「レベッカ(モーリア)」の超あらすじ(ネタバレあり)

『レベッカ』のネタバレを含むあらすじをご紹介します。

ダフネ・デュ・モーリアの小説『レベッカ』は、若い女性が主人公のサスペンスとミステリーが絡み合った作品です。名もなき若い女性が、裕福な未亡人ヴァン・ホッパー夫人の付き人として生活している中、イギリス貴族マキシム・ド・ウィンターと出会います。二人は短期間で親密になり、彼女は彼と結婚して新しい生活をミンデルリーで始めます。

しかし、その邸宅には亡き先妻レベッカの影が濃く残っており、家政婦ミセス・ダンヴァースの異常な執着と冷たい態度により、主人公は精神的に追い詰められます。彼女は次第にレベッカが完璧な妻であったという圧力に屈しそうになり、自分の自信を失っていきます。

やがて、レベッカの死に関する衝撃の事実が明らかになり、主人公とマキシムは隠された真実を共有することになります。彼らはレベッカの過去を乗り越えようとしますが、物語は最後に邸宅ミンデルリーの焼失という悲劇的な結末を迎えます。

この記事のポイント
  • 主人公とマキシム・ド・ウィンターの出会い
  • 主人公がミンデルリーで感じる不安
  • レベッカの影響とミセス・ダンヴァースの態度
  • レベッカの死の真相の発覚
  • 物語の悲劇的な結末

「レベッカ(モーリア)」の超あらすじ(ネタバレあり)

ダフネ・デュ・モーリアの小説『レベッカ』は、若い女性が主人公のミステリーとサスペンスが絡み合った物語で、過去の亡霊から逃れようとする彼女の心理的葛藤が描かれています。

主人公とマキシム・ド・ウィンターの出会い

物語の主人公は、名前が明かされない若い女性です。彼女は孤独で内気な性格を持ち、家族も友人もおらず、社会的地位も低い境遇で育ちました。

彼女は日々の生活を支えるため、裕福な未亡人のヴァン・ホッパー夫人の付き人として働いています。ある日、ヴァン・ホッパー夫人とともにモンテカルロのホテルを訪れた際、彼女はマキシム・ド・ウィンターというイギリスの貴族と出会います。

マキシムは、冷静で寡黙な雰囲気を持つ男性であり、彼の物静かさや謎めいた態度に主人公は次第に心惹かれていきます。一方、彼もまた彼女に親しみを感じ、二人は急速に親密な関係になります。

短期間の交際の後、マキシムは彼女に突如求婚します。彼は彼女に対して、彼の壮大な邸宅「ミンデルリー」で新しい生活を始めないかと提案します。彼女は驚きつつも、心の底からこの申し出を喜び、二人は結婚することになります。

ミンデルリーでの生活とレベッカの影

彼女がミンデルリーに到着すると、壮麗な邸宅の規模と豪華さに圧倒されます。しかし新しい生活が始まる期待に胸を膨らませていた彼女は、まもなくミンデルリーでの生活に大きな不安を抱くようになります。

特に大きな要因となったのは、マキシムの亡き妻「レベッカ」の存在です。レベッカは事故で亡くなっており、彼女の死にまつわる詳細については何も知らされていませんが、邸宅の至る所に彼女の影響が残されているように感じられます。

家政婦であるミセス・ダンヴァースは、レベッカに対して異常な執着を抱いており、まるで今も生きているかのようにレベッカの記憶を邸宅内にとどめようとしています。彼女は主人公に対して冷淡で、敵対的な態度を隠しません。

ミセス・ダンヴァースは巧妙に主人公の自尊心を奪い、レベッカがいかに「完璧な妻」であり、魅力的で優雅な女性であったかを絶えず語ります。彼女の存在を脅かすレベッカの影に、主人公は徐々に自信を喪失し、自分が邸宅の「新しい妻」としての役割にふさわしくないのではないかと感じ始めます。

レベッカと同じ衣装での失態

ある日、ミンデルリーで大きな社交パーティーが開かれることになります。このパーティーは伝統的なイベントであり、主人公にとって初めての正式な場面です。

ミセス・ダンヴァースは、主人公に対して「レベッカが生前に身につけていた衣装を着ると良い」と巧みに仕向け、彼女をレベッカと同じ服装にさせます。しかし、主人公がその衣装で登場すると、マキシムは激しい怒りを見せ、彼女はその場で深く傷つきます。この失態により、彼女の自信は完全に崩れ去り、レベッカの完璧な影に対する劣等感はさらに強まります。

ミセス・ダンヴァースのそそのかし

この出来事の後、ミセス・ダンヴァースは主人公に対してさらに心理的な圧力をかけていきます。彼女は「レベッカは永遠にミンデルリーの主であり続ける」と冷たく告げ、主人公が決してレベッカのようにはなれないと煽り続けます。

追い詰められた主人公に対し、ミセス・ダンヴァースは彼女を窓辺に立たせ、飛び降りるようにと暗にそそのかします。一瞬、主人公はその誘惑に負けそうになりますが、最終的には自分を取り戻し、その場から逃れます。

レベッカの死の真相

物語が進む中で、レベッカの死にまつわる疑念が次第に浮上します。レベッカは「ボート事故」で亡くなったとされていましたが、ある日、ミンデルリーの近くの海でレベッカのボートが沈んでいるのが発見され、彼女の死が再調査されることになります。

ここでマキシムは主人公に真実を告白します。レベッカは外見的には完璧で社交界においても評判の良い女性でしたが、実際には冷酷で残忍な性格を持ち、マキシムに対して愛情は一切なく、数々の不倫関係を持ちながら彼を裏切り続けていたのです。

