ストーリー・セラー(有川浩)の超あらすじとネタバレ

「ストーリー・セラー」は、有川浩が描く感動の物語です。

本作は、一組の夫婦が紡ぐ愛と創作の物語であり、その裏には成功の代償と病との闘いが描かれています。

彼が初めて彼女の小説を読んだ日から始まるこの物語は、彼女の才能が開花し、作家としての成功を収める一方で、嫉妬や誹謗中傷に苦しむ様子が描かれています。

さらに、致死性脳劣化症候群という稀な病気に侵されながらも、彼女が最後まで愛する人のために書き続ける姿は、読者の心に深く響くでしょう。

この記事では、「ストーリー・セラー」の超あらすじとネタバレを詳しく紹介します。

この記事のポイント
  • 彼と彼女の出会いと彼女の作家としての成功
  • 成功の裏にある妬みや嫌がらせの実態
  • 彼女が患う致死性脳劣化症候群の詳細と影響
  • 彼女が最後に書いた物語と彼女の死
  • 彼女の遺作が出版され、その反響と影響

ストーリー・セラー(有川浩)の超あらすじとネタバレ

第一章: 二人の出会いと彼女の成功

彼が初めて彼女の小説を読んだのは、彼の勤め先のデザイン事務所でのことです。ある夜、彼は残業をしていました。その時、彼女の席に置きっぱなしになっていたUSBメモリーに気づきました。ちょっと興味を持ってそのUSBメモリーを開いてみると、そこには50ページほどの短編小説が書かれていました。

その小説を読んで、彼はすぐに彼女の才能に魅了されました。とても面白い話で、彼は一気に読んでしまいました。彼はこの小さな出来事をきっかけに、彼女のたった一人の愛読者になりました。

彼と彼女はやがて恋人同士になり、しばらくして結婚することになりました。彼女はその後、文芸雑誌で行われた小説大賞に応募し、見事に受賞しました。賞金は100万円もありました。

結婚生活が始まって、彼女は二つの選択を迫られました。会社で働きながら兼業作家を続けるか、それとも会社を辞めて専業作家として創作活動に専念するかです。彼女は悩んだ末に、会社を辞めて本格的に作家としてデビューすることを決めました。

彼女の処女作(最初の作品)は大手の出版社から出版されました。驚くほど多くの部数が売れて、高額な印税(売り上げの一部として作家に支払われるお金)が彼女たちの手元に入りました。その後も小説だけでなく、エッセイ(自分の体験や考えを書いた文章)や対談(他の人と話し合った内容)など、次々と原稿の依頼が舞い込んできました。

彼女の成功を喜んでくれる人もたくさんいましたが、妬む(うらやましがって嫌がらせをする)人もいました。それでも、彼女は一生懸命に書き続けました。彼女の才能と努力が実を結び、彼女の小説はますます多くの人に愛されるようになりました。

第二章: 成功の代償と妬み

彼女が作家として成功する一方で、その成功を快く思わない人たちも現れました。ある日、彼女はフリーライターを名乗る人物から取材の申し込みを受けました。取材の依頼は普通のことでしたので、彼女も特に警戒せずに承諾しました。

通常、取材後には記事の内容を事前にチェックする機会があるはずでしたが、なかなかその確認が回ってきませんでした。彼女は不安に思いつつも、忙しさに紛れてそのままにしてしまいました。

そしてある日、その雑誌が発売されると、彼女に対するネガティブな内容の記事が掲載されていました。まるで彼女を貶めるためのキャンペーンのようでした。驚きとショックで彼女は呆然としてしまいました。

彼女はすぐにその雑誌の編集プロダクションに問い合わせました。調査の結果、そのフリーライターの身元が判明しました。そのライターは、大学時代に彼女が所属していた文芸部の部長でした。彼は彼女の作家としての成功を逆恨みし、悪質な嫌がらせをしていたのです。

このような嫌がらせだけでなく、彼女の成功に目をつけた遠い親戚からも連絡が来るようになりました。彼らはお金を無心するために電話やメールを送ってきました。彼女はどう対応すべきか悩みました。

さらに、彼女の実の父親も問題を引き起こしました。若い頃は文学青年だったという父親は、彼女の成功に嫉妬し、彼女に対する誹謗中傷を始めました。彼の攻撃は次第にエスカレートし、彼女は心身ともに追い詰められていきました。

彼女はついに心療クリニックを受診しました。医師から告げられた病名は「うつ病」でした。彼女は服薬治療と定期的な通院を続けることになりました。それでも、彼女にとって小説を書くことが唯一の心の支えでした。彼女はどんなに辛くても、執筆を続けようと決意しました。

