一枚の切符(江戸川乱歩)の超あらすじとネタバレ

この記事では、江戸川乱歩の短編小説『一枚の切符』の超あらすじとネタバレを詳しく紹介します。物語は、友人との会話から始まり、複雑な事件の真相が解き明かされていく推理劇です。主要な登場人物や重要な証拠品、そして意外な結末までを網羅しています。

「一枚の切符 江戸川乱歩 ネタバレ」で検索している方に向けて、事件の詳細な展開と左右田五郎の鋭い推理を分かりやすく解説します。物語の核心に迫る興味深い内容をお楽しみください。

この記事のポイント
  • 物語の主要なあらすじと展開
  • 事件の舞台となる場所と背景
  • 登場人物、特に左右田五郎と黒田刑事の役割
  • 重要な証拠品とその意味
  • 最終的な結末と事件の真相

一枚の切符(江戸川乱歩)の超あらすじとネタバレ

第1章: 起章

物語の始まりは、左右田五郎(そうだ ごろう)が友人の松村(まつむら)とレストランで食事をしている場面です。松村は、数日前に起こったある事件について左右田に尋ねます。左右田は、その事件について詳しく話し始めます。

その事件は、富田博士(とみた はかせ)の家の裏にある線路で起こりました。事件の現場には博士の妻の遺体がありました。遺体は列車にひかれて亡くなったように見え、彼女の懐からは一枚の書置きが見つかりました。書置きには、彼女が肺病で苦しんでおり、周囲に迷惑をかけていることを理由に自殺を決意したと書かれていました。このため、初めは警察も彼女の死を自殺として処理しようとしていました。

しかし、左右田の友人である黒田清太郎(くろだ せいたろう)刑事が登場します。黒田刑事は、事件を詳しく調べ始めました。左右田によると、黒田刑事は探偵小説のような捜査を行い、博士の妻の死は自殺ではなく、殺人である可能性が高いと示唆しました。

まず、黒田刑事は遺体を解剖し、彼女が毒を服用していたことを突き止めました。これにより、彼女が列車にひかれる前にすでに毒殺されていた可能性が浮上しました。さらに、黒田刑事は三つの証拠品を見つけました。

1. **一足の短靴**:現場近くで見つかったこの短靴は、富田博士のものでした。短靴の形やサイズが博士の足にぴったり一致していました。
2. **石膏で取った足跡の型**:現場にはいくつかの足跡が残っており、その中には博士の靴と一致するものがありました。この足跡は、重い物を運んだ時にできたものでした。
3. **数枚のしわになった紙**:これは博士の書斎で見つかったもので、彼の妻が何度も字の練習をした跡が残っていました。これは、彼女が自殺の書置きを偽装したことを示唆していました。

黒田刑事は、これらの証拠品から、富田博士が妻を毒殺し、その後に線路に運び、列車にひかせて自殺に見せかけたと結論づけました。しかし、左右田は黒田刑事の推理に納得せず、自分の考えを持っていました。彼は、博士が偉大な学者であるにも関わらず、あまりにも多くの証拠を残している点に疑問を持ちました。

そこで左右田は、ポケットから一枚の受取切符を取り出しました。この切符は、列車の貸し枕の代金が記載されたものでした。左右田は、この切符が富田博士の無罪を証明する鍵であると主張しました。彼は、翌日にはこの切符を使って博士の無罪を証明するという宣言をしました。

このようにして、事件の概要と初期の捜査が明らかになりました。次の章では、左右田がどのようにして博士の無罪を証明するか、その詳細なプロセスを見ていきます。

第2章: 承章

翌日、左右田五郎(そうだ ごろう)は、自らの推理を発表するために新聞に寄稿しました。夕刊には、「富田博士の無罪を証明する」というタイトルで、左右田の署名付きの記事が掲載されました。この記事では、左右田がなぜ富田博士が無実だと考えるのか、その理由が詳細に説明されていました。

まず、左右田は、富田博士ほどの偉大な学者が、こんなに多くの証拠を残すはずがないと指摘しました。彼は、博士が無実であることを信じる理由として、黒田刑事の推理に欠陥があると主張しました。黒田刑事は頭が良いが、観察力が不十分だと述べました。

左右田は、事件の日に現場近くで見つけた一枚の切符を証拠として挙げました。この切符は、前日の日付が印刷されており、雨に濡れていました。左右田は、この切符が事件の解明に重要な役割を果たすと考えました。

左右田は、黒田刑事が見逃した三つの点を指摘しました。

**一つ目の点**は、切符の上にあった石についてです。この石は、博士邸の裏にある石と似ていました。左右田は、この石がわざわざ現場に運ばれたのではないかと考えました。

**二つ目の点**は、いわゆる犯人の足跡についてです。左右田は、犯人の足跡が博士邸から線路へ向かう片道分しかなかったことに注目しました。もし犯人が往復していたのなら、帰りの足跡も残っているはずです。しかし、それがなかったのです。

**三つ目の点**は、現場にあった犬の足跡についてです。犬の足跡が、いわゆる犯人の足跡に並行して残っていました。左右田は、この犬の足跡が事件の鍵を握っていると考えました。

左右田は、これらの点を総合的に考え合わせ、博士邸の人々に話を聞きました。その結果、左右田は事件の真相をつかみました。彼は、富田博士が妻を殺したのではなく、博士の妻が自らの手で自殺を偽装しようとしたと結論づけました。

