです。

このあらすじでは、『アグニの神』の物語の主要な部分をわかりやすく解説しています。物語のスリリングな展開や、キャラクターの計略、運命の流れを一緒に追体験してください。

この記事のポイント
  • 遠藤と妙子の出会いと救出劇
  • アグニの神を利用した妙子の計略
  • 占い師の婆さんとアグニの神の関係
  • 物語の舞台となる上海の雰囲気
  • 占い師が迎える意外な最期

「アグニの神(芥川龍之介)」の超あらすじ(ネタバレあり)

第1章: 占い師と遠藤の出会い

上海の一角、陰気な町並みの中に立つ一軒家で、印度人の占い師の婆さんが亜米利加の商人と話していました。商人は、近々起こるという日米戦争についての占いを頼みます。最初は断っていた占い師ですが、商人が小切手を見せると、態度を変えて占いを引き受けます。商人が帰った後、占い師は少女の恵蓮を呼び、アグニの神にお伺いを立てる準備を命じます。しかし恵蓮が窓の外をぼんやりと見ていると、占い師は怒って彼女を叱責します。

その時、外から彼女を見つめる男がいました。それは遠藤という日本人の書生で、彼は妙子という行方不明の少女を探していました。通りかかった人力車夫から、この家に占い師が住んでいるという情報を聞いた遠藤は、恵蓮が妙子だと確信します。遠藤は占い師に会いに行き、妙子を返すように要求しますが、占い師の魔法の力で部屋から追い出されてしまいます。

遠藤は妙子を取り戻そうと決意を新たにし、夜になるのを待ちます。彼の心には、妙子を救うためには何としても占い師に勝たなければならないという強い思いがありました。

第2章: 妙子の計略

夜が更けると、遠藤は再び占い師の家の前に立ちます。警察に頼っても無駄だと悟った彼は、どうにかして妙子を救おうと考えます。その時、二階から紙片が舞い落ち、彼の手元に届きました。それは妙子からの手紙で、彼女はアグニの神を装って占い師を騙し、自分を解放させる計画を立てていました。妙子は、占い師がアグニの神を信じていることを利用し、自分を父親の元へ返すように迫ろうとしています。

一方、占い師は魔法の儀式を行う準備を進め、妙子を神の力で支配しようとします。妙子はその場にいるものの、心の中で神に祈りながら、遠藤が計画通りに動いてくれることを願います。しかし、次第に強い眠気に襲われ、意識が薄れていきます。

妙子が眠りに落ちる直前、占い師は呪文を唱え、アグニの神の降臨を試みます。遠藤は外からその様子を見守りながら、妙子が無事に計画を遂行できるのか心配します。

第3章: アグニの神の降臨

占い師の家の中で、儀式は進行していました。占い師はアグニの神を呼び出すため、呪文を唱えながら妙子の周りを回ります。遠藤は扉の鍵穴からその様子を見ていますが、鍵がかかっているため、中に入ることができません。妙子は占い師の指示に従いながらも、アグニの神の声をまねして自分を守ろうとします。

妙子が男の声で話し始めると、占い師は驚きます。彼女は、アグニの神が今夜のうちに罰を下すと言い、すぐに自分を父親の元へ返すように命じます。しかし、占い師はこれが妙子の計略だと疑い、ナイフを取り出して彼女を脅します。妙子は自分の命の危険を感じながらも、神の声をまね続けます。

遠藤は外から扉を開けようとしますが、鍵が頑丈でなかなか開けることができません。妙子が襲われる前に助け出そうと必死で力を尽くしますが、状況は刻々と悪化していきます。

第4章: 婆さんの最期

遠藤がようやく扉をこじ開け、中に飛び込むと、部屋の中は静まり返っていました。遠藤は周囲を見回し、椅子に座っている妙子を見つけます。妙子はぐっすりと眠っていましたが、その顔には不思議な落ち着きがありました。遠藤が彼女を揺り起こし、逃げようと呼びかけますが、妙子は自分が眠ってしまったことを告白します。

妙子は計画が失敗したと感じていますが、実際にはアグニの神のふりをうまく演じていたことに気づいていません。遠藤が部屋をもう一度見回すと、占い師が机の下に倒れているのを発見します。彼女は自らの胸にナイフを突き立てて死んでいたのです。

遠藤は妙子に、占い師を殺したのはアグニの神であり、自分たちの手を汚すことなく運命が決着したことを告げます。こうして遠藤と妙子は無事に家を出て、ようやく彼女を取り戻すことができました。

「アグニの神(芥川龍之介)」の感想・レビュー

『アグニの神』は、神秘的で緊張感あふれる物語です。遠藤が上海で行方不明の少女・妙子を発見するところから物語は始まります。妙子は占い師の老婆に囚われており、アグニの神という印度の神の力を借りて予言をさせられていました。物語の初めから不気味な雰囲気が漂い、読者は妙子の運命がどうなるのか一瞬たりとも目が離せません。

遠藤が妙子を救おうとする過程では、占い師の力に対抗しなければならない困難な状況が続きます。特に、占い師が使う魔法の描写は非常に詳細で、現実と幻想が入り混じるような感覚が巧みに描かれています。遠藤の絶望感と決意が読み手に強く伝わり、彼の奮闘を応援したくなる気持ちにさせられます。

妙子自身もまた、アグニの神を利用して占い師を騙そうとする計画を立てますが、彼女が途中で眠ってしまうという予想外の展開が非常に印象的です。アグニの神の声をまねる場面は緊張感が高まり、占い師とのやり取りが手に汗握る展開を作り出します。この部分は物語のクライマックスであり、占い師の反応や遠藤の焦りが絶妙に描かれています。

最終的に、占い師が自らの胸にナイフを突き立てるシーンは非常に衝撃的です。この結末が偶然のものか、それとも運命の力が働いたのかは、読者に委ねられている部分があり、物語に深い余韻を残します。遠藤はアグニの神が占い師を殺したと信じていますが、真実はわからないままです。

この物語はミステリーとファンタジーが見事に融合した作品であり、特にアグニの神の存在感が物語全体を彩っています。

まとめ:「アグニの神(芥川龍之介)」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 遠藤が妙子を探す物語
  • 上海を舞台にした神秘的な設定
  • 占い師がアグニの神を召喚しようとする
  • 妙子が神を装って計画を進める
  • 婆さんがナイフで妙子を脅す
  • 遠藤が鍵を開けて妙子を救おうとする
  • 最終的に婆さんは自殺する
  • 遠藤はアグニの神が彼女を殺したと信じる
  • スリリングな展開と驚きの結末
  • 計略がうまくいったかどうかは不明な部分が残る