このような困難に直面しながらも、彼女は自身の作品を通じて多くの人々に感動と喜びを与え続けました。彼女の強い意志と情熱は、多くの読者に愛される理由の一つでした。

第三章: 致死性脳劣化症候群の発症

彼女が精神的にバランスを崩し、救急車で病院に運ばれたのは、ある日曜日の夕暮れ時でした。突然の出来事に、彼も驚きと不安でいっぱいでした。彼女は意識が朦朧としており、体も弱々しく見えました。救急車で病院に着いたものの、受け入れ先の病院を探すのに時間がかかり、1時間近くもたらい回しにされてしまいました。

ようやく搬送された夜間病院では、簡単な点滴治療を受けただけで、すぐに帰されることになりました。彼女の状態は一向に良くならず、彼は不安と焦りを感じました。翌日、彼は彼女を連れて大学病院で精密検査を受けることにしました。

大学病院での検査の結果、彼女は「致死性脳劣化症候群」という非常に稀な病気にかかっていることが判明しました。この病気は、思考をすればするほど脳の機能が急速に劣化し、最悪の場合、死に至るというものでした。この診断を受けた時、彼女も彼もショックで言葉を失いました。

彼女は小説家として、常に複雑な物語を考え、深く思索することが日常でした。しかし、この病気にとっては、そうした思考が命を脅かす行為となってしまいます。彼女は自分の仕事が最も不適切なものであることを痛感し、深く悩みました。

医師からは、できるだけ思考を避け、ストレスを減らすように勧められました。彼女はそれを受け入れ、日常生活の中で料理や掃除など、単純なルーティンワークをこなすようになりました。しかし、職業としての作家をキッパリと諦めることは、彼女にとって非常に辛い決断でした。

それでも、彼女は小説を書くこと自体を完全に捨てることはできませんでした。彼女は一番読んでほしい相手、つまり彼のためだけに執筆を続けることにしました。この時、彼女はいつ訪れるかわからない死を穏やかに受け入れる決意を固めていました。

彼もまた、彼女の決意と強い意志を尊重し、彼女ができるだけ穏やかで幸せな時間を過ごせるように支えました。彼女は小説を書くことで、自分自身の存在意義を見出し、最後まで情熱を持ち続けることができました。彼女の強さと愛情は、彼にとっても大きな励みとなりました。

第四章: 最後の物語と彼女の死

その日、彼が家に帰ると、彼女は机の上でうたた寝をするかのように静かに亡くなっていました。彼は最初、彼女がただ疲れて眠っているだけだと思いましたが、触れてみると冷たくなっていることに気付きました。彼はショックで胸が締め付けられ、涙が止まりませんでした。

彼は彼女の最後のメッセージを思い出しました。彼女は「もし私がいなくなったら、このノートパソコンを開いて」と言っていました。彼は涙を拭きながらノートパソコンを立ち上げ、そこに残されていた原稿を確認しました。その原稿は彼女が彼に向けて書いたものでした。

彼はその原稿を出版社の担当編集者に手渡しました。編集者は彼女の遺稿を大切に扱い、適切な形で世に出すことを約束しました。その後、彼女の葬儀は密葬形式で行われました。参列したのは彼女の母親だけでしたが、彼は彼女のために心を込めて見送りました。

彼の寝室のサイドボードには、正絹で包んだ白木の箱に入った彼女の遺骨が安置されていました。彼はまだ納骨する気持ちにはなれず、毎日その箱を見つめながら彼女を思い出していました。彼にとって、彼女の存在は今も変わらず大切なものでした。

彼女の遺稿が小説誌に掲載されると、賛否両論の反響が巻き起こりました。中には、「死者を冒涜する行為だ」と怒鳴り込んでくる読者もいましたが、彼女が生きていたらそれを笑い飛ばしたことでしょう。彼は彼女の意思を尊重し、彼女の作品を守り抜くことを誓いました。

ある日、担当編集者が彼の元を訪れました。編集者は彼女にとって最後の本となった作品集を届けてくれました。その本には短編や絶筆原稿、コラムやエッセイが一緒に収録されていました。その中には「ストーリー・セラー」というタイトルの、彼と彼女の夫婦の物語も含まれていました。

彼はその本を手に取り、彼女が最後まで書き続けた物語を読みました。彼女の愛と情熱が詰まったその物語は、彼にとってかけがえのない宝物となりました。彼は彼女の思い出を胸に、これからも彼女の作品を大切にし続けることを決意しました。