ある夜、二人の間に口論が起こり、レベッカは意図的にマキシムを挑発しました。これに耐えきれなくなったマキシムは、ボートの中で彼女を殺害し、その遺体をボートと共に海へ沈めたのです。

この告白により、主人公は初めて「完璧な妻」というレベッカのイメージが偽りであったことを知り、マキシムへの疑念が払拭され、彼に対する理解と愛情が深まります。

ジャック・ファヴェルの脅迫と最終的な決着

さらに物語は、レベッカのいとこであり愛人でもあったジャック・ファヴェルの登場により緊迫した展開を迎えます。ファヴェルは、レベッカがマキシムに殺害されたと確信しており、その秘密を明かすと脅迫します。しかし、最終的にレベッカが末期の病にかかっていたことが判明し、彼女が死を選んだのではないかという解釈が社会的に受け入れられる形で事件は幕を閉じます。これにより、マキシムは罪を問われずに済むことになります。

終焉とミンデルリーの焼失

物語の最後、主人公とマキシムが事件の一連の騒動を終え、平穏を取り戻しながらミンデルリーに戻ると、邸宅が燃え盛っていることを発見します。火事が何によって引き起こされたのかは明確にされておらず、意図的なものか自然発生的なものかは読者の解釈に委ねられています。

邸宅の焼失は、レベッカの影が物理的に消える象徴でありながら、その影響が二人の生活に深く刻まれていることを暗示しています。ミンデルリーが焼け落ちる中、主人公とマキシムは過去の亡霊から逃れ、新しい人生を共に歩もうと決意するのです。

結末とテーマ

『レベッカ』は、愛と嫉妬、自己喪失と再生を描いた心理的な物語であり、主人公がレベッカの完璧な影を乗り越え、マキシムと真実の絆を築いていくまでの長い旅路です。

「レベッカ(モーリア)」の感想・レビュー

『レベッカ』は、ダフネ・デュ・モーリアによって1938年に発表されたミステリーとサスペンスが入り混じる小説です。本作は、名もなき若い女性がイギリス貴族マキシム・ド・ウィンターと出会い、彼と結婚して新しい生活を始めるというシンプルな導入から始まりますが、彼女が直面する精神的な試練と、ミンデルリーの邸宅に潜む亡き先妻レベッカの影が、物語に緊張感をもたらしています。

主人公はもともと社会的に地位が低く、ヴァン・ホッパー夫人の付き人として生活をしています。彼女がこの退屈で抑圧的な生活を送る中、偶然にもマキシムと出会い、彼と短期間で親密な関係を築くことになります。この急速な恋愛と結婚により、主人公は一夜にして貴族の妻となり、ミンデルリーという壮大な邸宅の主婦となる道を歩み始めます。しかし、その期待とは裏腹に、邸宅での生活は不安に満ちたものになります。

彼女の前には、レベッカという完璧な亡き先妻の影が立ちはだかります。レベッカは生前、美貌と社交的な魅力で周囲から絶大な評価を受けていた存在であり、家政婦ミセス・ダンヴァースは今も彼女に異常な執着を見せています。ミセス・ダンヴァースは、レベッカがいかに優れた人物であったかを主人公に絶えず語り、彼女にレベッカの完璧さを思い知らせることで、主人公の自己評価を徹底的に貶めようとします。主人公は、夫であるマキシムでさえレベッカの影響から逃れられないのではないかと感じ、孤独と疑念の中で自信を失っていきます。

特に印象的なシーンとして、ミンデルリーでの社交パーティーが挙げられます。ミセス・ダンヴァースの策略により、主人公はレベッカが生前に着ていたのと同じ衣装を身にまとって登場しますが、その姿を見たマキシムは激しい怒りを見せ、主人公はその場で深く傷つきます。この出来事により、彼女はますます自分の無力さを痛感し、レベッカの影に押しつぶされそうになります。

しかし、物語が進むにつれて、レベッカの死にまつわる衝撃的な真実が明らかになります。ミンデルリー近くの海で発見された彼女のボートから、レベッカが事故ではなく、マキシムによって殺害された可能性が浮上するのです。マキシムは主人公に対し、レベッカが実際には残酷で無慈悲な性格であったことを告白します。彼はレベッカを愛しておらず、むしろ彼女の本性に苦しめられていたのです。

さらに、レベッカが末期の病に冒されていたことが判明し、彼女が死を迎えることで、自分の思い通りにならない最後を演じたことがわかります。マキシムと主人公はこの秘密を共有し、レベッカの影から解放されるように感じますが、物語はさらに悲劇的な展開を迎えます。

最後に、二人が新しい生活を期待してミンデルリーへ戻ると、邸宅が燃え盛っていることが判明します。この火事の原因については明確には語られませんが、邸宅の焼失は象徴的に、レベッカの亡霊が物理的に消え去ることを意味しています。

まとめ:「レベッカ(モーリア)」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 名もなき主人公がマキシムと出会う
  • 主人公は裕福な未亡人の付き人として生活している
  • マキシムと短期間で結婚する
  • 主人公はマキシムの邸宅ミンデルリーに住む
  • ミンデルリーには亡きレベッカの影が残っている
  • ミセス・ダンヴァースがレベッカに執着している
  • 主人公はレベッカの完璧さに圧倒される
  • レベッカの死に関する真実が明らかになる
  • 主人公とマキシムが過去を乗り越えようとする
  • ミンデルリーが焼失する結末を迎える