左右田は、博士の妻が自殺の計画を立て、それを実行するために証拠を偽装したと考えました。彼女は、まず毒を飲み、その後に線路に自らを運び、列車にひかれるように見せかけました。書置きも彼女が自ら書いたもので、字の練習をしていたのもそのためでした。

左右田は、この結論を松村に話しました。松村は、左右田がこれほど優れた探偵であることに驚きましたが、左右田は自分を空想家と呼んでほしいと頼みました。そして、切符だって例えば石のそばから拾ったとしたらどうだと問いかけると、松村の戸惑った顔にもただにやりと笑うだけでした。

このようにして、左右田は富田博士の無罪を証明するための手がかりを見つけ、その真相に迫っていきました。次の章では、事件の解明に向けてさらに詳細な調査と推理が行われる様子を見ていきます。

第3章: 転章

左右田五郎(そうだ ごろう)が富田博士(とみた はかせ)の無罪を主張する記事を新聞に寄稿した翌日、彼の推理に対する注目が集まりました。新聞には「富田博士の無罪を証明する」というタイトルの記事が掲載され、左右田の名前が署名されていました。この中で左右田は、富田博士が無実であると考える理由を説明していました。

まず左右田は、富田博士のような聡明な学者が、あれほど多くの証拠を残すはずがないと述べました。彼は、黒田刑事(くろだ けいじ)の推理には重大な見落としがあると指摘しました。そして、事件の日に見つけた一枚の切符が博士の無罪を証明する鍵になると主張しました。

この切符は、前日の日時印がある濡れた紙切れで、左右田が現場近くで石の下から見つけたものでした。左右田は、この切符を調査の中心に据えました。そして、黒田刑事が見逃した三つの点を詳細に説明しました。

**一つ目の点**は、切符の上にあった石です。左右田は、この石が博士邸の裏にある石と似ていることに気づきました。彼は、この石がわざわざ現場に運ばれたのではないかと推測しました。

**二つ目の点**は、いわゆる犯人の足跡についてです。左右田は、犯人の足跡が博士邸から線路へ向かう片道分しかないことに注目しました。もし犯人が往復していたのなら、帰りの足跡も残っているはずです。しかし、現場には片道分の足跡しかありませんでした。

**三つ目の点**は、現場にあった犬の足跡です。犬の足跡が、いわゆる犯人の足跡と並行して残っていました。左右田は、この犬の足跡が事件の真相を解明する鍵を握っていると考えました。

左右田は、これらの点を総合的に考え合わせ、博士邸の人々に話を聞きました。その結果、彼は事件の真相をつかみました。左右田は、博士の妻が自らの手で自殺を偽装しようとしたと結論づけました。

列車の貸し枕のための切符なら事件の前夜に列車から落ちたはずであり、左右田はその切符が重い石の下にあったのなら、その夜のうちに誰かがその石を運んだのだと判断しました。そして、その石を運んだような足跡はいわゆる犯人の足跡しかなく、足跡を偽装して富田博士が妻を線路まで運んだように見せかけた犯人は博士の妻しかいないという結論に至ったのです。

片道分しか足跡がなかった理由も、犬の足跡と博士邸の人々から聞いた話により、博士の妻が短靴を履いて往復しようとすると愛犬が追いかけてきてしまい、追い払おうと習慣を利用して愛犬に短靴を持ち帰らせたためだと左右田は説明しました。また、靴同士が靴ひもにより一つに結ばれ、犬が運びやすいようになっていたことも博士邸の召使いから聞き出したと付け加えました。

これらの証拠から、左右田は博士の妻が自らの手で自殺を偽装したことを示し、富田博士が無実であることを証明しました。左右田は最後に、これらの証拠と推理をもとに、一日も早く博士を解放してほしいと訴えました。

こうして、左右田の推理は次第に真相に近づき、富田博士の無罪が明らかになっていきました。次の章では、事件の最終的な解明と、その結末が描かれます。

第4章: 結章

左右田五郎(そうだ ごろう)の推理により、事件の真相が徐々に明らかになっていきました。富田博士(とみた はかせ)の無罪を証明するために、左右田はさらに詳細な調査を進め、ついに真実にたどり着きました。

まず、左右田は列車の貸し枕のための切符が事件の前夜に列車から落ちたものであることを確認しました。この切符が重い石の下にあったという事実から、その夜のうちに誰かが石を運んだと推測しました。そして、その石を運んだ足跡が現場に残されていた「いわゆる犯人の足跡」であることを突き止めました。