第五章: 遺作と夫婦の物語

彼女が亡くなった後、彼は彼女の作品集を大切に保管しました。彼にとって、彼女の遺作は彼女の思いが詰まった宝物でした。彼は毎晩その作品集を手に取り、彼女の言葉を読み返していました。

ある日、担当編集者が彼の家を訪れ、彼女の最後の作品集を届けてくれました。編集者は彼に、「この本には、彼女が最後に書いた短編や絶筆原稿、コラムやエッセイが収録されています」と説明しました。彼はその本を受け取り、慎重にページをめくりました。

その中には、「ストーリー・セラー」というタイトルの短編が含まれていました。それは、彼と彼女の夫婦の物語でした。彼女はこの物語を通じて、彼への感謝と愛情を伝えたかったのです。彼はその物語を読み進めながら、彼女の声が聞こえるような気がしました。

物語は、彼女が初めて彼の前で小説を読んだ日から始まりました。二人がどのようにして出会い、どのように愛し合い、そしてどのように困難を乗り越えてきたかが描かれていました。彼は読みながら、彼女との思い出が次々とよみがえってきました。

彼女の書いた言葉は、彼の心に深く響きました。彼女がどれほど彼を愛していたか、どれほど感謝していたかが伝わってきました。彼は涙を流しながらその物語を読み終えました。

彼は彼女の最後の作品集を通じて、彼女がまだ自分のそばにいるように感じました。彼女の愛と情熱が詰まったその本は、彼にとって一生の宝物となりました。彼は彼女の思いを胸に、これからも彼女の作品を大切にし続けることを誓いました。

彼女の作品集は、多くの読者に感動を与えました。彼女の生き様と愛情が詰まったその本は、多くの人々に希望と勇気を与えました。彼は彼女の遺志を守り、彼女の作品が永遠に愛され続けるように努力しました。

彼女の作品集を手にした時、彼は改めて彼女の素晴らしさを感じました。彼女の言葉は、彼にとっていつまでも生き続けるものとなりました。彼は彼女の思い出と共に、これからも前向きに生きていくことを決意しました。

ストーリー・セラー(有川浩)の感想・レビュー

「ストーリー・セラー」を読んで感じたことは、愛と創作の力強さです。この物語は、彼と彼女の出会いから始まり、彼女の作家としての成功までを描いています。最初は、小さなUSBメモリーに書かれた短編小説がきっかけで、二人の関係が深まっていきます。彼女が文芸雑誌で小説大賞を受賞し、専業作家としてデビューする決断をするまでの過程は、とても感動的でした。

しかし、彼女の成功が全て順風満帆だったわけではありません。彼女は成功の裏で、多くの妬みや嫌がらせに苦しむことになります。大学時代の文芸部の部長や遠い親戚、そして実の父親からの金銭要求など、彼女を取り巻く人々の行動が彼女の心を傷つけました。それでも、彼女は小説を書くことを続け、彼に支えられながら前向きに生きていこうとします。

さらに、彼女が致死性脳劣化症候群という稀な病気にかかることで、物語は一層深刻な展開を見せます。思考することが命を脅かす病気にかかりながらも、彼女は彼のためだけに小説を書き続けます。この姿勢には、深い愛情と強い意志を感じました。彼女が最後まで自分の信念を貫き通したことが、非常に印象的でした。

彼女が亡くなった後、彼が彼女の遺稿を出版する決意をする場面も感動的です。彼女の作品が世に出て、賛否両論の反響を巻き起こす中で、彼は彼女の意思を尊重し続けます。彼女の最後の作品集が彼にとって一生の宝物となり、彼女の思い出を大切にしながら前向きに生きていく姿に心を打たれました。

この物語は、愛する人のために何かを成し遂げることの素晴らしさを教えてくれます。彼女の生き方と彼の支え合う姿勢から、多くの感動と教訓を得ることができました。特に、中学生にもわかりやすい言葉で描かれているため、広い年齢層におすすめできる作品です。

まとめ:ストーリー・セラー(有川浩)の超あらすじとネタバレ

上記をまとめます。

  • 彼が彼女の小説を初めて読むきっかけ
  • 彼女が文芸雑誌で小説大賞を受賞する
  • 彼女が専業作家としてデビューする決断
  • 彼女の成功と高額の印税収入
  • 彼女に対する妬みや嫌がらせの発生
  • 遠い親戚や父親からの金銭要求
  • 彼女がうつ病と診断される
  • 致死性脳劣化症候群の発症と影響
  • 彼女が彼のためだけに執筆を続ける決意
  • 彼女の遺作が出版され賛否両論の反響