「ドミノin上海(恩田陸)」の超あらすじ(ネタバレあり)

『ドミノin上海』は、上海の青龍飯店を舞台に繰り広げられる事件を描いた物語です。日中米合作映画の撮影クルーが宿泊する中、フィリップ・クレイヴンのペットであるイグアナのダリオが調理されてしまうことから、物語が始まります。美術品窃盗団「GK」が狙う「蝙蝠」という骨董品が事件の中心となり、さまざまなキャラクターが巻き込まれていきます。

物語には、ダリオの霊や脱走したパンダ、映画撮影クルー、美術品窃盗団、そして警察などが登場し、上海の街を舞台にしたスリリングな展開が繰り広げられます。各キャラクターが目的を持って青龍飯店に集結し、混乱が加速していきます。

最終的には、すべての登場人物が青龍飯店の最上階で対峙し、物語は大団円を迎えます。驚きの結末が待っている、ユーモアとスリルが詰まった物語です。

この記事のポイント
  • 『ドミノin上海』のあらすじ
  • 映画撮影中の事件の経緯
  • 骨董品「蝙蝠」を巡る陰謀
  • 登場キャラクターの関係性
  • クライマックスの展開

「ドミノin上海(恩田陸)」の超あらすじ(ネタバレあり)

第1章: 王とダリオの悲劇

青龍飯店での事件は、王湯元が調理したフィリップ・クレイヴンのペット、イグアナのダリオに始まります。フィリップはダリオを深く愛しており、姑息な手段で中国に持ち込みましたが、ダリオは逃げ出し、王の厨房に迷い込んでしまいました。王は常に新しい食材に興味を持ち、ダリオを調理してしまいます。

その後、フィリップは部屋に閉じこもり、映画の撮影が中断してしまいます。同時に、謎の美術品窃盗団「GK」が動き出し、王が持っているという「蝙蝠」という骨董品を狙います。実はダリオの胃袋にこの「蝙蝠」が隠されており、窃盗団はこれを手に入れようとします。

この事件を発端に、青龍飯店は大混乱に陥り、撮影クルー、窃盗団、そして警察がそれぞれの目的を抱え、物語は動き始めます。「蝙蝠」を巡る運命の歯車が回り出すのです。

第2章: 様々なキャラクターの集結

フィリップがダリオの喪失に嘆き悲しんでいる中、上海浦東国際空港では、市橋えり子、田上優子、北条和美の3人が再会を果たします。彼女たちは青龍飯店に宿泊し、その後、パンダを見に行く計画を立てています。しかし、パンダの厳厳は脱走し、青龍飯店に逃げ込みます。

一方、美術品窃盗団「GK」も、青龍飯店で「蝙蝠」のレプリカを使いながら交渉を進めていますが、ことは順調には運びません。董衛春がレプリカを持ち込んだり、アートフェアで騒動が起きたりと、さまざまな事件が同時に進行します。

また、ダリオの霊が出現し、映画撮影スタッフは撮影を再開しようと必死です。厳厳、窃盗団、そして撮影クルーたちが次第に青龍飯店へと集結していきます。全ての登場人物が、それぞれの思惑で動き出すのです。

第3章: 謎の解明と追跡劇

マギー・リー・ロバートソンが誤って市橋えり子に「GK」の情報が入ったUSBを渡したことで、事態はさらに混乱します。えり子はそれを返そうとしますが、少年に託してしまい、結果的にレプリカの「蝙蝠」とUSBが交錯します。その情報を手に入れた董衛員は、追手に迫られて青龍飯店へ向かいます。

その頃、青龍飯店では、王湯元と映画撮影スタッフがダリオの霊が指し示す場所へ向かい、事件の核心に迫ろうとします。優子も「蝙蝠」を毛沢山に渡すために最上階を目指し、次第に「蝙蝠」を巡る騒動がクライマックスへと向かいます。