左右田は、この足跡を詳しく調べました。足跡のかかと部分が深く沈んでおり、重い物を運んだ時にできたものだと判断しました。この足跡が富田博士のものではなく、博士の妻のものと一致することを確認しました。これにより、博士が妻を殺して運んだのではなく、妻自身が自らを運んだことが分かりました。

次に、片道分しか足跡がなかった理由について説明しました。博士の妻が短靴を履いて往復しようとすると、愛犬が追いかけてきたため、彼女は犬を追い払おうとしました。習慣として、犬に短靴を持ち帰らせることがあり、今回もその方法を利用しました。犬の足跡が現場に残っていたのは、そのためでした。

また、靴同士が靴ひもで一つに結ばれていたことも重要な証拠でした。これにより、犬が短靴を運びやすくなっていたのです。左右田は、この事実を博士邸の召使いから聞き出しました。召使いは、博士の妻が時々犬に物を運ばせる習慣があったことを証言しました。

最後に、書置きと字の練習に使った紙についても説明しました。書置きは、博士の妻が自ら書いたものであり、字の練習をしていたのも彼女自身でした。自殺の原因は肺病の苦しさと夫への複雑な感情から来ていたのです。

これらの証拠と推理を総合すると、博士の妻は自らの手で自殺を偽装しようとしたことが明らかになりました。彼女は毒を飲み、線路に自らを運び、列車にひかれて亡くなるように見せかけました。左右田は、これらの事実をもとに富田博士の無罪を証明し、一日も早く彼を解放してほしいと訴えました。

事件の真相が明らかになると、富田博士は無事に釈放されました。松村は左右田の推理力に驚き、彼を称賛しました。しかし、左右田は謙虚に自分を「空想家」と呼んでほしいと頼みました。彼は、推理小説のような事件解決が好きで、それが今回の事件でも役立ったことを喜びました。

こうして、『一枚の切符』の物語は終わります。左右田五郎の鋭い推理と観察力により、事件の真相が解明され、富田博士の無実が証明されました。この物語は、読者に推理の面白さと人間関係の複雑さを伝える素晴らしい作品です。

一枚の切符(江戸川乱歩)の感想・レビュー

江戸川乱歩の『一枚の切符』は、緻密な推理と驚きの結末が魅力的な作品です。この物語は、最初から最後まで読者を引き込む力があります。

物語の始まりは、左右田五郎が友人の松村とレストランで会話をするシーンから始まります。日常的な場面からスタートすることで、物語の世界に自然に引き込まれます。左右田が説明する事件の概要は非常に興味深く、読者の好奇心を刺激します。

事件の舞台となる富田博士の家の裏にある線路は、物語の重要な要素です。博士の妻の遺体が発見されるシーンは、緊張感があり、読者に衝撃を与えます。初めは自殺として処理されるものの、黒田刑事の登場により、事件は一転して殺人の可能性が浮上します。この展開が物語の緊迫感を一層高めます。

黒田刑事が見つけた三つの証拠品も、物語の鍵を握る重要な要素です。特に、一足の短靴や石膏で取った足跡の型、数枚のしわになった紙は、それぞれが謎解きのヒントとなり、読者を引き込む要素となっています。これらの証拠品がどのように事件の真相に結びつくのかを考えるのは、とても楽しいです。

左右田が博士の無罪を証明するために提示する受取切符のシーンも印象的です。彼の推理力と観察力が光る場面であり、読者にとっても驚きの瞬間です。また、犬の足跡が事件解明の鍵となる点も、物語に深みを与えています。動物の行動を利用した推理は非常にユニークで、読者を驚かせます。

最後に、富田博士の妻が自殺を偽装したという結末は、意外性がありながらも納得のいくものでした。左右田の鋭い推理と観察力が見事に結実し、読者に深い満足感を与えます。この物語は、単なる推理小説としてだけでなく、人間関係や感情の複雑さを描いている点でも非常に魅力的です。

『一枚の切符』は、推理小説の醍醐味を存分に味わえる作品です。江戸川乱歩の巧みなストーリーテリングと細部まで練られたプロットが、読者を魅了します。中学生でも楽しめる分かりやすい表現と、深い洞察に満ちた内容が絶妙に組み合わさっています。是非、多くの人に読んでほしい作品です。

まとめ:一枚の切符(江戸川乱歩)の超あらすじとネタバレ

上記をまとめます。

  • 物語は左右田五郎と友人の松村の会話から始まる
  • 富田博士の妻が線路で遺体となって発見される
  • 初めは自殺として処理されるが、黒田刑事が殺人を示唆する
  • 黒田刑事は三つの証拠品を発見する
  • 一足の短靴が富田博士のものであることが判明する
  • 石膏で取った足跡の型が重要な証拠となる
  • 数枚のしわになった紙が自殺の書置きとされる
  • 左右田が受取切符を提示し、博士の無罪を主張する
  • 犬の足跡が事件解明の鍵となる
  • 博士の妻が自殺を偽装したことが明らかになる