様々な勢力が集まり、追跡劇が展開される中、ダリオの霊が事件の鍵を握る存在となり、全員が青龍飯店の最上階へと向かうのです。

第4章: クライマックスと結末

青龍飯店の最上階では、泥棒たちが毛沢山の彫刻を運び出そうとしていますが、彫刻から厳厳が飛び出し、全員を驚かせます。泥棒たちは混乱し、燦燦は気絶してしまいますが、ダリオの霊が燦燦に乗り移り、再び騒動が加速します。

「蝙蝠」は厳厳の胃袋に収まり、紫と黄色の影を漂わせた厳厳が、鬼門へと向かうことになります。優子と泥棒、そして厳厳との攻防が続きますが、最終的には厳厳がフィリップの撮影セットに導かれます。

物語は、各キャラクターがそれぞれの結末を迎えます。フィリップはダリオとの再会を果たし、映画撮影も再開されます。最後に、厳厳はパンダ野生化プロジェクトに参加し、物語は大団円を迎えるのです。

「ドミノin上海(恩田陸)」の感想・レビュー

『ドミノin上海』は、数々のキャラクターと複雑なプロットが絡み合うユニークな物語です。上海の青龍飯店を舞台にしたこのストーリーは、イグアナのダリオが調理されるという予想外の事件から始まり、そこから次々と意外な展開が繰り広げられます。特に、美術品窃盗団「GK」の狙う骨董品「蝙蝠」を巡る陰謀や、パンダの厳厳の脱走劇が、物語にスリルとユーモアを加えています。

登場人物たちは非常に個性的で、例えばフィリップ・クレイヴンのペットへの愛情深さが強調され、彼の感情的な反応が物語の進行に大きく影響を与えています。また、料理人の王湯元の新しい食材への好奇心が事件の引き金となり、彼自身も物語の重要な部分を担います。これらのキャラクターが青龍飯店に集結し、それぞれの目的を抱えながら事件に巻き込まれていく様子は、非常に魅力的です。

特に注目すべきは、ダリオの霊が登場することで、物語がさらに予測不可能な方向へと進んでいく点です。ダリオの霊は撮影クルーや登場人物たちを導き、物語の核心に迫る存在となります。また、USBメモリを巡る混乱や、「蝙蝠」のレプリカが誤って交換されるエピソードも、スリリングな展開を加速させます。物語の中盤から終盤にかけて、全てのキャラクターが最上階に集まり、次々と事件が巻き起こる展開は、読者を飽きさせません。

物語のクライマックスでは、パンダの厳厳やダリオの霊、燦燦が交錯し、泥棒たちの計画が大混乱に陥ります。厳厳の胃袋に収まった「蝙蝠」や、紫と黄色の影を漂わせる厳厳の行動は、物語に独特のファンタジー要素を加えています。そして最終的には、フィリップがダリオとの再会を果たし、物語は大団円を迎えます。

全体として、『ドミノin上海』は、ユーモア、スリル、そしてファンタジーが絶妙に組み合わさった作品です。複雑なプロットながら、テンポ良く展開し、次々と予測不能な出来事が起こるため、読者を引き込む力があります。各キャラクターの個性が際立ち、事件がどのように解決するのか、最後まで目が離せませんでした。

まとめ:「ドミノin上海(恩田陸)」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 王がフィリップのペットを調理してしまう事件で物語が始まる
  • 骨董品窃盗団「GK」が「蝙蝠」を狙っている
  • 市橋えり子たちが上海に到着し、事件に巻き込まれる
  • ダリオの霊が事件の鍵を握る存在になる
  • パンダの厳厳が物語の展開を加速させる
  • USBの誤渡しで事件が複雑化する
  • 各キャラクターが青龍飯店の最上階に集結する
  • 最終的に「蝙蝠」は厳厳の胃袋に収まる
  • フィリップがダリオと再会し、撮影を再開する
  • 厳厳はパンダ野生化プロジェクトに参加して物語は終わる